211 来襲
■来襲■
俊介はいつものホテルのカフェで大田原太郎に会っていた。
「じいさん、総理に大見得きって、大丈夫なのか?」
「俊介、わたしをだれだと思ってる?」
「そうか。じいさんの正体は、だれも知らないわけだし・・・」
「それだけではないぞ」
「なんだ?」
「エルフィア自身だ」
「なに?」
「エルドだよ。彼が、ウンと言わねば、合衆国大統領だろうが、なにもできん」
「まさか・・・」
「エルドが最初にすることは、なんだと思う、俊介?」
「あり過ぎて想像もつかん」
「エルフィアと日本は、もう切っても切る事ができない仲なんだ」
「はっ。ユティスと和人か」
「それに・・・」
「それに?」
「おまえとアンニフィルド」
「な、なんなだよ、それ?」
「わたしには、誤魔化さなくてもいい。からかう意図は微塵も持っておらん。真紀ではないからな。二人が、おまえたちを差し置いて、勝手に日本を日常的に離れて暮らすとはとても思えん」
「ということは、合衆国に永住することはない?」
「そういうことだ」
「それが、そんなに大切なのか?」
「わかっておらんな、俊介」
「なにをだ?」
「心だ。エルフィア人の心。彼らがビジネスの損得で動くと思うか?」
「確かに可能性は薄い」
「彼らをここまで突き動かしているものはなんだ?合衆国の考えているビジネスとかではあるまい。ビジネスは、所詮、個人的な欲望に帰するものだ」
「とはいえ、ロマンスなんかではないだろ?」
「ああ。もっともっと大きな愛だ。人類愛とよぶべきものかな。彼らは、地球人を同胞と認めている。なんとか、できの悪いやんちゃな子供を、一端の大人に成長させ、早く隣人になりたがっているんだ」
「なんのために?」
「宇宙中を愛で満たすために」
「本気で言ってるのか、じいさん?」
「まじめに聞いておらんようだな、俊介。エルフィアが、文明促進支援活動を始めて、もう何万年も経つことを考えてみろ。地球以外にも、いったいどれだけの世界を支援してきたか。セレアムも、かつてエルフィアの支援を受けたのだ。そして、エルフィア自身も、さらに超高文明世界の支援を受けたのだ。あれだけの超高文明を持ちながら、彼ら自身、自らカテゴリー5ではなく、カテゴリー4だと言っている意味はそれだ。上には上がいる」
「聞いたよ・・・」
「それに、おまえもそうしたいのではないか?会社がソーシャルメディアを生業にしているのも、その最初のステップであろう?」
「ああ・・・」
「セレアムを信じるなら、エルフィアを信じろ」
「・・・」
俊介は黙った。
ずずっ。
俊介はコヒーをすすると、大田原を見つめた。
「しかし、なぜ、人類はこうも同じなんだ。何千万光年離れていても、どうして、エルフィア人と地球人、それにセレアム人も、基本的DNA構造が同じなんだ」
「今は謎だ。セレアムにも、エルフィアにも答えが出せてない」
「神とか言い出すんじゃないだろうな?」
「神かどうかは、わからん。エルフィアよりさらに高度な文明を築いたものがいて、彼らの成せる技なのかもしれん」
「ああ・・・」
「人類は、何千万光年離れていても一緒だ。エルフィア、セレアム、地球。その他、見たことも聞いたこともないような諸々の世界。お互いに子孫を残せるんだ」
「しかし、じいさん、あまりにもできすぎてはいないか?」
「そのとおり。わたしもそう思うよ」
「・・・」
「それでだ。エルドが、自分たちの子孫を争いの中に置きたいと思うか?」
大田原は俊介の目をじっと覗き込んだ。
「和人とユティス。そして、将来的には二人の子供だな?」
「ほぼ確実であろう。そして、おまえとアンニフィルドだ」
「ちょっと、待ってくれよ。なんだって、オレがそこで出てくるんだ?」
「こっちも確率的には、相当なもんじゃな・・・」
「じいさん!」
「まず、エルドが望むことは。あくまで地球人としての意思の統一じゃよ」
「へっ。当たり前すぎて驚くに値しないぜ」
「そういうことだ」
「だが、実行は生易しくはないぞ」
「エルドは、地球統一政府、ないしは代理機関の確認を求めるだろうな。日本の首相でもなく、合衆国大統領でもなく、真に地球の未来を真剣に考える代表を」
「そんな、むちゃくちゃな。あまりに性急すぎる」
「確かに、だれもがそう思うだろう。でも、今度の日米会談で、状況は劇的に変わるはずだ。ある意味、日米とも、エルフィアのもとにひれ伏すことになる。否が応でも」
「そんなもんかねぇ。で、Z国のユティス強奪計画をどうみるんだ、じいさん」
「総理の認識は甚だ甘いと言うしかないな。この点は、大統領の認識の方が正しい。Z国が諦めることなど決してあるまい。しかしだ。たとえ、Z国がいかなる手段を講じようが、エルドは全力でユティスたちを守り、必ず地球支援の邪魔者を排除に出る」
「たった3人だぞ?」
「わたしは、アンニフィルドとクリステアの二人が、いやユティスもだ。信じれない力を秘めている、そんな気がしてならない」
「オレも、あの3人が、ただの可愛い娘ちゃんだなんて思っちゃいないさ。3人とも強力なテレパス。SSの二人はテレポテーション。時空を自由に操れ、加えて、武道の達人ときてる。ユティスは強力な精神感応力、ヒーリング能力、いずれも、オレが純粋な地球人だったら、腰を抜かすところだ」
「まだまだだ。われわれは、彼女たちの能力のほんの一部しか知らない。全力を出したら、いったいどのくらいになるのか、想像もつかん」
大田原は俊介から目を離し、ロビーのほうを見つめた。そこにはやはりダークスーツのお琴が数名して、その内一人がサングラスに手をやった。大田原も手を顎ににやり、それに答えた。
「大統領の警護も大いに貢献するだろうが、オレには、彼女たちには子供のお遊び程度でしかないんではないかと思うときがある。いつぞや、スタジアムで拉致された時も、極めて冷静でアンディーと連携を取って、その日の2、3時間後には、見事に取り返した。無傷でな・・・」
「いずれわかるさ」
るるるーーーっ。
かちゃ。
「はい。こちら、株式会社セレアムです」
「もしもし。わたくし、Z国通商部のリッキー・Jと申します。宇都宮和人さんは、いらっしゃいますか?」
「はい。宇都宮は、わたくしどもの社員ですが、お約束でしょうか?」
「ええ。以前、IT研究会でご一緒いただき、お世話になりました。一度、お礼方々、ご挨拶に伺えればと思いまして」
「少々、お待ちください。本人の所在を確認いたします」
「どうも」
丸林はあたりを見回し和人を探した。
「どうしたの?」
真紀は、電話を受けた丸林が困った顔をしているのに、すぐに気づいた。
「あの、Z国の通商部のリッキー・Jさんが、和人さんにアポ取りを」
「Z国?まずいわね。直接、アプローチにきたわ」
「どうしましょうか?」
「いいわ。替わって」
「はい」
「お待たせしました。只今、宇都宮は外出中でして、本日、社には戻りませんが」
「そうですか。それは残念です」
「本人への伝言はありますか?」
「では、もう一度、あらためてご連絡させていただきますと」
「かしこまりました」
「失礼します」
かちゃ。
「来たわよ、俊介」
「ほう。路上拉致が失敗したと思ったら、正攻法か」
和人とユティスは客先で打ち合わせをしていたが、応対した顧客の若い社員が上司に報告をしていた。
「で、でも、本当に消えたんです・・・」
「宇都宮さんたちの用は終わったんだろ?」
「え、ええ、一応・・・」
「じゃ、帰ったんじゃないのか?」
「でも、わたしの目の前で、光に包まれて一瞬で・・・」
「夢でも見たんじゃないのか?」
「ウソじゃありません」
「わかった、わかった。ここんとこ、きみも詰め通しだったからな」
「で、でも・・・」
「そうだ、帰ったんだったら、訪問者カードが返却されてあるはずだ。受付に行って、調べてみたまえ」
「は、はい」
どたどたどた・・・。
ぶわん。
「あっ、いた。いた・・・。ユティスさん・・・」
(ほっ・・・。見間違いか・・・)
--- ^_^ わっはっは! ---
「すみません。訪問者カードをお返しするのを忘れていました。お許しください」
ユティスは自分と和人のカード2枚を彼に手渡した。
「これでよろしいのでしょうか?」
「え、ええ、それはいいんですけど・・・」
「では、失礼いたします」
にっこり。
ぺこり。
「え?」
ぽわーーーん。
ぱっ。
ユティスは深く一礼をすると、再び光に包まれ一瞬で消えた。
「あわわわ・・・!」
--- ^_^ わっはっは! ---
どてっ・・・。
彼は口から泡を吹いてそこにひっくり返った。
一方、大田原が手配した警視庁の警護官たちも、大騒ぎになった。
「警部、宇都宮和人が消えました・・・」
「消えたって?」
「だから、消えたんです・・・」
「ちゃんと見張ってたんだろうな?」
「それはもう。1秒だって目を離していません」
「探せ。さっさと探せ。見つけないと、全員クビだぞ」
「はい」
--- ^_^ わっはっは! ---
ぶわん。
「はい、それまで!」
いきなり、賊の後ろに現れたクリステアとアンニフィルドは、賊の腕を掴み捩じあげた。
ぎりぎり。
ぎゅ。
「あっ!」
ぼとん。
ぼとっ。
二人は足元に銃を落とした。
「よし、きたっ!」
ぼ、ぼーーーんっ。
俊介はすぐにそれを蹴飛ばし、賊はあっという間に、武装解除されてしまった。
「他にはいないの?」
「車に2人おられますわ」
ユティスが答えた。
「そっちは、ユティスにまかせるわ。脳波をくすぐってあげなさいよ、笑い死にするくらいにね」
クリステアが言った。
「リーエス」
「大サービスね」
アンニフィルドがウィンクをした。
「リーエス」
ぎじぎし・・・。
セレアムの事務所の近くに止まった車が、エンジンが始動してるわけでもないのに大きく揺れていた。
「あははは。死ぬ、死ぬ!」
「ぎゃははは・・・!」
セレアムの事務所の外から大笑いする声が聞こえてきた。
--- ^_^ わっはっは! ---
がく・・・。
がっくん。
くたぁ・・・。
「まぁ、お二方とも、本当に気絶してしまいましたわ」
ユティスが報告した。
「ユティス、あなた、いったいどこをくすぐったのよ?まさか、あんなとことか、こんなとことか・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「脇の下と、わき腹と、足の裏の神経線を、同時にですわ」
「ほっ・・・」
「それは、強烈ねぇ」
「さぁて、お二人さん。あたしたちになんのご用?」
クリステアは背の高い方を見据えた。二人は、いかにもという黒いダークスーツにサングラスをしていた。
「レディの前でサングラスなんて、ずいぶん失礼ね」
ぱっちん。
アンニフィルドがウィンクすると、二人のレイボンがあっという間に吹き飛んだ。
ぽーん。
ぽーん。
「あわわっ!」
二人は腰を抜かした。
--- ^_^ わっはっは! ---
「まぁ、けっこう柔な顔してんのね」
素顔の二人を見て、クリステアが真顔で言った。
「Z国日本通商部所属。ふうん。一応エリートなんだ。この作戦が成功した暁には、2階級特進と・・・。なになに・・・。わー、あなた、恋人がいるんだぁ・・・。けっこう、美人じゃないの」
--- ^_^ わっはっは! ---
「仕事のことは内緒か・・・?いけない人ねぇ。あーら、あたしたち、この人の将来、台無しにしちゃったようよ」
クリステアが二人を見て言った。
「バ・・・、バカな・・・」
「なんで、わかった?」
「どうやって、現れた?」
最初のショックに立ち直った二人は、ユティスに言った。
「簡単です。耳を澄ませばいいだけですわ」
ーーー ^_^ わっはっは! ---
「そう。ただ聞こえるだけ。そして、普通に現れただけ」
アンニフィルドがにやりと笑って付け足した。
「エルフィア風に・・・」
--- ^_^ わっはっは!---
「答えになってないぞ」
「あーら、わたしたちの言ってることが、わからないのは、わたしたちのせいじゃないわ。あなたたちの理解力が欠けてるだけよ。えい!」
「うわっ!」
どさっ。
どさっ。
アンニフィルドが、神経に信号を送ると、二人はその場に崩れ落ちた。二人は体中が痺れ、身動きひとつできなくなった。
「ううっ・・・」
「声は、出せるんでしょう?」
アンニフィルドは顔を数センチまで近づけて優しく言った。
ほわーーーん。
どきっ。
アンニフィルドのピンクの色っぽい目に二人は完全に動揺した。
「ダメよ・・・、期待しちゃ・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「わたしのキッスはそんなに安くないの。こう見えても、身持ちは堅いんだから・・・」
アンニフィルドはゆっくりと言った。
「こいつら、どうするんだ?」
俊介は二人から目を離さずに言った。
「少し質問ね。その後は、警察かなぁ。銃刀器不法所持に凶器準備でしょ。家屋侵入でしょ。脅迫に、威力行使、営業妨害。迷惑行為・ストーカー。誘拐未遂。表の二人は、駐車違反だし。あら、ナンバープレート、品川×××への931-931」
アンニフィルドは鼻をつまんだ。
--- ^_^ わっはっは! ---
「出てくる、出てくる。もっとあるわ。さしずめ、犯罪見本のデパートだわ」
クリステアが罪状をツラツラ並べると二人は唖然とした。
「な、なんでわかるんだ、おまえたち!」
「だから、言ってるでしょ。あなたたちの声が、聞こえてくるだけって」
「バ、バカな。一言もしゃべってないぞ」
「口ではね・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「さぁ、答えなさい。どこまで、わたしたちのこと調べたの?」
にっこり。
アンニフィルドが、二人に微笑んだ。
「知らん」
「あ。しゃべらなくてもいいわ。ちゃんと聞こえてるから」
--- ^_^ わっはっは! ---
クリステアは驚く二人に言った。
「なるほど、ボスは通商部のリッキー・Jね。今回は、姿を現してないか」
「な、なんで?」
男はアンニフィルドを見つめた。
「馬鹿者!こいつらテレパスだ。オレたちの心を読めるんだ」
「そっ、そういうことか」
「なにも考えるな。こいつらの言葉を無視しろ」
「無駄な努力は、しない方がためよ」
アンニフィルドがいった。
「あなたは、ロニーね、そしてあなたはレット。もちろん本名じゃないわ。それからもっと言ってあげましょうか。ちょっとショックかもよ」
アンニフィルドは楽しそうに笑顔で言った。
「う、うるさい!」
「きゃあ。恋人に内緒で、おととい、一晩中女の子といたのね?」
「あっ!」
--- ^_^ わっはっは! ---
「それも、政府のお仕事ってわけ?可哀相ねぇ、その恋人って子。それから、あなた・・・。人を殺めたことは、ないわね。引き金を引くことをためらったわ。二人ともZ国の首都出身で、国立A大学を主席で卒業。政府秘密機関にすぐ抜擢されて、2年間の教育の後、初めての仕事が、日本ね」
アンにフィルドは聞こえたことをそのまま口にした。
「ば、ばか。考えるなといっただろう!」
「考えてない。こいつら勝手に読むんだ!」
「リッキー・Jは、どこかしら?」
クリステアが男の一人を除きこんだ。
「大使館の奥の部屋ね」
アンニフィルドが代わりに答えた。
「大使と会談中かしら・・・?」
クリステアが頷いた。
「・・・」
二人は黙った。
「リッキーさん、仕事の結末をとっても知りたがってるでしょうねぇ」
アンニフィルドがクリステアを向いて微笑んだ。
にっこり。
「・・・」
「今回の失敗。あなたたちの代わりに、わたしが報告してあげようか?」
くすくす・・・。
クリステアがくすりと笑った。
「ふざけるな!」
---^_^ わっはっは! ---
「タダでいいわよ」
「う、うるさい!」
--- ^_^ わっはっは! ---
「だって、報告しづらいんでしょ。丸腰の女に手玉にされたあげく。情報全部取られちゃったんだから」
アンニフィルドは楽しそうに言った。
「なにを、言うか!」
「それに、失敗の報告って、わたしたちしなれてるの。ねぇ、アンニフィルド」
--- ^_^ わっはっは! ---
「リーエス。相手の失敗報告をね」
ちっ、ちっ・・・。
アンニフィルドは二人の目の前で静かに人差し指を振った。
「や、やめろ。そんなことをしたら、どんな責任を取らされるか」
アンニフィルドはクリステアに合図した。
「リーエス。リッキー・Jの頭脳波を捉えたわ」
「止めてくれぇ!」
「リッキー・J!」
クリステアは鋭く言った。
「なんだ?」
「答えなさい、リッキー・J」
「き、きさま・・・、だれだ・・・?」
「わ・・・た・・・し。あなたの捕らえたがってる人間よ」
「エルフィア人?エルフィア人か!」
「先日は、どうも。たっぷりお礼したいところだけど、分割返済。今日の分だけにしておくわ。もちろん、利子込みよ」
--- ^_^ わっはっは! ---
「き、きさま、どこだ?どこから、喋ってる?」
「意外と近くからよ。1万光年もないわ」
--- ^_^ わっはっは! ---
「なんだと?」
「ロニーとレットは保護したから、安心して。あたしたちは暴力は嫌いよ。でも、あの方たちは、そうじゃないようだから、少しおとなしくさせていただいたの。単刀直入に言うけど、わたしたち、残念ながら、あなたと、あなたのお国に、協力することはできないわ」
「なに?」
「お金払ってくれそうにないし・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「というか、自分勝手な思想が露骨だから。さしずめ、カテゴリー1、レベル2ってところね。わたしたちの考えとは、決して相容れないわ。お二人は、返してあげるけど、お仕置きはしないでくれる。二人のせいじゃないから。嫌いなの、そういう原始的で、野蛮な行為」
「なんだと?」
「それから、言ってもムダかもしれないけど、二度とわたしたちを拉致しようとしないで。もっとも、できっこないと思うけど。今度は、容赦しないわよ」
「き、きさま、なにものだ?名を名乗れ!」
「赤帽鈴のスケ、の赤の他人。クリステア」
--- ^_^ わっはっは! ---
クリステアはゆっくりと名乗ると、リッキー・Jの頭脳波に同調して、暗黒の恐怖を送りつけた。
「うわーっ!」
リッキー・Jは、体中を震わせ泡を吹いて大使の前で失神した。
「リッキー!」
リッキー・Jのただならぬ様子に驚いた大使は、身を乗り出した。
「アンデフロル・デュメーラ、こちらのお二人には、お引取りしてもらって」
「リーエス。SS・クリステア」
ぽわーーーっ。
その瞬間、部屋の真ん中で光が広がり、あっというまに、ロニーとレットが気絶したままZ国大使の目の前に現れた。
ぼんっ。
「な、なんということ!精鋭たちが、なんてざまだ。すぐに本国に連絡せねば。しまった。車に待機してる2人は、どうなったんだ。まさか、彼らもやられたんじゃ・・・?」
大使はすぐに補佐官を呼び出した。