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112 翌朝

■翌朝■




ユティスを巡る各国の思惑をよそに、ユティスと一緒の最初の夜が明けた。


「あーあ、ほとんど一睡もできなかった・・・」


時計は朝7時を指していた。


るるるー。


「ふぁ・・・。常務かな?」


かちゃ。


「もしもし・・・?」

「常務ですか?オレです・・・」

「おお、和人ぁ。悪いな、朝早くに起こして」

「いえ、起きてましたから」

「だと思ったぜ」


「どうして、わかったんですか?」

「というより、一睡もできなかったんだろ?」


ぎくっ・・・。


--- ^_^ わっはっは! ---


「そ、それは・・・」


「図星かぁ・・・。オレにも経験があるぞ。大好きな女の子が側で自分を信じて無防備に寝てる。ホッペにキッスもできずに、一晩中、どうしようかって悩んで、いつものように優しいお天道様がいらして、時間切れだ。何食わぬ顔して、『お早う、よく眠れた?』、なんてニコってされてなぁ・・・。『食っときゃよかったぁ!』てな?」


ずきっ!


--- ^_^ わっはっは! ---


「常務・・・」

「わはは。和人ぉ!男の子だなぁ!」

電話の向こうの俊介は大笑いした。


「それで、予定通り現れたんだろ?」

「はい。ユティスは予定通り現れました。今、部屋で眠っています」


「そいつは可愛そうに・・・」

「え・・・?」


「一人で眠らされてるんじゃなぁ!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「常務!」


(アンニフィルドといい、常務といい、なんで同じ反応するんだろう?)


「いいか、和人。おまえはそこで待機しろ。ユティスが目覚めるまで、一歩も動くな。わかってるだろうが、ユティスは超高文明世界のエルフィアから、5400万光年を超えてやってきたんだ。第三国にこのことが知れたら、ユティスとおまえは間違いなく狙われる。ユティスをターゲットとした国際的争奪戦がはじまり、和人、おまえは冗談じゃなく命に係わることになる」


「わかってます・・・」

「いいか。ユティスの胸から、片時も目を離すんじゃないぞ!」

「え?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「もとい。ユティスの足・・・、いや、もとい、ユティスの・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「常務?」

「わっかとります・・・。とにかく、ユティスから目を離すんじゃない」

「はい」


「オレは、じいさんにユティスの身柄を安全に確保するため、日本国籍取得の特別手続きを依頼している」

「はい」


「これは、超をいくら付けても足らないくらいに超機密事項なんだ。政府の受け入れが終了するまでは、慎重の上にも慎重に行動せねばならない。わかるな?」

「はい」


「まずは、ユティスのそばを決して離れないこと。しばらくは会社に来なくていい。わかったな?」

「はい」


「しかし・・・」

「なんですか?」


「大丈夫か?」

「ええ。ユティスは、疲れてるだけですから・・・」


「オレが言ってんのは、おまえのことだ。可愛い子ちゃんと一緒に暮らすことになったんだからな」


--- ^_^ わっはっは! ---


「毎日、悶々として、寝不足にならんように。あはは」

俊介はさらにこやかな声になった。


「常務!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「わははは。現実問題、これはどうしようもならんよなぁ。和人も男になる日が近いかぁ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「スケベな言い方はやめてください。さっき言ったことと矛盾してるじゃないですか」


「しかし、合意の下なら、オレにはどうしようもないからなぁ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「常務、オレをおもちゃにして、真紀社長や二宮さんたちと大笑いしてるんでしょう?」

「まっさか。オレたちはそんなに根性曲がってはおらん」

「なら、いいんですが・・・」


「とにかく、めちゃくちゃ可愛いんだろ、ユティス?」

「ええ。想像以上です。あ、もちろん、オレの主観ですけど・・・」


どきどき・・・。

和人は幸せそうなユティスの寝顔を見つめて、胸が高鳴った。


「はぁ、よく言ってくれるよなぁ。この幸せもんがぁ!」

「常務!」


「冗談はさておき、間違いは起こすなよ。超銀河間問題だぞ」

「超銀河間問題って・・・」


「地球の未来の是非を決めるのは、おまえの行動一つだってことだ。ユティスになにかそそうでもしてみろ、地球の文明促進支援なんて計画もあっという間に消えてなくなる。おまえ、イコール、地球だからな」

「ごもっともで・・・」


「だから、責任は超重大だ。勝手な真似はするな。いいな。ユティスは、エルフィアの全権大使と思え」

「はい・・・」


「わははは。なにか変化があったら、直ちに報告してくれ。オレたちは、ユティスが目覚めてから、そっちに行くことにする。ユティスの寝顔は、お前の独占を許してやるよ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「またぁ・・・!」

「はっはは。以上だ」

「もう。了解です!」


かちゃ。


和人はユティスを見たが、まだ目覚める様子はなかった。


(このままユティスを独りにしておくことなど、とてもできないよな)


和人は俊介の言うとおり会社を休んだ。




「和人は、今日は休ませた」

「まぁ、当然ね」

俊介の言葉に真紀は頷いた。


「いずれ、事務所中の人間が、いぶかって騒ぎ出すな」

「いずれ?すぐによ。2日以内にみんなを納得させる理由がなきゃ、大変よ」


「どうする?」

「そうね。わたしは、ある程度真実を伝えるべきだと思うわ」


「ユティスが異星人だってことをか?」

「そうよ。隠し通せるもんじゃないと思うけど」


「じゃ、そうするか?」

「え、なによ?」

「いきなり、発表するわけ?」

「違うのか?」


「いいわ。みんなを信用しましょう。そのために厳選したメンバーでしょ?」

「はるほど。みんな、個性が強くて、一見、バラバラに見えるが、一つ、共通点がある」

「わかってるわよ」

「自分を大切にして、自由を尊重し、他人を差別しない」

「ええ」


「それなら、エルフィア人にもすぐに適応するさ」

「あなたの言う通りだわ」




その朝、和人がよんどころない事情で会社を休むことが知らされた。


「・・・てなわけで、和人は数日間休みだ」

俊介が事務所のみんなに言った。


「えーーー?」

「なによ、その外国政府のお忍びVIPって?」

「なるほど、ユティスはVIPなんだ・・・」

二宮は頷いた。


「お、二宮、知ってるのね、真相?」

「おす。VIPってのは恐らく女だと思うな。しかも、ぴっちぴちの超可愛い子ちゃん」


にたっ。


「やっぱり、知ってんじゃない」

「女ですって?」

「そう、そう」

「どうしてわかるのよ?」

「男なら、和人が世話を引き受けるわけがない」


--- ^_^ わっはっは! ---


「あんたと一緒にしちゃ、だめじゃない」

「でも、和人はホモじゃないっすよ」


「それにしても、向こうが、和人を指名してきたっていうんでしょ?」

「じゃ、なに、和人は、その人に会ったことあるんだ?」

「いったい、どこで知り合ったっていうのかしら?」

「さぁ。なにしろ外国人でしょ・・・」

「海外旅行くらいで、どうやったら、仲良くできるのかしらね?」

「海外に行ったって、聞いたことないわよ」

「じゃ、お忍びのレストランとか・・・」

「きゃあ、和人、手が早い!」


事務所はちょっとした騒ぎになった。


「ちょっと、ちょっと。みんな、これはとっても重要なことなの。日本政府の面子に係わることよ。だから、くれぐれも他言しないように」

真紀はみんなを制した。


「ほれ、外を見てみろ」

俊介は、に顎を向けた。


「ん?」

事務所の人間は残らず外を眺めた。


「だれよ、あいつ?」

「大っぴらに覗くなよ。バレてしまう」

外にはサングラスをかけた私服警官が1人、事務所の方をうかがっていた。


「だれ?」

「政府の監視役だな・・・」

二宮が妙に冷静に言った。


「マジ、やばそう・・・」

「秘密をバラしたら・・・、後ろからズドン・・・、だな」

「二宮、それホント?」

「わかりません」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ん。もう!」

「今も、和人の家にも数名が常時監視しているわ」

真紀が言った。


「いったい、どこの国のだれなのよ?」

「わたしたち、やばいことにからんじゃってるの?」


「どうだか・・・。腹を括るしかなさそうだけど」

茂木が二宮にウィンクをした。


「わかっただろ。和人がからんだってことは、オレたちも必然的にからんだってことだ」

「そんなぁ。二宮、わたしたち、和人に巻き込まれたってわけ?」

「うす」


「まるで、ローマの休日ね。ロマンチックだわ・・・」

「なに、言ってるの、岡本?」

「やっだぁ・・・」


「和人さん。いつまで、その方に係わってるんでしょうか?」

石橋が不安そうにたずねた。


「わからないわ。ごめんなさい・・・」

真紀は正直に答えた。


「お忍びって、数日じゃないんですか?」

「数日とは聞いてるけれど、わからないの本当に・・・」

「いや、石橋。時が来れば、みんなにも話せるようになるだろう」


ぱんぱんっ!


「今は、政府の超機密事項になっているため、これ以上は説明できん。みんなもその辺をしっかり心得てくれ」

俊介が手を叩いてそう言うと、みんなを見回した。




るるるる・・・。


首相官邸は電話が鳴りっぱなしだった。


「大田原さん、合衆国大使です」

「繋いでくれ給え」

秘書は大田原に電話を取り次いだ。


「ヘロー、大田原さん。MLG協定に基づいて、緊急のお知らせです」

「わかりました、大使。お続けください」


「どうも。Z国のエージェントが、エルフィア人の現れる家に盗聴器を仕掛けたらしいんです。わが国の信用置ける機関が、その家の周辺で検知しました」

「さもありなんですな。しかし、彼らは、いつ盗聴器なんか仕込めたんでしょうか?」


「いくら秘密裏に行なったとしても、日本にいる限り情報は漏れます。可能星はいろいろありますね。ミスタ・ウツノミヤが引っ越される時、いつも利用している指定業者を使いましたか?」


「わかりません。大方は、本人たちが移動しましたが、大型の寝具は新規に調達しております」


「了解しました。それに、ミスタ・ウツノミヤの会社内部に、Z国にコントロールされている人間がいるかもしれません」

「可能性はありますな」


「当座、わが国のエージェントが、無音妨害電波で盗聴器を無効化していますが、早々に取り除いた方がよろしいでしょう」

「同感です」


「われわれが個数と場所もほぼ把握しておりますので、情報を提供いたします」

「これは、どうも。感謝いたします」


「そういう訳で、撤去作業はそちらでやっていただきたく・・・」

「了解しました。直ちに指示をかけます」


「それでは、ご幸運を」

「そちらこそ」




大田原が合衆国大使からの電話を受けてほどなく、和人のところに見知らぬ男が二人やってきた。


ぴんぽーん。


「宇都宮さん、おはようございます」


「はい。どなたですか?」

「こういうものです」

男はIDカードを和人に見せた。


「警部さんですか?」

「はい。お宅に盗聴器が仕掛けられているという、確かな筋より通知がありまして、われわれはそれを取り除きに来ました」


「盗聴器?ここにですか?」

「そうです」

男は真面目そうな顔だった。


「確かな筋って?」

「政府高官のお一人です」

「大田原さん?」

警部はそれには答えないで、勝手に進めた。


「じゃ、撤去作業、よろしいですか?」

「ま、待ってください。なんでそのようなものが、ここに?」

「よろしいですか、宇都宮さん。これは国家の安全に係わることです。こう言えばお察しできると思いますが」


「Z国でしょうか?」

「ずばり、正解です。大方の場所の特定はできています」

警部は後ろの二人に合図を送った。


「おじゃまします」

靴を脱ぐと、3人は迷うことなくリビングに直行した。


びびーっ、びびーっ。


「そこだな?」

「はい」


作業員は、ソファの奥のコンセントに差し込まれたレトロ調の足元ランプを抜き取ると、それをひっくり返して、5ミリ角の黒いチップを指差した。


「見つけました」


びびーっ。

一人が、それに検知器をかざすと音がなりLEDが点滅した。


「あれ、なんでこんなものが?」


「ご自分で調達されている記憶がないなら、それは持ち込まれたということでしょうな」

「まぁ・・・」

和人は頷いた。


「さて、次」

「まだ、あるんですか?」


「もちろん。どうしても盗聴しないといけない場合、大抵、複数の盗聴器をしかけます」

「そうですか」


「固定電話機がないようですが?」

「うちは、スマホなんで・・・」

「それは幸いです。あれば、100%盗聴器をしかけられますよ」


びびーっ。


「また、反応しています」


「あっちだ」


「どこですか?」

警部たちは2階に焦点を当てた。


「2階は寝室ですね?」

「そ、そうですが・・・」


「行きましょう」

検知器を見ながら、男はさっさと階段を上っていった。


とんとんとん・・・。

男たちはユティスが寝ている部屋の前で止まった。


「ここです」

「うむ」


(まずい。ユティスを見られちゃう!)


「ま、待ってください!」

「どうかしました?」


「そ、そこには、人・・・、人が休んでますんで・・・」

「わかりました。静かにやりましょう」


ちゃ・・・。


「ちょっと、待ってください」

ドアを開けようとした男を制して、和人は自分でドアノブを握った。


「どうぞ」

男は肩をすくめて和人に譲った。


きぃ・・・。

和人がドアを開けると、大きなキングサイズのベットで眠っているユティスの顔が見えた。


「あ・・・」

「はぁ・・・」

「ああ・・・」


警部をはじめ、3人は、ダークブロンドの髪と清楚で愛らしい寝顔に、釘付けになった。


「眠れる天使だ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


すぅ・・・、すぅ・・・。

ユティスの規則正しい寝息とともに、掛け布団が僅かに上下していた。


「奥さんですか?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ち、違います」

「ふふふ・・・」


「な、なんなんですか・・・?」

「同棲ですね?わかっておりますよ。国家機密ですから」


ぐりぐり・・・。


--- ^_^ わっはっは! ---


「違うんですけど・・・。本当に・・・」


「それにしても、きれいな人ですね・・・」

「ええ。起こさないように・・・」

「あ、はい・・・」

作業員はユティスに見とれていた。


びっびっ・・・。

探知機が盗聴器に反応し音を出した。


「しっ、しぃ・・・・!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「はい。ここです」

作業員は、ベッドの裏に潜り込み、ペンライトで盗聴器を探した。


「ありました」

作業員は息を殺して報告した。


「これですね」

彼の手には黒い5ミリ角のチップがあった。


「これで、ぜんぶですか?」

「ええ。念のため、もう一度、各部屋を回ります」

「ど、どうぞ」

2人の作業員は寝室を出る前に、再度、ユティスを振り返った。


「いいなぁ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---




寝室には、警部と和人が残った。


「宇都宮さん、奥さんじゃないなら、この女性はいったいだれで?」

警部は警察手帳を見せた。


「そう言われても・・・」

「職務質問です。個人的興味ではありません」


--- ^_^ わっはっは! ---


(つうか、モロ、個人的関心じゃないか・・・)


ユティスは、衣裳こそ布団に隠されていたが、頭の飾りはそのままだった。


「て、天使です」


--- ^_^ わっはっは! ---


思わず、和人は言った。


「そ、そうですね・・・」

警部は心からそう思ったように応えた。


「こんなことをお聞きして、申し訳ないんですが、本当は恋人なんでしょ?」

「い、いえ。本当は、そんなんじゃないんです。大切なお客様でして・・・」


「お客様・・・?外国の方ですよね?」

「あ、はい」


「本当に天使のような女性だ・・・」

警部はうっとりした表情でユティスを見つめた。


「う、うん・・・」

その時、ユティスがゆっくりと寝返りを打ち片手が現れた。


ぽわん・・・。

ユティスの手の先に、虹色の柔らかな光がかすかに纏わり付いていた。


「ユティス・・・」

和人は思わず声を出した。


(生体エネルギー場を見られちゃったかも・・・)


「ユティスさんと、おっしゃるんですね?」

警部が気づいたのかどうか、和人にはわからなかった。

「え、ええ・・・」


(しまった・・・)


「さ、もういいですか?」

「あ、はい。ご協力、感謝します」

「いえ、こちらこそ」

二人もリビングに戻っていった。


(やばい、ユティスを見られたばかりでなく、生体エネルギー場まで知られちゃった)




「警部、全部撤去完了しました」

「ああ。ご苦労さん」


警部はそう言いつつ2階の寝室を気にしていた。


「じゃ、どうも宇都宮さん」

「ありがとうございました」

「あ、警部、忘れものです」

作業員の一人が言った。


「早く取って来い」

「はい」

作業員は和人に連れられて、ユティスの寝てる部屋に戻った。


ぱしゃ。

作業員はスマホでユティスの寝顔を撮った。


「な、なにをするんですか!」

和人は、大慌てで作業員のスマホを奪おうとした。


「盗聴器のあった部屋は、隠し場所の写真を証拠に残すんです」

「そ、そうなんですか?」

「任務です」

「はぁ・・・」

「とは、言え、すばらしく可愛い方ですね?」

「ええ。天使みたいな人です」



ばたむ。

警部は、玄関のドアを閉め、和人が鍵を掛ける音を聞いた。


かちっ。

かちゃっ。


「警部?」

「ああ。あの娘、なにものだろう?」

「自分は、天使と言われた時、なんにも疑うことなく納得してました」

「自分もです」

「不思議だ。実に不思議だ。オレもあんなのは見たことがない」

「手先の光・・・」

「本当に天使かも・・・」

「21世紀に、そんな馬鹿な・・・」

「だろうな。だが・・・」

「直感的には納得してしまいます」


「うむ」


ぴぴっ。

ユティスの写真をスマホから呼び出して、男はそれを二人に見せた。


「なんと可愛らしい・・・」

「しかも、とても綺麗だった・・・」

「この世のものとは思えないくらいな・・・」


「ところで、宇都宮和人とは、なにもんなんですかねぇ・・・?」

「政府の重要人物らしい」


「いったい、どこで、彼女と知り合ったんだろう?」

「彼女の寝室じゃないのか?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「それはそうと、報告書にはどう書きます?」

写真には、ユティスに纏わりつくように淡い虹色の光が写っていた。


「ただ、女が寝ていたとだけにしよう」

「だれも信じちゃくれませんよ。身体から虹色の光が出ていたなんて」


「そうだな。写真は資料に添付するに留めろ。解説はするな。こちらから言わなきゃ、聞いてはこんだろう」

「了解です」


「とにかく、戻ろう」


ちらっ。

上官はもう一度ユティスの部屋の方を見つめた。


「名残惜しいが・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


ぶろろろ・・・。




「アンデフロル・デュメーラ?」


ひゅんっ。

「リーエス。コンタクティー・カズト」

たちまち、エストロ5級母船の擬似精神体が、和人の目の前に現われた。


「Z国が、うちに盗聴器を仕掛けていたんだ。もう、取っちゃったけどね」


「探知ですか?」

「うん。そうなんだ。できるかな?」

「リーエス。因みに使用周波数帯はどのあたりですか?」


「よくわかんないけど、ギガ帯だと思う」

「リーエス。やってみます」

「どう?」

アンデフロル・デュメーラは探査をすぐに終えた。


「電波発信源は複数ありますが、お探しのものは見当たりません」


「安心しても大丈夫かな?」

「リーエス。これ以降、メガヘルツ帯からギガヘルツ帯にかけて、継続監視に入ります」

「ありがとう」


「パジューレ(どういたしまして)。コンタクティー・カズト」


(これでよしと・・・)




るるるるーーー。


「常務?」

「おう、どうだ、和人?」

「まだ、ユティスは眠っています」


「それなら、急いでそっちに行く必要もないな。ユティスの目が覚めたら、教えてくれ。すぐ行く」

俊介は電話で和人と話していた。


「了解です、常務」

「オレは、じいさんに話しがある。ユティスの出現は超機密事項だぞ、和人」

「はい」


ユティスをめぐる各国の動きは、水面下でどんどん大きくなっていった。

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