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227 同意

「はぁい、アンニフィルドよ。ユティスも地球のリーダーたちと計らずも面会することができ、地球の予備調査は思わぬ進展としたわね。でも、地球の状況はまったく予断を許さないわ。今後の地球のリーダーさんたちに期待ね。これで、一応、第四部は終了ということだけど、第五部からは、クリステアの活躍も見逃せないわ。あーーーん、俊介、二人のことをみんなに宣言してよ!あなたと一緒にいたい!」

■同意■




ユティスたちは白い光にすっかり包まれ、転送されそうだった。


「だ、大統領・・・」

「・・・」

「わかりました・・・」

緊張が最大になったところで、大統領の声がした。


「条約書は、退けます・・・」


ぽわーーーん。

ぽーーー。

ぽー。


4人を包む光が、足元を除き、徐々に薄くなっていき元通りになった。


ぽぅ・・・。


「みなさん・・・」

にこっ。

ユティスは一呼吸置くと、今度はうって変わって笑顔になった。そして、ジョバンニとジョーンズに、にっこり微笑んで言った。


「ジョバンニさん、ジョーンズさん。あなた方は、焼き鳥屋さんで、どなたかとお友達になるのに、一々、契約書を交わすのですか?」


「焼き鳥屋?」

二人のSSは互いに見合った。


--- ^_^ わっはっは! ---


「あら、間違いましたわ。合衆国では、ヤキトリ・バーでしたわね」


「ユティスったら、カメ横丁のことを言ってるのね?」

「ふふ。どうやら、そうらしい」

ユティスのイメージが一同全員に伝わった。


「ぶわぁ!」

ユティスの一言に、ジョーンズとジョバンニが吹き出した


「あっはっは!」

「ヤキトリ・バーの友人か、なるほど!」


「一杯いかがか?」


--- ^_^ わっはっは! ---


アンダーセン中尉がEU大統領のベルナールにウィンクした。

「喜んで、中尉」

ベルナールも紳士らしく、丁重にグラスを傾けるマネをした。


「わははは・・・」


それを見た一同で、会場は笑いの渦に包まれた。


ユティスは、にっこり笑って、補佐官の方に向き直った。

「あなたもいかがですか?」


とくとく・・・。

ユティスは、微笑を浮かべて、補佐官の前に歩み寄ると、優雅に酒を注ぐまねをした。


「あの・・・」

補佐官は、大統領の指示とユティスの意思の間で、たちまち板挟みになった。


おろおろ・・・。

「大統領・・・」


「破り捨てろ!」

大統領は即座に補佐官に指示した。


びりびりっ!

補佐官は、すぐに、3ページにまとめられた友好基本条約書を、破り捨てた。


「申し訳ありません。大使。われわれは・・・」

ユティスは微笑みながら、大統領を気づかった。


「ありがとうございます、大統領。わたくしたちを、お信じくださって、心から感謝いたしますわ。エルフィアは、地球のみなさん、両国、EUのみなさんと、友人であることに同意いたします」


ユティスは、一同を見渡し微笑みかけ、軽やかに宣言した。


ぱち、ぱち、ぱち・・・。

会場は大きな拍手に包まれた。


「うーん・・・」

会場はうなった。




「さすがエルフィア。さすがエルド。さすがユティスだ」

大田原はユティスを暖かく見つめた。


「これかぁ・・・。じいさんの言っていた、両国がエルフィアに跪くってのは・・・」

俊介が面白そうに、にやにやしながら言った。


「おまえにもわかるのか?」

「当たり前だ」


「言い替えれば、友情・・・、いや、愛だな。それを信用するか、しないか・・・」

「信用するなら、一切の疑いを持つことは許されない。性善説に立って、エルフィアを全面的に受け入れる努力をしろってことね」

真紀はユティスの言葉に耳を傾けていた。


「カテゴリー3への移行の意思を問われているんだ・・・」

大田原は静かに言った。


「カテゴリー3に行く気がないなら、手を引く・・・」

真紀はもっと直接的に表現した。


「高次元転送システムや超ハイテクを手に入れたい、こっちの事情を逆手に取った、最高に強烈な一発だぞ」

俊介は言った。


「それこそ、ある意味、脅しなんじゃないの?」


「いいや、違うな、真紀。ユティスは駆け引きなんか考えてもいまい。ただ、信用されないなら、ボランティアの身を引くというだけさ。支援を望むのは地球だからな。ユティスが、言わんとするところは、駄々をこねずに、礼儀をわきまえろってことだよ

「おじいさま、わたし、あれは決してはったりじゃなかったと思うわ。もし、大統領が、答えを渋っていたら、あのまま本当に帰っちゃうところだった・・・」

「その通りだ、真紀」

大田原は真面目に答えた。


「カテゴリー1的な価値観や考え方を改めない限り、カテゴリー3には進めない。ユティスの言わんとする意味は、その第一歩を実践してみせろ、ということだ」

「そういうことだな・・・」

俊介は頷いた。


「後でなく、今、ここで、言葉ではなく、行動で。そして、ユティス目の前でな。大方は、その真意を理解できんだろう・・・」


「エルドも、これを見ているのね?」

「ああ。そうだよ、姉貴。すべては、アンディーがエルフィアに中継してるんだろうよ」




「核連鎖反応防止の時空封鎖は?」


「あくまで、危険が逼迫すればということだ。これとは別次元の話だな」

「わたしは、そういうもしもの事態よりも、エルフィアの本心の方が、よほど大切よ」


「ああ。愛と善意に基づく無償の友情に、自分で勝手に作った要求の確認を迫る。まぁ、表現はともあれ、自分に有利になるように、そこら中、我田引水的な要求を盛り込んであるには、間違いない。エルフィアを、その支配下に置こうなど、まったく、お話にもならん」


「ええ・・・」

「ああ・・・」


「相手は、愛と善に基づく無償のボランティアだ。彼らがどういう人間なのか、スーパーノバのエネルギー本流回避で、十分証明されてるじゃないか。その恩も忘れて、いくらなんでも、礼を欠いてるとは思わんか?」


「ああ、そのとおりだ、じいさん」

「あれで気づかないとすれば、地球は大宇宙に大恥をさらすことになるわね」

「あれを出そうとしたこと自体、既に大恥をかいてるのさ」

「だけど、そこは大統領ね。すぐに気づいて、よく対応したわ」


「そうだな、真紀。第一、エルフィアに、地球を支援しなくてはならん、という契約や義務などない。まったくの無償、ボランティアなんだ。地球に人間がいる。生命がある。理由は、ただ、それだけだ」


「確かに。無粋だな。合衆国の限界を、さらけ出したということか?」


「いいや、日本もEUも、大して変わらんよ。たまたま、合衆国が初めに仕掛けただけのこと。藤岡首相にしろ、机の下にそれを忍ばせているやもしれん。合衆国、日本、EUのようなビジネス本位の究極のアソシエーション社会、つまり契約社会は、一見華やかだが、根っこは、性悪説だ」


大田原は双子たちを見た。


「競争を基本としている限り、個々人は、精神的には、決して幸福とは言えん。惨めなもんだ。どんなに近くに一緒にいようが、それが損得に基づく関係であり、損得によって、感情が左右される限り、心はお互いに離れて分裂している。うまくいっている時なら、利害が一致し、関係も極めて強固にみえるが、いざ悪くなると、あっという間に分解する。今日の友は明日の敵。得るものがないなら、そこにいる必要もないからな」


「わたしもそう思う」

真紀が頷いた。


「顧客のため、社会のため、地域にため・・・。どんなに格好の良いことを言ったところで、ビジネスの基本は利益を上げること。ユティスの言うカテゴリー1的精神だ。本当の友情や愛は、そんなところには芽生えはしないし、契約で保証されたり、手に入ったりするようなものではない。本気でそれを望むなら、ゼロサムゲームと決別し、互いに依存し、奪い合うのではなく、愛と善を基本として、互いが尊敬し合い、精神的にも、政治的にも、経済的にも、ニュートラルな独立した立場で、創造し合い、助け合い、励ましあい、与え合い、分かち合い、前を見据えて歩まねばならん」


「うむ・・・」


「友人とは、依存し合う仲でも、奪い合う仲でもない。ましてや、契約関係などであるわけがない。友人としてエルフィアを迎えるなら、サインのいる書面など、はじめから要らんということだ」


大田原は、ユティスの言葉で、長年のつかえていたものが取れたような気がして、胸がすっとした。


「なるほど。条約、契約を迫る、イコール、ビジネス。性悪説的見方。友人ではない。心の底では、敵視しているということか・・・」


「そうね。良識と常識に任せられるだけの、友人としての精神的成長を要求してるんだわ」


「そういうことだ」

大田原は満足げに頷いた。


「自分たちだけが利益を独占しようとする合衆国の抜け駆けは、完全に見透かされてるな?」

俊介が真紀を見た。


「ユティス、エルフィアが言わんとしていること、わたし、よくわかる・・・」

真紀も頷いた。


「地球も、そろそろ、その段階に来ているということだ。このままでは、人類は利己的な欲望で押しつぶされ、自滅しかねん」

大田原はユティスたちを見た。


「ユティス、超A級エージェントか・・・。交渉能力も抜群だな・・・」


「俊介、ユティスをビジネスパースンとして見てるでしょう?」

「女神だろうが、天使だろうが、ユティスは、うちの社員だからな。一応・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「まぁ!しょうがない人」


「そう言うな、真紀。俊介もそうだぞ。ユティスは、交渉するつもりで言ってるわけではあるまい。ひたすら、彼女の本心、エルフィアの本心、真の偽りなき気持ちを述べているに過ぎん」

大田原は笑っていた。


「真の感情に出会えば、例え、どんなに考え抜いたことであろうと、レトリックに長けた美麗字句や、机上の論理など、問題にもならん。論理ですべてを説得できるわけではない。世の中、数学や物理の話ならともかく、経済、心理、政治、あらゆる分野で、論理的と呼ばれていることは、唯一正しい答えなどないんだ。それどころか、アンフェアな屁理屈である場合すらある。言った本人だけ、それがわからんのだよ。心では、皆、正論ではなく、正直な感情の方にエールを送る」


「女が、強い訳だ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「女をバカにしたわね、俊介」

「とんでもない。事実を言ったのさ」


「どうだか・・・」

ちくっ。

「痛ってえな・・・」


「はっはっは」




「さて、ミスタ藤岡。日米はエルフィアと友人だということを認め合ったわけですが、共同声明の発表に意義はありますかな?」

大統領が藤岡に話しかけた。


「いいえ。エルフィア大使の意図に沿うような形であれば、問題ないと。エルドからセレアムへのメッセージが届けば、地球はもう一つの世界とも友好関係になるでしょうな」


「セレアムですか?」

「左様」


「では、この会見のビデオを発表に向けて編集を・・・」


補佐官がそれに答えた。

「イエス・サー。すべて収録してあります」


「全部ありのまま流す方が、良いのではないですか?」

NASA代表が、言った。


「大統領がひざまづいたところのカットもなしでか?」

「ええ。何か日米の細工でもあると思われるのも嫌でしょう」


「同意する」

大統領が言った。


「世界に同時発表するなら、変な小細工は逆効果にしかならんだろう」

「確かに・・・」


「編集して、都合の良い情報しか流さないのでは、どこかの独裁政権と、少しも変わらんからな」


にや。

大統領は笑った。


「ありのままにいくべきだ」


「ライブ中継は、この会見が横畑基地における超極秘であることから、セキュリティ上の問題でできなかったが、わたしが、ホワイトハウスに戻ったら、即実行に移すことにする」


「同意いたします」

藤岡首相は答えた。


「記者会見への備えは?」

「補佐官、きみに任すことにしよう」


「ミスタ藤岡、ご協力感謝いたします」

「どういたしまして」




「みなさん、それでは、エルフィアと地球の友好を記念して、ささやかなパーティーを用意しておりますが・・・」

大統領がエルフィア人たちに言った。


「あの、よろしいですか?」

その時、やんわりとユティスが言った。


「その前に、一言お伝えしなければならないことがあります」

「なんですかな?」

藤岡首相がたずねた。


「はい、Z国の動きです」

「そうですな。極めて由々しき状況をお作りしてしまい、申し訳ありません」

「あなたが謝る必要はありませんわ」


「大使、あなたは、1度ならず、2度、3度、拉致されかかったと・・・」


「はい。かの方々は、とても平和的な文明推進をしようとしているとは思えません。かといって、望まない人々にそれを強制するのも、エルフィア、いえ、すべてを愛でる善なるものの本意でもありません」


「あくまで、地球人、自らZ国の問題に望めと・・・」

「はい。最終責任は、あなた方にあります」

ユティスはあくまで人任せにすべきでないと言った。


「しかし、問答無用の威力でくるやからには、それ相応の対応をせねば、示しがつきませんが・・・」

大統領も毅然とした武力による態度を示すべきと主張した。


「そういうことであるのなら、当座、ICBMの軌道と大気圏内の核分裂連鎖を抑制すればよろしいですか?」

ユティスが単刀直入に言った。


「ご存知で?」

「はい。テレビとか、新聞、雑誌、また和人さんから、大体のことはうかがっております」


「それができるので?」

「はい。でも、それをするということは、あなたがたにも同じことをするということです」


「なんですと?」

「それでは、意味がないではないですか?」


にっこり。

ユティスは、天使のように微笑んだ。


「どなたにとっての意味ですか?」

「地球全体を、そうするということですか?」


「そういう、解釈もまちがいではありませんが、あなた方の地球家族という感情があるかどうかの方が大切だと思っています。親子ではなく、ご兄弟姉妹としての・・・。最も仲良くも悪くもなる間柄。あなた方の聖書にも記述があるとおりですわ」


ユティスは続けた。


「これはあなた方、本人、自らそれを実行して学ぶしかありません。理屈でも理性でもありませんわ。感情で納得するということです。人は感情で納得しない限り、ウソを言います。行動しません。表で取り繕っていても、必ずどこかで爆発します。感情で納得するということは、理屈で教えられるものではないのです。家族の問題は、まずは家族の中でお話し合いをされるべきだ、と思います」


「つまり、核分裂の連鎖反応を封鎖するなら、地球丸ごとということですか?」

「はい」

一同は顔を見合わせた。


「なにも、今お返事をいただくことはありません。そういう最終手段もある、ということを知っていただいてくださいね」


「では、歓迎パーティー会場へ」




大統領のエスコートで、ユティスと和人は、会議場のとなりのパーティー会場へと移った。


すっすっ・・・。

アンニフィルドとクリステアは、藤岡首相に導かれてパーティー会場に入った。


「みなさん、シャンパンは、お試しになられましたかな?」

大統領がユティスたちを見て微笑んだ。


「ええ、ロイ・ルデレールのクリステアとか。半杯で不覚を取っちゃいましたけど・・・」

アンニフィルドが言った。


--- ^_^ わっはっは! ---


「ほう。それはまた、最高級品ですな。大変、けっこう。合衆国にも、製法や味や品質は、ほとんど同じものがありますよ」

大統領はボトルを取りあげた。


「これは、合衆国のみならず、本場フランスのシャンパーニュでも一目置かれているスパークリングワインです。本日はこれで乾杯するとしましょう」

「はい。いただくことにいたします」

ユティスは素直に喜んだ。


「ミスタ藤岡、ここはあなたがすべきでしょう」

大統領は乾杯の音頭を首相に譲った。


「それは名誉なことで。えへんっ」

藤岡は咳払い一つ、クープグラスを右手に持ち、一同がそうするのを待った。


「僭越ながら、藤岡が一地球人として、手短に申しあげます。地球とエルフィアが末永き友人となれますことを記念して・・・。乾杯!」


「乾杯!」

「乾杯!」


かちん。

かちーん。


「乾杯!」


かち、かちっ。


一同、声をあげ、そこら中で、クープグラスのカチーンと高く澄んだ音が響いた。


ぱちぱちぱち・・・。


皆が極上のスパークリングワインを一口飲むと、一斉に拍手が響き渡った。


「地球のみなさん、大宇宙のコミュニティーにようこそ!」

ユティスは高らかに宣言し、再び拍手の渦となった。


ぱちぱちぱち・・・。


「感動的だ・・・」

ユティスたちは、たちまち日米のMLGのメンバーに取り囲まれた。




「ありがとうございます。大使」

「ユティスでよろしいのに、と申しあげたんですけど」

ユティスはにこにこしながら言った。


「両大統領、それに首相。もし、地球のみなさんへのお知らせするのであれば、最初の発表は、ありのままでお願いいたしますわ。地球の人々が、一人一人、ご自分で感じ、考えていただくことが必要なのです。もし、コメントが必要であれば、それが終わってからにしていただきたいの」


「はい」

「ご随意に」


「大使、ところで、あれは本気だったんでしょうか?」

「大使ではありません。ユティスとお呼びください」


「では、ユティス。あれは・・・?」

「アンデフロル・デュメーラの回収ですか?」

「ええ・・・」

「少なくとも、冗談で、あのようなことを、口にしたりはいたしません」


「やはり・・・?」

「うふ。今となっては、もう、お話するのは止めませんか?場が白けてしまいませんこと?」

「あははは・・・。そうですな」

「確かに」


「それで、先程、コンタクティーは、一緒に連れて行くと、おっしゃいましたね?」

「はい」


「どうしてですか?」

ぽっ。

ユティスはほんのり顔を赤らめた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「エルフィアにとって、とても大切なお方ですから・・・」


「理由は、それだけ?」

ぱちっ。

真紀が、ユティスと和人にウィンクした。


「あ・・・」

ぽっ。

ユティスは、さっと顔を赤らめた。


「はい・・・。真紀さんのおっしゃる通りです・・・。正直に申し上げますわ。わたくしは、和人さんと、もう二度と、離れ離れになりたくありません・・・」

ユティスはウソが言えなかったので、正直に自分の気持ちを口にした。


じーーーん。


彼女の正直な答えに、逆に一同は納得し、大いに胸を打たれた。


「わかるわ、それ・・・」

「ああ・・・」


MLGのメンバーは、エルフィアと地球とが、いかに奇跡的にコンタクトできていたか、スーパーノバの出現で、時空が不安定になり、コンタクトが永久に取れなくなるところだったことを、十分承知していた。そして、この二人が、いたからこそ、地球は無事だったし、こうして、皆が一同に介することができているのだ。


ぎゅっ。

ぴと・・・。

ユティスは和人の手を握り、そっと自分の頬に当てた。


「宇都宮和人を愛してるというわけね?」

「はい。和人さんを、愛しています。心から・・・」

ユティスは赤くなりながらも、和人に微笑みかけ素直に認めた。


「わたしも、彼女を愛しています」

和人は右腕をユティスのウェストに回した。


「なるほど・・・」

「それでは、ご同伴も、ご同意の下にということですね?」

一人が和人に質問した。


「わたしも、同じ意見ですが、いかがで?」

「全面的に、同意します」


ぽー。

和人はユティスの側で、頬を染めてにっこり笑った。


「わたしも、二度と彼女に会えなくなるなんて、絶対に受け入れられません」


和人も照れながらも、ユティスの言葉に応え、一同は、ユティスと地球人、日本人の若者を交互に眺めた。


ひゅーーー。

だれかが口笛を吹いた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「こいつは、驚いた・・・」


「二人は、既に、恋人同士だと言うんですね?」

「いけませんか?」

ユティスが頬を赤く染めて、恥らうように言った。


「信じられん・・・」


「では、あなたたち・・・」


「二つの世界の架け橋ってとこかしら」

アンニフィルドが、いつもの陽気さを取り戻して、さらりと言った。


「まぁ、アンニフィルド・・・」

ぽーーーっ。

ユティスは、ますます赤くなった。


「あなたも、いずれそうなるんでしょ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


クリステアがアンニフィルドにそっと囁いた。


「な、なに言ってるのよ、クリステア・・・」

「あの時、こっそり俊介にもフィールドを張っていたでしょ?」


どきっ!


--- ^_^ わっはっは! ---


「え、な、なによ、それ?」

アンイフィルドは図星を突かれ大いにうろたえた。


「地球人の転送予定者は、和人さんだけではなかったってことですわね?」

にっこり。

ユティスがアンニフィルドに微笑んだ。


「リーエス。エージェント・ユティス。その瞬間に一人追加するよう、SS・アンニフィルドの要請を受けていました」

「アンデフロル・デュメーラ!」


「あーあ、バレちゃったぁ・・・。あははは」

クリステアが笑い出した。


「ちょっとぉ、クリステア!俊介には絶対に言わないでよぉ!」

「あは・・・。どうしよっかなぁ・・・?」


--- ^_^ わっはっは! ---

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