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174 投合

■投合■




Z国大使館の通商部では、本国とのやり取りに、通商部長のマイクが汲々としていた。


いらいら・・・。


「リッキー・Jは、どうしている?」

「日本の当局に顔が割れており、しばらく表向きの行動は、控えさせています」


たらーーー。

マイクは冷や汗をかいていた。


「彼には高い報酬と費用をかけているんだ。偽名を使って変装するとか、方法はまだまだいくらでもあるだろう。もう少し知恵を絞りたまえ!」


「はっ!」

「ユティスとやらを、生きたままなにがなんでも手に入れろ。手段は問わない」

「しかし、商務長官、周りのガードが・・・」

「きみは、年金生活より、鉱山の強制労働の方に、興味があるのかね?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「と、とんでもない」

「だったら、なんとかしたまえ」


「それに、後で合流したと思われる女のセキュリティ2人は、桁外れの超能力者で、極めてやっかいです」

「それが、どうした?われわれにもエスパーはいる」


「しかし、レベルが違いすぎます。正直、リッキー・Jでも、歯が立たちません」


「今さら、泣き言かね?」

「め、めっそうもない。で、われわれの支援要請は?」


「却下だ。既に、日本には、超エース級の工作員を何人もつぎ込んでいる。そのために、わざわざ、他国でのミッションを中止してまでいるんだ。本国にも、彼ら以上の人材はおらん」


「入国段階で彼らは、日本政府にマークされている可能性が高い。自由に動けるのは、今いる人間だけだ」


「今いる要員以下で、任務が遂行できると思ってるのか?」

「では、一人として・・・?」

「おらん。きみたちには、大いなる成果を期待している。わたしも鼻が高いよ」


「局長・・・」

「このまま成果が出ないと、強制帰国。最高待遇の終身鉱山労働は避けられんだろうな。期待を裏切らんでくれよ、部長」

「・・・」


「なんだね?」

「いつも一緒に行動している宇都宮和人という日本人の男がいます。そいつを利用できませんか?」


「そうだな。ユティスとまったく1秒も一緒というわけではないだろう。プライベートな時間を狙え。行動パターンを収集し、1人になった隙をつけ」


「了解しました」

「リッキー・Jたちテレパスたちに、そいつの思考をモニタさせよう」


「連絡は?」

「例のコードで」

「了解しました」


「成功のあかつきには、2階級特進と一生遊べるだけのボーナスを支給する用意がある。ドルでも、ユーロでも、ウォンでも、もちろん円でも、好きな通貨を選んでいいぞ」

「はい」




「大田原さん、外務省です」

「つないでくれ」


「先週から今週にかけて、Z国の大使館職員が10名増強されました。成田からの入国を確認しました。全員Z国籍です。所属は大使館通商部、名目は日本との貿易拡大によるマーケティング要員です」


「嗅ぎつけたか・・・」

大田原は顔を引き締め顎に手をやった。


「ご苦労。ついに本格的に動いてきたな。入国記録名簿は?」

「そちらに転送済みです」


「ありがとう」

大田原はすぐに首相と会話した。




「首相、わたしです」

「やあ、大田原さん。お待ちしてましたぞ」


「藤岡さん、わたしが予想したとおり、例の人間たちが入管にひっかかりました」

「ふむ。どうしたものかな・・・?」


「合衆国へ通知を。正直、今のわ国の力だけでは、対応しきれません」

「馬鹿に慎重ですな・・・」


「Z国のエース級10人です。当然、第一級のテレパスや、そこいらのエキスパートをそろえて来たに違いありません。油断は、絶対に禁物です」

「よかろう。早速、ホワイトハウスに連絡を入れよう」


「それと、プロジェクトチームの召集をすぐにでも・・・」

「承った」


「それで、聞いたよ、例の3人の美女のこと・・・」

「残念でしたな。3人とも長身で美人だし、抜群のスタイルです。かなりの見物になりましたよ。藤岡さんがいなかったのは大変残念です」


「仕方ない。向こうの感情を考えるとな・・・。それに、本当に、エルフィア人は大統領を動かすことができるんですかな?」

「言ったとおりです」


「大統領には?」

「すべて言った。あの張り巡らされた情報網から隠し通せられるもんじゃない。隠せばそれだけ条件が厳しくなるだけだ。ふぅ・・・」

藤岡は溜息をついた。


「向こうの条件は?」

「それが、特になかったんだ。向こうからは一切・・・」


「おかしいですな・・・」

大田原は大統領の意図を読みきれなかった。


「今回は、向こうはほとんど聞き役に徹していたように思う」

「こちらからの条件は?」

「もちろん、平和利用以外は協力しないと・・・」


「言い切ったんですな?」

「それが・・・、十分伝わったかというと、はっきり言って自信がない」

藤岡は歯切れ悪く答えた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「いずれ、向こうから連絡が来るが、どんな条件を出されるやら・・・」

藤岡は不安を隠せなかった。


「よろしいでしょう。とりあえず、合衆国はこっちの話を聞き、反対はしなかった。基本的には、エルフィア人の文明支援を平和的利用に限るということに前面合意ではないにしても、反対はしなかった、ということでしょう。大変なお役目でしたな」

大田原は藤岡をねぎらった。


「礼には及ばん。それがわたしの役目だからな。ただ、近々に会いたいとは言っておったが、いつかは明言を避けているようだった。向こうの準備期間があるらしい」


「藤岡さん、大統領は国務省外交保安局のSSを二人、ユティスたちに張り付けているんです。これは、すでに作戦が発動されて進行中ということをお忘れなく。とにかく、情報共有は忘れてはなりませんぞ」


「わかりました」




「大統領、日本のミスター・フジオカからホットラインです」

「繋ぎ給え」

「イエッサー」


早速、藤岡の声が聞こえてきた

「おお、大統領。わたしです」


「ハロー、ミスター・フジオカ」

「Z国が動いている。今日、Z国大使館商務部に10人を増強した」


「その入国をすんなりと許可したのですか?」

「ええ。でも、そうおっしゃられるということは、大統領は、もう、ご存知で?」


「ええ。もちろん、知ってましたよ」

大統領は当然のように言った。


「入管審査をフリーパスですか?」

大統領は質問を続けた。


「拒否する理由付けに欠けます」


「大麻所持容疑とか、スパイ容疑とか、テロ疑惑とか、でっちあげるネタは、いくらでもあるんじゃないんですか?特に、あなたのお国の新法案、なん

て言いましたっけ?」


「表立って事を荒立てても・・・」

「意見の相違です。前哨戦は、あなた方の負けですな、ミスター・フジオカ」


「なにを言われるか?」

「とにかく了解した。彼女らにはスペッシャル・サービスをつけてある。そちらでも確認できましょう」

「ありがたい」


「情報収集を続けてもらえますかな。日本のことでありながら、そちらの情報の方が遅くて、精度が低いのは、極めて問題ですが・・・。まぁ、それはそれ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「大変、手厳しいですな」

「警視庁との情報共有はそちらで、お願いをしたい」

「了解です」




コンビニに和人とジョバンニはビールを買いに出た。


てくてく・・・。

すたすた・・・。


「ミスタ・ジョバンニ」

「ジョバンニでいい」


「ジョンバンニ・・・」

「なんだ?」

「首筋なんだけど・・・」


はっ・・・。

ジョバンニは首筋に手をやった。


「ついてるのか?」

「しっかり・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「なんてこった・・・!クリステア・・・」

すぐにクリステアから反応があった。


「なんか言った、ジョバンニ?あなたはわたしの子分。首筋のそれが印よ。二十年は消えないわよ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「だれだ?なんだ、この声は?」


ばっ!

ジョバンニは自分の周りに女の影を探した。


--- ^_^ わっはっは! ---


「わたしの声が聞こえるようになったのもそのせい。わかった?」

「きさま、だれだ!」


「どうしたんですか?」

和人は辺りを見回しているジョバンニを不思議そうに見た。


「いや、いま女の声が・・・」

「ジョバンニ、聞こえてるんでしょ?返事をしなさい」


--- ^_^ わっはっは! ---


「お、おまえは・・・?」

「クリステア」


「なんで、あんたの声が聞こえる?」

「あなたの性感帯にキッスしたからよ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「クリステア・・・」

「お返事は?」

「イ、イエス、マム。だが、オレは・・・」


「合衆国SSでしょ。それは尊重してるわ。だけど、ここでの指揮権は、わたしよ」

「しかし・・・」

「お返事」


--- ^_^ わっはっは! ---


「イエス・マム」

「いい子ね。じゃ、行ってらっしゃい」


「・・・」


きゅ、きゅ・・・。

ジョバンニはサングラスを外して拭いた。


「えらい女に、見込まれちまったぁ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---




「はい、全部で1800円です」

「すいません、大きいのしかなくて」


「大丈夫ですよ。5千、6千、7千、8千。はい、200円」

「どうも・・・」


「ちょっと、買いすぎじゃないですか?」

「そんなことないぜ。こんくらい、オレにとっちゃ、お茶代わりだ」


「あなたは、そうかもしれないけど・・・」

「ジョーンズか?あいつなら大丈夫。ジョッキの取っ手だから」


「ジョッキの取っ手?」

「ああ、ザルなら、一瞬でも引っかかるところもあるが、取っ手じゃ、底がないどころか、そもそも器もない」


--- ^_^ わっはっは! ---


「うわばみ・・・」

「おまえの分はいいのか?」

「いりません」


「そうか。じゃ帰ろう」

コンビニで、和人たちばバドワイダー500ミリ缶6本入りを2ケース買った。




Z国の通商部と称する人間たちが、少し離れて、和人の家を監視していた。


「宇都宮和人をマーク中」

「了解」


「あのでかい2人の外国人は、なにものだ?」

「エルフィア人ではありませんね・・・」

「なんでわかる?」

「どうみても女には見えません」


--- ^_^ わっはっは! ---


「エルフィア人は女しかいないのか?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「いや、たまたま、3人は女ということですが・・・」


「至急調べろ。合衆国SSだとやばいぞ」

「どういうことで?」


「エルフィア人をめっぐての争奪戦、われわれが、第一幕に後手を取ったということだ」

「まさか・・・」


「挽回できなきゃ、首を覚悟しろよ。文字通り血しぶきあげて飛ぶぞ・・・」

「了解・・・」


「われわれの使命は、エルフィア大使、ユティスの確保だ。忘れるな」

「了解」


「それに、日本政府の警護官もいるはずだ。あいつら二人に気を取られていると、この前みたく裏をかかれるぞ」

「了解」




「この二人、使えるわ」

クリステアがアンニフィルドに言った。


「ええ。ユーモアのセンスには甚だ欠けるけど、仕事についてはプロ。ピカ一ね」

「少なくとも、大田原がよこした警視庁の刑事なんかとは、大違い」


「じゃ、クリステア。彼らは、あなたが仕切ってね」

「リーエス。けど、なぜ?」

「ああいうの、ちょっと苦手なの・・・」


ぷふぁー。

ごくごく・・・。

がつがつ・・・。

ぷふぁ!


--- ^_^ わっはっは! ---


アンニフィルドは、ジョバンニがバドをがぶ飲みし、カレーをがっついているのを見て言った。


「あら、逞しいじゃないの。頼もしい限りだわ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「わたしは、ダメ。いい加減、あなたの趣味も変よ。フェリシアスといい・・・」

「ちょっと、アンニフィルド。ケンカしたいなら、受けてたつわよ」

「冗談よ、冗談。あははは・・・」


「ホント?」

「あなたのキック受けてたら、いくら命があったって、足りやしない」


「許すわ」

「ええ?」

「また、『仲直り、ちゅう』、なんてされたくない」


--- ^_^ わっはっは! ---


「なぁに、それ?ひどいじゃない!」




「ぷはー、うまかったぞ!」

ジョバンニが満足そうに腹をさすった。


「それは、よかったですわ」

ユティスがにっこり微笑んだ。


「あんたが、作ったのか?」

「はい」


「冗談抜きでうまかったよ・・・」

「まぁ、嬉しい・・・」

にっこり。


どぎまぎ・・・。

ジョバンニはユティスの笑顔にうろたえた。


「あ、その・・・、礼を言うよ」

ジョーンズもユティスに礼を言った。


「ユティス、ごちそうさま。とってもおいしかったよ」

和人も嬉しそうにユティスを見た。


「はい。どういたしまして」


にっこり。

ユティスは愛しそうに和人に微笑んだ。


どきっ。

かぁ・・・。


「おおっ・・・?坊主、ひょっとして、彼女とねんごろなのか?」

ジョバンニが和人に耳打ちした。


--- ^_^ わっはっは! ---


「あ、そんなんじゃないんだ・・・」

「じゃぁ、これからだな。がんばれよ!」

にたっ。


どーーーん。

ジョバンニはそう言って、和人の背中をポンと軽く叩いた。


どかどか・・・。

「うぁー、なにすんだよぉ!」


ジョバンニの一突きで、和人は前につんのめり、ユティスに突進した。


どどどど・・・。


「きゃあ!」


どんっ。


--- ^_^ わっはっは! ---


「あーーーっ!」

「和人さん!」


ひしっ。

ユティスは和人を受け止め、しっかりと抱きしめた。


かぁ・・・。

和人は、ユティスと顔がくっつくくらいになり、真っ赤になった。


「大丈夫ですか?」

ユティスの心配そうな顔を見て、ジョバンニは大笑いした。


「あははは。坊主、その分じゃ、夜這いも当分先だなぁ!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「やっぱり、こいつ最低。下品よぉ」

アンニフィルドはジョバンニにしかめっ面をした。


「ストレートでいいじゃない。わかり易くて。男性はまず強くなきゃ、はじまらないわ」


「はい、はい」


「で、あなたたちも、ここに住み込むっていうの?」

「いや、それじゃ、これ見よがしになってしまう。ここにVIPがいると知らせているようなもんだ」

ジョーンズが言った。


「着かず離れず、いつもそばに・・・」

アンニフィルドが言った。


「その時は、可及的速やかに・・・」

クリステアが続けた。


「なにがあろうが、身を挺して・・・」

ジョバンニが締めた。


「守るべき者を守り抜く。SSの使命はこれに尽きる」

SS4人が互いに意気投合して、にやりとした。


「わかってるじゃないの、あなたたち」

クリステアは、ゆっくり微笑んだ。


「イエス、マム」

「プロだからな」


「じゃぁ、またね・・・」


「イエス・マム」


やがて、二人は外に消えた。

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