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275 着地

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東の空に現われた光の玉はきらきら色を変えたり点滅したりした後、一瞬で消えた。


ぱっ。

「消えたぞ!」

俊介が叫んだ。


「いや、真上に来たんだ」

大田原は冷静に言った。


ぱっ。

そしてそれは正しかった。


きらきら・・・。

次の瞬間、それはみんなの頭上に輝いていた。


「ああ!」

「出、出たぁ!」

二宮は思わず叫んだ。


--- ^_^ わっはっは! ---


みんなは息を呑んでそれを見守った。


ゆらーり、ゆらーり・・・。

「揺れている・・・」

真紀は空を見上げて言った。


ゆらーり・・・。

それは揺れながら徐々に降りてきた。


ぱぁーーー・・・。

それが、もう何百メートルもない高さまで降りてくると、その黄色い明るさに、辺りは真昼のようになった。


ぴた。

そして、2、30メートルのところまで降りてくると、それはそこで完全に停止した。


「来るわ・・・」

さぁ・・・。

アンニフィルドが俊介に寄り添い、言った。


「わかるのか・・・?」

「リーエス。光の柱が出るわ。そして・・・」


ぱぁ!

アンニフィルドが言い終わらないうちに、白い光の柱が地面に届き、そして、徐々に消えていった。


「セレアム人だ・・・」

アンニフィルドはさらに俊介に寄り添い、俊介はアンニフィルドの腰に左手を回した。


ぱっ。

完全に白い光の柱が消えると、そこには3人の男女がいた。




「消えたぞ!」

高速道路上のリムジンの中で、マイクは叫んだ。


「ありえん。移動したんだ。N火山の裾野のどこかだ・・・」

「くっそう、間に合わない!」

「諦めろ、マイク」


「バカものめが!この一大事に!」

マイクはリッキーに掴み掛からんばかりだった。


「仕方あるまい。われわれは歓迎せざる客だってことだ」

「ふざけたことを抜かすな。国家反逆罪だぞぉ!」

「だったら、今夜の招待状をもらっているのか、あんたは?」


--- ^_^ わっはっは! ---


リッキーは薄笑いを浮かべた。

「おまえも手にしてはおるまい?」


「まぁな・・・」

「ひとのこと言えた義理か、きさま!」

マイクは完全に頭にきていたが、さすがにこれ以上は自重した。


(くっそう、リッキーがエスパーでなければ、八つ裂きにしてくれるところだ・・・)


「やれるもんなら、やってみろ、マイク・・・」

リッキーにマイクの考えは筒抜けだった。




そこに降り立った3人は、男性2人に女性1人だった。


男性の一人は165センチくらいの割と小柄身体をしていた。女性はやはり165センチくらいだった。もう一人の男性は180センチはありそうな長身でだった。


にっこり。

3人は一同に微笑みかけた。


「トアロ、お久しぶり・・・」


たったった・・・。

女性は一同の中に大田原を見つけると、小走りに近寄り彼を抱きしめた。

ぎゅ。


「久しぶりだな、エメリア・・・」

二人はセレアム語でその一言を交わすと、あとは黙りこくって抱きしめ合ったままになった。


「う・・・」

大田原もエメリアも、みんなは二人が嗚咽しているのがわかった。


「・・・」

「・・・」


頭上の宇宙機は光度を落とし、かすかにオレンジの色の光を放つだけになった。


「トアロ・・・。わたくしは・・・」

「ありがとう、本当に迎えに来てくれたんだな、エメリア・・・」

「ええ。もちろんよ・・・」


ようやく再会の感動が収まると、背の高い男性が、微笑みながら、大田原と抱き合った。


「トアロ、よく無事で・・・。みんな心配してたんだ。救難信号も無しに行方を絶ったので、だれしもがダメかと思っていた・・・」

「ああ、義兄さん。変わりないな」


「はは。50年経つが、これくらいではね」

「そうか・・・」


「トアロ、わたくしたちだけでご挨拶だなんて、みなさんに失礼だわ。自己紹介するから、みなさんをあなたが紹介してくださいな」

「わかったよ、エメリア」

大田原はそう言うと、一同を振り返った。




「わたくしたちは、セレアムから参りました。こちらの長身の男性は、今回の地球訪問使節団の団長であり母船の船長のシャディオンです。わたくしの夫であり、トアロの義兄です」

そこで、シャディオンは深々と頭を下げた。


「シャディオンと申します。みなさま、よろしくお願いいたします」

「その隣が、副長のレドールです」

「レドールと申します」

小柄の方の男性も頭を下げた。


「そして、わたくしが、今回の使節団の発起人、トアロの姉、エメリアです。みなさん、事故に合い瀕死のトアロをお助けいただいたばかりか、エルフィアにまでご覧楽しただいて、今日、今晩、このような奇跡的な再会をお膳立ていただきましたことは、誠にありがたく、なんと感謝申しあげればよいのか・・・。言葉もありません・・・」

エメリアはそれだけ言うと、涙ぐんでその先は言葉にならなかった。


「エメリア・・・、わたしからも紹介があるんだが・・・」

「ええ、わかっているわ・・・」

大田原は、真紀と俊介をエメリアの前に来るよう合図した。


「行って・・・」

アンニフィルドは俊介の身体から腕を解いた。


すたすた・・・。

すっすっす・・・。

真紀と俊介は、エメリアの前にひざまずいた。


「大叔母様・・・」

真紀が一言言うと、エメリアは二人を立ち上がらせた。

「わたくしにひざまずく必要はなくてよ・・・」


すく。

二人はエメリアの言うとおりに立ち上がった。


「トアロの孫、姉の真紀です。お初にお目にかかれまして、光栄にございます」

「よしなさい。仰々しい挨拶など不要です」

エメリアは真紀に方目をつむった。


「あ、はい・・・」

「弟の俊介です。大叔母さん」

「まぁ、真紀とは正反対ね。ふふふ」


--- ^_^ わっはっは! ---


エメリアは楽しそうに笑った


「大叔父さま」

「大叔父さん」

真紀と俊介は、シャディオンにも頭を下げた。


「うむ。トアロにこんな立派な孫たちがいるとはな・・・」

にっこり。

シャディオンも二人と抱き合った。


「お二人をセレアムにお連れにまいりました」

「はじめまして」


国分寺姉弟の挨拶が終るやいなや、エメリアがユティスとアンニフィルドに向き直った。


「エルフィアのみなさん、この度は、本当にありがとうございます。なんとオレを申しあればよいのやら・・・。あなたたちがいらっしゃらなければ、トアロとは二度と再会できなかったでしょう・・・」


「ナナン、決して、エルフィアの力だけではありませんわ。あのハイパートランスポンダーを作動させることになりましたきっかけは、宇都宮和人さんですから。和人さんがいらっしゃらなかったら、エルフィアと地球が連絡し合えるようにはならなかったでしょうし、エルフィアとセレアムが連絡できるようにもならなかったでしょう・・・」 


エメリアたちは、ユティスが言う宇都宮和人とはなにものかと、ユティスの隣に立つ若者を見つめた。


「あなたが宇都宮和人さんですね?」

エメリアは流暢な日本語を話した。


「あ、はい。でも、ユティスの言うような大した者じゃないですから・・・」

「ふふふ。控えめなのですね」

そして、エメリアはアンニフィルドとキャムリエルを見て、にっこりっ微笑んだ。


「あなたたちもエルフィア人ね?」

「リーエス、ボクはキャムリエル」

「わたしはアンニフィルドよ」

エメリアはこの二人がユティスの安全を守るスペッシャリストだということを知っていた。


「他にはいらっしゃらないの?」

エメリアはクリステアのことを探した。


「申し訳ないです。ちょっとした事故があって、彼女は母船の治療室で療養中なんです。そして、彼女の恋人はその付き添いで・・・」


「なるほど、わかりました。お怪我は大丈夫なのですか?」

エメリアは心配そうにキャムリエルに尋ねた。


「リーエス。明日には目を覚ますはずです」

「それは幸いです」

エメリアは納得すると、アンニフィルドを見つめた後、俊介に語りかけた。


「こちらの女性ですか、あなたの恋人は?」


「ええ?」

あまりに出し抜けだったので、俊介は口をあんぐり開けたまま、エメリアとアンニフィルドを見つめた。


かぁーーー。

アンニフィルドは真っ赤になり、下を向いた。


「あ、大叔母さん・・・」

俊介は口ごもった。


「ふふふ。隠し立てする必要はないわ、俊介。お嬢さん、俊介をよろしくね」

「え・・・。あ、あのぉ・・・」


「わかっています。あなたは、エージェントを守る義務がありますものね。今回は、セレアムに同行をお願いするわけにはまいりませんわ。そういうことですね?」

エメリアは優しく微笑むと、今度は真紀に振り向いた。


「真紀、あなたは同行できるお友達はいらっしゃるの?もし、いらっしゃるなら、遠慮はいらないわ。んん・・・?」

「いえ。大叔母様。わたしは一人です」


「そうなの?真紀、あなたくらいなら、恋人くらいの人がいてもおかしくないわよ?」


「あ、それだけど・・・。いいんだよ、エメリア・・・」

大田原はやんわりとエメリアに示唆した。


「まぁ・・・、なにかわけありそうね。わかったわ、酷いこときいてごめんなさいね」

「酷いことだなんて、そんなことないわ」

慌てて真紀が答えた。


「さて、今日は、真紀と俊介をセレアムに連れて行くために用意してきたのだけど、本当に二人だけでいいのかしら?トアロ、あなたはお仕事で、どうしてもということを聞いているけど、お変わりないの?」

エメリアは優しく微笑みながら、大田原にもう一度返事を確かめようとした。


「ああ、悪いな、エメリア。わたしは、もう地球人なんだよ。それも、日本という一地域のね・・・。今は、政府の要人になってしまったので、そうそう、10日も私用で仕事を空けるわけにはいかんのだよ。ふふ・・・」

大田原は苦笑いした。


「それは、前にお聞きしたわ。残念だけど、近いうちに、きっとお休みを取るようにしてね。その時には、また迎えに来るわ」


「ああ。エメリア、そうしてくれると、ありがたい」

大田原も微笑んだ。


「さて、エメリア、他のみんなを紹介しよう」

大田原はそう言うと、車にいた人間たちも出てくるように合図した。


さくさく・・・。

二宮は夢でも見るようにして、そこにやってきた。


「エルフィア人たちと同じく、真紀たちの会社のメンバー、ユティスや和人にとっては、先輩の二宮祐樹だ。彼は武道の達人で、ユーモアもあってナイスガイだ」

大田原は二宮をエメリアに紹介した。


ぺこり。

「うっす・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「わははは!」

「うふふふ」

「あははは」

それを聞いた一同は笑い転げた。


「おいおい、初対面のご婦人に、『うっす』はないだろ?」

俊介も呆れ顔になった。


「遥か大宇宙の向こうから来たセレアムの代表だぜ。まったく緊張感も感動もなんにもないな、おまえは・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ご紹介に預かりました二宮と申します。一応、カラテをやっておりますが、まだ茶帯でして、達人なんては、とてもとても・・・。あははは」

二宮はいつもどおり、開けっ広げだった。


「ホント。女性にはすぐノックアウトされるのよ、大叔母様」

真紀が悪戯っぽく言った。


「まぁ!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「なにを言ってるんですか、真紀さん。まだ、イザベルちゃんだけっすよぉ。えへへ」

かりかり・・・。

二宮はスポーツ刈の頭を掻いた。


「アホ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「うふふふ。噂どおりの愉快な方ですね?」

エメリアも思わず笑った。


「えへ。大宇宙でもそんなに有名だなんて、光栄っすよぉ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「どうぞ、よろしくね」

「あは。こちっらこそ、お嬢さん」

「まぁ、お嬢さんだなんて!」


--- ^_^ わっはっは! ---


エメリアは驚きはしたもの、悪い気はしなかった。


「え、違うんですか?」

二ノ宮には、エメリアは30代以上にはとても見えなかった。


「あのね、二宮、一応わたしたち姉弟の大叔母様なのよ。大田原太郎の実の姉よ」

真紀が真実を告げたが、二宮は大田原とエメリアを見比べて、それが信じられなかった。


「うそぉ・・・?」


「うふふ。本当よ、二宮さん。セレアム人は地球人と歳の重ね方が違うようね」

エメリアは地球人的時間が宇宙では違うことを告げようとしたが、二宮についてはまだその時ではないと感じた。


「でも、大田原さんは・・・」


「ええ。二宮さんのおっしゃることはわかります。トアロさんはメイクしてるのですわ」

そこで、ユティスが二宮に真実を告げた。


「メイクって・・・、男なのに?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「地球の恥、いや、天の川銀河の恥だな、こいつは・・・」

俊介がいつもの二宮節が始まったことを真紀にささやいた。


「みたいね・・・」


「いかにも、みなさん、わたしは地球人の歳に見合うようにメイクをしていますが、実のところ、本当の素顔はこの俊介とは兄弟ぐらいにしか違わないと思う・・・。いや、ここでそれを披露しようなどとは思っていない。みなさんのショックが大きいでしょうからな・・・」

大田原はここで素顔を晒すことをやんわりと否定した。


「では、こちらのご立派な方は?」

エメリアはジョーンズたちを振り返った。


「ジョーンズと申します。エルフィア人大使の警護を行なっております」


「まぁ、ボディーガードさんね?」

「イエス、マム」


「では、そちらの方も、同じく・・・」

「イエス、マム。ジョバンニです」

ジョバンニは言葉少なに挨拶した。


「よろしく・・・」

さらにエメリアに警護担当たちの警官が紹介され、エメリアは本題に入ろうとしていた。

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