192 朝帰
■朝帰■
「うへ。だんだん重くなってきちゃった・・・」
俊介から受け取ったアンニフィルドを両手で抱え、和人は家に入った。
「2時半に、荷物受け取ったよ」
「あ、そう」
「これ」
--- ^_^ わっはっは! ---
「和人さん、それは・・・」
「アンニフィルド。生モノだって・・・」
「あらあら・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「リーエス。疲れ切ってお店で眠っちゃたらしいんだ。常務が連れてきてくれたんだよ」
「そういうことじゃ、2時半のわたしもハズレってことね・・・」
「クリステア。もう、いいよ、賭けなんて」
「常務さんと、ずっとお飲みしていたわけじゃなかったのですか?」
「ジャンプのしすぎだわね・・・、ふわぁ・・・」
クリステアは右手であくびを隠した。
「シャンパン一口で、あっという間に寝入っちゃったって・・・」
「そうね、わたしもクタクタだもの・・・。うあーーーーっ・・・」
クリステアはまたしてもあくびをした。
「じゃ、そういうことで、後頼むわね、和人。おやすみなさぁーい」
「おやすみなさい」
ばたん。
クリステアのドアが閉まる音がした。
「しっかし、なんて格好してんだよぉ、クリステアは・・・」
「あーら、可愛いじゃありませんか?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「目の毒なの!」
「わたくしは?」
「きみは目の保養・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
だっだっだ・・・。
「言ったわねぇ、和人・・・」
ぼぎぼぎ・・・。
「ひぇーーー。クリステア、ごめんなさい!」
「わたくしたち、可愛いくないですか・・・?」
「そりゃ、まあ、可愛いに決まってけど・・・」
「和人さんがそう言ってくれて、とっても嬉しいですわ」
「ユティス・・・」
「はいはい。おしまい。おしまい。本当に寝るわよ、わたし」
今度こそ、クリステアはベッドに戻った。
「オレ、アンニフィルドを2階の部屋に運ばなくちゃ」
「和人さん」
「大丈夫。アンニフィルド、以外と軽いんだ。頭のせいかな?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「まぁ、和人さんったら、酷いですわ」
「えへ・・・」
和人はアンニフィルドを彼女の部屋に入れようとした。
かちゃかちゃ・・・。
「あれ?鍵がかかってるよ」
「どうしたんですか?」
「開かないんだ・・・」
「パスワードですわね」
「パスワード。時空ロックかぁ・・・。てことは、中に入れないじゃないか・・・。困ったぞ・・・」
和人はアンニフィルドを両腕に抱えたまま、ユティスに言った。
「そういうことでしたら、わたくしのべッドに運んでくださいます?」
「え?でも、そうしたら ユティス、きみの寝るところがなくなるじゃないか?」
「それなら・・・、心配いりません。んふ?」
にこっ。
--- ^_^ わっはっは! ---
たら・・・。
「まさか・・・」
「和人さんのお部屋がありますわ」
「ええーーー!」
「また、ご一緒させてくださいませんか?」
ユティスは甘え声で言った。
--- ^_^ わっはっは! ---
「ちょっと・・・、オレだって、男なんだからね」
「リーエス」
「理性なんかないんだからね」
「リーエス」
「オレ、寝る時なんにも着けないんだからね」
--- ^_^ わっはっは! ---
「リーエス」
「もう、容赦しないんだからね」
「リーエス」
「わー、拷問だよ、これ!」
「とにかく、アンニフィルドをわたくしのベッドに」
「・・・うん」
和人もさすがに腕が疲れてきた。
「よいしょっと」
どさ。
「ちょっと、和人さん。後ろを向いててくださいますか?」
「リーエス」
「アンニフィルドもこのままじゃ、リラックスして眠れないからかい?」
「うーん。少し違います・・・」
「じゃ、なに?」
「和人さんが、わたくし以外の女性の裸を見ちゃ嫌です・・・」
「へ・・・?」
--- ^_^ わっはっは! ---
ユティスはアンニフィルドのシャツやスラックスを脱がせて、ブラもはずして、下着1枚にした。
さ。
するする。
ささ・・・。
悩ましい衣擦れの音が、和人の煩悩を刺激した。
「うぉ・・・。色即是空、色即是空・・・」
ぽくぽくぽく・・・。
ちーーーん。
--- ^_^ わっはっは! ---
「これで、アンニフィルドも気持ちよく眠れますわ」
(とてもじゃないけど、正気を保てない)
「じゃ、オレ、下に戻るね」
「リーエス」
(ほ・・・。よかった・・・)
「和人さん?」
「なんだい?」
「すぐに、わたくしもまいりますわ」
--- ^_^ わっはっは! ---
「まいりますったってさぁ・・・。オレ、ホントにしらないよ。警告したからね」
和人は一人つぶやいた。
(神様、仏様、オレの本能が暴走しないようにお願いします!)
「色即是空、色即是空・・・」
ぽくぽくぽく・・・。
ちーーーん。
--- ^_^ わっはっは! ---
とんとん。
「どうぞ」
かちゃ。
「失礼しまぁーす」
和人の部屋にユティスがネグリジェ姿で入ってきた。
がらーーーん。
「まあ、すっきりしてて、とってもキレイなお部屋!」
「なんにもないってことかい?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「んふ。では、おやすみなさい、和人さん!」
すっ。
「へっ・・・!」
ユティスは、さっさと和人のベットに潜り込んだ。
--- ^_^ わっはっは! ---
(しまった。先手を取られた。これじゃ、オレが夜這いかけてるようなもんじゃないかぁ。自分のベッドなのにぃ・・・)
--- ^_^ わっはっは! ---
ユティスがベッドの中央を独占したため、和人はベッドが使える状況になかった。
「ちっ、しょうがないなぁ・・・」
和人はあきらめて床に寝転び、座布団を枕にした。
(あーあ、疲れた。疲れた。寝よ。寝よ)
和人はカーペットの上に寝転んだ。少々固くて寝心地は良くないが、なにしろ疲れていたのでたちまち眠くなった。
「ユティス、おやすみ・・・」
俊介は、その夜マンションにこっそり戻ってきた。
かちゃ。
「俊介、帰ったの?」
(姉貴だ。3時半だってのに、まだ、見積やってたのか。やば・・・)
「ああ、ちょっとシャワー浴びてから寝るよ」
「そう。黒磯さんに見積出しといたわよ」
「お、サンキュー。オレ、シャワー浴びて寝るから」
「あ、そう。じゃ、おやすみ」
「ああ。おやすみ」
俊介はバスルームに直行した。
「ちっきしょう。アンニフィルド・・・」
にたにた・・・。
「派手にやってくれたぜ・・・」
俊介は鏡を覗き込んで、言葉とは反対にニンマリと一人笑った。
「自分で確認できるだけで、4つか・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
(もてる男はつらいねぇ。どうしたものか・・・?)
「こんなにキスマークつけられたら、誤魔化しようがないよなぁ・・・」
俊介は首についたキスマークを指でなぞった。
「でも、悪い気はしないな・・・」
にたにた・・・。
「好きよ、か・・・」
にんまり・・・。
--- ^_^ わっはっは! ---
「アンニフィルドも、どこまで本気だか・・・。姉貴の言うとおり、オレ、惚れちまったかな。まいったぜ・・・。1週間で消えるかな・・・。こんなんじゃ、まじで、会社には顔を出せられないぞ・・・。さて、どこにばっくれるかな。姉貴が起きる前に、さっさと、うちを出ないと・・・。おっと、パスポートを残してたら、ウソがバレちまう」
俊介は、4日分の着替えをまとめると、バッグに詰め込んだ。
さらさらさら・・・。
俊介は、姉への置手紙を書いた。
「さてと。オレ様の愛する、姉貴様へと。見積、メルシー・ボクっと。で、オレ様は休養でパリにいくことにと・・・」
俊介は念のために読み返した。
「あれ?休養じゃなくて、急用の間違いだ・・・。つい、本音が出ちまったぜ」
--- ^_^ わっはっは! ---
「危ない、危ない・・・」
ぱたんっ。
俊介は書置きを残して、マンションを後にした。
「うーん。朝だわ」
アンニフィルドは目を覚ました。
「あれ、ここ、どこかしら?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「あー、ユティスの部屋ね。変ね、なんで、わたしがユティスの部屋に?」
アンニフィルドはすぐに自分が下着姿なのに気づいた。
「あらまあ、大変。なんて格好なの!」
--- ^_^ わっはっは! ---
アンニフィルドは自分の服を探した。
「あったわ」
きれいにたたまれて、それはアンニフィルドの横に置いてあった。
「なにがあったのかしら?わたし、ほとんど覚えてない。俊介とシャンパンバーに行って。グラス1杯だけよね。飲んだのは。あれしきで酔っ払っちゃったていうの。でも、どうやって、うちに帰ったのかしら?しかもユティスの部屋に・・・」
服を着ると、アンニフィルドはユティスの部屋を出た。
「おっはよう。ユティス。クリステア。和人。みんな、いる?」
「・・・」
しーーーん・・・。
アンニフィルドの挨拶には、だれも答えなかった。
「まだ寝てるのかしら?」
アンニフィルドは自分の部屋のドアを開けようとした。
がちゃ、がちゃ・・・。
「ロックかかったままだわ。そういうことぉ?わたしが部屋をロックしてたから、みんなして、わたしをユティスの部屋に運んだのね・・・。ということは、やっぱり、わたしはだれかに運ばれたのよ、ここまで。どこから・・・?だれに・・・?」
アンニフィルドは右手を顎にやった。
「俊介・・・。まっさかね。それに、裸同然にひんむかれちゃったってことは・・・?」
ほっ。
「大丈夫!貞操は守られてるわ。てことは、俊介がやったんじゃないと・・・」
「クリステア?」
アンニフィルドはクリステアの部屋のドアを開けた。
かちゃ・・・。
「開いちゃった・・・。あらあら。無用心だこと」
すぅ・・・。
クリステアはベッドで熟睡中だった。
「SSのくせに、無防備に眠りこけてていいのかしらね?」
がばぁ・・・。
「なにか言ったぁ、アンニフィルド?」
「きゃ!お、起きてたの?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「びっくりさせないでよぉ・・・」
「一応、起きてるけど。そのくらいで驚いてたら、SS務まらないわよぉ」
「いいの。ユティスは?」
「さぁ。部屋にいない?」
「ナナン。いないの。だって、わたしが寝てたんだもの」
「あーーーっ!」
「どうしたの、クリステア?」
「和人よ、和人、和人の部屋!」
「そういうことぉ・・・。見てくるわ」
とんとんとん・・・。
アンニフィルドは1階に降りていった。
「ちょっと、アンニフィルド、待ちなさいってば。入るんだったら、ノックぐらいしてからにした方がいいわよ」
「わかってるわよ。キッスでしょ?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「ナナン。それ以上だったら、どうするつもり?」
「あは。仲間に入れてもらおうかしら?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「勝手になさい」