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163 実家

■実家■




和人の実家では、姉の沙羅がTVで和人を見つけ騒ぎ出した。


どたどたどた・・・。


「大変。大変。大変だってば!」

「なんだ、沙羅?そんなにあわてて・・・」

父親が娘を見て不思議に思った。


「あれよ、あれ!」


「あっ。お兄ちゃんだぁ!」

妹の亜矢もすぐに気がついた。


「和人が、どうした?」

母親が台所からきいた。


「テレビに出ているのよ!」

「テレビ?」


ぐぃ。

沙羅は父親を引っ張った。


「そう。そう。そうなの!」

「こっち、こっち」


「はいはい・・・」

書斎にいた和人の父親はリビングに連れられて来た。


「おお、和人」

父親もTVを見て和人だと認める。


「あれ・・・?和人は、なにをしてるんだ?」

「カフェの中で歌ってるの。すごいでしょ?」


「なんで?」

「知るわけないじゃん」


--- ^_^ わっはっは! ---


「あの3人の女の子たち外国人ね。きれいな髪・・・」

沙羅はセミロングだったが、アンニフィルドのスーパーロングのプラチナブロンドに見せられていた。


「そうだね」

「あら、随分とキレイな娘たちだわねぇ・・・」

母親も台所からやってきて言った。


「ほら、ほら、見て、見て・・・」


和人の側にはユティスがいて、ちらちら和人を愛しそうに見つめていた。和人もユティスに微笑みを返した。


「ステキ・・・」

傍目でも、二人には何かしらの特別な感情があることがわかった。


「お兄ちゃんたち、なんか、いい雰囲気だね?」

亜矢が嬉しそうに言った。


--- ^_^ わっはっは! ---


「あの和人の右にいる娘、和人と微笑み合ってるが、ひょっとして、彼女なのかなぁ・・・?」

父親も亜矢に同意した。


「うっそぉ。あんな可愛い娘がぁ?今まで家族以外の女に口聞いたことあんのかしら?アイツ、なんにも言ってなかったわよ」

姉の沙羅が信じられないというような顔になった。


「普通、言わんだろ。プロポーズでも考えてなきゃあ・・・」

父親はユティスを観察した。


「父さん、よく落ち着いていられるわねぇ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「和人もいい歳なんだし、彼女がいるくらいで、別に騒ぐ必要もないだろう。なぁ、母さん」

「そうですわ。ステキな彼女じゃない?」


「そうだね。今度、帰ってきたら、式の日取りとか、聞かなくちゃなぁ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ホント、楽しみですわ。お父さん」


「なに、言ってるのよ、二人とも。飛躍し過ぎよぉ!」

沙羅は二人に叫んだ。


「ちょっと、待ってよぉ・・・。和人があの娘を一緒になるってことは・・・」

沙羅はふいに考え込んだ。


「えーーー?あたしの義妹になるってことぉ・・・?」

「けっこうなことじゃないか」


にこにこ・・・。

父親は笑顔で言った。


「スーパーモデルばりの美人だわよ。3人とも」

羨ましそうに沙羅が言った。


「あなたも、けっこう美人に生んであげたんだけど」

母親がにっこり微笑んだ。


「ありがと。おかげで、会社の独身オヤジたちから、逃げるのに苦労するわよ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「うっそばぁーかし。お姉ちゃん、男の人に追っかけれれるにはどうすればいいかって、この前お友達と言ってたじゃん」


--- ^_^ わっはっは! ---


「うるさいわねぇ、亜矢!あれは友達の悩み相談で聞いてあげてたのよぉ!」

「ふぅんーん。そのお友達結婚してたんじゃなかったっけぇ?」

「亜矢、ぶっ殺されたいの?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「きゃあ、お父さん、お母さん、お姉ちゃん怖い!」


どたばた・・・。


「ふたりともお止めなさい」

母親が姉妹を止めた。


「だけど、会社には若くていいい男もいるんだろ?」

「いるわよ。女房子持ちだけど」


--- ^_^ わっはっは! ---


「若い男は一人や二人じゃないんだろ?」

「ええ。たくさんね。不細工なのや、オタッキーや、筋肉頭や、コメツキバッタやら、いっぱいいるわ。みんな他の女の子にあげても、ぜんぜん気にならないわよ」

沙羅はまったく感心がないというような感じだった。


「そんなことないんじゃないのか?男は外見じゃ判断できないぞ」

父親が優しく言った。


「外見じゃないわ。内面の行動よ。それが嫌。お父さん、いつも言ってるじゃない?内面は行動に出るって。その人が『いつもやり続けていることが、人の本質を表す』ってね」


「それは残念ね」

母親が溜息をついた。


「余計なおせっかいしないでよ」

「はいはい」


「うわぁーーー。お兄ちゃん、かっこいい」

今度は和人の妹の亜矢が叫んだ。


「あー、あんなキレイな人が、あたしのお姉ちゃんになるんだったら、すてき」

「亜矢、わたしじゃ不足ってこと?」


--- ^_^ わっはっは! ---


ぷくうーーーっ。

沙羅が亜矢を睨んだ。


「お姉ちゃん、怖い!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「これ、沙羅。内面が出てるぞ」

「わかったわよ」


「オーレリアン・デュール・ディア・アルティアーアアアー・・・」

テレビでは3人のコーラスが続いていた。


「何語かしらないけど、コーラスがキレイ・・・。とってもステキな歌よね、お母さん?」

亜矢が母親に同意を求めた。


「ええ、そうね・・・」

その時、母親は始めてテレビをしっかりと見た。


「まあ!あの男の子。だれかと思ったら、本当に、うちの和人じゃないの」


--- ^_^ わっはっは! ---


「だから、そう言っただろ、母さん?」

「ほら、見てよ。彼女たち、なにかオーラのようなものが光ってない?」

沙羅が指差した。


「なんだい、オーラって?」

「んもう、お父さんったら、なんにも知らないんだから」

「知ってるさ、失礼なヤツだなぁ。だから、おまえたちがいるんだからな」

「え・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「もう、エッチ!」

「オレはなにも言ってないぞぉ」

「言った!ドスケベ、オヤジ!」


「お父さんさぁ、あおの女の子たちの体にまとわりついている虹色の光が見えるでしょ。それがオーラ。わかる?」

亜矢は沙羅とは性格がま反対だった。


「ふぅん、なるほどな・・・」


「巷じゃ、天使じゃないかって、騒がれてるって・・・」

亜矢はテレビの解説をそのまま言った。


「天使だって?」


「あーーーっ。お兄ちゃんも、オーラ出てる」

亜矢が和人を指した。


「どこどこ?」

「ほら、この歌、もう一度リプレイされるから」


ぴっ。

さぁーーー。


「ほら!」

「あ、ホントだ・・・」




ユティスたちの歌う『天使の歌』は、魂を揺さぶるような心地よさがあった。


「なにかしら、このほっとして癒されるような感覚は」

母親が言った。


「ああ、母さん、彼女たちはなにものだろう?

「天使だったらいいのになぁ・・・」

亜矢が夢見心地で言った。


「んな、わけないでしょ!」

「沙羅、もう少し冷静になりなさい」


「はいはい。で、なんで和人は一緒に歌ってるわけ?」

「知らんよ、そんなこと」


「そうだ。本人に聞けばいいんだわ。わたし、和人に電話する」

沙羅が和人のスマホにかけた。


「やめなさい、沙羅。お取り込み中だったら失礼だろ?」

「お取り込み中って、なんのよぉ?」


「なんだろう?」


--- ^_^ わっはっは! ---


ぷるるる。


「誰だろう」

和人はスマホに表示された番号を見た。


「うちからだ・・・」


かちゃ。


「もしもし・・・」

途端に和人はユティスを見た。



「うん、実家からなんだ」

「お久しぶりにお話されたらどうですか?」

「あははは。そうだね」



「もしもし?」

「和人?」


「やばーーー、姉さんだ」

和人はユティスに目配せした。


「聞いてんの、和人?」

「ああ・・・」

「さっさと返事しなさいよ」


(相変わらず、うるさい女)


「これは、これは、姉上。お久しぶりで。お元気そうで、なによりですね。わたくしも嬉しいですよ」


--- ^_^ わっはっは! ---


沙羅は和人より1つ上だった。


「で、あんた、外人娘の3人とカフェで何か歌ったでしょ。テレビで放映されてるわよ。天使が現れたって、大騒ぎじゃないの」


「へえ、それで?」

「それでって、本当なの、それ?」

「本当だよ」


「うっそお!」

「じゃ、うそ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「いったいどっちなの。心配してんだから、みんな」


「なんの心配を?」

「あんたのことよ」


「みんなって、姉さんが5人分だろ?」


--- ^_^  わっはっは! ---


「もう、どうでもいいから、なにやってんの、そっちで」

「別に。仕事だよ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「仕事って、これだけ騒がれておいて、別にもないでしょ」



「どうされましたか?」

にこっ。

ユティスが微笑んだ。


「姉さん、噂話とかスキャンダルとか大好きなんだよ。要は、オレとユティスのことを知りたがっているだけ・・・」

「お教えしてさしあげないのですか?」

「いいの?」

「リーエス」


--- ^_^ わっはっは! ---


「和人。あの娘、だれなの?ひょっとして、あんたの彼女?」


(あーあ、面倒くさい)


「そういうことなら、本人から聞いてよ」

「ほ、本人って・・・、そこにいるの?」


沙羅はびっくりしたようだった。


「ああ。一緒に暮らしてるよ。後の二人も一緒だけど」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ええーーーっ!一緒に暮らしてるってぇ?それ、同棲ってこと?」

「まぁ、一つ屋根だから、そういうことになるかな。会社の寮だよ。部屋は違うし、なんにもないよ。姉さんの希望に添えなかったかな?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「寮って・・・、信じられない・・・」


「わたくしがお話ししましょうか?」

ユティスがにっこり微笑んだ。


「大丈夫?」

「はい。和人さんのお姉さまは、わたくしのお姉さまですもの」

「え?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「うふふふ」

ユティスは和人のスマホを手に取った。



「お姉さまですか?」

受話器の向こうで、優しく透き通るような声がした。


「あ・・・!」

沙羅は声を失った。


「はじめまして、お姉さま。わたくしはユティスと申します。訳あって、和人さんのところにお世話になっております」


「は、はじめまして・・・」

ユティスの優しい声に、沙羅は急にトーンダウンした。


「あの、説明をしはじめましたら、長くなってしまいますので、これまでのことを、イメージ転送いたしますわ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「はあ?」


「すべてを愛でる善なるものよ。我が願いは・・・」

ユティスは、なにやら 呪文めいた言葉を発すると、目を閉じた。


さーっ、さっさ・・・。

そして、一気になにか唱えると、和人に微笑みかけた。


「お姉さま、おおよそのことは、ご理解していただけたと思います」


--- ^_^ わっはっは! ---


ユティスの送ったイメージに沙羅は仰天した。


「じゃ、そういうことで、みんなによろしくね」


ぷっ。

和人は電話を切った。




「どうしたの沙羅?」

母親が心配そうに声をかけた。


ぽけぇ・・・。

沙羅は心ここにあらずだった。


「お姉ちゃんてば!」


ゆさゆさっ。

亜矢が沙羅をゆさぶった。


「はぁ・・・」

沙羅は上の空で言った。


「ユティス・・・。エルフィア・・・。5400万光年・・・。天の川銀河・・・。あの娘、外国人なんかじゃない。地球人ですらない。天使でもない・・・」


「なにを、言ってるんだい、沙羅?」

父親が沙羅にきいた。


「でも・・・」

「でも、なんなの、沙羅?」

母親がきいた。


「ユティス・・・。あの娘、和人のこと心から愛している。だれもじゃまなんてできないわ。あの二人、運命。そう、運命よ」


「お姉ちゃん!」

亜矢が沙羅を大きくゆさぶると、やっと沙羅はわれに返った。


はっ。

沙羅は亜矢に気づいた。


「亜矢、すてきなお姉ちゃんが、一人増えるわよ。一緒には暮らせないけど」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ええ、なんのこと?」

「ユティス。ユティスお姉ちゃんよ。テレビに映ってたさっきのステキな女の子いたでしょ?」

「うん」


「和人のこと、大好きなんだって」

「ええっ、お兄ちゃんを?」

「そう。だから、あんたのお姉ちゃんになるのも時間の問題・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「和人、そのユティスとかいう外国の娘さんと、結婚するつもりなのか?」

父親が期待するような目になった。


「直接、和人に聞いたわけじゃないけど、どうしたって、そう結論せざるをえない状況よ」


「楽しみですね、お父さん」

にこにこ・・・。


「ああ、あんな可愛い娘をつかまえるなんて、和人もすみに置けんなぁ」

にこにこ・・・。


「だって、あなたの息子ですもの。ステキな女性が放っておくわけありませんよ」

にこにこ・・・。


「そうだな。わたしもステキな女性に捕まったわけだし」

にこにこ・・・。


--- ^_^ わっはっは! ---


「あらあら・・・。お父さんったら・・・」

にっこり。


「母さん・・・」

にっこり。


二人は見つめ合い微笑んだ。


--- ^_^ わっはっは! ---


「あーーー。また、見つめあっちゃって。お父さんもお母さんも」

亜矢が喜んだ。


「亜矢、弟が欲しいか?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「欲しい、欲しい!」

亜矢はようやく12歳で、和人とは10歳も離れていた。


「お母さん、亜矢がああ言ってるよ」

「もう、知りませんよ。破産しちゃっていいんですか?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「それは困るな。亜矢、弟はムリだ」


「じゃ、妹」

「それもムリだ。あの姉さんで、かんべんしてくれ」


「うん、許す。わぁーーーい、ユティスお姉ちゃんだぁ!」

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