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014 寝覚

■寝覚■




次の朝、株式会社セレアムの事務所では、早速、二宮が和人に話しかけてきた。


「和人、例の女の子、夢に出てきたのか?」

二宮は和人にきいた。


「はい。ユティスと名乗りました」

和人は確信を持っていた。


「おったまげたぜ・・・。本当に出たのか・・・」

二宮は右手を顎にもってきて考え込んだ。


「だから、先輩、やっぱり・・・」

「おまえ、本当にそう思うのか?」

「はい」


ぽん!

二宮は手を叩いた。


「和人くん。若い女の幽霊だよ。納得できる理由はこれしかない」

「はいっ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「先輩、幽霊だなんて、それはひどいですよ」

「いやいや、誇大妄想の若い娘が不治の病に冒されたあげく、苦しみ抜いて死んだんだ。だれにも相手をされずに、地縛霊としておまえの部屋にいついた。坊さんを呼ぼう。おまえの宗派はなんだ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「違いますよ!そんなんじゃありませんってば。第一、地縛霊なら、カフェに出たり、アパートに出たり、するわけないです。彼女が言ったとおり、24時間以内に現れたんですよ」

「時間に律儀な幽霊だな?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「とにかく、本人のオレがそれを体験したんですから」

「説得力に欠けるぞぉ。幽霊説の方がみんな納得すると思うぜ。わかったぞ!たとえ幽霊だろうが、可愛い娘ちゃんを独り占めしたいてかぁ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「先輩!」


にたぁ・・・。

二宮はにやりとした。


「おまえなぁ、もし、幽霊に見込まれていたとしたら、マジ命取られかねないぞ・・・」

「悪い冗談は止めてくださいよぉ・・・」

「はっは・・・」


二宮はまだ和人の体験を信じていなかった。




そんなやりとりを、事務所の人間はまたかと思っていたが、真紀は違った。


「ほれ、石橋・・・」

「はい。なんでしょう、真紀社長?」

「あれ・・・」

真紀は顎で石橋の視線を和人に誘導した。


「和人、今日は元気そうでしょ?」

真紀は石橋に確認させた。


「あ、はい・・」

「男はね、お酒飲まなきゃ気持ちをリセットできないのよ」

「治療代、高くつくんですね・・・」

「そう・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「今日は、和人に声をかけてみないの?」

「でも・・・」

「チャンスの女神は、すぐ心変わりするわよ」

「は、はい。やってみます・・・」


石橋は真紀の意思を汲んで、和人に近寄った。


「あの、あの。和人さん。今日はご気分良くなった感じですね・・・?」

「あ、少しですけど」


にこっ。

和人は石橋に微笑むと、石橋を見つめた。


「良かった。あ・・・」

ぽっ・・・。

石橋はたちまち頬を染め、目を伏せた。


(石橋ぃ・・・)

真紀は石橋の様子で、石橋が重症なのを知った。


(困ったわ。この恋、キューピッドがいなきゃ、進みそうもないわね。10人くらい神様が調達してくれないかしら・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


「き、今日は、和人さん、明るいんですね・・・」

石橋はやっと言った。


「明るい?そう。あははは・・・」

和人は石橋のことをぜんぜん意識していなかった。


石橋は、なにか和人に異変があるのに気づいていた。

「今日の和人さん、やっぱり変。なにかいいことがあったんですね?」

「ははは。変ですか?」

「ええ、とっても・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


そんな二人に真紀は頭を振った。


(だめだ、こりゃ。仕方ない。石橋の援護をしようっか・・・)


すたすた・・・。

真紀が石橋に寄ってきた。


「石橋。男はね、女と脳ミソの配線が違うの知ってた?」

「なんのことですか?」

「脳の電気的な構造が異なっているの。脳をデフォルトに戻すのに、女はおしゃべりで済むけど、男はそれに加えて、水酸基がくっついた液体炭化水素が必要なのよ」

「お酒ですか?」

「うふ。手がかかるわよね、男は・・・」


ぱちっ。

真紀は和人にウィンクした。


--- ^_^  わっはっは! ---


「あなたは気分はよくなった?」

「先輩と飲みに行ったことですか?」

「そう。違う?」

真紀は石橋と和人の間に入ると、二人をくっつけるようにして、両手でそれぞれの方を抱いた。


「男の人って、1回飲むだけで気分転換になるんでしょうか?」

どきどき・・・。

石橋は、恥じらいながらも、和人を愛しそうに見つめた。


(和人さん・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


(あーあ、石橋ったら。その視線、あなたの気持ち丸わかりよ・・・)


「どう、和人は?」

「かなり当たっていると思います」


「それでね、今日、お昼たまにはどう一緒に?」

「はぁ、またどうして?」

「嫌?」

真紀はそれには答えず、和人を自分の目的に誘導した。


「そういう訳じゃないですが・・・」

「じゃ、決まりね。石橋は?」

真紀はたたみかけた。


「ええ?わたしですか?」

どっきん・・・。

石橋はびっくりしたように目を大きく広げた。


「わたしは社員みんなとのコミュニケーションをもっと持ちたいの」

「はぁ・・・」

「夜は、お互いなかなか時間取れないでしょ?」


「オレは、いいですけど・・・」

にこっ。

和人が石橋を見て微笑んだ。


「よし。じゃあ、行こう」

「それなら、はい」

「わたしの車で行こうっか。いや、石橋の車にしましょう」

「わたしのですか?」

「そう。あなたがドライバー、和人が助手席。わたしは後部座席」


(これなら、石橋も否応なしに和人の横だし、シフトレバーで適当に距離が保てるし、二人とも後部座席に離れて座ってモジモジなんてことにはならずに済むわね。和人は石橋の横顔をじっくり眺められるし、わたしも二人の様子を後ろからチェックできるわ。石橋の横顔すっごく可愛いんだから。和人、それに気づくかしら・・・)


「えー、和人さんがわたしの隣の席に座るんですか・・・?」

「違う。あなたが運転席で、和人が隣に座るの」

「要は、オレと石橋さんが前ってことですよね?」

「そ。対向車からは、間違いなくカップルに見えるようにね」

「きゃ!」

「え?」


--- ^_^ わっはっは! ---


そこに、二宮がやって来た。


「真紀さん、オレは?」

「またいつかね、二宮。バイバイ」

真紀は即答した。


--- ^_^ わっはっは! ---


「ち・・・」

すたすた・・・。

二宮は諦めて自分の席に帰っていった。




ぶーっ。


「じゃ、行きますよ」

「はぁーーーい」

真紀と石橋が応えた。


ぶろろろ・・・。


「和人さん、ハイキング以来ですよね?」

「石橋さんの車に乗ることですよね。あはは・・・」

「覚えてくれてたんですね?」

「はい」


(わたし、思いっきり赤くなってないかしら・・・)


ぷ、ぷぷーーーっ。

「石橋、信号、赤よ、赤、赤!」

「きゃ!」


--- ^_^ わっはっは! ---


き、きーーーっ。

真紀が、石橋を現実に引き戻した。


(死ぬかと思ったわ・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---




事務所で、二宮は一人パンをかじっていた。

「ありゃ。二宮。お前一人か?」

「うす、常務」


にたにた・・・。

俊介は意味ありげに笑った。


「イザベルのコンビニ弁当は、どうしたんだ?」

「ちぇ、知ってて言うんですかぁ?」

「そっか、イザベル、今日は非番だったんだよなぁ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「嫌味言うだけなら、消えてください」

「おお、なんだ、その反抗的な態度は?」

「パワハラです!」

「なるほど。空きっ腹か?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「パワハラと言ったんです。ちっとも聞いてないでしょ?」

「腹減ってんだろ?つきあえ、昼飯」

「へ?」

「奢りだ・・・」

「ホントですか?」

「ああ、半分だけな」

「それ、ワリカンじゃないっすか」


--- ^_^ わっはっは! ---




「到着です・・・」

「石橋さんて、けっこう運転上手なんですね。安全確認も早いし的確です」


和人の褒め言葉に、石橋はたちまち赤面した。

かぁ・・・。


「そ、そうですか・・・」


どきどき、どきどき・・・・

(わたしのハートの安全は、確保できてません・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---




3人は、石橋のリクエストでファミレスに入った。

真紀は、ボックス席の奥に和人を座らせ、石橋を和人の右横に座らせた。


「え!わたしが、和人さんの隣にですか?」

「当ったり前よ。わたしの横じゃ、あなたたちと話ができないじゃないの」


(えへへ。これで、和人は逃げ出せないっと)


--- ^_^ わっはっは! ---


石橋は、和人の横に間を置いて、席からほとんどはみ出しそうなくらいにして座った。


(んもう、石橋ったら。せっかくお膳立てしてあげてるってのに・・・)


「ほら、石橋。そんなところじゃ落っこちるじゃない。もっと、奥へいきなさいよ」

真紀は石橋にもっと和人の方へ寄るように手で合図した。


「あ!」


石橋が真紀の言うとおりにしようとして、和人に背を向けるようにして座ったため、石橋の腰が和人の腕に触れた。


さっ。


「きゃ」

ぽっ。


石橋は、一瞬で真っ赤になった。


どきっ。


「ご、ごめんなさい。石橋さん・・・」

和人も腕に石橋の腰が当たるのを感じて、慌てて石橋に誤った。


「え、気にしないでください。じ、事故ですから・・・」

「はい・・・」


「おしぼりです」

そこに、ウェイトレスが運んできた。

「はい。おしぼり」

おしぼりを石橋が真紀と和人に配ろうとして、同じくそう考えていた和人に今度は手と手で触った。


「あっ・・・」

「ああ・・・」


たちまち、石橋は手を引っ込め、下をうつむいてしまった。


「ご、ごめんなさい・・・」

「いや、オレこそ、すみませんでした・・・」


(うゎあ、石橋。ちょっと手が触れただけで、真っ赤じゃないの・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


「わ、わたし、お手・・・」

「すぐにいってらっしゃい。もうすぐくるわよ」

「は、はい・・・」


石橋は、席を立った。


(しょうがないわねぇ。和人と一緒にいれる貴重な時間なのに・・・)




俊介と二宮は和風の丼屋にいた。


「常務、いいんすか、特上のうな重で?」

「いいぞ」


「うな重、特上、二つ」

「はい、ありがとうございます。特上、二人前!」


「で、なにを話せばいいんで?」

「和人のことだ。いったいなにを話した?」

「あいつの夢の話ですが・・・」

「それそれ。で、和人はどうだと、言ったんだ?」

「なんでも、女の子の幽霊が、夢に出てくるらしいんです。何回も・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「取りあえず2回。最初はカフェで」

「真昼のカフェに幽霊か?」


--- ^_^ わっはっは! ---




石橋はお手洗いに駆け込むと、両手で頬を押さえた。心臓が早鐘のようにがんがん鳴り響いていた。


(ど、どうしよう。自分でもわかるくらい真っ赤になっちゃった。和人さんに気づかれたんじゃ。ええ、きっとそう。ああ、もう、顔から火を噴いちゃいそう・・・)


石橋は鏡を覗き込んで、顔と化粧をチェックした。


(お化粧は大丈夫ね。髪、乱れてないかしら・・・)

石橋はバッグから櫛を取り出すと、ていねいに髪を整えた。


(ふぅ・・・)

石橋は、冷たいウェットティッシュで、火照った顔をそっと拭いた。


(これでいいわ。ああ、和人さんのすぐ横だなんて嬉しい。思ってもみなかった。えへ。和人さんに、触れちゃった。真紀社長、ありがとうございます!)




石橋が化粧室に消えている間、真紀が和人に話していた。


「和人さぁ、正直、石橋ってどう思う?」

「どう思うって、とっても女の子らしくて・・・」

「可愛い?」

「ええ。長いまつ毛と大きな目がきれいで、とても可愛い方ですよ」


(ちゃんと気づいてるじゃないの)


「それで、なんでしょうか?」

「あの娘ね、シャンパンとか興味あるみたいなの」


(それに、あなたによ。和人)


--- ^_^ わっはっは! ---


「シャンパンですか・・・」

「そう。あなたスパークリング・ワインは、けっこう知ってるんでしょ?」

「ええ、両親が好きで。その影響で・・・」

「それでさぁ。今度、シャンパンバー行かない?石橋も連れてって」

「そういうことなら、いいですよ」

「よっし。俊介の行き着けのお店があってね。とってもおしゃれなの、そのお店」

「楽しくなりそうですね」

「でしょ!」




石橋がお手洗いからやっと戻った時、テーブルには、頼んだオーダーが並んでいた。


「石橋、座って」

「はい」


今度は、石橋もちょうどいい距離で和人と並んで、少し恥らいながら座っていた。石橋は和人に気づかれないようにして、和人を見つめていた。


「ふふふ・・・」

真紀は楽しそうに笑った。


「和人、フォークとナイフ」

「あ、どうも。気づきませんで」

和人はフォークとナイフを、まず真紀に、次に石橋に渡した。


ちょん。

またしても、和人の手が石橋に触れた。

びびびーーーん。

「きゃ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


石橋は、和人に触れたところが、まるで電気が走ったように感じた。


「すいません」

そう言った和人が、石橋を向いて石橋の視線にまともにぶつかった。

(和人さんの目、まつげ長い・・・)


ぽっ。

石橋は一瞬見とれてしまった。


「ちょっと、お似合いかなぁ・・・」

にこっ。


真紀は石橋と和人を目を細くして眺め、最後に和人ににっこり微笑んだ。


(和人さん・・・)


ふらっ・・・。

石橋は、思わず和人に寄りかかりたい気持ちになったが、かろうじてそれを押さえた。


どきどきどき・・・。


(いけない。わたし、心臓がドキドキして張り裂けそう・・・)

(あれっ、オレどうしたんだろう。石橋さん妙に女っぽい・・・)


「さぁ、食べましょう」

真紀の一言で、緊張感が解かれた。


「はい」


しばらく経ったが、石橋の皿には料理がそのままだった。


「石橋、さっぱり食べてないわね?」

「ええ、なんだか、急にお腹がいっぱいになって・・・」

(ていうより、胸がいっぱいって感じね・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


「大丈夫ですか?」

和人は心配そうな声で石橋を見つめ、石橋は再び真っ赤になった。


かぁ・・・。

「は、はい。大丈夫です・・・」





「二宮」

「うす。なんです、常務?」

「女の子の幽霊の話だが、名前名乗っていたか?」

「ええ。ユティスです」

「ユティスっていやぁ、キーワード候補じゃないか?」

「うっす。問題はスペルですね」

「うーむ・・・」

「ふーーーん・・・」

二人は、腕を組んで考え込んだ。


「和人は、ユティスという女の子の夢を連続して見たのか?」

「そうっす。同じ人物が立て続けに、連日夢に出て来るってのは、まず、信じられませんけど。和人は、疲れがたまってるんです。でなきゃ・・・」

「なんだ?」

「へへ、欲求不満!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「それは、おまえだろうが?」

「んな!」


二宮の意見に国分寺は別の意見を持っていて、システム室をちらりと気にしたが、とりあえず、二宮の報告に口をはさむのを止めた。


「和人はその人物となにを話してたんだ?」

「それがですね・・・」

二宮は、一段と声を低くして、俊介を見た。


「なんだ?」

「この大宇宙を愛で満たすとかなんとか、大そうなことでして・・・」

「愛・・・」

俊介は瞬きもしないで二宮を見た。


「あれ、疑わないんですか?」

「おまえの夢じゃないからな」


--- ^_^ わっはっは! ---


「へ・・・」

「いいから、続けろ」

「それが、PCが勝手にアクセスしたというんですよ」

「どこに?」

「欲望促進支援プログラムだったかな・・・?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「それはおまえだろ?」

「いや、なんだったけかなぁ・・・」

「文明促進支援。じゃないのか?」

「どうして知ってるんですか?」


俊介はそれを無視した。


「それはさておき、昨夜の領収書をくれ」

「はい」

「2人で5000円か?また、安酒ですませたなぁ・・・」

「経費節約っていったのは、だれでしたっけ?」

「ご協力感謝します」

俊介は頭を下げた。




「おっとっと・・・」

「気をつけてよ、二宮」

「はい・・・」


二宮は書類ファイルを山積みにして書棚に戻そうとして、石橋の席の横を通りかかった時だった。


「へい・・・。へ・・・、へっくしょい!」

二宮はくしゃみをした瞬間、持っていたファイルの山が床に落ちた。


ばさあ・・・っ。

どさあ・・・っ。


「うぁーーーっと!」


二宮はあわてて手の中のファイルを石橋の机に置くと、落ちたファイルを回収しようと、石橋の前にかがもうとした。


その途端、石橋が悲鳴をあげた。

「きゃあーーーっ!」

「うわーっ!」

石橋はすぐに席を立ち上がると、スカートを両手で押さえつけた。


「だめーーーっ!」

二宮は、石橋の悲鳴に驚いて、ファイルの一つを踏んで足をすべらせた。


つるんっ。

二宮は自分の身を守ろうとして、石橋の足をつかんだ。

がしっ。

そして、石橋もろともそこにひっくり返った。


ずてーん。

どたーぁ。


「イッテーッ!」

「きゃあ!痛いっ!」

「あたた・・・。おう、石橋、大丈夫かぁ?」

二宮は石橋の足下で自分の尻をさすった。


石橋はめくれ上がりそうになったスカートを必死で押さえた。

「きゃあ!二宮さんの、エッチィッ!」


ばん、ばん、ばんっ!


石橋は両膝をぴったりと閉じて、落ちたファイルの一つをつかみ、二宮を力任せにひっぱたいた。


「あ痛てててっ。痛い、石橋、なんだよう!」

「エッチ、エッチ、二宮さんのエッチ!」

石橋の悲鳴で、事務所は大騒ぎになった。


「こらーっ、二宮。石橋になにしたの!」

「なにもしてません。誤解、誤解、大きな誤解ですって!」

「わーん。お嫁に行けなくなっちゃった!」

石橋は真っ赤になった。


--- ^_^ わっはっは! ---


「んな大袈裟な!見えてなんかないよぉ!」

「二宮!石橋を泣かせたわね!」

茂木が二宮のところにやって来た。


「なんにも見てないってば!」

二宮は、必死で弁解した。


「はーーーい、はい。みんな終わり。終わり」

ぱん、ぱん、ぱんっ。

真紀が二宮と石橋の間に立って手を打った。


「石橋、今日はもういいから、うちに帰っていいわ」

「真紀社長ぉ・・・」


「なんだ、この騒ぎは?」

俊介がやって来て、真紀に尋ねた。


「なにも」

「姉貴がそう言うんなら、そうしとくけど」


俊介は、石橋が真っ赤になってスカートを必死で押さえているのを、不思議そうに見た。


(石橋のヤツ、今日は妙に色っぽいな・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


「ちょっと、和人。いらっしゃい・・・」

「なんでしょう、真紀社長」

「石橋を家まで送ってやってくれる」

「オレがですか?」

「そうよ」

「どこか具合でも・・・?」

「ヤボねぇ。石橋は女の子なのよ。わかるわよね・・・?」

「え・・・?女の子・・・?あ、はい・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


(そんなこと言われたって、訳わからん!)


「か、和人さん・・・」

「石橋、社長命令よ。和人に送らせるわ。いいわね?」

「はい・・・」

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