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254 偽者

■偽者■




ブレストは間違いなく地球に来ていると確信するやいなや、シェルダブロウに指示を飛ばした。


「シェルダブロウ。Z国大使館のリッキー・Jを呼べ。トルフォからの親書が、届いているはずだ」

「リーエス」

シェルダブロウは、直ぐに、リッキー・Jと精神波でコンタクトを取った。




「リッキー・Jか?」

「そうです。あなたは、エルフィア人、トルフォの使節団・・・?」


「そうだ。われわれは、この惑星の文明を支援すべく、交渉窓口となるべく、代表者を探していたところだった。われらが理事トルフォの親書を、そちらへ届けることができたのは、誠に幸運かつ喜ばしいことだ。われわれは、エルフィアの意思を代表する使節団で、ブレスト以下、5名からなる。至急、そちらに会見願いたいが、準備はよろしいか?」


「結構です」

リッキー・Jは即座に答えた。


「会見場所をイメージ願いたい」

「こちらの位置は、東経・・・」


「いや。あなたは、そこの場所をイメージするだけで、結構。われわれで、そこを探知して、そちら訪問する」


「大丈夫ですか?」

「心配は無用だ。こちらで察知次第、直ちに伺おう」

「了解です」

リッキー・JはZ国大使館の位置や場所の様子をイメージした。


「了解した。すぐにそちらに向かう。協力を感謝する」

「ブレスト。リッキー・Jと会話し、準備を確認しました」

「よし、ご苦労。みんな、行くぞ」

「リーエス」




ブレスト他5人のエルフィア人の周りに白い光がおおい始めた。

ぽわーーーん。


「あわわわ・・・」

公園の男は再び仰天した。


ぶわんっ。

ぱっ。

そして、5人は男の目の前で消えた。


「き、消えた・・・。消えちまった・・・」


ぽかーーーんっ。

「オレは、白中夢でも見てたんだろうか・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---




「エージェント・ユティス。緊急連絡です」

「なんですの、アンデフロル・デュメーラ?」

「そちらのエルフィア大使館に、ほど遠くない位置で、5名の転送を確認しました」


「転送ですって?」

それを耳にしたアンニフィルドが、すぐに聞き返した。


「リーエス。エルフィア人です」

「ブレストよ・・・」

クリステアが、声を低くして言った。


「お気をつけください」

「リーエス。アルダリーム(ありがとう)、アンデフロル・デュメーラ」

「パジューレ(どういたしまして)」


「アンデフロル・デユメーラ、アイツらの動きをウォッチできる?」

「リーエス、SS・クリステア。今のところ、大した動きはありません」


「じゃあ、フェリシアスたちに、連絡をしてくれる」

「リーエス。連絡済です」

「ふふふ。さすがだわね、アンデフロル・デュメーラ」




「いよいよ、お出ましだわ」

クリステアがユティスに言った。

「リーエス」


「ユティス、和人。これからは、今以上に気をつけてね。わたしたちも、細心の注意をするわ。向こうに複数のSSがいるんだから、下手をすれば、命に係わることになるわよ」

アンニフィルドが一切のジョークなしで、真顔で二人を見つめた。


「了解。ユティスとは、絶対に離れないようにするよ」

「そうしてくれる。その方が守り易いから」




「フェリシアス・・・」

「キャムリエル、彼らの位置を確認できるか?」

「リーエス。ここにほど近いところです」

「それでは、ブラジルとか言う、日本から見てこの星の裏側ではない、ということだな?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「リーエス」


「転送は、相当な正確さでしたらしい・・・」

「リーエス」


「と、いうことは、やはり、向こうも和人の地球上の座標データを入手しているな」

「リーエス。コンタクティーの位置は極秘情報ですから、内部のだれか手引きした者がいるということですね?」


「可能性は非常に高い」

「残念です・・・」


「そんなことより、キャムリエル、一分の隙も許されないぞ。彼らは、われわれが来たことを、まだ知らない。それが、われわれの唯一のアドバンテージだ」


「リーエス。慎重にいきましょう」


「緊急連絡です。SS・フェリシアス。SS・キャムリエル。転送された人物を、頭脳波から特定できました」


「やったんだね、アンデフロル・デュメーラ!」

キャムリエルが叫んだ。


「それは、貴重な情報だ。大変助かる。で・・・?」


「お察しのとおり、参事、ブレスト。超A級SS、リュミエラ。A級SS、ゾーレ、及びファナメル。もう一人は、シェルダブロウです」

「エルドの報告通りだな・・・」


「まずいですね・・・」

「中でも、リュミエラは最悪だ・・・」

フェリシアスは眉をひそめた。


「それに、ファナメルは、精神波のスペッシャリストだぞ。それだけなら、超A級レベルの実録を持っている。彼女がいるということは、彼らは、自分たちの気配を消そうとしているに違いない」


「アンデフロル・デュメーラが、いるではありませんか?」


「いや。ファナメルがいるとなると、安心はできん。一度、精神波シールドを張られると、アンデフロル・デュメーラといえども、探知できなくなる。対応できるのは、ユティスだけかも・・・」


「ユティスが、ですか・・・?」

「ああ、そうだ。キャムリエル。きみでは、恐らく太刀打ちできまい」


「そんなに、すごいんですか?」

「A級SSと言っても、力は超A級と遜色ないんだ。自分と同じレベルだと思っていると、出し抜かれるのは、間違いない。油断は禁物だ」


「リーエス。一刻の猶予もないってことですね?」

「そうだ。ぼやぼやしてはいられない」




ぽわーーーん。

Z国大使館の中央の大広間では、異変が起ころうとしてた。


「来るぞ・・・」

空中が白み始めると、中に明るい人影が浮かんできた。


ぱぁーーーっ。

たちまち白い光が部屋を照らし、すうっと消えた。


すくっ。

そこには、見慣れない変った格好の人間が5人立っていた。


(男二人に、女が三人・・・?)


真ん中の男は、リッキーと同等の170センチくらいの引き締まった身体で、短く刈り込んだ黒髪に鋭い眼光だった。もう一人の男は、それより頭一つ分背が高く、これまた引き締まった身体の茶色の髪をやや長めに伸ばしていた。その横の女は茶色のショートヘアで、背丈はリッキーより少し高かった。真ん中の男のすぐ左の女は、すらりと背が高く、見事なブロンドのセミロングだった。そして、一番左の女は、同じく背が高く、引き締まった体つきで、淡い茶色のロングヘアを頭の後ろで縛っていた。


(エルフィア人のエージェントだ・・・。美しい・・・)


ブロンドの女とリッキーは、もろに視線を合わせてしまった。


ぞくっ・・・。

そのブロンドの長身の女に、リッキーはすっかり心を奪われた。


(この女・・・、天女か・・・。この世のものとは、思えない・・・)


女たちはそれぞれに美しかったが、リッキーには、ブロンドの女は特別美しいように思われた。


(あぅ・・・)


リッキーは目を大きく開き、感動に打ち震えていた。


(なんということ!なんと素晴らしい・・・!オレは・・・、オレは、今、エルフィア人と会見しているんだ・・・・)


「・・・」

「・・・」


双方、相手の様子を確認する時間、無言が続いた後、エルフィア人の男が口を開いた。


「きみが、リッキー・Jか?」

「リーエス・・・。わたしが・・・、リッキーだ・・・」

リッキーはゆっくりと答えた。


「エルフィア語?ふっふ。悪くないな。わたしの地球語はわかるかね・・・?」

真ん中の男はそう言うと、二人を見つめた。


「は、はい・・・。しかし、あなたが、お話の言葉は、地球語の一方言でして・・・」

外商部長がそれに答えた。


「一方言?」

「は、はい。われわれは、日本語と呼んでおります」


--- ^_^ わっはっは! ---


「日本語・・・。ほう、なるほど・・・」


にっ。

真ん中の男は、少し口の端をあげて、愉快そうな表情になった。


「わたしは、エルフィア文明促進推進委員会の参事、ブレストだ。地球の文明推進支援のため、コンタクティー・リッキー・Jの正規専任エージェントとして、ここに派遣された」


「ブレスト大使、ようこそ、地球へ・・・。ようこそ、Z国へ・・・」

「うむ。大使か・・・。悪くないな、そう呼ばれるのも」

「いえ、当然です」


「まずは、エルフィアを歓迎いただき、Z国に感謝する」


「それは、それは。勿体無いお言葉。わたしは、Z国大使館商務部長、マイクです」

「リッキーと同じくエージェントのジェニー・Mです」


(なんて美しい女性たちなの・・・。羨ましい限りだわ・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


ジェニーは、エルフィア人女性に釘付けになった。


「そちらの大使は、ここでは格下らしいな?」


ブレストの質問には、マイクが答えた。


「はい。申し訳ありません。ご説明が遅くなりまして。今回いらっしゃっることは、まだ秘密裏に、とリッキーより伺っておりますので、Z国代表としてのお迎えには、最少人数のわれわれ三人だけで・・・。内密の会談もありますゆえ、後の者たちは、この部屋には入らぬよう申し渡しております・・・」


Z国の日本大使館でのトップは、大使ではなく、この外商部長のマイクであり、本国よりエルフィア人トのコンタクトを任されているリッキーであった。


「結構」

ブレストは頷いた。


「そちらの美しい女性の方たちは・・・」

ジェニーが女たちを見つめた。


「わたし以外は、みな、セキュリティ任務に当たるSSたちだ。右端から、シェルダブロウ、彼は男性だがね。その左がゾーレ。わたしの左隣がリュミエラ、その隣はファナメル。以上だ」

紹介されたSSたちは名前を呼ばれると、それぞれ一礼をした。


「半分以上も、女性のセキュリティ担当がいるんで・・・?」

ジェニーは、彼女たちのすらりと長身と、引き締まった身体に、魅了された。


「無論だ。きみもそうらしいが、そらにも女性兵士や女性警官は多数いると思うが・・・?」

「はい・・・」


「男性だけだと、支援先の世界で、警戒されたり、衝突したりと、なにかとうまくいかないんでね。エルフィアでは、半分以上、女性がこの業務に従事している。いや、実際、その方が、何事もうまくいくことが多いんだよ。経験に基づく知恵だな」


「そういうことですか・・・」

ジェニーは納得した。


「いい質問だ。他にあるかね?」

「いえ。ありがとうございます」


(ブロンドは、リュミエラというのか・・・)


リッキーは名前を確認した。


「どうも、ご丁寧に、Z国としては、エルフィアの大使使節への歓迎を心より申しあげます。また、お近づきの記念といたしまして、ささやかながら・・・」


商務部長が、緊張しながら祝辞を述べ、なにかしようとすると、ブレストはそれを遮った。


「お互いの紹介は済んだ。余計な儀式は時間の無駄になるだけだ。われわれは、すぐにでも、しなければならないことが山ほどある。そうではないかね、外商部長?」

ブレストはにやりと笑うと、早速、本題に入った。


「は、はい。確かにそうであります」




「リッキー、きみには告げてると思うが、まず、なにをさておいても、片付けなくてはならないことは、前任のエージェントとSSの回収だ」

ブレストはリッキーに確認を迫った。


「了解しております」

「彼女らの回収には、ぜひ、きみらの協力をいただきたい」

「もちろんです」


「リッキー、きみの他にエスパーは、ここに何人いる?」

「わたしと、ジェニーを入れて、12人です。あいにく、みんな出払っており、ただいま、ここにはだれもおりません」


「ふむ。で、その種類と力は?」

「テレパス、念動力者、透視力者です」


「瞬間移動者は?」

「まだ、いません」


「結構」


「どう、協力しますか?」

リッキーは本題に入った。


「まずは、この大使館への出入りの自由を要求する。正門からではなくとも・・・」


にたっ。


--- ^_^ わっはっは! ---


「仰せの通りに」

エスパーのリッキーは、にやりとした。


「あなた方の部屋も用意しております。ご自由にお使いください」

外商部長が言った。


「結構。Z国への文明支援は、これが完了後に直ちに取り掛かることにする。まずは、先日、リッキーに転送した、われらが委員会最高理事からの親書を渡しておこう」


さっ。

ブレストは、一枚の紙をリッキーに差し出した。


「原紙だ。きみらの元首に届けてくれ給え」

リッキーはそれが本物であることを確認すると、マイクに手渡した。


こくっ。

マイクは頷くと、丁寧にそれを胸にしまった。


「では、次に、ここでのあなた方のお部屋に、ご案内しましょう」

ジェニーは、エルフィア人たちとエレベータで最上階に行くと、いくつかの電子ロックと生体認証の通路を抜けた。


「ここに自由に入れるよう、これをお渡ししておきます」

ちゃらん。


「これは、どうも」

ジェニーは電子キーをブレストに渡した後、さらにスペアを各人に渡そうとした。


ちゃらら・・・。


「いや、彼女たちには不要だ」

「しかし・・・」

ジェニーは困惑した。


「入れなくなりますよ」

「大丈夫だ。本当に必要ないんでね。入りたければ、いつだって入れる。違うかね?」


--- ^_^ わっはっは! ---


ブレストはリュミエラたちに目配せした。


「ふふふ・・・」

SSたちは、可笑しそうに、ジェニーを見た。


「そう、おっしゃるんなら・・・」

「このやたら広いところは?」


「ここの大広間は、これから、あなた方の活動の中心となるお部屋です。ここへは、専用エレベータでないと来れません。さらにこの奥には、皆さま各々の個室を用意しております。各部屋とも、一流の調度を心がけました」

ジェニーの案内で、各人の部屋も、彼らは確認した。


(同時に、入ったら、いつでも監禁できるということだな・・・)


「いや、これはどうして。出入り口が一つとは、大変立派なセキュリティで」

ブレストは皮肉を交えてお世辞を言った。


「お気に召しましたか?」

マイクがブレストの顔色を窺った。


「リーエス。大変結構。大いに気に入りましたよ」


にこっ。

「あは。それは、それは。わたくしどもには、身に余る光栄です」

ブレストが笑うと、マイクたちも笑った。


「これらの部屋がある一帯は、われわれ商務部のエージェント専用区域で、部外者の立ち入りは堅く禁止しております」


「さしあったって、これからのことを相談したいのだが、大広間に行くかね?」

ブレストの言葉に、Z国の三人は頷いた。

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