027 専任
■専任■
「ところで・・・」
ユティスが話題を変えようとしたので、和人は少しほっとした。
「和人さんは地球人としては、普通ですか?」
「そんなに稼いでるかなぁ・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「あの、生活様式のことなんですが・・・」
「あっはっは。それねぇ。良いわけでも悪いわけでもないかな・・・」
「では、和人さんの普通の生活を拝見させていただけませんでしょうか。そうすることで地球の文明レベルがわかりますわ」
「う、うん」
「日常生活を支援するエネルギーはなにをお使いですか?時空の移動方法と所要時間は?情報の伝達方法と普及具合は?人々の教育内容はどんなものですか?特に科学や精神や感情に対する教育はどうされていますか?また、そういった最先端の情報はどういうふうに共有されていますか?そして・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「ちょ、ちょっと、待った!一気にしゃべったらわかんないよ・・・」
「ど、どうも、申し訳ございません」
ユティスは頭を下げた。
「謝んなくていいんだ。オレ、あんまり賢いわけじゃないからさぁ、きみの話がいったいなんのことか、さっぱりわかんないんだ」
「そんなことありません。ご自分を卑下なさらないで。ご心配はいりませんわ。調査といっても、なにも地球の最先端技術を駆使している研究機関や政府機関へおじゃまするつもりはありません。そのようなところは極めて特殊ですから。地球の文明を判断するには問題があります」
「ふぅーーーん・・・」
「まずは、ごくごく、普通の人々の真実の生活が知りたいのです。それこそが、現在の地球の文明レベルですから。ですから、和人さんは地球代表なのです。できる限り、普通の地球の方々の、普段の生活が知りたいのです」
ユティスは申し訳なさそうにした。
「つまりは、普通の人々の生活レベルを上げるってのが、文明支援するってことかなぁ?」
「リーエス。生活レベルといっても、ただ贅沢をするというのではないのですけど・・・。むしろ、大宇宙と調和する精神的な幸せを得るということです。エルフィアの科学的知識や技術をそのままご提供したところで、精神や心がそれらを受け入れる状況にないのであれば、逆に人々を苦しめるだけです。恐らく、ごく一部の人々がテクノロジーの恩恵をすべて独占して、支配的欲望を満たそうとするだけですわ。地球はまだまだ競争的で奪い合う文明を脱していませんから」
「ふうん。地球のこと、もう随分と知ってるみたいだね・・・」
「ナナン。エルフィアはそんな世界をたくさん見てきましたもの。特にカテゴリー2においては・・・。地球だけがそうということではありませんわ」
「うん。まだまだ、ここには独裁者や特権階級といったものがたくさんいるかな・・・」
「リーエス。大きな組織だけでなく、小さな組織にすらそれはあります。ですから、人々には、精神、心、感情、そういったもののフォローが一番大変なのです。だいたいの世界において、文明の発達とともに競争的な理屈や理想だけが先走り、理性と称して合理化の下にすべてはシステム化されてしまいます。人々が本当に望む創造や協調や分配の精神や感情や心は、すべて置いてけぼりになってしまうのです。そうなると人々の精神は傷つけられ、病におかされ、人々を幸せにするための文明が逆方向に大きく揺さぶられます」
「逆?」
「リーエス。文明によって人々が傷つき苦しむことになるのです」
「テロリズムとか・・・」
「それは、一つの極端な例ですが。大変、好ましくない状況になります・・・」
「でも、地球はまさにそういう・・・」
「ええ。わたくしたちは、そういう世界に出会う度とても心が痛みます」
「地球はそういう世界だよ。そんなところにきみたちの文明促進支援なんかしちゃって、本当に大丈夫なの?」
「それだからこそ、必要なんですわ」
「うん・・・」
和人は絶望的な無力さを感じた。
「いくらエルフィアでも、そんな世界を変えるなんて、できないんじゃないかな?」
「もちろん、すぐというわけにはいかないでしょう。けれど希望はありますわ」
「希望?」
にっこり。
「はい。それは、和人さん、あなたです」
「オレ?なぜ?」
「はい。あなたのような方がいらっしゃれば、やがて、一人が二人となり・・・」
「そういうの、ものすごく時間がかかるんじゃないかな?」
「リーエス。人々が自ら納得するにはそれ相応の時間が必要です。自ら、というのが大切なのです。それを無理強いすることは、まったくの本末転倒です」
「地球人は、気づくのを嫌がると思うよ」
「どうしてでしょうか?」
「自分の嫌な現実を見つめることは、大きな勇気が必要になるから」
「ふふふ・・・」
ユティスは、一段と優しく微笑んだ。
「それこそ、賞賛すべきことですわ。逆に、現実を誤魔化そうとするなら、とても悲しむべきことです。ご自分を騙そうとすれば、他人をも不幸にします」
「そうなんだ・・・」
「それに、普通の人々の精神が良くなれば、その時から世界は変わり始めるのです。最初はとても少ないでしょう。それでも、一度8パーセント近くまで変わりはじめると、周り人々が、世界中が、それに注目しはじめます。そうなると、変わる速度は劇的に早まるのです」
「8パーセントか・・・。6億人くらいは、必要ってことだよ・・・」
「地球には、インターネットというとても素晴らしい伝達手段がありますわ」
「なるほど」
「一番の問題は、そういう世界で組織のトップにいる人々のほとんどは自ら変わる必要性を感じていない、ということです。トップに就くこと自体が、最終目的ですから。トップに就いた途端、自らの向上心や謙虚さは、終わりを告げるのです。後は、その座を維持して、特権を独占することだけにしか興味はありません。そういう方々に、エルフィアが公式に面会でもしようものなら、自分の地位を脅かそうとする敵とみなして、きっと武力で阻止するでしょう」
「わかるよ、それ・・・」
「ですから、わたくしたちは慎重にコンタクティーを選び、その方にそっとお会いし、みなさんの世界を見守るのです」
「それでか。UFOが公式に首相官邸の庭に着陸しないのは・・・」
「UFOとはなんですか?」
「未確認飛行物体。空飛ぶ円盤のことさ。異星人が地球に来ているって証拠らしいよ。オレは見たことないんだけど・・・」
「うふふふ。エルフィア以外の世界も地球に注目しているのですわ」
「なにしろ、地球人はとても好戦的で危険な人種だからね。肝試しにちょうどいいのかも」
--- ^_^ わっはっは! ---
「んふ。もし、そうでしたら、今、地球のみなさんにとって、とても大切なことは、奪い合う社会と決別するための『心のケア』、『思考のケア』です。地球の人々はもっとご自分を大切にすべきかもしれませんわ」
「利己的になっれってことじゃないよね?」
「リーエス。言うなれば、自分の存在を感謝する心です」
「自分の存在を感謝するのか・・・」
「リーエス。カテゴリー3文明へ移行するための、とても大切なステップです。すべては、個人から始まります。ご自分を大切に思われない方が、他人を大切にできると思えますか?」
「到底思えないよ・・・」
「リーエス。その世界においても、銀河においても、大宇宙においても、そうですわ。自分の惑星、自分の恒星系、自分の銀河系。これらは、スケールは違えど、本質的に同じことです」
「つまり、自分の星を大切に扱えない世界は、宇宙に出る資格がないと・・・」
「リーエス。それを自覚しているかどうかはとても重要です。実際、頭ではわかっているつもりでも、行動を伴うには大変な努力が必要です。このことをご理解できてることが、エルフィアが支援できる精神レベルの最低条件です」
「そんなのできそうにないかも」
「ナナン。現在はそうでも、まずはそういう意識があるかどうかが重要です」
「地球にとっては、かなり厳しい条件だと思うよ・・・」
「そうでもありませんわ。今、まさに、環境ホルモン全廃とか、温暖化防止とか、核兵器廃絶とか、政治の民主化とか、そういった動きが、地球にも出てきているような気がします。違いますか?」
「リーエス。まるで、もう、きみたちは、地球の情報を得ているみたいじゃないか?」
「ふふふ。わたくしたちが、それを存じあげているというよりは、地球に限ったことではないからです。どこの文明世界もカテゴリー3に進む前に、一度は歩むお決まりの道ですもの」
「そうなんだ・・・」
「わたくしたちエルフィアは、もう何万年も前にそれを克服いたしました。だから、他の世界ができないわけがありません」
「そうなら、いいんだけど・・・」
「ナナン。地球が例外とは思えませんわ」
「そういうわけか・・・」
「地球は、文明分類でいいますと、カテゴリー2に到達したばかりです。自星を脱出する術を持ち、実際に異世界に到達することのできた世界のことです。そのカテゴリー2の世界を、エルフィアは慎重に見守っていますわ」
「どうして?」
「自星を出るテクノロジーがないうちは、他の世界に影響が及ぶことはないからです。しかし、一度、その技術を持った世界は異なります。他の世界に対しても責任を持たねばなりません。自分の都合だけで他の世界を好き勝手に蹂躙する権利はありません。たとえ、そこに生命が存在していないとしても・・・。星々は互いに影響し合っています。特に、時空に影響を強く与える、核エネルギー、量子エネルギー、重力エネルギーに手を染めたばかりの世界は要注意なのです。それを上手く扱えるようになるには、すべてを愛でる善なるもの、その存在に沿う、愛の精神を待たねばなりません」
「本当に地球のことを言っているようだ・・・」
「もし、そうだとしたら・・・」
「どうするの?」
「エルドは迷うことなく地球の支援を決定するでしょう。よりよい道を一緒に歩むために・・・」
「エルド?」
「エルフィアの文明促進支援機関の最高理事です」
「あのビデオの・・・。長身の男性?」
「リーエス」
「和人さん、まずはご自分からはじめませんか?」
にこ。
「どうするの?」
「わたくしが、和人さんをケアいたします」
「え、ユティス、きみがかい?」
「はい」
ユティスは嬉しそうに言った。
「和人さんはわたくしのコンタクティーなのですから。わたくしにとって、和人さんは特別な方ですよ。お忘れになられては、困りますわ。んふ?」
「オレが特別って・・・」
「はい。わたくしが、和人さんの心をお守りいたします。わたくしのミッションでもありますし・・・」
「使命・・・?そうだよな、でなきゃ、きみみたいなステキな女の子が、オレに・・・」
「ふふふ。使命というだけではありませんわ。わたくし個人としても、和人さんには、とても興味があります」
「オレに興味だって?」
「リーエス。あのつぶやきは、ご自分を大切思い、毎日を感謝して、とても心の優しい方でないと書けるとは思いません。カテゴリー3以上の精神をお持ちです」
かぁーーーっ。
「えへへ。ホント、照れるちゃうよ・・・」
「ほとんど毎日、わたくしもどんなに楽しみにしているか。ご存じないでしょうね・・・」
「きみはあれを楽しみにしているの?」
「はい。和人さんはとてもステキな方だと思いますわ・・・」
ユティスの声が一際明るくなった。
「ち、ちょっと、それ、どういうことかな・・・?」
「わたくしは、こうして和人さんとコンタクトするのが、とても楽しいです。和人さんはいかがなんですか、わたくしとのコンタクト・・・。楽しくないですか・・・?」
ユティスの視線は和人を捕らえて放さなかった。
「と、とんでもない。それどころか大歓迎だよ!」
「まあ、嬉しい!」
にこっ。
ユティスは満面に笑みを広げた。
「和人さん。わたくしたちは、あなたがどのような方か、だいたいわかっています。でなければ、さきほど申しあげましたが、システムがあなたを選んだりはしません。システムがあなたとわたくしの相性をはじきました」
「相性って?」
「今後の活動がうまくいくための、エージェントとコンタクティーのお互いの相性ですわ」
「エージェントとコンタクティーって?」
「失礼しました。ちゃんとご説明申しあげませんで。文明促進支援のため、エルフィアから派遣する調査員のことをエージェントと言います。そして、対象世界でエージェントが専任でお会いする方をコンタクティーと言います。わたくしと和人さんです」
「そういうことか・・・」
和人は納得した。
「それで、相性ってなんのこと?」
「エージェントとコンタクティーの相性が良くないと、プロジェクトは進展しませんわ」
「そりゃ、そうだね。で、オレたちの相性はどのくらいあるって言うの?」
和人はどのくらいユティスと仲良くなれるのかが、心配になってきた。
「お知りになりたいですか?」
「う、うん・・・」
どきどき・・・。
「システムによると・・・、確率は99.99%です・・・」
ユティスは少し赤くなり恥ずかしそうに言った。
「えっ、ホント?それって確実ってことじゃないの?」
あまりにも高確率なので、和人は拍子抜けするとともに、仰天してしまった。
「リーエス」
ユティスは本当に嬉しそうな顔になった。
どきどき・・・。
和人は眩しいくらいに美しいユティスの笑顔に、胸が高鳴りっぱなしだった。
「相性が80%以下でしたなら、わたくしには和人さんのエージェントとしての許可がおりませんでした」
「それじゃ、楽々クリアじゃないか」
「リーエス。うふふ」
「ちょっと待ってよ。オレときみは、99.99%の相性だって言ったよね?」
「リーエス。こんなに高い相性値は今までにありません」
「ははは・・・」
「わたくしと和人さんならきっとうまくいきますわ」
ユティスの笑顔はまぶしかった。
「ユティス、オレ・・・」
和人は有頂天だった。
(こんなに可愛くてキレイな彼女と相性が確実ってことは・・・。えへへ・・・)
--- ^_^ わっはっは! ---
「わたくしでは、役不足でしょうか?」
答えがわかっていながら、あえてユティスは和人にきいた。ちょっと悪戯心で、聞いてみたくてしょうがなかったのだった。それほど、ユティスは和人の思いを直接確かめてみたかった。
「と、とんでもない!」
和人は大きく頭を横に振った。
「よかった!和人さん、アルダリーム・ジェ・デーリア(ありがとうございますわ)」
ユティスは心の底から喜んだ。
「それで、オレのところに来るって、具体的にどうするの?」
「こちらに、おじゃまします」
「ええ?このオンボロアパートに?」
「リーエス。ダメでしょうか?」
「あ、いや。ここはとんでもなく古いし、キレイでもないし、女の子を呼べるようなとこじゃないんだけど・・・」
「わたくしはいっこうに構いませんわ」
「そうは、言ってもなぁ・・・」
「わたくしが、和人さんところに来るのはご迷惑ですか?」
ユティスはわざと悲しそうな目をした。
「そんなこと絶対にない。逆に嬉しいよ・・・。ただ・・・」
「他になにか・・・?」
「会社にオレ行かないと・・・。いつもこのアパートにいるわけじゃないんだ。だから、きみを一人ここに置いたままにはできないと思って・・・」
「それなら問題ありません。和人さんのおじゃまはいたしませんから、ご一緒させていただきます」
にっこり。
ユティスは最高の笑顔で言った。
「まさかオレに付いて会社に一緒に来るっていうの?そんな無茶な・・・」
「大丈夫です。お側にいるだけで、決してお仕事のおじゃまはいたしませんわ」
「そんな、無茶苦茶だよ。だいたい会社ってのは社員以外は入れないんだよ。泥棒とか、いろんな勧誘員とか・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「では、和人さんから、そこの一番偉い方にご事情をお話していただくことはできないのですか?」
「真紀社長にかい?無理無理!」
「どうしてですか?」
「夫婦や家族だって、恋人だってそんなことできないよ。ましてや、女の子と同伴出社なんてありえない、ありえない」
「地球は恋人同士には、随分と厳しいところなんですね・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「待ってよ。きみとオレ、恋人同士じゃないし・・・」
「そうですか・・・」
ユティスは少し声を低めた。
「エルフィアじゃ、いいの?」
「リーエス。もちろん。女性が了解すればですけど」
--- ^_^ わっはっは! ---
「それにさぁ。きみがエルフィア人だとわかったら、事務所中、大騒ぎになってとんでもないことになるよ」
「それでは、どうしてもダメなんでしょうか・・・?」
ユティスは切なげに和人を見つめた。
「ダ・・・」
和人は言いかけて止めた。
「わたくしのミッションは、コンタクティーと一緒なって、地球の方々の普段生活から、地球文明の現状を委員会に正確に報告することです。それにより、次なる支援計画も立てられるということなのです。とても重要な役目ですわ。しかし、これではなにも遂行できません・・・」
じーーーっ。
ユティスはうらめしそうに和人を見つめた。
「そうは、言ってもさぁ・・・」
「そうなると、わたくしがこれ以上ここにおじゃまする必要もなくなります。そういうことですよね・・・?」
うるうる・・・。
ユテイスは益々悲しそうな目になった。
うるうる・・・。
ぽたり・・・。
ついに、和人はユティスの最強兵器に白旗を揚げた。
--- ^_^ わっはっは! ---
「待って!ユティス、待ってよ。それとこれは・・・」
和人は慌てて取り繕おうとした。
「きみに会えなくなるなんて・・・」
「コンタクティーの信頼を得られていないということは、わたくしはエージェントとして失格ですわね・・・」
うるうる・・・。
「ちょっと待ってよ。なに言ってるんだ、ユティス。オレがきみを信用してないなんてこと、あるわけがないよ!」
「では、わたくしは和人さんとご一緒していいのですか?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「と、とにかく、会社のみんなが、きみのことわかってくれるとは限らないし・・・」
「どうしてですか?」
「そりゃ、一応、部外者だもの・・・」
「部外者でなければ、いいのですか?」
「それは、そうだけど・・・。どうやって?」
「それでは、少しお時間の猶予をいただけますか?」
「どうしようっていうの?」
「わたくしが和人さんの下に実体でお伺いする前に、まず、今いるように、精神体として一定期間和人さんのところに訪問いたします。それで、ある程度下準備を行ないます。その過程で、わたくしから和人さんのお知り合いの方々にもご挨拶させていただき、徐々に慣れていただくようにします。これなら、いかがですか?」
「どういうことかな・・・?」
「生身の人間としてではなく、精神体としてわたくしの意識だけ地球にうかがいます。それでしたら、おじゃまにはなりませんでしょ?」
「じゃ、ここには、来ないってこと?」
「ナナン。精神体はそこに存在するということですから、わたくし本人が、いるのと同じことですわ。ただし、和人さんの他の方々には、わたくしがそう意図しない限り、わたくしの姿はお見えになれません」
「ふうん。オレだけきみの存在がわかるってことかぁ・・・」
「リーエス。よろしいですか?」
「ま、それならかまわないかな・・・」
「よかった。どうも、アルダリーム・ジェ・デーリア(ありがとうございますわ)、和人さん」
ユティスはにっこり微笑んだ。
「あは。なんか二人だけの秘密を持ってるみたいだね」
「リーエス。楽しくなりそうですわ」
「で、その後はどうなるの?」
「その後は、ちゃんとした実体でおうかがいします」
「そうっかぁ。それ、いつ頃になるのかなぁ?」
「うふふ。みなさんが慣れていただける時までです。そう遠い未来ではありませんわ」
「うん。そうしてくれるとすごく嬉しいかも・・・」
「はい。和人さんの下に、来れることは、わたくしも楽しみです」
「そうだね。きみが実体となって、オレのところに来てくれるだなんて、夢のようだよ」
そう言った後、和人ははたと気づいた。
「でさぁ、ユティス・・・。どこに住むつもりなの?」
--- ^_^ わっはっは! ---