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186 機内

■機内■




ぱっ。


Z国のエージェントの前で、アンニフィルドたちの4人は光に包まれた後、あっというまに空中に溶け込むようにして消えた。


「うゎーーー!消えたぞ!」

「バカ言え!」

「本当に、消えたんだよ!」


ぱこんっ。

「寝ボケるのも、たいがいにしろ!」


「ウソじゃないったら。空中に溶け込むようにして、光に包まれて、消えちまった」

「探せ!」


Z国のエージェントたちは、ユティスたちを必死であたりを探した。


「いないぞ。草の根分けてでも探しだすんだ」

「女王様に誓って、オレの目の前で消えたんだ!」

「女王様?だれだ、そりゃ?オレたちの国は共和制だぞ」

「オレの上さん」


ぱこんっ。


--- ^_^ わっはっは! ---


「ぶっ殺されたいのか!」


「だが、あいつらは人間じゃない」

「ん・・・?」


「どうかしたのか?」

「そういうことか。わかったぞ。リッキー・Jに連絡しろ」




アンデフロル・デュメーラサポートの下、SSが4人を送り込んだところは

空港に向かうジェット旅客機の中だった。


ぐぉーーーっ。


追っ手をまんまとまくことに成功したユティスたちは、飛行中の旅客機のど真ん中に、いきなり現われた。


ぶわんっ。

ぱっ。


「ひ!」

和人のそばにいた乗客は悲鳴を上げた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「こんにちわ・・・。14のG席と・・・。どうも。ここ、空いてますか?」

和人は会釈をした。


--- ^_^ わっはっは! ---


「ええ・・・」

乗客は目をこすりながら和人を見つめた。


「どこから、お乗りになったのですか?」


乗客の質問に、ユティスはにっこりと微笑んだ。

「もちろん、たった今地上からですわ」


--- ^_^ わっはっは! ---


乗客はユティスをまじまじと眺めて、首を振り十字を切った。


「主よ・・・」


(そんなはずはない。これは、まぼろしだ・・・)


「そ、そうですよ。あははは・・・」

和人は誤魔化すのに懸命になった。


「あ、ユティス、きみは、そこね」

和人は幸い隣同士2つ空席を場所を見つけた。


「リーエス。ありがとうございます」


--- ^_^ わっはっは! ---


「こんにちわ・・・」

ユティスはにっこりと笑顔で会釈した。


「ど、どういたしまして・・・」

年配の女性乗客はユティスの美しさにも驚いた。そして、二人が突然現れたことなどどうでもよくなった。


(あら。なんてキレイなお嬢さんだこと・・・。まるで、若い時のわたしみたいだわ・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


幸い、そこは通路に挟まれた2人席っだた。和人は当たり前のような顔をして座った。


「ちょっと、お手洗いにね・・・」

「そ、それは・・・、随分と長かったようですね・・・」

「あはは。いつものことでして・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


だが、隣の乗客は和人の言葉を少しも信じている様子ではなかった。


ユティスは目が合うとにっこり微笑んだ。

「こちらのお席、よろしいでしょうか?」

にこっ。


「まぁ!失礼しました。どうぞ、どうぞ」

隣の乗客は打って変って、親しみやすくなった。


(ちぇ、ユティスが、出たら百八十度、態度が違うんだから)


--- ^_^ わっはっは! ---



ぶわんっ。

SSたちが機内の後部に現れた。


「あーあ、後部座席は、ファーストクラスじゃないのね?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「そうみたい」


「ひっ!」

「きゃ!」

「うわ!」


アンニフィルドとクリステアが現れると、彼女たちと座席が前後左右の乗客は腰を抜かした。


「こんにちは。お日柄もよろしいようで」

「おほほほ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「航空機の中じゃ、雨なんか降らないわよ、アンニフィルド」

「そっかぁ。あはは・・・」

2人は苦笑いしてごまかした。


--- ^_^ わっはっは! ---




旅客機の中で4人は目立った。


「あの・・・お客様・・・」

客室乗務員たちは、彼女たちがなぜここにいるのか訝い、目を疑った。


「お戻りになられたんですよ。わたくしたち」


--- ^_^ わっはっは! ---


「はぁ?」

「だから、戻ってきたの」


「あ・・・。お手洗いですね。失礼しました。すぐに、おしぼりをお持ちします」

客室乗務員はあたふたと、パントレーに消えていった。




「ちょっとぉ・・・」

「うん、うん・・・」

彼女たちはお互い頷きあった


「おかしいわねぇ。この便は211名のはずと思ったなのに・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「どうしたのですか、チーフ」

「4名多いのよ、記憶より・・・」


「チーフもですか?」

「あなたも、そう思う?」

「はい・・・」

「乗客リストを、チェックします」

「お願い」


そのアテンダントは乗客名簿の総数を数えて、チーフに報告した。

「210・・・、213、214、215。乗客は215名です」


「215名?」

「どういうことでしょうか・・・?」


--- ^_^ わっはっは! ---


キャビンアテンダントたちは見合った。


「やっぱり、変よ・・・」

「でも、今見たら、乗客名簿も215名になってるの」


乗客名簿には窓口担当の記憶にない名前が、4つ追加されていた。


「あら。そういえば、この便に、外国のお客様っていたかしら?」

キャビンアテンダントはユ、ティスたちエルフィア人の名前を指した。


--- ^_^ わっはっは! ---


「ユティス・アンティリア・ベネルディン・・・」


「わたし、どっかで聞いたことあるような気がします・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---




ぐらっ。

かすかにジェット旅客機がおかしな揺れ方をした。乗客は気づかなかったが、パイロットたちはすぐに気づいた。


「コ・パイ(副操縦士)。なんだ、今の揺れは?」

「わかりません。タービュランス(気流の乱れ)の報告は聞いてませんが」


「OK。至急、チェックを」

「ラジャー」


「エンジン、OK。フラップ、OK。・・・・、警告ランプは、どれもついてません」


「よし。この先、高度も低くなる。着陸に向けウインドシア(地上付近の突風)に注意しよう。カンパニーラジオ(航空会社用無線チャンネル)で報告を」

「はい、機長」

副操縦士は会社無線に周波数を合わせた。


「こちら、105便です」

「こんにちは、105便」


「どうも。空港手前20キロ付近、高度3000で揺れを感じました」

「了解、105便。情報提供、ありがとうございます。気象状況を確認します」

「お願いします」


「他になにか、ありますか?」

「いえ。特には」

「現在、空港への降りが、多少込んでいます。順番待ちになる場合は、ご一報を」


「了解。それで、VIPがファーストクラスにいます」

「小川瀬令奈さんですね?」


「はい。コックピット(操縦室)の後ろでは、ファーストクラスで、CA(キャビン・アテンダント:客室乗務員)たちが手を焼いています。降りてからも、バゲージ(荷物受け取り)を最優先をしないと、騒ぎ出すかもしれません」


「了解です。困ったわね」

「そっちは、グランド・サービスにお任せします。よろしく」


「了解です。連絡しておきます。お気をつけて」

「ありがとう。どうも」




客室では、アテンダントたちが、どうしても腑に落ちなかったので、ひそひそ話しをしていた。ファーストクラスのアテンダントも加わってきた。


「ちょっとぉ。あそこの外国人の若い女性・・・」

「なぁに?」

「オーラを出して歌ってた娘じゃない?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「あー、わたしテレビ見たわ。そうよ!あの娘だわ・・・」


「だあれ?」

「どっかの中華屋さんで、天使じゃないかって騒がれた娘よ」


「ひょっとして、うちのCM歌手をプロデュースしている烏山ジョージがプロデュースするとか言われている・・・」


「小川瀬令奈も乗ってるんでしょ?」

「ひょっとして、それに関係があるのかしら?」

「ええ。たぶん、間違いないと思うわ」


「新人じゃない、烏山ジョージの・・・」

「わたし、見たわ、あの番組」

「わたしも見たの」


「そ、それに・・・」

「なあに?」

「乗客名簿の名前・・・」


「どれどれ・・・」

「あ!」


「ユティス・アンティリア・ベネルディン・・・」

「ちょっとぉ、それ、図星じゃない。その天使だって言う娘の名前、ユティスとか言ってたわ」


「じゃあ、これ本名じゃない?」

「どこかで見たと思ったのよねぇ・・・」


「しかし、信じられないくらい可愛いくてキレイじゃない?」

「言えてる。でも、搭乗する時には見かけなかったわよ、絶対・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「そうね。わたしもそう思う」


「じゃ、いったいどうしたというの?」

キャビンアテンダントたちは顔を見合わせた。


「急に現れたのよ・・・、空港手前の高度3000で・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「バカ言わないでよ。ありえないわ」

「だって、いなかったものは、いなかったんだってば・・・」


「さっき、客室で声がしてたわよね?」

「なんか悲鳴っぽかった」


「彼女が現れたから・・・?」

「そんな馬鹿な・・・」


「とにかく、急に席にいたのよ」

「ぜんぜん、気づかなかったわ・・・」

「わたし、すぐ近くにいたのよ」


「じゃ、本当に・・・?」

「それ、もしかして・・・」


「人間じゃなくて、ホントに天使だとしたら・・・?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ま・・・、まさかね・・・」

「お迎え?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「じょ、冗談じゃないわ!」




瀬令奈のマネージャーはそれを聞きつけた。


「あの、瀬令奈さん。あの娘、この便に乗っているようですよ」


「だれ?」

「天使の娘」

「天使?悪魔の間違いじゃない?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「とにかく、この便にいるようですよ」

「ふん。ユティスね。どこに立っているの?」

「あの、飛行には立ち席はないんですが・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「知ってるわよ。席があって運がいいことね!」


「ファーストクラスではないようです。エコノミークラスかも・・・」

「当然ね。デビュー前のくせして、ファーストクラスのわけがないじゃない。いいわ、わたしが確かめてくる」


すくっ。

瀬令奈はさっと席を立った。


「お客様、もうすぐ着陸ですので、お早めにお席にお戻りください」


チ―フパーサーが、瀬令奈に穏やかに言ったが、また勝手なことをしでかすのではないかと、アテンダントたちに目配せした。


きっ。

「うるさいわね!すぐに戻るわよ!」

「はい。お気をつけて」


瀬令奈は、彼女を睨みつけるとエコノミークラスに入って行った。




「あーあ。なんていけすかない女なの!」

「仕事、仕事。割り切りなさい」

「そうよ。一応、ファーストクラス。うちのCMシンガーなんだから」

「床下のカーゴ・エリア(貨物室)で十分よ!」


--- ^_^ わっはっは! ---


(どこよ、ユティスは?)

瀬令奈はあたりを見回した。


ざっと、200名はいるエコノミークラスで、シートに隠れた特定の人間を見つけるのは簡単ではなかった。ファーストクラスから、艶やかなファションに身を包んだ瀬令奈を見つけて、乗客がざわついた。


「あ、あれ!」

「ひょっとして、小川瀬令奈?」

「そうみたいだ」


「お客様、ファーストクラスからのエコノミークラスへの移動は、なるべく・・・」


きっ。

「うるさいわね!」


すたすた・・・。

瀬令奈は構わずエコノミークラスを進んでいった。


「サインもらおうかしら?」

「ダメダメ。彼女、めったにサインなんかしないんだ」

「まぁ、サービス精神に欠ける女だわねぇ」


--- ^_^ わっはっは! ---


瀬令奈は、総じて、30代以上の女性には人気がなかった。


(ユティス、変な娘。いきなり現れたり、消えたり。この便に乗っているのなら、好都合だわ。逃げ場はないわよ。絶対に正体を掴んでやる)


瀬令奈は最後尾の方に向かって、乗客を確認しながら、ゆっくり歩いていった。




「どうしたんだろう?」

「なんだか、騒がしいですね」


「うん」


和人は乗客がざわついたので前方を見ると、ちょうど、瀬令奈が2人の方に向かって歩き始めたところだった。


「あっ。瀬令奈だ・・・」

和人はユティスに耳打ちした。


「見つかっちゃうと面倒なことになるぞ」


ユティスは微笑んだ。

にっこり。


「大丈夫です。瀬令奈さんお一人なら、幻影をご覧になってもらいましょう。わたくしたちにはお気づきになりませんわ。和人さん、堂々としていましょうね」


ユティスは瀬令奈を遠目に見つめると、なにやらつぶやいた。

「すべてを愛でる善なるものよ、彼の女の眼に映る我ら二人の姿を、変えさせ給え」


すぐに、瀬令奈は和人たちのすぐ目の前に来た。


「やばいよ・・・」


ごっくん。

和人は息を呑んだ。


「大丈夫ですわ」

「ん・・・?」

瀬令奈は一瞬和人とユティスを見つめた。


「・・・」

「気のせいね・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


そして、2人の真横を素通りすると、最後尾の方に移動していった。


「はい。行ってしまわれましたわ」

「うん。おかしいな・・・。素通りしたよ?」


どうしたことか、目をまともに合わせたというのに、瀬令奈が2人にまったく気づいた様子はなかった。


ぱちっ。

ユティスは和人にウインクした。


「瀬令奈さんには、わたくしたちは900歳の老夫婦に見えてるんですよ」

「900歳の老夫婦?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「はい。和人さんは、ロマンスグレイの穏やかなおじいさま。わたくしは・・・、ご想像におまかせしますわ」

「ユティスが、900歳のお婆ちゃんだってぇ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


和人は、たとえ60歳であろうと、ユティスのおばあちゃん姿など、想像もできなかった。


「SSたちは?」

「おそらく、一番後ろのお席だと思います。心配なさらないで、お二人とも、わたくしより力は数段上ですから」


瀬令奈は最後尾まで行くと、別の通路を通ってファーストクラスの方へ戻っていった。




ぶわんっ。

アンニフィルドはアテンダントのそばにいきなり現われ、、彼女にウインクした。


「ハーイ。お姉さん。お水ちょうだい」

「ひいーーーっ!」

「・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


いきなり現れたSSたちに、アテンダントは声を失っていたが、瀬令奈だけは、SSの二人を見ることができなかった。クリステアの強力な幻影で、瀬令奈にとって、SSは存在しなかったのだ。


すたすた・・・。

瀬令奈はSSの前を素通りした。


「いけすかない女」


アンニフィルドが囁いた途端、瀬令奈はアンニフィルドのとなりのキャビンアテンダントを睨みつけた。


きっ。

「あなた、なにか言った?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「い、いえ、なにも申しあげてはおりませんが・・・」

「ばーーーか」


--- ^_^ わっはっは! ---


アンニフィルドは再度言った。


「バカって言ったでしょ!」

瀬令奈はキャビンアテンダントに噛み付いた。


「と、とんでもございません!」


つん。

(アンニフィルド、やりすぎよ)

クリステアはアンニフィルドを指先で押し、それをたしなめた。


(ふんだ!)


「ふん!」

途中、心配そうに、アテンダントが瀬令奈を見守ったが、瀬令奈はそれをはねつけるように見つめると、さっと踵を返して自分の席に戻っていった。


すたすたすた・・・。




どさっ。

「いなかったわよ。人違いじゃない?」


--- ^_^ わっはっは! ---


瀬令奈はマネージャーを馬鹿にするように言った。


「まさか・・・。客室乗務員がウソをいうわけがないんじゃないですか?」

「じゃ、わたしがウソ言ってるっていうの?」

「そんなことは・・・」


「なぜ、わたしには見えないのよ?」

「そりゃ、天使は善人にしか見えないんでしょうから。たぶん・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「なんですって?じゃ、わたしは、善人じゃないって言うの!」


「いや、オレは信じてますけど」


(もちろん、悪人の方に・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


「なら、いいのよ。まったく、なんだって、こんなことに・・・」


(オレ、もう、瀬令奈のマネージャー、止めてやろうかな・・・)


マネージャーは不満たらたらでエコノミークラスの方を振り返ったが、すでにカーテンがファーストクラスとエコノミークラスを仕切っていて、向こう側はまったく見えなかった。

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