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179 番組

■番組■




テレビのワイドショーでは、エルフィア娘たちの話題が取り上げられていた。


「さて、今日は、あの天使の歌で一気に人気絶頂のユニットが、ゲストです。といっても、いつも神出鬼没のみなさんなんで、スタジオにはおいでいただいてません。それで、先日行なわれた野外ステージの録画のハイライトシーンと、本人たちに番組でインタビュー&メッセージのビデオをお送りします」


すぐにビデオが始まった。


「はぁい、地球のみなさん。わたしたちは、エルフィアでぇーす」

3人娘はコーラスした。


「今日は、ビデオだけど、みなさんにメッセージを送れるっていうんで、本当に光栄だわ。わたしはアンニフィルド」

「ショートヘアのわたしがクリステアよ」

「わたくしはユティスです」


アンニフィルドがウィンクしながらユニットの紹介を始めた。


「わたしたちは、地球から5400万光年も離れた、そちらで言う、NGC4535銀河にあるエルフィアという世界から、はるばるやってきたのよ。UFOとかいう宇宙船なんか使わないで、びゅうーーーんて、一っ飛びでね」


--- ^_^ わっはっは! ---


「うぉーーーい!」

ぴゅー、ぴゅーーーっ!


「地球は初めてなんで、興味津々といったところね。地球語を覚えるのは大変だったけど、とってもきれいな言葉だと思うわ」


「うぉーーー!」


ぴゅー、ぴゅーーーっ!

男性たちの叫びやら口笛やらで、スタジオは盛り上がっていた。


次にクリステアが言った。

「はじめまして。クリステアよ。ここは、たくさん人がいて、活気あふれているわ。わたしも、ここが好きになりそう。みんな、面白いところがあったら、ぜひ、紹介してね」


「うぉーーーい!」

ぴゅー、ぴゅーーーっ!


「はじめまして。わたくしはユティスと申します。地球はとってもステキなところですわ。わたくしはここが大好きです」


「うぉーーーっ!」

ぴゅー、ぴゅーーーっ!


「そして、こっちのダンディー君が、ウツノミヤ・カズト。きみも、よく頑張ってるよね?」

「あ、はい」


「引き立て役も道に行ってるよぉ」


--- ^_^ わっはっは! ---


(なんだよ、コイツ。失礼な・・・)


「あー。宇都宮和人です。ユニットで、唯一の男性を務めています」

「男性を務めるって、それ変じゃないですか?」


番組のレポーターが突っ込んできた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「あ!男性です!コーラスでは、バスとテナーを務めています」

慌てて和人は言い直した。


「あははは、ホント!まるで、無理やり、あなたが男性してるみたいじゃない?」

アンニフィルドが笑った。


「うふふふふ」

「ははははは」


「さて、みなさんは、エルフィアという、地球からとっても遠い星で、お生まれになったとかですが、それはどんなところですか?」


レポーターは、それが彼女たちの最高のジョークと取っていた。


「和人は地球人だけど・・・」


ちらっ。

「あー、そうなんですか。あなただけ、地球人?」


--- ^_^ わっはっは! ---


むか・・・。

「悪いですか?」


「和人、むくれちゃだめよ」

「はいはい」


「アンニフィルド、きみはとっても愉快な女の子だね?」

「あは。やっぱり、そう思う?」

「ええ。そう思いますよ」


「それで、エルフィアがどうだって?」

「そうそう、お国はどのようなところですか?」


「そうねぇ・・・。自然がたっぷりあって、みんな、善と愛に包まれて、幸せに暮らしているかなぁ・・・」


「そいつは、スゴイなぁ。海とか山とか森とかあって、おとぎ話にでてくるような世界なのかな?」

「リーエス。惑星中が自然公園になっているような感じです。地球のような都市や、大きくて高い建造物は、ほとんどありませんわ」


にこにこ・・・

ユティスは笑みを浮かべて語った。


「街もビルないの?」


「ここのメトロポリスのような都市はありません。郊外の広々とした住宅街のような感じですわ。建物もせいぜい高くても4、5階です。それ以上高く大きくする意味がありませんもの」


「どうしてかなぁ?」


「一つは、そんなに沢山の人が日常的に集まる必要性がないということです。地球の方は、毎日お仕事でそういったところにみなさんお集まりになるところが必要なんでしょうけど・・・」


「働かないの?」

「ナナン。社会へ貢献する喜び、健康維持のため、エルフィアではみんなが楽しんで働いていますわ」


「ふぅーん。なんだか、すごいところのようだねぇ」


「それにもう一つは、自然環境との調和を保つためです。人は、水とか緑に安らぎを覚えます。もし、都市が必要以上に大きくなれば、それらはあっというまに壊されてしまいます」

「そうだよねぇ。ユティス、きみは環境大臣になれるんじゃないかな?」

「ありがとうございます」


--- ^_^ わっはっは! ---


ひらひら・・・。

3人娘たちのスカートのようなものが風に揺れた。


「で、いつも、こんな格好してるの?エルフィアの正装だって聞いてるけど・・・」


3人娘はゆったりした白中心の服装にしていた。また、頭には、エルフィアの紋章をあしらえたティアラかカチューシャのようなもので、髪を飾っていた。


「いつもじゃないかな。特別な時だけ。新しい世界の代表と会う時とか」


にっこり・・・。

アンニフィルドがにこやかに答えた。


「そりゃ、光栄だな。こうしてボクと会ってる時に、これを着てくれてるんだから」

「あら、そうれはどうも」


「クリステア。きみは、ショートヘアが、すごっく似合っているね?」

「ありがとう」


「長いと、立ち回りにじゃまなのよ。ユティスと和人を守らなきゃいけないから」

「二人を守るって、どういうことかな?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「だから、セキュリティ上、二人に問題が起こらないように、気を配ってるのよ。地球には、なにをするのかわからない、怪しいのがうようよいるって聞いたから」


--- ^_^ わっはっは! ---


「セキュリティって・・・。まさか、シークレット・サービスじゃあるまいし?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「そうよ、そのシークレット・サービス。それが、わたしの本当の役目」

「あら、わたしだって、そのシークレット・サービスなんだから」

「アンニフィルド、きみもかい?」

「ええ。なんなら、試してみる?」


びゅっ!

アンニフィルドは上段回し蹴りを放ち、司会者の5センチ手前で寸止めした。


「ひえーーーー。ご勘弁を!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「うふふふ。アンニフィルドもクリステアも、お二人とも、エルフィアでは、最高級のSSセキュリティ・サポート資格を持ってますのよ」

「ははは・・・。十分、わかりました」


「うふふふふ」

「ユティス。きみは、とっても柔和で、エレガントで、優しそうだけど、この二人と同じくらい、武術の達人だったりして・・・」


「うふふふ。わたくしは、エージェントですから、お二人とは違いますわ」

「よかった・・・」


ほっ・・・。

司会者は安心した。


--- ^_^ わっはっは! ---


「それで、きみたちが、歌ってる時に、身体から虹色の光が出てきて、全身を包んでいるようなんだけど、その光はどうやってするのかな?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「そうねぇ。意識したことなんかないから・・・」


「わたくしたちは、歌い、精神がリラックスしてくると、生体エネルギーの放射がはじまるのです。それが、そんな風に見えるんだと思いますわ」


「生体エネルギーの放射って、そんなもの、普通出てくるんですか?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ええ。精神の訓練をすれば、地球の方でも可能です」

「地球人のボクでも?」


「はい。でも、少しお時間がかかるかもしれませんが・・・。和人さんは、頭脳の活性化が進んでいます。今では、生体エネルギーが、目に見えるくらい強くなっていますわ」


「訓練が必要ということ?」

「はい」


「ユティス。ところで、きみはエルフィア教会の司祭の資格を持ってるとか・・・?」

「はい」


「きみは、女性なのに、司祭なんだ・・・」

「はい。いけないのでしょうか?」


「いや、少なくとも、地球では、司祭といえば、みんな男性ですからねぇ・・・」

「地球は、変ったところなのよ」

クリステアがあっさり言った。


--- ^_^ わっはっは! ---


「そ、そうですか・・・。2000年位前まには、巫女と呼ばれる卑弥呼のような女性司祭も、いるにはいたんですけどね・・・」


「じゃあ、後退しちゃったわけ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「参ったなぁ・・・」


「うふふふ。和人さんがいつか神社でおっしゃてましたわ。この日本の神さまで一番偉いのは天照大神という女性の神さまですって」


「そうよ、女神の国ね、ここは」


「あーーー。それで、所属事務所は、正式ではないということですが、烏山ジョージさんのところからって、聞いてるんだけど、どんな具合かな、アンニフィルド?」


「ん?」

「小川瀬令奈ちゃんと一緒のところから、デビューなんでしょ?」


「あー、あの超我儘駄々っ子?」


--- ^_^ わっはっは! ---


びくっ・・・。

「あはは・・・。瀬令奈ちゃんのファンがなんて言うか・・・」

「セレブに批判はつきものよぉ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「それで、デビューの方は・・・?」


「烏山ジョージ、彼が、一方的に先走ってるから、なんとも言えないわ」

「でも、ジョージさんは、事務所からのきみたちのデビュー宣言をしてますけど?」

「まだ、テストに受かったわけじゃないから・・・」


「ええ?オーディションがあるの?まさか、落っこちる可能性があるって言うの?」

「彼の方がね。テストしてるのは、わたしたちの方」


--- ^_^ わっはっは! ---


「そ、そうなんだ?」


「え、そう。そう。事務所なんて掃いて捨てるほどあるんでしょ?」

「そんなこといったら、怒られますったら」


--- ^_^ わっはっは! ---


「あなたが?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「では、おしまいに、番組の視聴者のみなさんに、なにか、一言」


「はい。では、みなさん、いつもありがとうございます。わたくしたちは、みなさんの幸せをお祈りします」


「お祈り?」

「はい。アンニフィルド、クリステア、和人さん。地球のみなさんに、お祈りを捧げましょう。まいりますわ」


「リーエス」


「すべてを愛でる善なるものよ、地球のすべての生きとし生けるものに、永久の幸、あらんことを。フェルミエーザ・エルフィエーザ、ユティス・アマリア・エルド・アンティリア・ベネルディン」


「ア・リーエーーース」


「ということで、エルフィアのみなさんでした」


「しかし、彼女たちは、地球外から来た宇宙人だったのですかぁ・・・」

「そういうことです。だから、あのような奇跡みたいなことも、できたんですね」


「どこかの銀河って、言ってましたよね?」

「ええ。確か・・・」

「地球人の言うところのNCG4535」


--- ^_^ わっはっは! ---


「そう、それです。NGC4535です」


「なんです、それ?」

「まかしてください。ちゃんと、調べてあります」


「地球から見えるんですか?」

「大きな顕微鏡じゃないと見えませんが・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「それを言うなら、望遠鏡でしょう?」

「あはは。失礼しました。望遠鏡です」


「大丈夫かなぁ・・・」


「NGC4535というのは、乙女座銀河団の一つです。推定5400万光年離れていて、形は中心が棒状になった渦巻き銀河で、直径は10万光年以上と見積られています」


「へぇ・・・。5400万光年ですかぁ・・・」

「遠いでしょ?」


「想像できませんね。光が5400万光年かかって、やっと地球に届くんですよね」

「そういうことになります」


「じゃ、今、われわれが見ているエルフィアの姿は、地球では恐竜が絶滅した頃と変わんないくらい昔の光っということなんですね・・・」


「うーん。ま、そういうことでしょうねぇ。とにかくご覧ください」


「うわぁ・・・」

「見事な渦巻きでしょ?」


「ここが、彼女たちの故郷ですか・・・」

「そういうことです。では、エルフィアのみなさん、どうもありがとうございました」




「みんな、ジョークだと、思ってるんじゃないかなぁ?」

「本当のことなのにね」


--- ^_^ わっはっは! ---


「いや、あれでいいんだ。わかるヤツにはわかってる。Z国も、彼女たちが、事実を語っていることを、知っているはずだ。そして、エルフィアのメッセージを、もう、自分たちでは止められないことも。もちろん、自分たちが、エルフィア人たちを拉致するなんてこともな。ここまで、有名になれば、いくらZ国だろうが、表立った行為はできなくなる」


「計画通りってわけね」

「そうだ」


「それで、本当のことを明るみにする時には、すべてが真実だったってわかる。その時にこそ、ユティスの出番というわけさ」


「世界中で大パニックだわ」

「かもしれん・・・。だが、感動する人間の方が、はるかに多くなるはずだ」


「芸能活動を通じて、彼女のメッセージは、世界中に伝えられていくのね」

「ただ、今は、まだ、世界が誤解するにまかせてしておこう」


「時期が熟してないものね」

「ああ。まだ、早すぎる」


アキバでは、架空も現実もなかった。アキバにあること自体が真実だった。とにもかくにも、エルフィアという言葉は、地球人に受け入れられ、異星文化に対する民衆の心の準備も、一歩前進した。特に、ユティスたちで一儲けをしようと考えているショービジネスの人間たちは、これを大いに利用した。もちろん、国分寺たちもその先頭にいた。





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