253 地球
■地球■
「でも、まんざら嘘でもない」
大真面目でフェリシアスは言った。
「フェリシアス。マジにとらないでよ」
クリステアは両手を上に上げて、天を仰いだ。
「少なくとも、この二人は、超A級SSに違いない。エルフィアには、超A級のSSは20人程度しかいない」
「1人、2人、3人・・・、えー、今は、7人だね」
キャムリエルが指を折って数え、正確に答えた。
--- ^_^ わっはっは! ---
「いや、それぞれの任地で、職務をまっとうしているから、もっと少ない」
更に、フェリシアスが訂正した。
「二人ともマジで正確に言わないでよ。超機密事項だわ」
--- ^_^ わっはっは! ---
アンニフィルドが言った。
「それだけ、わたしたちを信用してるってことよぉ・・・」
ぱちん。
クリステアがフェリシアスに色目を使って言った。
「んん!ん!」
--- ^_^ わっはっは! ---
フェリシアスはまたしても咳払いした。
「見てご覧なさい。クリステアは、必ず、フェリシアスを弁護する方に回るから」
アンニフィルドがユティスに耳打ちした。
「アンニフィルド、それもよろしいんでは?」
「はいはい。わかったわよぉ」
「それで、住人は二人増えたわけだろ?」
「リーエス、和人」
「フェリシアスとキャムリエルは、どの部屋に寝泊りすればいいのかな?」
和人が気を回した。
--- ^_^ わっはっは! ---
「決まってるじゃない。フェリシアスは、クリステアの部屋。キャムリエルは、和人と一緒の部屋」
「だめ、だめだ。だめだ!それに、キャムリエルはリザーブだ。ここには泊まらん」
--- ^_^ わっはっは! ---
フェリシアスは、首まで真っ赤になって、すぐに否定した。
「わたしも、あなたたちと同じ部屋になるの?それは、遠慮するわ」
「アンニフィルド!」
「ユティスは?」
「わたくしは、クリステアさえよろしければ、問題ないと思います」
--- ^_^ わっはっは! ---
「ユティス!きみは、なんてことを言うんだ!」
かぁーーー。
フェリシアスは真っ赤になって叫んだ。
「わたしは構わないわ」
「クリステア!」
--- ^_^ わっはっは! ---
「恥ずかしがるから、余計、みんなが、気を使うんじゃない」
アンニフィルドが、にたにたしながら、フェリシアスを見た。
「そうですよ、フェリシアス」
「キャムリエル、おまえまでも!」
「ほれほれ、降参しなさい、フェリシアス」
--- ^_^ わっはっは! ---
「おほん!いい加減、作戦に着いてくれないかね。きみたちのおかげで、貴重な時間を浪費してしまった。さぁ、すぐに作戦に取り掛かってくれ」
「リーエス、ボス」
「リーエス、シェフ」
「はいはい」
「キャムリエル。わかってるだろうが、きみは、われわれSS3人に、もしもの場合があった時のためのリザーブに徹するんだ。打ち合わせの通り、アンデフロル・デュメーラで待機し給え。全員が、地上にいたら、相手に手の内を明かしてしまうことになる」
「リーエス。すぐに待機します」
「うむ」
「アンデフロル・デュメーラ」
「リーエス。SS・キャムリエル。転送準備完了です」
すぐに、アンデフロル・デュメーラが答えた。
「やってくれよ」
「リーエス、SS・キャムリエル」
「アンデフロル・デュメーラ。ボスのお声がかかるまで、例のお酒を、ぼくと一杯してようぜ」
「リーエス。仰せの通り、日本の黒糖焼酎を確保してあります。SS・キャムリー」
--- ^_^ わっはっは! ---
「こら、キャムリー!あたしの分、ちゃんと残しときなさいよ!」
アンニフィルドが叫んだ。
--- ^_^ わっはっは! ---
キャムリエルは、それには答えず、手を振りながら、たちまち白い光に包まれ、空中に消えていった。
ぶわーーん。
「なにを教えてるんだ、不謹慎な!きみたちは、キャムリエルにまで!規則違反だぞ!」
「命の水を飲むことが?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「あなたと違って、あの子は、地球文明への順応性が高いのよ」
アンニフィルドは軽く片付けた。
--- ^_^ わっはっは! ---
「とにかく、こっちの事情を、国分寺姉弟と大田原さんには話しとかないとねぇ・・・」
「リーエス」
「それで、国分寺への連絡は、当然、アンニフィルドと・・・」
クリステアがアンニフィルドを見た。
にやり・・・。
「ええ?わたしがするのぉ?」
アンニフィルドが驚いて言った。
「当然。したいって顔してるのは、だぁれ?」
にこっ。
クリステアが笑って目を細めた。
「やれば、いいんでしょ、やれば!貸してよ、そのスマホ」
「リーエス」
アンニフィルドに頼まれるまま、和人はスマホを手渡した。
「どう使うの?」
「こう」
ぴ、ぽ、ぱ、ぴ、ぷ、ぺ、ぱ、ぴ・・・。
とるるるるーーー。
ぴっ。
アンニフィルドは、ハイパー通信で国分寺俊介を呼び出した。
「お、和人かぁ?」
「違うわ。俊介、わたしよ・・・」
「おお、アンニフィルドかい?和人の借りたんだな?」
「あ、うん・・・」
「嬉しいねぇ。どうしたんだい?珍しい。きみからデートのお誘いなんて」
がくっ。
--- ^_^ わっはっは! ---
「仕事よ。仕事!」
「じゃあ、デートの約束だな。即、OKだぜ。姉貴の入れた予定なんか、全部キャンセルしてやる」
--- ^_^ わっはっは! ---
とんとんとん・・・。
「あのねぇ・・・」
アンニフィルドはテーブルを小突いて、眉を寄せた。
「迎えに行くよ。今晩、何時だい?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「そんなロマンチックなことじゃないの。緊急事態発生よ」
「なぁーんだ。デートじゃないのか?そいつは残念。じゃあな!」
--- ^_^ わっはっは! ---
「バカ!待ちなさいってば!まだ、なんにも伝えてないじゃない!」
「そうっだけ?で、いったい、なんなんだ?」
「これこれ、こうこう・・・。ええ、そういうこと・・・。ええ、そうね。わたしたちは、ユティスと和人の守りを固めるわ。そっちは、大田原と連絡してよ」
「OK。わかったよ。で、何時がいい、迎えに行くの?」
「・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「ん、もう!俊介!」
「あいよ。愛よ。愛してるよ。アンニフィルド」
--- ^_^ わっはっは! ---
「オレって詩人だなぁ・・・。ちゃんと頭韻を踏んでいるだろ?」
「ふざけてないで、ちゃんと聞いてよ!」
「聞いてるよ。それに、オレは、いつだって、ジョークは真面目に言ってるさ」
--- ^_^ わっはっは! ---
俊介は、わざと回りに聞こえるように、話しているようだった。
「だから、そういうの・・・、嫌なの・・・」
アンニフィルドは急に声を低くした。
「アンニ・・・」
「茶化すのは、止めてよ・・・」
俊介は、アンニフィルドが和人のスマホから話してきた時点で、彼女の周りには、クリステアやユティスたちがいるとわかっていた。
「悪かった・・・。ごめん。謝るよ、アンニフィルド・・・」
俊介も声を低くした。
「わかりゃ、いいのよ・・・」
「アンニフィルド・・・?」
「な・・・、なによ・・・?」
「オレのこと・・・、愛してるかい?」
どきっ・・・。
「前にも言ったとおり、オレはきみを愛してるぜ・・・」
「え・・・?バ、バカ。聞こえちゃってるじゃない・・・」
「そりゃ、愛の囁きは聞こえるように言わなきゃ、意味がない・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「ばか。そうじゃなくて、周りにいるのよ。ユティスやクリステアが・・・」
「祝福してもらえよ、ユティスに・・・」
ユティスはエルフィア大教会の司祭の資格を持っていた。
--- ^_^ わっはっは! ---
「こ、こら、ホントに聞こえちゃってるんだからね・・・」
「オレは困らないぜ」
--- ^_^ わっはっは! ---
「わたしが困るの。みんなにからかわれちゃうじゃない」
「よかったぜ。きみもみんなにもちゃんと愛されてるんだな・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「そ、そりゃ、そうよ」
「電話じゃ、なにもしてやれないけど、これで勘弁してくれ」
「な、なによぉ?」
「好きだよ。アンニフィルド・・・。ちゅっ」
「わわわ・・・」
アンニフィルドはユティスたちを振り向いた。
にこ。
にこ。
にこ。
--- ^_^ わっはっは! ---
「くっくっく・・・」
すべては筒抜けで、クリステアたちはアンニフィルドの側で懸命に笑いを堪えていた。
「アンニフィルドがハートを掴まれちゃうわけだ」
和人がユティスにそっと言った。
「そうですわね」
ユティスがアンニフィルドを見た。
「エルフィアには、こんな男いないもの」
クリステアが締め括った。
「と、とにかく、もう用は済んだんだから切るわよ」
「待った!」
「な、なにかまだあるの?」
「デートの約束。忘れるなよ?」
「ええ?」
「ロイ・ルデレールで8時に。エルフィア衣装で最高に決めてくれよ」
「き、切るわよ、もう!」
ぴっ。
くるっ。
「和人、全部聞いてたんでしょ?」
電話を終えたアンニフィルドが、真っ赤になって言った。
「ナナン。積極的に聞いてたわけじゃないよ。聞こえてただけでして・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「スマホって・・・、大嫌い!」
アンニフィルドはスマホを和人に返した。
「人に貸す時は、音量、下げといてよね!」
--- ^_^ わっはっは! ---
「秘密の会話が、できないですって!」
「まぁ!」
「わぉ!」
「音量の調節は自分だってできるじゃないか。ほれ、このボタンを押したら下がるだろ?」
ぴぴぴぴ・・・。
「知らないわよ、そんな原始的な装置」
アンイフィルドがむくれた。
「そんなに原始的なら、エルフィア人のきみになら、操作方法くらいすぐにわかってもいいんじゃいのかい?」
「くっ・・・」
和人はアンニフィルドの虚を着いた。
--- ^_^ わっはっは! ---
「うるさいわねぇ、もう!」
「あっはっは!」
「うふふふ!」
「あははは!」
「どうでもいいけど、あなた俊介に愛してるって言ってもらえたんでしょ?」
クリステアがアンニフィルドを慰めようとした。
「言葉なんかで、満足できないわよ!」
「え?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「まぁ、アンニフィルドったら、俊介さんにもっとなにかして欲しいのですか?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「きゃあ」
「うふふ」
ユティスとクリステアは抱き合って、アンニフィルドを見つめた。
にこにこ・・・。
「うぇーーーん。みんなして、いじめるぅーーー!」
--- ^_^ わっはっは! ---
ぶわんっ。
一方、超非公式で地球を訪問することになったエルフィア人たちは、ユティスたちが現れたところから、ほど遠くないところに実体化した。
「ノンビザで来てしまいましたね?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「わたしは、入国税を払うつもりは毛頭ない」
--- ^_^ わっはっは! ---
総勢5人で、そのうちの一人、ブレストは真面目くさって言った。
「まったく、野蛮世界だな。ここか、テラ(地球)とやらは・・・?」
ブレストは公園の真ん中で他の4人とあたりを見回していた。
「な、なんなんだ?」
公園のベンチで寝そべっていた男は、光とともに、いきなり実体化したエルフィア人たちを認めると、口をあんぐりと開け、体を起こした。
「・・・」
(げ、見つかっちまった!)
--- ^_^ わっはっは! ---
つかつかつか・・・。
「おい、そこの男、ここはテラ(地球)か?」
ブレストは非公式訪問のため、地球語のハイパーラニングは十分受けていなかった。それで、エルフィア語で横柄に言い放ったが、男には、まったくの未知の言語であった。
(くっそう。オレは、英語以外の宇宙語は知らねぇんだ・・・)
--- ^_^ わっはっは! ---
男は、ぼけーっとした表情をしていたが、わからないというように、両手を広げた。
「あーーー、ぜんぜんわからん。外人か?何人かしらないが、英語なら通じるかもな」
男は少ない英語の語彙力を総動員した。
「ハロー。アイ・アム・タナカ・・・。ですけどねぇ」
--- ^_^ わっはっは! ---
「キャニュー・スピーク・エングリッシ?」
--- ^_^ わっはっは! ---
(こいつ、なにを言ってる?)
「痴れ者め!わたしは、ここが、テラ(地球)か、と聞いているんだ!」
「おー、いぇい!」
--- ^_^ わっはっは! ---
「貴様、答えろ!」
ブレストは男が理解していないことに早くも切れかけていた。
「どうしました。ブレスト?」
シェルダブロウがブレストに言った。
「こやつ、わたしの言うことを理解してるいるのか?」
「もちろん。あなたが腹を立てていることくらい、理解していますよ」
--- ^_^ わっはっは! ---
「こいつ、本当に地球人か?」
「リーエス」
ブレストは、エルフィア語で話していたため、男がわかるはずもなかった。
「ははは・・・。なんたっけ、こういう時は・・・。えーと・・・」
男は、日本人以外は、外国人はみな英語を話すものだ、と信じていた。
「ハ、ハ、ハロー。ディス・イズ、えーと、えーと、ニッポンね!」
「ここは、テラ(地球)か?」
今度はシェルダブロウが尋ねた。
「寺が、どこかってか?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「寺は寺だが・・・。おー、イェ!」
「きっさまぁ・・・」
ブレストは男に切れた。
「テラ(地球)かと、きいてるんだ!」
「寺?オー、寺ね、イエス、イエス、寺、あっちにあるね」
男のイエスが、ブレストたちの耳には、リーエスに聞こえた。
「イエーーース。イエス。寺、テラ、テラでぇーーーーす」
「テラ、リーエス。と言っているな?」
ブレストはシェルダブロウに確認した。
--- ^_^ わっはっは! ---
「そうじゃない?」
そこでゾーレが言った。
「わかった」
男が指差した方向は、奇しくも、Z国大使館の方角だった。
「よし。テラ(地球)だ!そうだな?」
ブレストが断定した。
「イエース!」
「リーエス。間違いありません」
シェルダブロウがブレストに頷いた。
--- ^_^ わっはっは! ---