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237/408

237 誤認

■誤認■




クリステア、アンニフィルドのSS二人と、俊介、そしてアンデフロル・デュメーラは、精神波で会話をしていた。


(くっくっく・・・。アンニフィルドの指示よ)

クリステアは笑いを堪えた。


(実に、いいタミングだ)

俊介が言った。


(会話記録中です)

アンデフロル・デュメーラが会話を記録している旨、SSたちに告げた。


(アンニフィルド、いい調子よ)

(あは。絶妙だったでしょう?)


(俊介から、例の件、単刀直入に聞いてくれる)

(リーエス。わかったぜ)


(え?今、シェルダブロウって言ったわよね?)

(リーエス。SS・クリステア)


(尻尾を出し始めたわ)

(続けてよ、俊介)

(リーエス。まかしとけ)




「これは、これは、セレアムの常務さん」

「ごきげんよう。リッキーさん。エルフィア人たちについて、確認したいことが、あるようですな?」


「ええ。エルフィアのエージェントは、ユティスだけなのか?」

「そん訳ないだろ。エルフィア本星には、ゴマンといるさ」


「ここの話しだよ」

「さぁ、どうかね。オレは一人しか知らん」


「われわれは、あくまでも彼女をわが国に招聘しようと思っている。が、他にいるなら、礼を欠くことになるんでね」


「一度断られたんじゃないのか?」

「いや。準備不足のための延期だ。日本政府は断ったわけではないんだ」


「それがお断りってことじゃないのか?」

「いえ。地球の一般的解釈ではノーではありません」


--- ^_^ わっはっは! ---


(まったく、政府の連中、あいまいな回答をしやがったな・・・。こにう答え方をするから、つけこまれるんだぜ、まったく・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


「再確認か?」

「そういうことだ」


「で、招聘とはどういうことだ?」

「あんたも、彼女たちの歌は知ってるだろう。わが国の指導的立場の人間が、ぜひ、生で聞きたがっているんだ。それに、子供たちもね」


「なるほど。だが、彼女たちは行かせないよ」

「そうできるかな?」

「なに?」


ばちばちっ。

二人の会話は静かながら全面対決の様相を呈してきた。


「ふっふ。こっちには、切り札がある。あんたらは、ユティスを失い、われわれは、代わりに得る」

「ユティスをか?」

「ふっふ・・・。それなら、もっといいな」


「どういうことだ?」

「悪い頭で考えるんだな。では・・・。あー、二宮は解放するよ。どうせ、会話もエルフィア人のセキュリティたちが、モニターしてるんだろ?」


「まさか」

「芝居が下手だな。心配するな。催眠や暗示はかけていない。もちろん化学物質も使ってはいない。では」


ぴつ。

リッキーはそこで電話を切った。




「元に戻れ、二宮」

ぱん。

リッキーが両手を合わせて音を出すと、二宮は正気に戻った。


「あ・・・」

「どうも、大変ためになるお話でしたよ、二宮さん」

リッキーは愛想の良い笑いを浮かべた。


「そ、そうっすか・・・。そりゃ、どうも・・・」

「あ、これは、お土産です」

ジェニーが薬草茶のパックを1箱渡した。


「会社の方と、お楽しみください」

「こりゃ、どうも、ありがとうございます」


「わが国とビジネスの計画が出ましたら、ご連絡してくださいよ」

「あ、はい。上に言っておきます」


「じゃ、また。そうそう、スマホをお忘れなく」

リッキーはテーブルのスマホを指差した。


「あ、どうも。じゃ、失礼します。おす」


--- ^_^ わっはっは! ---


二宮は両手で十字を切った。




(終ったわよ、アンデフロル・デュメーラ)

(リーエス、SS・クリステア。直ちに、エルフィアに記録を送ります)


(分析にかけるよう、エルドに言ってね)

(リーエス)




(さて、ジョバンニ。わたしたちも、デートする?)

(デートですか、マム?)

(リーエス。二宮のお守りだけど、あっちがカップルなのに、こっちは別々じゃ、やりにくいし、変だし、第一、味気ないでしょ?)


(リッキーのウォッチは?)

(彼女に頼むわ・・・。アンデフロル・デュメーラ?)


(リーエス。ウォッチの継続をします)

(頼むわよ)

ぱち。

クリステアはジョバンニに片目をつむった。


(ということ・・・)

(イエス・マム。お望み通りにします)


(よしよし。いい子ね)


(ちょっと、クリステア。まじめにやってよね)

アンニフィルドが会話に入ってきた。


(あーら、硬いこと言わないでよ。二宮のデート覗くほど、野暮じゃないわ。アンニフィルド、あなたも俊介とよろしくね。こっちは、野外で半日以上重労働してんだから、ここいらで、一息いれることにするわ)


(はいはい。どうぞ、ご堪能くださいだわ。あーーーん、俊介、わたしもデートしたい!)


--- ^_^ わっはっは! ---




そわそわそわ・・・。

二宮は、5時半から、イザベルを待っていた。


たったったった・・・。

はぁ、はぁ・・・。


「待ちました、二宮さん?」

「おす。いいや。ぜーんぜん、オレも、今、来たところだから」


「それ、すっごく待っていたって、ことですよね?」

にこっ。


--- ^_^ わっはっは! ---


「おす。時間通りですよ」

時計は6時5分だった。


「うふ。許容範囲でしたら、嬉しいです。お久しぶりです。先輩」

「イザベルちゃん、先輩はないだろ、先輩は?ここは、会社じゃないんだから」


「だったら、『おす』も止めてください。ここは、道場じゃないんですから」


「あははは」

「うふふふ」


「もう、着替えたんだ?」

「当ったり前です。あんな格好で、街中は歩けません」


--- ^_^ わっはっは! ---


「なんで?オレは歓迎だなぁ・・・。でへへ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「二宮さんは、わたしがみんなの視線で集中砲火になっても、構わないんですか?」

「それは、困る・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


にこっ。

「うふ。これから、どうします?」

「この時間じゃ、まず、夕飯かなぁ?」

「はい。お腹が空きました」


「おっし。なにを食べようか?」

「チョウザメのキャビアに、トリュフォに、からすみに、冬虫夏草、海燕の巣のスープ、くさやに、ドリアン。お飲み物は、ロイ・ルデレールのクリステア」


「はぁ・・・?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ってのは、無理だと思いますんで、その辺の居酒屋に行きませんか?」

「OK。OK。それなら、まかしといて」




「どうします、マム?」

ジョバンニはクリステアを振り返った。


「行くに決まってるじゃない」

「居酒屋って言ってましたよ、マム」


「なんか、地球の珍味を食べに行くのかしら?」


「当たりませんかね?」

「ナナン。ない。ない。あなたを見れば、ばい菌も、ウィルスも、寄生虫も、みんな、たちどころに、逃げ出すわ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「お褒めいただき、ありがとうございます、マム」

「あ、わかった?あなた、日本食、食べたことある?」

「イエス、マム。納豆と、くさや、でしたら」


--- ^_^ わっはっは! ---


「くさや・・・?なにそれ?おいいしいの?」

「味は保証します。一度食べれば、忘れませんよ」

「じゃ、今度ね」


--- ^_^ わっはっは! ---




がらーーー。

「へい、らっしゃい。2名様、ご案内」


「らっしゃーーーい」

二宮とイザベルは、中央の席に着いた。そこは、目の前で、注文の品を、その場で料理してくれるのが見れるところだった。


じゅわっ!

じゅ、じゅーーーっ!


「うぁ・・・。目の前で、焼くんですね」

「そうだよ。面白いかい?」


「ええ。ここを選んで、正解ですね?」

「そりゃそうさ。君が選んだ男もね」


--- ^_^ わっはっは! ---


「うふふ。なんでしょう?」

「おす。そういうことです」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ま、いいから、なににする?」

「じゃあ、二宮さんに、お任せします」

「そうこなくっちゃなぁ」


どーーーん。

「オレはイザベルちゃんで、イザベルちゃんはオレ」


「え?」

「・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「・・・」


「あはは。冗談っすよぉ・・・」

「あはは。はい」

二宮はシーフードの塩焼きを、いくつかオーダーした。




「へーい。2名様、ご案内」


さっ。

ぱっ。

ささっ。


クリステアとジョバンニが居酒屋に入ると、一斉に、店員と客が振り向いた。


「でっけぇ・・・」

「だれだ、あの外人・・・?」

「女の方は、すっげぇ、美人じゃん・・・」

「ガールフレンドじゃない?」


「あ、知ってるぞ、オレ。格闘競技のさ・・・。なんだっけ・・・」

「明日の晩にある異種格闘女性トーナメント、レジーナ?」


「そうそう」

「違うよ。思い出した。ラトアニアのクリス・ジニンスカヤ・・・」


「ウソ?」

「いや、そうに違いない。隣は、恐らく護衛だ」




「注目を浴びてるようです、マム」

「のようね・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---




がらっ。

「おや、もしやと思ってつけてたら、やっぱり、クリスじゃないか?」


つかつか・・・。

「クリス、なぜ、すぐ電話をよこさなかった?」

一人の外国人がドアを開けて、ジョバンニとクリステアに近づいてきた。


「だれよ、こいつ?」

「データベースにありません」

「知らないってことね?」

クリステアは両手を広げて、肩をすくめた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「あんたたち、ラトアニア人だろ?」

外国人の男が怪訝そうに言った。


「はぁ?」

「なに言ってるのかしら?」

「だれかと間違えてるようです、マム」


「とにかく、クリス、きみを探してたんだぞ。予定時刻になっても連絡は来ないし、こっちの身にもなってくれよ。今晩は試合の前夜祭だろ?そろそろ、出かける準備しなくていいのか?」


「だれ、あなた?」

クリステアは男に静かに言った。


「なに、言ってるんだ?日本での試合に備えて、こっちできみの世話をすることになった、セコンドのセルジだよ」

「セルジ・・・?聞いてないわね」


セルジは憤懣やるかたないといった表情で、両手を打った。

ばんっ。


「頼むぜ・・・。だから、言ったんだ、オレの顔写真くらい、先に紹介してくれって」


「なんのことですかねぇ、マム?」


くすっ。

「格闘技の試合だって。面白そうじゃない・・・。乗ってみる?」

クリステアはジョバンニを振り返った。


「マム。よけいな考えは、持たない方が・・・」


「対戦相手は?」

「トーナメント表では、最初の対戦相手は、Z国、ジェニー・Mだ」


はっ。

「マム・・・」

二人は見合った。


「ふっふ。これは、本当に、面白いことになりそうよ」

「オレは、お勧めしませんが・・・」


「セルジ、説明してくれない?その試合とか、前夜祭とか・・・」

「だから、きみは晩餐会に・・・」

「ダメです、マム」


「気が変ったわ。いいでしょ?ね、ジョバンニ?」

にこっ。


「仕方ありません。イエス・マム」

「いい子だこと」

ちゅ。

クリステアは、ジョバンニの頬にキッスした。


3人は店を出た。




「あれ、あの外国人女、クリステアに似てるような気がするけど・・・」

二宮は、彼女の隣にいるサングラスをかけた大柄なダークスーツの男に、肩をすくめた。


「男連れか・・・。じゃ、違うな」


--- ^_^ わっはっは! ---


「二宮さん、お知り合いなの?」

「いや、人違い。うちに入った新人でさぁ、システム部にクリステアって娘がいるんだけど、彼女かと思ったんだ」


「ユティスさんのお友達?」

「そ、そう。格闘技は抜群らしんだが、やってるとこ見たことないし」


「そなことないです。わたしはコテンパンにされました」

「ええ、イザベルちゃんを?」


「はい。後、アンニフィルドさんも。お二人プロのSSなんですって」

「そう言ってたよな。そう言えば・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「でも、とっても美人・・・」

「なに言ってんだよ。イザベルちゃんの方が、キレイで、可愛いに決まってる」

きっぱり。


「え?」


でれーーー。


--- ^_^ わっはっは! ---


「そんなことよりさ、なんか頼もうよ、イザベルちゃん」

「おす。そうですね」


「あ、おす、言った!」

「うふふ。二宮さんのマネです」


--- ^_^ わっはっは! ---




(アンデフロル・デュメーラ?)

(リーエス、SS・クリステア。ご用ですか?)


(リーエス。ちょっと寄り道することにしたわ。二宮たちのウォッチを継続してくれる?)

(リーエス)




「セルジ、異種格闘技トーナメントってなに?」

「クリス、まじで言ってるのかい?」


「そう。まじ。でも、面白そうだわね」

「きみがユーモアの持ち主ってことは知ってるけど、この期に及んで、とぼけるのは勘弁してくれよ。試合は明日の晩。2時間後には前夜祭なんだぜ?」


「わかったわ。もっと、聞かせてよ?」

「いいけど・・・」


るるるーーー。

「あ、ちょっと待ってくれ、クリス・・・」

セルジは携帯電話を取り出した。




「もしもし、セルジです。あー、それでしたら、本人と、今、会ってますよ」

「本人?どういうことだ?」


「だから、クリスとボディーガードと、会ってるところだって、言ったんですよ」


「そんな、ばかな。クリスは、成田空港の医務室で足止めだ」

「ええ、成田?そんなバカなぁ・・・」


「そっちこそ、ボケてんじゃねぇのか?」

「そんなわけ・・・」


「とにかく、クリスは成田にいる!」

「にしても、彼女が医務室ってのは、どういうことで・・・?試合は明晩ですよ。大丈夫なんですか?」


「左の手首をくじいたんだ。あれほど言っておいたのに、階段で足を踏み外し、左手をついた瞬間にやったらしい」


「まさか、戦えないだなんて言わないでしょうね?」

「ああ。お察しの通りだよ」

「ジョークは勘弁してください」


「冗談なんかで、これが言えるか。とりあえず、東京には予定通り来させようと思う。だが、このままじゃ、試合には出られん」


「ホテルへの到着は?」

「これからホテル直行のリムジンに乗るとか言ってたから、早くて1時間後だな」


「ホテルはベネチアン・ベルメール東京ですか?」

「そうだ。じゃ、クリスの世話は頼むぞ」


「待ってくださいよ。じゃ、ここにいる二人は?」

「知るか。別人じゃないのか?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「でも、確かに本人ですよ・・・」

「そんなことはない。クリスは成田だ」


「ええ?」

セルジは、クリステアを見た。


「どう見ても、クリスだぞ・・・」

「どうかしたか、セルジ?」


「ちょっと待て、確かめる」

セルジはクリステアをまじまじと見つめた。


「きみは・・・、そのぉ、クリスなのか・・・?」

「ええ。クリスは、クリスだけど?」


--- ^_^ わっはっは! ---




「おい、やっぱり、ここにいるのはクリスじゃないか。顔、形、背格好、どれをとってみても、クリスだ!」


「セルジ、フルネームえお聞いてみろ。クリスはクリスチナだぞ」

「わかった・・・」

セルジはクリステアを見つめた。


「きみの名前はクリスだけど・・・」

「でも、ちゃんと最後まで言ってよね、クリステアって」

「クリステア・・・?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「おい、セルジ?」

「あ、はい。どうなんだ・・・」


「クリスはクリスでも、クリステア・・・だそうです」

「クリステア?そんなの知るもんか。本名はクリスチナだ」

ぷち。


--- ^_^ わっはっは! ---

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