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235 親書

■親書■




二宮は俊介より、必ずイザベルをリクルートするよう特命を帯びていた。


「イザベルちゃん・・・」

「はい・・・」


「うちに来る気ある?」

「セレアムですか、それとも、二宮さんのお部屋ですか?」


どっきんっ。


--- ^_^ わっはっは! ---


「え?」

「うふ。冗談ですよ」


「なんだ・・・。じゃ、とりあえず会社に来てくれないっすか・・・」


「来て欲しいんですか?」

「来たくないんっすかぁ?」


「来て欲しいわけがあるんっすか?」

「わけがあれば、来てくれるんすか?」


「わけがなければ、来なくていいんですか?」

「来たくない理由があるんすか?」


「理由がなければ、来ることになるんですか?」

「来ることになってれば、来てくれるんすか?」


「来ることになってれば・・・・」

「なってれば・・・?」


「行かなくちゃいけませんか?」

「行かなくちゃならないのに、行かないんすか?」


「行かなくちゃならないんだったら・・・」

「だったら・・・?」


「あははは。負けました。やっぱり、二宮さんは、営業なんですね。どんどん、追い込まれちゃって・・・、もう、答えられなくなっちゃった・・・」


「わはは。来てよ、セレアムに・・・。オレ、イザベルちゃんに会えないのは、辛いっすよ・・・」

「・・・」


とん。

「ごちそうさま・・・」


がくっ。

「あ・・・。うん・・・」


すぅ・・・。

「今日は、お会いできて良かったです。先輩!」


にこっ。

「先輩?」

「入社前に、そう呼んじゃ、いけないんですか?」


どき。

「あ、いや・・・」

「今度、お会いできるなら、もう少し、ロマンチックなところがいいですね・・・」


「そ、そうっすね・・・」

「ここじゃ・・・、キッスどころか、手も握れません。あは・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「キッス・・・?」


ぱちっ。

「二宮さんのエッチ」

イザベルは小声で言うと、片目をつむった。


「C05ブースのアンケート、絶対に書いてくださいね。ドリンク無料特別券をお渡ししますよ」

にこっ。


「ドリンク無料特別券?」

「そう。先輩にだけの特別券です。じゃ・・・」

イザベルは去っていった。


(ただの無料券じゃなくて、特別券・・・。行くぞ。書くぞ。イザベルちゃんの口移しサービスだったりして・・・。てへへ・・・)

にたにた。


--- ^_^ わっはっは! ---




(やれやれ、どこまで能天気なのかしら・・・。仕事に戻りなさい、二宮!)


びく・・・。

(また、クリステアの声がしたような・・・?)


(なんて、鈍いヤツ。わたしが、これだけ言ってるのに、ぜんぜん気づきやしない)

(聞こえたくないものは、聞こえない。一つの才能ですね)


--- ^_^ わっはっは! ---


(リーエス、アンデフロル・デュメーラ。あいつは最強だわ・・・)




「リッキー・J。わたしは、エルフィア文明促進推進委員会の参事ブレストのSS、シェルダブロウ。わたしは、われらが、エルフィア文明促進支援委員会の最高理事エルドからの親書を携えている。用意はいいか?」


「ああ。もう、精神ガードはかけてない。いつでも、お好きなように」


「では。伝える。エルフィアは、地球に対する文明促進支援プログラムを見直し、改めて再開始をする。それに基づき、近日中に、新しいエージェントが、おまえのもとに派遣される。委員会参事のブレスト、その人だ。任務の補佐として、わたしを含め、4人のSSが同行する」


「なんと・・・」

それはリッキーにとってショッキングな内容だった。


「前エージェント、ユティス、並びに、SS二人は、本日付で、本プロジェクトから解任された。本人たちには、まだ、知らされていない。コンタクティー、宇都宮和人は、エルフィアとの接触に関するすべての記憶を抹消される。エージェント・ユティスは、現エージェント、ブレストの到着次第、エルフィアに送還する。われらは、彼女を、安全かつ早期に、エルフィアに送還する責任も負っている。彼女の送還については、おまえたちの協力を強く希望する」


「マジかよ・・・」


「一方、エルフィアは、Z国を正式に地球代表として認め、これを支援するものである。ついては、地球人Z国、リッキー・Jを正規コンタクティーに指名し、エルフィアからの親書を託したい。おまえを通じて、おまえの国の元首へ渡すよう、また、継続してわれわれとのコンタクトを取り続けるよう要請する。以上、最高理事エルドより、親書の内容について述べた。なお、親書については、お前の頭脳にイメージを送った」


「う・・・」

リッキーはその瞬間頭の中で文書が広がっているのを認めた。


「こ、これか・・・?」

「そうだ。すべて地球語で書いてある。読めるか?」

「ああ、読める・・・。だが、これは、日本語ではないか?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「日本語?宇都宮和人の話す言語が、地球標準語ではないのか?」

「わははは・・。あんたらの情報も大したことないな」


「そうなのか。まぁ、よい。それが理解できるか?」

「ああ。オレには、よくわかる」


「それを、元首へ渡すんだ」

「だが、どうやって?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「そのまま、頭脳波に乗せて、元首に転送するがいい」

「彼は、エスパーではないぞ・・・」


「頭脳の活性化が遅れているというわけか?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「なんだ、それは?」

「まぁ、いい。それなら、われわれが、地球に現われた時に、対応しよう」


「質問がある。どのくらいだ?」

「数日だ」


「しかし、それでは、準備の時間もなにもないぞ」

「その心配は無用だ。われらが、行くところは、おまえの国ではない」


「では、どこに?」

「日本だ」


「日本?なぜ、Z国ではない?」

「まず、前任エージェント、ユティスのエルフィア送還をする。それに、コンタクティーに会う。コンタクティーは、リッキー・J、おまえだ。おまえは、今、どこにいるというのだ?」


「ふっふ・・・。そういうことか・・・。いいだろう」

「では、また、追って連絡を入れる」

「わかった」


しゅん。

その瞬間、リッキーの頭からその人物は消えた。





(通信終了です)

(なにか、わかった?)


(リッキー・Jだけの会話では、不十分ですが、近いうちに、エルフィア側で、なにかを伝える様子です。それには、準備が必要と答えています)


(近いうち・・・。いつなのかしら?)

(会話からは、不明です)


(Z国とエルフィアの名前が出ましたね。エルフィアの情報も大したことないと・・・)

(やったわね、アンデフロル・デュメーラ。その一言は決定的だわ)

(それに、日本と)


(日本って、ここよね?)

(リーエス)


(どういうことかしら?)

(ここで、なにかあることだと思います。彼に、文書を送るとも)


(彼?だれかしら?)

(文書というのも、よくわかりません)


(請求書かしら?)


--- ^_^ わっはっは! ---




「早速、イザベルちゃんのところに行くかな。C05ブースってどこかな?」


ぱさっ。

二宮は、休憩コーナーで、椅子に座って会場案内図を広げ、C05ブースを坂し始めた。


「うーん。どうやら、ここからはちょっと離れてるな。ここはEブースの近くだぞ」


二宮は案内図と広大な展示場の天井から吊り下げられている巨大カードとを見比べながら、大体の見当を付けて、歩き始めた。


きょろきょろ・・・。

「よし、あっちだ」



(こいつ、二宮とかいう男だな。宇都宮和人の同僚ということは・・・、こいつをマークしてみるか。ユティスとかいうエルフィア人にたどり着けるだろう)

リッキーはそっと二宮の後を追った。


(それにしても解せん。なんで、そのユティスが、突然、エージェントを更迭されたのだろう・・・?)

リッキーは、今一つシェルダブロウと名乗るエルフィア人の言葉に、合点がいかなかった。


(ふむ。理由はともあれ、エルフィアの正規コンタクティーとして、オレが選ばれた)


にたり。

リッキーは悪い気はしなかった。


(ん?二宮のやつ、どこに行く気だ?)


すたすたすた・・・。

二宮は、目玉のはずの国際的な大会社の各ブースを、まったく見向きもしないで、通り越して行った。


(見失わないようにしないと・・・。ええい。こう人ごみだと、ターゲットの頭脳波が、捕らえきれない。完全に埋もれてしまう・・・)


リッキーは、跡を目視に変え、二宮の足を見つめながら、後に続いた。



(ちょっと、二宮、Z国のブースはどうするのよぉ?)


びく・・・。

(どうも、だれかに見張られている気がする・・・)


(わたしよ、わたし。仕事を先に片付けるんでしょ、先に!)




「ここだ」

二宮は目的のC05ブースを探し当てて、イザベルを探した。


(そこそこの規模のブースだな・・・。しかし、ここは・・・)

リッキーはブースの会社名を見て、首をかしげた。


(二宮の勤めるセレアムというのは、IT会社だ。ここは、ドリンク剤とか、健康食品とかだぞ。いったい、なんの関係があるんだ?)


なおも、リッキーが、二宮を見ていると、二宮は、先程の若いコンパニオンの娘のところに移動した。


すたすた。

「あ、イザベルちゃん・・・」

にっこり。


「まぁ、二宮さん、来てくれたんですね?」

「うーーーす」


「あは。名刺を一枚ください。それとアンケート」

「わかってますって」


ささっ。

二宮はイザベルからアンケートと鉛筆を受け取った。


(こいつ・・・、女が目当てか・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


「えー、なになに・・・。ダイエットに興味がありますか・・・、てか?」


すらすらすら・・・。

二宮はアンケートに回答を始めた。


「お通じは、毎日ありますかっと・・・?うん。毎日、どっさりってな。わはは」


--- ^_^ わっはっは! ---




(SS・クリステア、リッキー・Jに話しかけようとする男性がいます)

(Z国の人間みたいね)

(リーエス)


(記録しておいて、アンデフロル・デュメーラ)

(リーエス)




ぽん。

「リッキー!」

その時、リッキーは肩を叩かれ、その主を振り返った。


「部長・・・」

「なかなか戻ってこないんで、心配したぞ。ここで、なにをしてる?」


「しっ・・・」

リッキーは指を口にやって、商務部長を制した。


「どうした・・・?」

「宇都宮和人の会社同僚の二宮って男だ。偶然見つけたんで、ちょっとマークを」


「あいつか?」

「ああ。確かめたいことがあって・・・」


「例の情報か?」

「そんなところだ。ターゲット確保というわれわれの計画は、大幅に変更する必要があるかもしれん。だから、様子を探りを入れないとな・・・」


「それは、聞き捨てならないぞ。なにか、あったのか?」

「ふっふ。後で詳しく話しをするが、ターゲットは、その任務を解かれたらしい・・・」


「なに・・・?」

商務部長はそこに立ちすくんだ。


「本当か・・・?」

「ええ。恐らく。オレに親書を託しています」


「なぜ、おまえが・・・?」

「オレが、新たに地球代表になったんですよ、部長」


「そう伝えられたのか・・・?」

「そういうことだ」


「しかし、いったいどういうわけで?」

「さぁ・・・。詳細は、聞かされてない。どうやら、内輪もめでもあったらしい・・・」


「信用できる情報なのか?」

「連絡は、テレパスからあった。だれかれもが、そんな芸当ができると思えんが・・・」


「なるほど。他になにかを伝えられたのか?」

「重要なことをな。数日以内に、新任エージェントとセキュリティ・サポートが現われるらしい」


「場所は、ここか?」

「今は、わからない。次の連絡があるはずだ」


「本国へ報告が必要だ」

「無論だ」


「その親書とやらは?」

「オレの頭脳の中だ。出力するのは、ほぼ不可能だ」


「どうするつもりだ?」

「彼らがやってくれる」


「ここに来る時にか?」

「ああ。腰を抜かすなよ」




(ほら、アンデフロル・デュメーラ。リッキーに上司が話しかけるわ)

(リーエス。SS・クリステア)


(ターゲット確保?親書?なんのことかしら?)

(記録します)


(え?ターゲットが任務を解かれた、とか言ってるじゃない?だれのこと?)

(そうですね。こちらでは、内輪もめとか、そのような事実はありません)


(エルフィアのことを言ってるんだとしたら、少しわからないわね)

(リーエス。数日後に誰かを迎える様子です)


(リーエス。VIPかしら?)

(記録します)


(リッキーが、代表になったって?なんなのかしら?)

(不明ですが、話の筋からいくと、リッキー・Jのことのようです)


(テレパスからの連絡だわ。親書は、リッキーの頭の中ね)

(リーエス)


(ちょっと待って、アンデフロル・デュメーラ。二宮のウォッチをジョバンニに任せるわ。わたしたちは、リッキーに集中よ)

(リーエス)

クリステアはジョバンニを呼んだ。



(ジョバンニ、いるの?)

(イエス、マム)

クリステアの呼びかけに、合衆国SSのジョバンニは、すぐさま応答した。


(どこ?)

(ご指示の通り、二宮祐樹の右斜め後ろ、20フィートです)

ジョバンニはダークスーツに身を固め、周りより優に頭一つ分抜き出ていた。


(リーエス。確認したわ。悪いけど、ちょっと見ててくれないかしら?)

(イエス、マム)


(なにかあったら、すぐ報告よ)

(イエス、マム)




がやがやがや・・・。

「で、さぁ。イザベルちゃん・・・」

「はい、わかっています」


イザベルは二宮からアンケートを受け取ると、缶コーヒーとドリンク無料券を渡した。


「どうも、ありがとうございます」

にこっ。


さっさっ・・・。

イザベルは、その場を離れて、また別の来場者に話しかけた。


「当ブースでは、アンケートにお答えいただいた方には、もれなく、ドリンク無料券をお渡ししています。アンケートのご協力をいただけますか?」

イザベルが少しだけ膝を折ると、女性らしい体の線がさらに協調され、男性はイゼベルの腰のラインに釘付けになった。


どっきん。

「あ、はい・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


話しかけられた男性は、イザベルのセクシーなコスチュームを目にして、あわてまくった。


むっかぁ・・・。

「イ、ザベルちゃん・・・」

二宮は、それにむかついたが、イザベルは、もう、二宮に構わなかった。


ざわざわ・・・。

「ちぇ。いくら仕事だっていったってさぁ、その格好はないだろ・・・。オレという彼氏が・・・、いや、まだ彼氏じゃないか・・・。準彼氏がいるというのにさぁ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「とにかく、オレという男がいながらだぜぇ・・・」


ぶつぶつぶつ・・・。

二宮は仕方なく渡されたドリンク無料券を見た、


「6時に終ります。待ってて!」


そして、その下にはハートマークとXマークが3つと、連絡用の携帯番号が、小さく書かれていた。


「Xマーク三つ・・・。ダメってことかなぁ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「いや、待てよ。さっきの流れからいくと、もっと楽しいことだそ。トリプルエックスかぁ・・・・。うーーーん?ひょっとして・・・、18歳以上成人向けってことかぁ・・・。えへへへ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「後、1時間か・・・。これは楽しみだ。やったぁ・・・」


にこにこ・・・。

二宮は嬉しさがこみ上げてくるのを、抑えられなかった。

でれーーー。


--- ^_^ わっはっは! ---

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