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256 招待

■招待■




「リッキー、なんで、そんなに、こっちの手の内を明かしたり、秘密情報をぺらぺらしゃべったりするんだ!」

外商部長のマイクは面白くない様子を露にした。


「あんたは、彼女のチェックが、オレたちの頭脳に入ってきていたのがわからないのか?」

「頭脳波チェックだと?」

マイクは驚いた。


「ああ。左端にいたファナメルとかいう女だ。彼女は桁外れに精神波感応力が強い。ウソの一つでも言ってみろ、たちどころにバレてしまう」

「うっ・・・」


「オレは、テレパスだ。だから、よくわかる。とても隠し通すことはできんよ」

「テストされていたのか?」

「もちろん」


「だが、おまえは、エルフィアのコンタクティーになったんだろ?信用されていないのか?」

「それとこれとは別だ。オレが信用されたところで、あんたや国のお偉方の信用まで保証されたわけじゃない。ジェニーは、とっくに察していたぞ・・・」


「ふん、エスパーか・・・」

「あんたこそ、おめでたい人間だな」


「なんだと?」

「エルフィア人は、地球人より何万年も先を行く人間なんだ。あんたの小細工が通るような阿呆だと思ってるのか?」


「しかし、軍事機密事項は、軍事機密事項だぞ!」

「オレが、いつ軍事機密事項をしゃべった?第一、彼らは、そんなことをきいてくるような人間じゃない」


「なぜ、そう言える?」

「まだ、わからないのか?」


「なにがだ?」


「ある原始人のガキが、精度も射程もひどくお粗末な小石のパチンコを超兵器だとして、自慢たらたら、オレたちに情報提供した。そいつの友人は、そいつが部族の秘密をばらしたと、そいつを責めた。装甲車に乗って、防弾チョッキにマシンガンを手にしているオレたちは、それをいちいち気にして、真剣に情報集めをしなければならないと言うのか?」


「くっ・・・。われわれが原始人のガキだと・・・?」

「そうだ。ブレストの当座の関心は、ユティスだ。彼女の回収こそ、第一の目的であり、最大の関心事だ。質問の内容は、それに関するものだった・・・」


「うっ・・・」

「ただ・・・」


「ただ、どうした?」

「いや、なんでもない・・・」




リッキー他、Z国の面々と顔合わせすると、ブレストたちは早速ユティス捜査に取り掛かった。


「シェルダブロウ、ユティスの位置を探れ」

「リーエス」

シェルダブロウが精神を統一してユティスの居所を探った。


「ゾーレ、おまえはSSのウォッチを」

「リーエス」

ゾーレはアンニフィルドとクリステアの思考波を探った。


「ファナメル」

「リーエス」


「おまえは、われわれの周りにシールドを張れ」

「リーエス」

ファナメルはそう言うと、ブレストを中心にエネルギーのシールドで5人を囲んだ。


「ふん、これでよし。こちらの動きをSSどもに悟られることはないだろう」

ブレストはにやりと笑った。


「リュミエラ。おまえは、ユティスのそばにいるSSたちの動きをウォッチしろ。もし、気づかれるようなことになったら、出番だ」

「リーエス」

リュミエラはビジネスライクに無表情で言った。


「ブレスト」

シェルダブロウがささやいた。


「捕らえたか?」

「リーエス。近くにいる。宇都宮和人も一緒だ」

「わたしもSSを捕らえたわ。二人も一緒よ」

ゾーレが頷いた。


「ファッション・ブティックがある街だわ」

「最初に、SSどもをおびき出せ」

ブレストは矢継ぎ早に指示を出した。

「リーエス」


「リュミエラとゾーレ、おまえたちは店で待ち伏せだ。店には、徒歩で入れ。ジャンプは感知される。100メートル以上離れたところにしろ」

「リーエス」


「ファナメル、おまえは、ユティスの思考波にしっかりシールドを張れ」

ブレストは、トルフォの参謀だった。

「リーエス」


「ジャンプの際に、アンデフロル・デュメーラに、こっちの動きを気取られるなよ」

「リーエス」


「ジャンプ完了まで、最長でも5秒。それ以上だと、感づかれる」

「リーエス」




「常務、どうしたんです?」

二宮が目を閉じた俊介を見て、なにごとか起ころうとしているのを感じ取った。


「エルフィア人たちに、緊急事態だ・・・」

俊介はアンニフィルドからの連絡に不安を感じて、事務所の中を見つめていた。


「待て。今、アンニフィルドの説明を聞いている」

二宮は俊介が目を開けるまで待った。


「相当、やばい事態になっているぞ・・・」

「ユティスたちにですか?」

「ああ。一言で言うと、数名のSSがエルフィアを無断で発ったらしい。地球に現れたのは間違いないらしい」


「それのどこがやばいんっすか?お仲間じゃないっすか?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「仲間?アホ。ユティスを奪うつもりだ・・・」

「奪うって・・・?エルフィアがユティスをよこしたんじゃないんですか?」

「まぁ、そうだが、エルフィアも満場一致という訳でもないんだろう・・・」


「反対した連中もいるってことっすか?」

「ああ。そいつらは、ユティスたちをエルフィアに戻し、地球を危険世界として、隔離したがっている。首謀者は、前に和人とやり合った男だ」


「おす。じゃあ、そいつらと、オレらは一戦交えるんですか?」

二宮は腕をまくった。


「早合点するな。相手は、エルフィアきってのSSだぞ。アンニフィルド同等の力を持っているんだ。素手のおまえが、とても敵う相手ではない。それに、事態はもっと複雑だ。警備を大幅に増強しなくてはいかん」


「真紀さんには?」

「オレからする。それから、この事務所も彼らのターゲットになるはずだ。ここの警備も依頼しないとな・・・」




「うーーーむ・・・」

「なんでしょうか、エルド?」

「メンテナンス中に、転送システムをプログラム操作した人間がいるはずだ・・・」

「リーエス」


「あれは、だれもが操作できるようなしろものではない」

「リーエス。確かに」


「つまり、手を引いた人間は、やはり・・・」

「内部にいる、というわけで?」

「そうだ。転送システムに詳しい人間。オペレーション室か、メンテナンス・チームか、はたまた、設計・エンジニア・チームか・・・」


「いずれにせよ、扱える人間は、特定できますわね」

「リーエス。もう一度洗い直してくれ給え」


「エルド・・・」

「どうした?」

「ひょっとして、システムを扱える人間は・・・」


「リーエス。きみの考えてる通りだ。現役とは限らん」

エルドは深く頷いた。


「元関係者も、一切を洗ってくれたまえ」

「リーエス。システム更新時の過去300年分が対象になります」

「うむ。そんなにあるか・・・」




株式会社セレアムでは、国分寺姉弟がやり取りしていた。


「エルフィアからあんな知らせがあったというのに、どうしても行くの?」

「しょうがないだろう。背に腹は変えられん。ビッグ・スポンサーのご招待をすっぽかしでもしてみろ・・・」


「そうよね。せっかく、ご縁ができたんだから・・・」

「縁?」

「そうだとも、縁だよなぁ・・・」

俊介は姉を見てにやりと笑った。


--- ^_^ わっはっは! ---


「こら。会社の縁でしょ?わたし自身は、あくまで保留中なんだから」

「わかってるって」


「もう。勝手にあんな約束なんかして来ないでよ!」

「へいへい。今日は、純粋にビジネスってことだろ?」


「ええ。助かるわ。姉思いのいい弟だこと」


--- ^_^ わっはっは! ---


「じゃあ彼女たちを呼びに行くぜ」

「気をつけてちょうだい・・・。嫌な予感がするの・・・」


「ああ。とにかく、行ってくる」

「了解」




俊介はエルフィア大使館にワゴン車を乗りつけた。


ぴんぽーーーん。


「どなた?」

「オレだ。国分寺俊介」

「いいわ。入って。キーを解除するから」

アンニフィルドの声がして、俊介は門をくぐった。


「よう」

俊介は、玄関でアンニフィルドに軽く挨拶した。


「よう、じゃなくて、アンニフィルド。でしょ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「いいんだよ。地球じゃ、ごく親しい仲の挨拶なんだから」

「それでも、嫌なもんは嫌」


「へいへい。アニーちゃん。ご機嫌麗しゅうございます」

「それも嫌」


--- ^_^ わっはっは! ---


「わかったよ、アンニフィルド。久しぶりに会ったんだから・・・」


ちゅっ。

アンニフィルドは俊介にキスをした。


かぁーーー。

俊介は照れ笑いをした。


「あーーー。そのぉーーー。えへへ・・・」

「実にお久しぶり。昨日の夕方以来だわ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「用件は?」

「みんなをリビングに集めてくれ」

「リーエス」




やがて、和人も含め全員が揃った。


「それがだな・・・。・・・という訳だ」

俊介は今日のスケジュールと、エルフィア人たちへのリスクを説明した。


「リーエス。わかったわ」

「大丈夫よ。あたしたち、二人が、ユティスと和人をがっちり固めているんだから」


「シュンスケ。きみの言いたいことは理解した。わたしは、店の外で待機しよう。ブレストたちが、客のふりをして、外から堂々入ってくると、逆に、一般客と見分けがつかない」

フェリシアスが言った。


「灯台下暗しってわけね」

「灯台?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「パルサーのようなものだよ。短時間に光のパルスを発して、夜の船の航行を安全にするのさ。発光体のすぐ下は、目がくらんで、なにも見えないだろ?」

和人がアンニフィルドに説明した。


「パルサーって、あの超新星爆発の後にできる白色矮星のことでしょ?」

「確かそうだったかなぁ」


「そんなもの受けたら、一瞬で、丸焦げになるんじゃないの?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「例えだよ。例え。近くのものは、意外に気づきにくいってこと」

和人は両手を広げた。

「了解」


「それくらいで、いいか、アンニフィルド?」

フェリシアスは辛抱強く会話が終るのを待っていた。

「リーエス」


「続けるぞ。SSだから、ジャンプして現れるって決めてかかるのは、短絡的過ぎる」

「リーエス。フェリシアスの言う通りですわ」

ユティスは大きく頷いた。


「アンニフィルド・・・」

「なによ、クリステア?」


「リュミエラとファナメル、ゾーレ、シェルダブロウ・・・。どうしても、なにか胸騒ぎがするのよ・・・」


「アンデフロル・デュメーラ?」

「リーエス。SS・クリステア。ご用で?」


「ええ。わたしたちの位置と、周りの不審者、特に、突然現れる人間がいたら、すぐに警告をしてくれる?」

「リーエス。SS・クリステア」


「どうかしまして?」

「念には、念よ」


「ユティス、オレから絶対に離れないでよ」

和人がSSの二人を見つめた。


「リーエス、和人さん・・・」

ぴとぉ。


--- ^_^ わっはっは! ---


ぎゅぅっ。

ユティスはにっこり微笑むと、和人の手を握り愛しそうに見つめた。


「んんっ!」

フェリシアスが咳払いした。


「こらこら、ユティス、文字通りに解釈するんじゃない」

「そうよ、ここで、ラブラブなんかしてちゃ、ダメよ」


「油断禁物。相手はフェリシアス級の使い手だってこと」

「さぁ、行くわよ」

「リーエス」




俊介と真紀は、エルフィア人たちを金座に連れてきていた。


「うわぁ、ここが地球一のファッション街、金座ね」


--- ^_^ わっはっは! ---


アンニフィルドは車の窓越しにファッションの街を眺めて、うきうきしていた。


「気に入ってもらえたかな?」


ぽっ。

アンニフィルドは、少し赤くなりながら、助手席から俊介の方を向いた。


「リーエス。ありがとう俊介・・・」


「これから、スポンサーのお店に行くのよ」

真紀がエルフィア娘たちににっこり微笑んだ。


「シャデルね?」

「そう。このあたりじゃ、ピカ一。とってもセンスあるお店なんだから」


「わたしたちが、モデルになって、宣伝用のクリップを撮ったなんて、信じられないわ」

「夢じゃないよ。現実さ。3人とも、すっごくキレイで可愛いく撮れてた」

「あっ、和人、その言い方。カメラマンの腕がいいからって聞こえるわよ」


--- ^_^ わっはっは! ---


アンニフィルドが、後部座席を振り向きながら、ウィンクをした。


「素直じゃないなぁ。せっかく褒めたのに」

和人は笑顔で答えた。


「もうすぐ着くわよ」

真紀が町並みを確認しながら言った。




ぶろろろろ・・・。

「よぉし、ここだ」


「もう少し奥へ・・・。はい、ストップしてください」


きっ。

俊介は、店の駐車係の指示に従って、車をターンテーブルの上に載せ、サイドブレーキを引いた。


「すっごい・・・。さすが、シャデル。専用駐車場の入口も半端じゃないな」


和人は、車を店の地下に作られた駐車場への案内エレベータに、仰天していた。


「みなさん、車をお降りください」

駐車場係の指示で、一行は車から降りた。すぐ目の前は、シャデルに入るドアだった。


「こちらから、どうぞ」

「ありがとう」

6人はセンスの良い自動ドアの前に立つと、迎えがにっこり微笑んだ。


「お待ちしておりましたわ」

「いえ、こちらこそ、お招きいただいて」


「さぁ、こちらから、どうぞ」

「これ、VIP専用の入口だろ?」

俊介は真紀に確認した。


「そうでしょうけど。わたしだって、来たことないのよ。わからないわ」

一行は店の中に案内された。


「ようこそ、セレアムのみなさま」

シャデルの日本支配人が満面笑顔で出迎えた。


「わたくしが、シャデル日本の支配人を務めさせていただいております黒磯と申します」

黒磯はさっそく真紀を見つけて、喜んだ。


「こんにちは」

「はじめまして」

「おじゃまします」

「ど、どうも」


和人たちはめいめい挨拶をした。


「この度は、急なお願いにもかかわらず、こちらの申し出を、快くお引き受けいただいて、本当に感謝しております」

「いや、たまたま、うちに希望者がいましたもんで」

俊介は女性たちを見た。


「全員希望しましたの」

ユティスが言った。


--- ^_^ わっはっは! ---


「とんでもございません。お会いして、びっくりしたのは、こちらの方です。まさか、こんなにお美しい方たちとは、存じあげませんで、大変失礼をしたのではないかと・・・」


シャデルの日本支配人の黒磯は、気を使っていた。特に真紀に・・・。


--- ^_^ わっはっは! ---

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