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198/408

198 社交

■社交■




セレアムの二人の周りは人だかりだった。


「すごいですね。みんなお二人目当てですよ」

黒磯が、パリ本社の取締役相手の対応から開放されて、二人のところに戻ってきた。


「二人じゃなくて、きみにだろ、アンニフィルド?」

「まぁ、光栄ですわ。で、黒磯さんはいいんですか、本社のメンバーにご挨拶しなくて?」

アンニフィルドが、黒磯を気遣った。


「こりゃ、どうも。もう、さんざんしましたよ、マドモアゼル」

「それは、失礼しました」


「注目の的ですね、アンニフィルドさん」

黒磯は俊介だけに聞こえるように言った。


「そりゃ、結構ですね」

「保証しますよ。お世辞抜きで、彼女は頭二つ抜けてます」


「ははは。とにかく背は高いですから」


(背が高くて、悪ぅござんしたね・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


俊介自身、上背が184センチあったが、ヒールを履いてドレスアップしたアンニフィルドは、彼より少し低いくらいだった。


(げ、聞こえてた・・・)


「そういう意味じゃなかったんですが・・・」

「しかし、さすがシャデル。こちらもとんでもない美女揃いですよ」

俊介はすかさずフォローしたが、時既に遅かった。


ぷぃ。

アンニフィルドは横を向いた。


(もう、俊介ったら、また、鼻の下伸ばして・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---




アンニフィルドは俊介から離れて、シャデルの重役たちの輪に参加した。


「おほほほ・・・」


「アンニフィルド、長いプラチナブロンドがステキだね。きみはデンマーク人かい、それともスウェーデン人?」

若い重役がアンニフィルドにアプローチしてきた。


「デンマーク?」

「違うの?」

「あは。ごめんなさい、そんな星、聞いたことないの」


--- ^_^ わっはっは! ---


「星?」

「え?ひょっとして、銀河だった?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ははは・・・。きみって面白いねぇ、アンニフィルド」

「よく、みんなから言われますわ」


「わかるよ。ユーモアのセンスが抜群だよ」

「あなたもよ」


「ヴなんて止めてくれよ。もう、知り合いなんだから。ぼくのことは、テュ、と言っていいよ、アンニフィルド。ぼくもきみをテュ、って呼んでいいかい?」

「あ・・・」


(テュってなぁに、アンデフロル・デュメーラ?)

(親しい間柄での二人称です。家族とか、恋人とかで使います)


アンニフィルドは、重役の美人秘書たちと、嬉しそうに話している俊介を見た。




「オレのことは、テュでいいよ、ジュヌビエーヴ」

「ウィ、シュンスケ。テュ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---




(バカ。なんのために、わたしをパリに呼んだのよぉ!)

(シュンスケにお伝えしますか?)

(1億倍に増幅してね!)


--- ^_^ わっはっは! ---


「きみはとてもキレイだね、アンニフィルド」

「あ・・・」


「フランソワだよ」

「メルシー、フランソワ」

にこにこ・・・。




「まぁ、ムッシウ、コクブンジ!」

「シュンスケと呼んでください」

「じゃ、シュンスケ。あなたステキよぉ・・・」

「でへへへへ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---




(シュンスケ、少し、よろしいですか?)

(ああ。どうしたんだい、アンディー?)

(SS・アンニフィルドを、お一人にすべきじゃないとお伝えしたいんですが)



「シュンスケ、あなた背が高いのね。なにかやってるの?」

「はぁ、小さな会社ではありますが、一応、重役を・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ノン、ノン。スポーツかなんか。うふふ」




(アンディー、なに言ってるんだ?オレが、いるじゃないか?)

(リーエス。しかし、SS・アンニフィルドの周りには、男性が沢山おいでです)


(ずいぶん、もてるじゃないか?)

(そして、あなたの周りには女性が)


(まずいかなぁ・・・、これ?)

(普通は、誤解されても仕方ない状況だと・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---




「スポーツねぇ・・・」

「ふふふ。わかりますわよ。そのスタイル・・・、バスケットボールでしょ?」

「ノン。違います」



(あはは・・・。アンディー、アンニフィルドのことが、心配なのか?)

(ナナン。わたしが心配しているのは、あなたの方です)

(え?)


--- ^_^ わっはっは! ---


(すぐに、SS・アンニフィルドの下にお戻りください)

(わ、わかったよぉ・・・)



「すいません、マダム・エ・マドモアゼル。ちょっと・・・」

「まぁ、残念。恋人の側がよろしいですか?ふふふ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「恋人じゃないんです」

俊介はアンニフィルドの側に戻った。




「ずいぶんもてるのね?」

「きみもね」


「わたし・・・、ここに必要なの?」

「もちろんさ。これで、プロジェクト認可、間違いなしだな」


むっかぁ・・・。


--- ^_^ わっはっは! ---


「そう。それはよかったわね」



(警告、警告、シュンスケに警告します!)

(なんだよ、アンディー)

(SS・アンニフィルドの言わんとするところを誤解されています)


(なにがだよ?)

(SS・アンニフィルドは、あなたにとってどうなのかを聞いてるんです)


(オレにとって?)

(リーエス)



俊介はアンニフィルドを見つめた。


「なに?」

「そのなんだ・・・。きみがここにいてくれて、正直嬉しいよ」


「それで?」

「それでって・・・?」


「それだけなの?」

「へ?まだ、なにか言わなくちゃならないのか?」


きっ。

「・・・」


一人の若い男が二人の会話に入ってきた。


「アンニフィルド、ここにいたのか。探したよ」


にっこり。

「パルドン、ムッシウ。どなたでしたでしょうか?」


「ん、もう、切ないなぁ。ボク、ギョームだよ」

「ウィ、そうだったわ。業務さん、お仕事うまくいってます?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「業務じゃなくて、ギョーム」

「おほほ。失礼しましたわ、ギョームさん」


「さん付け?やだなぁ、気楽に呼んでよぉ、アンニフィルド」



(アンディー、だれだ、この馴れ馴れしいヤツ?)

(総支配人のご長男です)

(ええ?このいかにもスケベそうなヤツがシャデルの後取りかぁ・・・?)

(リーエス)



「今夜のパーティーくらいは、常務の側にいなくていいだろ?」



(なに言ってやがる、あん畜生・・・)


アンニフィルドは俊介の視線を感じて振り向いた。


「アンニ・・・」


べぇーーーっ。


--- ^_^ わっはっは! ---


アンニフィルドは俊介に舌を出すと、ギョームに向き直った。



(くっそう!)

(だから、先ほど、ご注意申しあげたはずです)

(もっと、早くに言ってくれよ、アンディー)


(どうするんですか、シュンスケ?)

(様子見だ・・・)

(リーエス)



にっこり。

アンニフィルドは、ギョームに微笑んだ。


「さ、なんのお話でしたかしら?」

「仕事の話しなんかいいからさぁ・・・」


すすっ。

ギョームは左手をアンニフィルドの腰に回した。


「パーティーなんか抜け出して、二人っきりで、ナイトクラブで飲み直ししないかい?」


ぴしっ。

「痛・・・」

「あら、どうかしまして?」


--- ^_^ わっはっは! ---



「あ、あの野郎・・・」

俊介は思わず口走った。



「だから、もっとロマンチックなところでさぁ・・・」

「なにをなさりたいの?」

「もっと、お互いを知り合わないかい?」

ギョームはアンニフィルドに手を伸ばした。


ささっ。

ぱっ。


「うわっ!」


アンニフィルドはギョームの目の前から後ろに瞬間移動した。


「くっくっくっ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---



(もっと、脅かせようかなぁ・・・)


くるっ。

「なんだ、そこにいたのかい?」


すたすた。

ギョームは再びアンニフィルドに寄って来た。


ぱっ。

また、アンニフィルドは後ろに1メートル瞬間移動した。


「うわっ!」


--- ^_^ わっはっは! ---


ぱっ。

「ボ、ボクは、夢を見てるんだろうか?」

ギョームは目をこすったり、頬をつねったりした。


「ムッシウ。シャンパンを召しあがり過ぎましたか?」

「ノ、ノ、ノン。たぶん・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


しかし、ギョームは首を傾げながらも、すぐに立ち直った。


「もっと静かなところで、しっぽりとさぁ・・・」



(こいつ、ひつこそうよ)

(リーエス。SS・アンニフィルド)



すぅ・・・。

ギョームは素早く顔を近づけた。


こちょこちょ・・・。


「うっ・・・」

その途端、アンニフィルドの精神波がギョームの鼻をくすぐった。


「どうかしまして?」

アンニフィルドは何食わぬ顔で言った。


ひくひく・・・。

「へっくしょい!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「あ、いや。だからさぁ・・・」

ギョームは今度はアンニフィルドの肩に手を回した。


ぴしっ。

再び、アンニフィルドの手がギョームの手を払った。


「スケベ」


(ざまぁ、見ろ!)


--- ^_^ わっはっは! ---


「あはは。なんか誤解してるようだね。挨拶だよ。挨拶」

「とてもステキなご挨拶ですわね、殿方にとって」


--- ^_^ わっはっは! ---


アンニフィルドはギョームと付かず離れず、ゆっくりと出口に向かった。


「どこに行くんだい?」

「お化粧を直しますの」


にたっ。

「そりゃ、都合いいや。実は、ボクも・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---



(アンディー、業務野郎、なんて言ってる?)

(お二人で化粧室へ)

(なんだってぇ、ヤツめ!)

(シュンスケ、SS・アンニフィルドお一人でも、なんなくこの場を片付けられるとは思いますが、地球の男性としてそれでいいんですか?)

(とんでもない。格好付けるところは、オレに決めさせろ!)

(リーエス)



--- ^_^ わっはっは! ---



つかつか・・・。

ぐいっ。


「ちょっと来い」

「痛・・・」

シュンスケはギョームの手を掴んだ。


「きみ、失礼な。彼女になにをするんだ?」

「どっちが失礼だ?」


ぐいぐい。



(アンディー、会場の注目を外させてくれ)

(リーエス)



すたすた。


にこりともしないで、俊介はジュリアンの腕を掴んでレストランの外に連れ出した。


ぐぃ。

アンデフロル・デュメーラの視界バリアで、それを見られたものはいなかった。


「なにをする!」


「黙れ、このスケこまし!総支配人の息子か娘か知らないが、つけ上がりやがって。今の様子も会話もすべてビデオに撮ってあるからな。重役連中に知れたら、どういうことになるか・・・、教えてやろうか?」


「ははは。ビデオカメラで撮影しただって?どこにあるんだよぉ?」

「3万キロ上空さ」

「へ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「やってくれ、アンディー」

「リーエス、シュンスケ」

「だ、だれだ?」


突然、女性の声がギョームの頭に響いた。


ぱっ。

じーーー。


アンデフロル・デュメーラは、ギョームの目の前に立体映像を再現した。


「あわわ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「来なよ・・・」


ぐいぐい。


現役ではないといえ、俊介は、スポーツで一番激しいコンタクトをするというアメフトのQBを何年かやっていて、筋トレは今でも続けていた。その俊介に腕を掴まれ、ギョームはそれを解くことができなかった。


さっさっさ・・・。


「どこに連れて行くの俊介?」

アンニフィルドは、小走りで後を追いかけた。


「どうするつもり?ギョームは、総支配人の長男よぉ」


すたすた。

「俊介・・・」

「こっちだ」


さぁーーーっ。

にこりともしないで、俊介はギョームの腕を掴んで、レストランの外に連れ出した。


「こら、失敬じゃないか?」


ぎりりっ。

「黙れ、この女たらし。オレの女に手を出すんじゃねぇ・・・」

俊介はギョームを睨みつけた。


「馬鹿。ボ、ボクをだれだと思ってる?父はシャデル本社の総支配人だぞ!」


ぐいっ。

「叫んでみろよ。やってみろよ。オレが、おまえを放り出してやる、地球の外へ・・・」


びゅーーーんっ


--- ^_^ わっはっは! ---


アンデフロル・デュメーラの立体映像は、ギョームがロケットよろしく大気圏を突破して、宇宙空間に飛び出していく様を表した。


「ひぃーーー!」

「パパやママに言いつけるならしてみろ。おまえの行為をここでシャデルのみんなに放映してやる」

「し、しないよ」


「誓え。そして謝罪しろ」

「ち、誓って、もうしないよ。アントワネット、許してくれ!」

「アンニフィルドだ!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「アンニフィルド、許してくれ!」


「もう、戻してあげて」

アンニフィルドが俊介に言った。


「おうらよ!」


ばさ、ばさっ。

ギョームは、俊介の両腕を振り解くと、パーティー会場に逃げ戻った。



(完璧です、シュンスケ)

(ありがとよ、アンデフロル・デュメーラ。ちっとは点数かせげたかな?)

(どういたしまして。10点です)


がくっ。


--- ^_^ わっはっは! ---


(たった、10点かよ・・・?)

(なにを言ってるんですか?10点は、満点のことですよ、シュンスケ)

(わははは。そうか、エルフィアのテストは10点満点なんだな!)

(リーエス)



「アンニフィルド、ケガはないか?」

「ナナン、ないわ・・・」

アンニフィルドは俊介の側に来た。


「俊介・・・」

「な、なんだよ?」


「ありがと・・・。お礼を言うわ」


(アンニフィルドの機嫌が直りました)


--- ^_^ わっはっは! ---


(そ、そっかぁ・・・)


「きみはSSだったんだよなぁ。オレより遥かに強いんだ。忘れてたぜ・・・」

「ううん・・・」


アンニフィルドの唇が近づき、シュスケの唇に触れそうになった。

かぁ・・・。


「へっくしょい!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「きゃ!」

「悪い・・・」


ぷいっ。

「知らない!」




「ムッシウ、クロイソ、どこで見つけたんですか?」

「なにをです?」


「アンニフィルドさんですよ」

「見つけたと申しましても・・・」


「ボン・ソワレ」

にこっ。


「ボン・ソワレ、マドモアゼル。コマン・ヴァ・テュ?」

「ごきげんよう、今日はどうも」


「日本支社も素晴らしい人材をお持ちだ」

「あはは・・・」


「アンニフィルドさん、日本で燻っていないで、パリに来ませんか?」

「ムッシウ・・・?」


「アンリです」

「そう、アンリさん。あなたもヘルメット、お似合いですわ」


--- ^_^ わっはっは! ---


きっ!

「ま、ヘルメットだなんて、失礼しちゃうわ」

アンリの妻が文句を言った。


「帽子っていうんだよ。マドモアゼル」

一人の紳士が、アンニフィルドの間違いを優しく訂正した。


「メルシー、ムッシウ」

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