表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
231/408

231 対策

■対策■




クリステアの提案を聞いて、俊介は二宮を呼んだ。


「おい、二宮。明日の午後、すべて予定をキャンセルできるか?」

「夜もですか?」

ぴきっ。


--- ^_^ わっはっは! ---


「おまえの夜のスケジュールを埋めてくれる女がいるのか、アホ!」


しゅん。

「イザベルちゃんとのデートが・・・」


「わーーーった。情けない声を出すな。そんなには、かからん。6時までだ」

「OKっすが、ラブリー・エンタープライズの件、午前中に客先へ用件を確認しに行っときたいんっすけど・・・」


「ラブリーの件なぁ・・・」


にまぁ・・・。

「常務、行きたいんでしょう?」

「バ、バカ言え!」


「一人じゃ、無理っすよぉ。マーケティング・エンジニアが要ります」

「今、出せそうなのは、石橋くらいしか、おらんが・・・。あいつは、A社の件で忙しそうだからなぁ・・・。うーーーむ・・・」


「というより、石橋に頼むと、真紀さんがうるさく言いませんか?」

「萌えと言った途端、平手打ちが飛んで来ること間違いないな・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「誰かいないんすっかぁ・・・?」

「うーーーむ。弱った・・・。なんで、ウチには女性エンジニアしかおらんのだ?」


つかつか・・・。

「こら、俊介!今、女をバカにしたでしょ?」

それを目ざとく聞きつけた、アンニフィルドが二人のそばにやって来た。


「そんなことしてないぞぉ」

「どうして、女じゃダメなのよ?たかだか、マーケティング・エンジニアぐらいでさ」


「待てよ、アンニフィルド。きみが頭を突っ込んでくると、ロクなことにならん」

「まぁ!言ったわね!」


「じゃ、きみが二宮と行ってくるか、ラブリーに?」


にたにた・・・。

俊介が意味ありげに笑った。


「アンニフィルド、ホント?」

二宮も俊介に倣った。

にたぁ・・・。


--- ^_^ わっはっは! ---


ぞくっ・・・。

「なによ、二人して、そのいやらしい目つきは?」


「なぁーーーんも」

「アンニフィルド、明日の午前、時間空いてる?」


「わたしを行かせる気、俊介?」

「地球文明の調査には、もってこいの機会だぜ」


「だったら、ユティスが適任じゃない?」

「ユティスは、ダメ、ダメ。和人に殺される」

二宮が慌てて否定した。


「どうしてよ?」

「ユティスはエンジニアじゃない」

「あ、そう・・・」


「行ってくれるの?」

「ま、仕事と割り切れば、なんてことないさ。向こうだって女性スタッフを何人も抱えてるんだし・・・」

俊介が二宮の肩を持った。


「わかったわよ。いやらしいことしたら、ぶっ殺すからね、二宮!」

「しませんってば」


「じゃ、ラブリーの件、午後までに終らせるように」

ぱち。

俊介は二宮にウィンクした。


「うーーーす」


「明日の件、姉貴はオレが説得する」

「じゃ、結構です。で、午後はどこに?」

「国際展示場の見本市に行って欲しいんだ」


「国際展示場っすか?」

「ああ。ラブリーから直接行っていいぞ。そこで、Z国通商部を視察して欲しい。それ以外は自由に回ってしていい」


「なにをするんですか、Z国のブースで?」

「実は、エルフィアからの依頼だ」


にたーーー。

「ふーん。アンニフィルドっすか・・・?」

二宮の反撃が始まった。


--- ^_^ わっはっは! ---


「どうでもいい、そんなこと!」

「怪しいっすねぇーーー」


「うるさい。ユティスを狙おうとしている輩が、エルフィアとコンタクトしている節があるんだよ」

「ふむふむ。理由は、なんでっすか?」


「ユティスたちとは別の、エルフィア内部の地球支援反対派の企みらしいんだ」


「それで?」

「そいつらが、Z国とコンタクトしている証拠を掴みたい」


「なんで、アンニフィルドたちがしないんですか?」

「彼女たちが、正面切ったら、聞き出せないだろ?」


「それは、オレも同じじゃないっすか。既に、ヤツらは、オレがセレアムの人間で、和人の先輩で、ユティスの友人で、イザベルちゃんの恋人だってことくらい知ってますよ」


「イザベルについては、訂正が必要だな」


--- ^_^ わっはっは! ---


「いや、そうなれればいいなぁーーーっ、ていうお友達で・・・」

「うむ。それでだ。事情を知ってて、しかも、和人やユティスたちではない」


「なんで、それが重要なんで?」

「知らん。とにかく、頼んだぞ」


「うーっす。常務の点数稼ぎ、行ってきまぁーーーす」


--- ^_^ わっはっは! ---


がたっ。

二宮は自分の席に戻ろうとした。


「待て、二宮。クリステアが、おまえに諜報員としての準備教育をしてくれるそうだ」

「諜報員?オレに、0.07になれって言うんですか?」

「そこまでは、要求してないだろ」




「来た。来た」

クリステアは会議室で二宮を待っていた。


「何の準備だい?」

「いいから、そこに座って」

クリステアは二宮を席に座らせた。


「いい?すぐ済むから」

「うす」


「わたしの右目を見つめて・・・」

クリステアは低く気だるい声で言うと、じっと二宮を見つめた。


ぽわぁーーーっ。

二宮は、額に暖かいものを感じ、なんとも言えないぼんやりした感覚に陥った。


「な、なんなんだ・・・?」

「黙って」

「へいへい・・・」


「右目を見つめなさい」


じいーーーっ。

クリステアの右目の淡いグレイの瞳に、二宮は吸い込まれそうになった。


「二宮、これから、あなたはなにを聞かれても、正直にとぼけるのよ」


--- ^_^ わっはっは! --


「すべてに対して、トンチンカンに答えること・・・。いいわね?」

「はい・・・」


ぱんっ!

それから十秒経つと、クリステアは、両手を叩いた。


「はい、終わり」

「え、もう?」

「ええ。教育課程は、無事に修了したわ」


「なにを教えてくれたんだ?」

「ユーモアよ」


「ユーモア?」

「ええ。試しに質問してみるわね」

「ええ?」


「エルフィア人について何を知ってるの?答えなさい!」


とろーーーんっ。

二宮の目が、心なしか鈍くなった。


「おす。セレアムの社員です」


「セレアムとは、なに?」

「おす。エルフィア人のいる会社です」


「くっくっく・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「エルフィア人の会社とは、どんなところ?」

「おす。イザベルちゃんが入りたがっている宇宙一いい会社です」


「くっく。いいわよ、その調子」


--- ^_^ わっはっは! ---


「イザベルとは、だれ?」

「おす。自分の嫁さん・・・。本当は、まだです。これからプロポーズします。だれもいない時に・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「あはは・・・。だれもいなけりゃ、聞かせる相手もいないんじゃない?」

クリステアは笑いを堪えてテストを続けた。


「いえ。一応、自分とイザベルちゃんはいるんです」

「じゃあ、成功を祈ってるわ、一応」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ところで、ユティスは、エルフィアのエージェントね?」

「おす。その通りです。でも、本当は和人に会いに来ただけなんです」


--- ^_^ わっはっは! ---


「あはは!」

クリステアの笑い声は会議室の外に漏れていた。


かちゃ。

ドアを開けて、アンニフィルドが入ってきた。


「どうしたの?あなたたち、なにがそんなに可笑しいの?」

「おす。自分は、なにも可笑しくないです」

「そう言うあなたの顔、十分可笑しいわよ」


--- ^_^ わっはっは! ---


アンニフィルドは、二宮の真面目な顔に、怪訝な表情になった。


「へへ。二宮に返答セキュリティをかけたの」

「リッキーの詰問対策?」

「リーエス。どんな質問にあっても、トンチンカンにな答えができるようになるようによ。これで、ばっちしよ。あなたも試してみたら?」


「へぇ、面白そうじゃない・・・」

アンニフィルドは二宮に向き直った。


「じゃ、質問するから、答えなさい。二宮、あなたはZ国のブースへ何をしに行くの?」

「おす。調査です」


「なんの調査?」

「おす。可愛いコンパニオンがいるかどうかです」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ぷふっ!」

クリステアは吹き出しそうになった。


「コンパニオンて、なに?」

「展示会の客引きの女の子です。大概、スタイルが良くて、ミニスカートで、髪を上げてうなじを見せたクシーな格好をしています」


「なんですって?」

「展示会には欠かせない存在です。おす」


--- ^_^ わっはっは! ---


「それ、そんなに重要なことなの?」

「おす。極めて重要です。コンパニオンの良し悪しで、来場客数が天地ほど、違ってきます。だから、明日、和人と常務が同行しないのが残念です」


--- ^_^ わっはっは! ---


「俊介も行きたがってるわけ?」

「うっす」


「くっくっく・・・」


ぴくぴく・・・。

クリステアは後ろを向いて肩を震わせた。


「あなたもスタイル良さそうですね?」

「そう。ありがとう!二宮、なかなかいいとこあるわよぉ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「きっと、セクシーなコンパニオン姿は、似合うと思います。試すなら自分が立ち会います。おす」

にたぁ・・・。


--- ^_^ わっはっは! ---


ぴきっ。

「余計なお世話よ、二宮!」


「おす。お褒めに預かり、ありがとうございます」

「バカ!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「あっはっは。どう、アンニフィルド、効果抜群でしょ?」

クリステアは自分がかけた二宮の催眠効果に満足した。


「ということは、俊介も、それに興味があるってことでしょ?」

「そうじゃない?」


「二宮、どうなのよ?」

アンニフィルドはさらに突っ込んだ。

「おす。もちろんです。自分よりすごいです。ミニスカのコンパニオンの後姿は、たまんないと言ってました」


--- ^_^ わっはっは! ---


ぴきっ。

「なんですって!俊介のドスケベ、わたしという恋人がありながら!」

「おす。常務に、まだ、恋人はいないはずです」


きっ。

「はいっ?いないって、どういうことーーーぉ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「おす。常務から直接聞きました」

「俊介が、自分で恋人はいないと言ったのぉ?」

「おす。ホントです。カラオケスナックの京子ちゃんには、そう言ってました」


--- ^_^ わっはっは! ---


「京子ちゃん?だれよ、その女?」

「おす。スナックの美人ホステスさんです」


「美人ホステスさん?」

「おす。自分もそうですが、酒が入れば、みんな美人に見えるんです」


--- ^_^ わっはっは! ---


「きーーー、俊介ぇーーーっ!」

ばんっ。

アンニフィルドはテーブルを拳で叩いた。


「あははは。アンニフィルドったら、マジにならないでよ。机がへこんだんだけど、困るのよねぇ、そんなことされちゃ・・・。あははは」

クリステアが笑い転げた。


「うるさいわねぇ!この際だから、彼の行動の裏を取ってやるわ!」


ばんばんばんっ!

べぎっ!

がたがた、どしーーーんっ!


アンニフィルドの強烈な拳固一発で、長テーブルが、中央から真っ二つに割れて、床の上に崩れていった。


--- ^_^ わっはっは! ---


「あはは。相変わらず、一撃必殺よねぇ・・・」

クリステアが笑ってアンニフィルドの手を見つめた。


「ふん。俊介のとこに行ってくる!」

ぷりぷり・・・。

アンニフィルドが会議室から出かけたところを、クリステアが呼び止めた。


「どう、二宮の受け答え?」

「ユーモアじゃなくて、人を怒らせる真実だわ!」


--- ^_^ わっはっは! ---「


アンニフィルドは強い口調で言った。


どんどんどん・・・・

がらがらーーー。

どぉーーーんっ!


会議室で大きな音がしたので、事務所の人間はびっくりして、そっちを見た。


つかつかつか・・・。

アンニフィルドが肩を怒らせて会議室から出てきたかと思うと、俊介を目指して早足で近づいた。


「な、なんですの?」

ユティスが和人にきいた。


「あの二人、また、なんかしたなぁ・・・」

「会議室よ。なにかが壊れて、落っこちてきたようですけど・・・」



ずんずんずん・・・。

ばんっ!


アンニフィルドは俊介のデスクの前に来ると、右手で強く表面を叩いた。


べぎっ。

「げっ!」

俊介のデスクは、アンニフィルドの力に堪えきらず、そこだけへこんだ。


「俊介!」

「お、おす。なんの用だ?」


「二宮から聞いたわよ。わたしというものがありながら、方々で女の子にちょっかい出してるんですってね・・・?」

「なんだよ、藪から棒に?今は、勤務中だぞ・・・」


「わたしだって勤務中だわよ。24時間休み無しで、ユティスと和人を守んなきゃならないんだから!」


「おいおい、そんな大声だと、みんなに聞かれてしまうじゃないか」

「だから、いいんじゃない。はっきり言わせてもうらうけど、わたしがあなたの恋人だってことちゃんと宣言しなさい!浮気したら許さないんだから!」


「恋人宣言・・・?浮気・・・?なんだ、そりゃ?」

「すっとぼける気?ネタはバレてるんだからね!」


「おまえ、二宮の言うこと、真に受けるのか?」

「ウソじゃないんでしょ?」


ぐいっ。

「ちょっと、来いよ、アンニフィルド」


「ふん!」


すたすた・・・。

俊介は、席を立つと、アンニフィルドを連れて、システム室に消えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ