155 未遂
■未遂■
カメ横丁の人ごみの中、和人は一瞬の隙にユティスと逸れてしまっていた。もう、和人が見回し探してもわからなかった。頼みの精神波、ハイパーラインも反応がなかった。
(そうだ。アンデフロル・デュメーラだ。彼女なら、オレたちをずっとウォッチしてたはずだから・・・)
和人は、地球上空32000キロにステルス待機している超巨大エストロ5級宇宙母船、アンデフロル・デュメーラを頼ることにした。
「アンデフロル・デュメーラ!ユティスはどこ?」
和人の呼びかけに、すぐに答えが返ってきた。
「コンタクティー・カズト。エージェント・ユティスは、あなたの15m先で立ち止まって、あなたをお探しです」
ほっ・・・。
「ありがとう!」
しかし、和人が前に進もうとした矢先、アンンデフロル・デュメーラが警告した。
(コンタクティー・カズト、緊急事態です)
(なんだって?」
(すぐに、エージェント・ユティスのもとに行ってください)
(リーエス!)
和人は人ごみを掻き分けながら、ユティスのもとに急いだ。
ぐい、ぐいっ・・・。
「すいません。ちょっと、通して下さい」
(コンタクティー・カズト、いけません。二人組みが、エージェント・ユティスを拉致しようと近づいています)
(なんだって?くっそう、きみで阻止はできないのかい?)
(間に合いません)
アンデフロル・デュメーラは和人を急がせた。
(相手は、男女、各一人です。女性は湿ったハンカチを持っています。成分は芳香族炭化水素・・・、エーテルです)
(エーテルだって?嗅がされたら、気を失ってしまうじゃないか・・・)
(二人とも、とても速く移動しています。もう5メートルを切りました。急いでください、コンタクティー・カズト)
(わかった!)
ぐっ、ぐいっ・・・。
「通してください!」
和人は大声でユティスを目指した。
また、アンデフロル・デュメーラは同時にユティスにも警告を出していた。
(どうしたのですか、アンデフロル・デュメーラ?)
(エージェント・ユティス、今すぐ、そこを離れてください。あなたは、狙われています)
(アルダリーム・ジェ・デーリア、アンデフロル・デュメーラ。和人さんはどこです?)
(コンタクティー・カズトは、11メートル後ろです。お二人の位置を、通知します)
(リーエス!)
ユティスは、アンデフロル・デュメーラの言葉どおり、振り返って和人を探した。
(いけません、エージェント・ユティス。急いでください。男女の二人組みが、あなたを捕らえようとして、すぐそこにいます。早く、そこから脱出してください。エージェント・ユティス)
(リーエス。どちらに行けば・・・)
「あうっ・・・」
す、すーーー。
すっ・・・。
音もなく、ユティスの口と鼻にエーテルに浸されたハンカチーフが覆いかぶさった。
ふぁさっ。
「あっ!和人さん、助けてーっ!」
突然、ユティスの助けを呼ぶ声が和人の頭に響いた。
「ユティス!」
和人はハイパーラインでユティスの位置を確認しようとした。しかし、人ごみに見え隠れする人影のどれがユティスなのか、あまりに近すぎて特定できなかった。
「くっそう。人が多すぎる・・・」
ところが、急に、はっきりとユティスの声とイメージが伝わってきた。
「和人さん!」
和人は、アンデフロル・デュメーラの支援で、ユティスがどこにいるか正確にわかった。
「わかったぁ!そこだ!」
だっ、だっ、だっ・・・。
和人は人ごみを掻き分け、ユティスの方に急いだ。
「急いでください。コンタクティー・カズト」
「ユティス!今行く。待ってて!」
「和人さん!」
すでに、ユティスは、和人から15m以上引き離されていた。
(群集に、道を明けてもらいます)
「頼む、アンデフロル・デュメーラ!」
和人とユティスの間の群集が、アンデフロル・デュメーラの精神作用で、ひとりでに左右に分かれていった。
ぱぁーーー・・・。
だっだっ・・・。
和人はユティスに向かって一直線に走っていった。
「ユティス!」
SSの二人は、アンデフロル・デュメーラのサポートによって、ユティスの居所を正確に掴もうとしていた。
「ユティスの意識を捕まえたわ」
クリステアがアンニフィルドに言った。
「どこ?」
「繁華街よ・・・」
「急いでください。SS・クリステア。SS・アンニフィルド」
「アンデフロル・デュメーラ、あいつらを捕捉して」
「リーエス。現場に、国分寺姉弟を見つけました」
「彼らにも通知を!」
「リーエス、SS・アンニフィルド」
「いけない、誘拐されかかってる」
クリステアが鋭い目つきに変わった。
「あ、わたしも、ユティスを掴めたわ」
アンニフィルドはすぐにコンタクトを開始した。
「和人に通知は?」
クリステアが矢継ぎ早にエストロ5級母船に確認をさせた。
「わたくしから、通知済みです」
たちまち、アンデフロル・デュメーラから返答があった。
「アルダリーム。アンデフロル・デュメーラ」
「パジューレ。お二人とも、急いでください」
「スクランブルよ!」
クリステアがアンニフィルドに言った。
「リーエス!」
アンニフィルドも直ぐに応じた。
「ここからじゃ、ジャンプしないと、とても間に合わない」
「行くわよ!」
「リーエス!」
しゅん。
しゅん。
二人は、和人の家からカメ横丁の大通り沿いに、一気にジャンプした。
「あ・・・っ」
ユティスの脇には男と女が固めており、ユティスはエーテルを嗅がせられ、それを吸い込み、すぐに気を失なっていた。
「ちっくしょう!あいつらめ!」
和人はありったけの速度で3人を追っかけた。
「ユティス!」
(ちくしょう、間に合わない!)
(急いでください。コンタクティー・カズト。大通りに出たら最後、車に乗せられてしまいます)
(リーエス。向こうのエンジン電力をカットできるかい?)
(リーエス、コンテクティー・カズト)
左右に分かれていく人波をかき分け、和人はユティスを捕らえた3人のすぐ手前まで来た。
「ユティス!」
和人は叫んだ。
「和人!」
「ユティス!」
突然、幸運にも3人の手前に国分寺姉弟が現れた。
「社長!常務!ユティスが!」
迷う暇もなく和人が大声で叫ぶと、俊介はすぐに気がつき、ユティスを抱えた二人に、アメフトのラインバッカーよろしく強烈なタックルをした。
だっだっだ・・・。
「この野郎!」
どっかーーーんっ。
184センチ、95キロの鍛え抜かれた見事な体躯で、俊介は二人に飛び掛ると、二人は不意を衝かれて地面にユティスもろともひっくり返った。
「ドロボー!」
すかさず、真紀が大声で悲鳴をあげた。
「ひったくりよ!捕まえて!」
「どこ、どこ?」
「いたぞ!」
「そこの二人だ。捕まえろ!」
周囲がにわかに騒がしくなり、二人は拉致が失敗したことを悟る。
「くそぉっ!」
「まずいわ!」
「ずらかれ!」
き、きーーーっ!
「さ、乗れ!」
二人は、そこに倒れたままのユティスを残し、電光石火で起き上がると、大通りに向かって一目散に走り、歩道の横に着けた車に乗り込んだ。
ばたっ。
ばたんっ。
「二人の賊が乗り込んだ内燃機関の燃料噴射用電子制御を、一時停止させます」
アンデフロル・デュメーラは和人の指示に従った。
「いいぞ、アンデフロル・デュメーラ」
がしっ!
車がスタートしないのを見て、和人はガッツポーズを取った。
ぶすっ、ぶすっ。
「なに、やってる!」
「くそ、エンストか!」
ぶすっ、ぶすっ・・・。
「早く出すんだ!」
「やっております!」
「コクブンジ・シュンスケ、輸送機械の認識番号を控えましたか?」
「了解。車を開放してくれ」
「リーエス。開放します」
「ありがとう。アンディー」
「アンディー?わたくしのことですか?」
「そうさ。きみの名前は、オレには長すぎて、毎回、毎回、思い出すのが一苦労だ」
「リーエス。コクブンジ・シュンスケ。ステキなお名前をいただき感謝いたします。アルダリーム」
「どういたしまして。オレのことなら、シュンスケでいいぞ」
「リーエス。以後、シュンスケとお呼びします」
「はっは。きみは、なかなか色っぽい声してるんだな?」
「お褒めに預かり、どうも、ありがとうございます」
「なにをやってる!」
ぶるるる!
「よし、かかったぞ!」
アンデフロル・デュメーラが彼らの車の電気系統を解放したので、エンジンが再び始動した。
「出せ。出すんだ」
「はい」
ぶわん!
きききーーーっ。
ぐわぁーーーんっ!
車は激しくノッキングをしながら、大通りを飛ばしていった。
ぶろろろろーーー。
「なにをやってるんだ、きさま!」
「仕方ないですよ、国産車ですから。だから、ソヨタかミッサンか、日本車にしとけばよかったんですよぉ・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「つべこべ言うな!」
「わかりましたよぉ」
ユティスを拉致しようとした車は、あっという間に消えた。和人が、ユティスを保護した国分寺姉弟に追いついた時には、すべてが一瞬のうちに終わっていた。
「外車。渋谷337、へ、・931。いかにも臭うナンバーだな・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
俊介は車の型とナンバーを控えた。
「はぁ、はぁ・・・。どうして行かせたのよ、俊介?」
真紀が俊介のところに息を切らせながらやってきた・
「ここで、ドンパチさせてもよかったのか、姉貴?」
俊介は周りの人ごみを見ながら、両手を上げた。
「それは、ちょっとまずいわね・・・」
「だろ?あいつら銃を持っていたぞ。最後の手段で自殺を図ったかもしれん。発砲事件に自殺、諜報要員。Z国とくりゃ、いやでも警察の事情徴収ってことになる」
「そういうことね・・・」
「どのみち、警察に表立って関われば、ユティスの素性が・・・」
「うふ。そこまで考えていたの?あの一瞬で」
「見直したかい、自分の弟を?」
「ええ。いつだって、あなたを尊敬してるわ。わたしの次に」
--- ^_^ わっはっは! ---
「なんだよ、それ」
「常務!」
たったった・・・。
「おお、和人いたか。大丈夫か?」
「ありがとうございます。でも、常務、どうして、ここに・・・」
「偶然と言いたいとこだが、おまえのマイフォンだ。そして、アンディー」
俊介はニヤリとした。
「アンディー?だれです、それ?」
「オレたちの頭上に待機してる、空飛ぶ可愛い娘ちゃんさ」
「空を飛ぶ・・・、だれですか?」
「わたくしです」
--- ^_^ わっはっは! ---
「エルフィアのでっかい金属・セラミック製の美女さ」
「アンデフロル・デュメーラですか?」
「ああ、そうだ」
「常務もコンタクトできるんですか、彼女と?」
「ああ。ま、プライベートの邪魔しない程度に、おまえたちを見守っていたのさ」
「監視ですか?」
「人聞きの悪い。それが命の恩人に対する言葉か?」
俊介は右の眉をひそめた。
「すみません。ありがとうございました」
「セキュリティ・サポートは、まだ現れてないんでしょ」
真紀がきいた。
「ええ・・・」
「悪いが、それまでは、オレたちが見張る」
「ありがとうございます。それに、社長、常務、どうもすみません。オレがついていながら・・・」
「まったく・・・。手ぐらい繋いどけよ、和人」
「あ、はい・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
ユティスはエーテルを嗅がされ、まだ気を失っていた。
「ユティスは、大丈夫かな・・・?」
「アンモニアでも嗅がせば、すぐに気がつくさ」
「へ?」
「眠れる美女を目覚めさすには、昔からいい方法があるわよ」
にまぁ・・・。
真紀がにんまりして、和人を見た。
ちらり・・・。
「冗談じゃない。こんなとこでできますか」
--- ^_^ わっはっは! ---
にやっ。
「和人の意気地なし」
「もう、いい加減にしてください」
「ユティス?」
ぺちぺちっ。
真紀が軽くユティスの頬を叩いた。
「うーーーん・・・」
「よかった。気づいたわ」
ぱちっ。
「あ・・・っ、みなさん・・・」
ぴっ。
ユティスの目の焦点が合った。
「大丈夫か、ユティス?」
「リーエス。少し頭がぼうっとしてますが、大丈夫です」
「よかった・・・」
「お二人とも、本当にありがとうございます」
ぺこり。
ユティスは二人に丁寧に礼を言った。
「にしても、じいさんの言った警護とやらは、なにをしてんだか?」
間一髪だった。
ユティスが戻ったので、3人はほっとした。
「どうなったんだい?」
和人は、ユティスを見失ってからどうなったか、を知りたがった。
「わたくし、いきなり、どなたかの強い力で後ろから腕をつかまれて」
「エーテルを嗅がせられたのね?」
真紀はユティスを気遣った。
「はい・・・。でも、もう、大丈夫です」
「エルフィアからのSSは、まだ着いてないのか?」
「しまった・・・。アンニフィルドとクリステアが、来る日だった・・・」
和人は真っ青になった。
「おまえたち、失念してたのか?」
「申し訳ございません・・・」
ユティスは謝った。
「しっかりしてよね」
「やはり、じいさんに連絡しよう」
「地球のSSが、まだ、現れてないなんてのも、おかしいわ」
「うむ。警備を確認してもらう」
「その方がいいわ」
「拉致を企てたあいつらは?」
「大方、Z国あたりだろう」
「どうして、あいつら、ユティスとわかったんだろう?」
和人が不思議がった。
「あれだけネットに露出すれば、赤ん坊にだってわかるさ。今やユティスは、有名人なんだから」
国分寺は、動画投稿サイトのことや、つぶやきサイトのことを話した。
「派手にやったもんねぇ」
真紀がにたにたしながら和人を見た。
「オレじゃないですよ」
「はいはい」
「それに、どうして、ユティスがここにいるって、わかったんだろう?」
「さぁね。大方、テレパスでも見張ってたんじゃないの?」
「テレパス?」
「もしかして、和人さんがIT研究会でお会いした、リッキー・Jさんかもしれませんわ」
「リッキー・Jな・・・」
俊介が手をアゴにもっていった。
「オレ、IT研究会の懇親会で、Z国の通商部という男性と名刺交換したんです」
「ひょっとして、石橋も一緒に行った時?」
真紀が確かめた。
「ええ」
「それなら、わたくしもその席にいましたので、覚えています」
「えー?ユティス、まだ、地球に来てなかったんじゃないの?」
真紀が驚いたようにユティスを見た。
「精神体で、来てくれたんですよ」
「和人さんが、わたくしを、お呼びになったんで」
「エルフィアから?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「リーエス・・・」
「和人、おまえにゃあ、恐れ入ったぜ・・・」
俊介は心底和人に感心していた。
「まったくだわ。デートの待ち合わせ場所に、5400万光年先から呼びつけるなんて・・・」
「すげぇことするな、おまえ・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「仕事です。仕事。デートじゃないですったら!」
「私事か・・・」
かぁーーーっ。
「そっちのシゴトじゃないですったら」
--- ^_^ わっはっは! ---
「わぁ、和人、赤くなった」
真紀が楽しそうに囃し立てた。
「もう、本題から逸れないでください」
「怪しいわねぇ・・・」
真紀が俊介に目配せした。
「怪しくないです!」
「アホ。Z国のことだ」
--- ^_^ わっはっは! ---
「そ、そうですよね。あははは・・・」
「しかし、Z国通商部といえば、確か、諜報機関じゃないか」
俊介はやっぱりかという表情になった。
「間諜ってことですか?」
ユティスがきいた。
「平たく言えばな。それにしても、随分と昔の言葉を間違えずに知ってるよな?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「はぁ・・・?」
和人が首を傾げた。
「間諜ってわかってるのか、和人?」
「カンチョウって、お尻の・・・?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「尻だと?ばっかもん!スパイってことだ」
「たはは。知りませんでした・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
とことんオヤジギャグだなぁ。まあ、いい。それで、そいつに聞かれるまま、ペラペラしゃべったってわけか?」
「いえ。ユティスから、すぐ警告をもらって、その場はことなきを得たのですが・・・」
「待てよ・・・。そこには・・・。そうか、読めたぞ。石橋だ」
「なにか、おわかりになったのですか?」
「ああ。毎月、予定があるとかで、あの日も、そうそうに切り上げただろ、和人?」
「ええ、IT研究会には、どうしても参加したかったんで・・・」
「あの日、石橋も早めに事務所を出たでしょ?」
「そういやぁ、和人は、二宮の誘いを断ってたよな・・・」
「IT研究会、石橋と二人して行ったのか?」
「ふうーーーん。和人、石橋と二人で、行ってたんだ」
真紀が目を細めた。
--- ^_^ わっはっは! ---
「変に勘ぐらないでください・・・」
和人は正直に認めた。
「石橋とデートだと思ってたぞ。な、姉貴」
「ええ」
--- ^_^ わっはっは! ---
(俊介ったら、ユティスの目の前で、なんて無神経なの・・・)
しかし、ユティスはまったく気にしていない様子だった。
にこにこ。
「うふふ。和人さんらしいですわ」
「デートじゃないっば、ユティス」
和人は、石橋にキスされたことを思い出して、心中、穏やかではなかった。
(オレ。形はどうあれ、石橋さんとまともにキスしちゃったんだ。ユティスに黙ってるけど、これ、女神さま宣誓に抵触してるんじゃないんだろうか・・・・?)
「はい。わたくしは、和人さんが楽しんでいただければ、それで十分なんです」
「ユティス。あなた、それで平気なの?」
真紀が首を振った。
「お仕事でしょ?仕方ありませんわ。それに、わたくし、石橋さんは好きです」
にっこり。
ユティスは和人を見つめて微笑んだ。
どきっ。
「さすが、エルフィアの天使さん。なんと心のお広いことで」
「まぁ、常務さんたら」
(石橋さんとのこと、やっぱり、正直に言うべきなのかな。事故だって・・・)
和人は後ろめたい気持ちで目を伏せた。
「オホン。それでだ。ヤツ、リッキー・Jは、そこで石橋に催眠をかけたに違いない。ユティスの情報が取れれば通知しろと・・・」
「そういうことね。接点は、そこしかないわ。石橋は、リッキー・Jのマインドコントロール下に置かれてるってわけよ」
「ということは、それは、今も有効ってことですか?」
「恐らくね・・・」
「石橋は、自分の意思とは無関係に、リッキー・Jへ、ユティスに関する情報を通知している可能性が高い」
俊介が付け加えた。
「まぁ・・・」
俊介は考え込むようにしてユティスを見つめた
「ユティス、石橋の精神を、リッキー・Jから開放し、自由にできるか?」
「はい。やってみます」
「頼んだわよ、ユティス」
「リーエス。きっと石橋さんを解放いたします」
石橋の精神をリッキー・Jから開放すべく、ユティスは国分寺姉弟に申し出た。