108 今夜
はぁい、語り部のアンニフィルドでぇす。ついに第三部幕開けよ。やっと地球の宇宙座標が判明してユティスは和人に会えたわ。これからが文明促進支援の始まりね。ユティスの2年間の予備調査が行われることになったってこと。因みに、わたしもこれから本格的に登場するからね。あは!
■今夜■
ちゅ。
ようやく最初の感動の嵐も静まり、二人は解放し合った。
「ああ・・・」
ユティスは潤んだ目でじっと和人を見つめた。
にっこり・・・。
そして、彼女の口元にゆっくりと笑みが広がった。
かぁーーーっ。
「うふふ・・・。アステラム・・・ベネル・ナディア(こんばんわ)、和人さん・・・」
ユティスのアメジスト色の瞳に見つめられ、和人は急に恥ずかしくなり真っ赤になった。
「あーーー、えーと・・・。ベ、ベネル・ナディア(こんばんわ)・・・」
やっと二人に会話らしい会話が交わされた。
「ユティス・・・」
どっくん。
どっくん。
どきどき・・・。
和人の胸の高鳴りはいっこうに収まらなかった。
「うふ・・・」
じい・・・っ。
にっこり。
ユティスは幸せそうに微笑んだ。
「あは・・・」
にこ・・・。
和人も思わず笑った。
「ユティス・・・」
どきどきどきどき・・・。
またまた、和人の想いは言葉にならなかった。
「うふふふふ・・・」
「あはははは・・・」
「和人さん・・・」
にこにこにこにこ・・・。
長いまつ毛にくまどられたアメジスト色の大きな目が、和人に優しく微笑みかけていた。
「ユティス・・・」
はぁ・・・っ。
あらためて、ユティスの美しさに和人は息をのんだ。
「あ、あの・・・」
和人は、ユティスの想像以上の美しさと愛らしさに圧倒され、言葉につまった。
「リーエス・・・?」
ユティスは、エルフィアの衣装をまとっていて、とてもエキゾチックだった。
どきどきどきどき・・・。
ユティスも挨拶以外、うまく言葉が出てこなかった。
にっこり・・・。
にこにこ・・・。
二人はただただ見つめ合いそして微笑み合った。
「和人さん・・・。うふ・・・」
「ユティス・・・。あは・・・」
「ふふふ・・・」
「あはは・・・」
どっくん、どっくん。
和人は心臓が爆発寸前だった。
かぁーーーっ。
今までイメージのままでエルフィアでユティスに、女神さま発言したことや、話したことがフラッシュバックして、和人は耳まで真っ赤になった。
(オレ、ユティスを抱きしめて、キッスしたんだ。夢じゃないよな)
「和人さん・・・」
ぎゅうっ。
ユティスは、和人の腕の中に、もたれるようにして掴まった。
エルフィアの超時空転送システムの制御室に、エルドの他SSたちをはじめ関係者が集まり、ユティスの地球転送直後の状況を見守っていた。
「あっ!」
ぷつっ。
ユティスが地球に到着して、アンデフロル・デュメーラからの通信が突然切れてしまった。
「おい。通信が切れてるぞ!」
「どうしたの、アンデフロル・デュメーラ?」
急に、アンデフロル・デュメーラの和人の家の3次元通信映像が切れ、32000キロ上空から映し出した地球の映像に変わった。
「あれぇ・・・?」
「どうしたの?」
「中継システムに不具合か?」
転送室の制御エリアで、一同は緊急事態が起こったのかと心配になった。
「アンデフロル・デュメーラ。きみはなにを映してるんだ?」
システム係りの問いに、アンデフロル・デュメーラの冷静な声が響いた。
「ナナン。すべては正常です」
「じゃ、なんでユティスたちが映らないんだ?」
「プライベート・タイムのリクエストにより、お二人からの通信は切断されました」
アンデフロル・デュメールの真面目な声が静かに響いた。
「え・・・?」
「プライベートタイム・・・?」
「はぁ・・・?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「なん・・・」
「・・・」
一瞬の沈黙の後、一同はすべてを理解した。
「ぷっ」
「あは」
「わっはっは!」
「あははは・・・」
「ふふふ・・・」
「わははは・・・」
転送室にいた一同は大笑いした。
「アンデフロル・デュメーラ、あなたも邪魔者扱いってわけね?」
げらげら・・・。
--- ^_^ わっはっは! ---
「あーーーはっは!」
「わっはっは!」
「通信回復の要請には、もうしばらくかかると思われます」
げらげら・・・。
--- ^_^ わっはっは! ---
「わっはっは!」
「きゃははは。まじめくさって、そんなこと言わないでよぉ!」
「こらこら。きみたちも、二人を察してやれよ」
エルドがアンニフィルドとクリステアに依頼した。
「ひーーー。あんまり笑わせないで!」
「あーはっは!」
しばらくは、彼らの笑いは収まりそうになかった。
アンデフロル・デュメーラの配慮を知ってか知らずしてか、和人とユティスは、仲良く寄り添っていた。
「ユティス・・・」
「リーエス・・・」
「そこに座ろうか・・・」
「リーエス・・・」
ふわんつ。
二人はソファの上に並んで座った。
こてん。
にこにこ・・・。
ユティスは頭を和人の肩に預け幸せそうに微笑んだ。
さーーーっ。
和人はユティスの肩に腕を回した。
にっこり・・・。
ユティスは和人を振り向いて微笑んだ。
「わたくし、ここに来れてとっても幸せです」
そういうと、ユティスは上向き加減に目を閉じた。
すぅーーーっ。
和人の顔の5センチもないところにユティスの唇が近づいた。
「ああ・・・」
(もう一度、キッスしろってことなんだろうな・・・)
和人は心臓が爆発しそうになった。和人は恐る恐る自分の唇をユティスの唇に重ねようとした。
がくんっ。
こてっ。
その瞬間、ユティスの頭が完全に和人にもたれかかってきた。
「ユティス!」
--- ^_^ わっはっは! ---
すぅーーー、すぅーーー。
ユティスは静かな寝息をたてていた。
すぅーーー、すぅーーー。
和人の腕に抱かれ、安心しきったユティスは極度の緊張感から開放され、気を失うようにして眠っていた。
「ありゃ?」
(ユティス、眠っちゃったんだ・・・。疲れてたんだろうなぁ・・・。しばらくは、こうしていよう。ユティスの感触も楽しめるし・・・)
--- ^_^ わっはっは! ---
和人はユティスの肩を抱いたまま、そのまま自分の体が痛くなるまで、もたれかかるままにしていた。
(ユティスの身体を直に感じる。それに、柔らかくて暖かいや)
びーーーん。
(手が痺れてきたぞ・・・。いくら気持ちがいいからって、ずっと、このままにするわけにもいかないよなぁ。ベッドに寝かせるか・・・)
「よいしょっと」
和人はユティスを抱えた。
(あれ?ユティス、思ったより軽い・・・)
とん、とん、とん・・・。
和人はユティスを抱えると、2階への階段を慎重に上がっていった。
そぉーーーっ。
ふぁさっ。
和人は一番大きな寝室のベッドの上に彼女を横たえた。
「どっこらしょ。ごめんよ、ユティス。もう少し楽にさせてあげたくても、これじゃなぁ」
ユティスの衣装は、いわゆるボタンとかフックとかジッパーの類がなかった。
(いったい、どうやって、これを身に付けたんだろう?)
和人は、エルフィアの衣装の構造がさっぱりわからなかった。
ふぁさっ。
結局、衣装を少し緩めるのをあきらめると、和人はユティスに毛布をかけた。
(今はそんなに寒くもないから、これでいいかな)
「ゆっくり、お休み、ユティス・・・」
和人は、ユティスの唇にキスしようか、一瞬ためらった。
(和人?)
その時、和人の頭にアンニフィルドの声がこだまし、和人の感心はアンニフィルドとの会話に移った。
ユティスが現れる前、和人の家の周りでは怪しげな黒塗りの車が停まっていた。
「今晩だ。ヤツの周辺を見張れ」
「了解」
3人の人影が車から降りた。
「時刻は?」
「日本標準時11時5分56秒67です」
「そんなに正確に言わんでいい」
--- ^_^ わっはっは! ---
「もう。現れた頃だな」
「はい」
「情報によると、ウツノミヤ・カズトはこの新居に入って間もない」
「所帯を持ったんでしょうか?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「そうらしい。一応内緒でな・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「ここは一戸建てだ。周りに、あまり隠れるところはない」
「はい」
リーダー格の男は和人の家の周りを一通り眺めると、から30メートル離れたコンビニに目を留めた。
「ティム。ジェイ・ワイ?」
「はい」
「おまえは、ジェイ・ワイと、コンビニにいろ」
「了解」
「ジェイ・ワイ?」
「了解です」
「日本の刑事たちもいるはずだ。連中は、見てくれはぱっとしないが、犬のように鼻が利き蛇みたいにしつこいぞ。こっちの行動を気取られるな」
「了解」
「オレは、この中で二人の思考をモニタする」
「了解」
ティムとジェイ・ワイはコンビニに向かった。
ぴっ。
電話の呼び出し音が男の手元で短く鳴った。
(くそ。こんな時に、だれだ?)
「シリウスだ」
「リッキーだ」
リッキー・Jは特殊仕様のスマホに出た。
「連絡がないぞ。不測の事態か?」
「ちょうど、到着時刻なんでね」
「だから、どうした?」
「確認してからでないと、新たな情報なんか提供できないと思って」
「ほう。余裕だな。リッキー」
「くだらんお喋りを続けるつもりなら、切らせてもらうぞ」
「待て!」
「有益な情報でもあるというのか?」
「どうかな・・・。先程、合衆国と日本が協定を結んだ」
シリウスという男はそれがエルフィア人に関するものだと示唆した。
「なに?」
「リッキー、そこにいるのは日本の刑事だけではないぞ」
「どういうことだ?」
「合衆国は大統領専任警護官、シークレット・サービスを二人、そっちに貼り付けるつもりだ」
「大統領専任警護官だと?くっそう。先手を取られた・・・」
「いいか。ここは日本だ。合衆国のやつらとは表立ったことを交えるな。これは命令だ」
「しかし・・・」
「政府の意向だ。わが国は合衆国と大事な大型契約を控えている」
「だが、やつらは!」
「金に勝る正義はない!」
--- ^_^ わっはっは! ---
「質問は受け付けん。30分後結果を聞く。以上だ」
「了解・・・」
国分寺姉弟は、ユティスの到着をシャンパンバーで待っていた。
「国分寺さん、お注ぎしますわ」
シャンパンの老舗、ロイ・ルデレール直営のバーで、国分寺姉弟はクリステアを飲んでいた。
「ありがとう」
とくとく・・・。
しゅわぁーーー。
「今日は、また違う方なんですね?」
女性店員が小声で話し、俊介にウィンクした。
--- ^_^ わっはっは! ---
「違うったら、春日ちゃん。姉貴だよ、姉貴、知ってるだろ?」
「またまたぁ。相変わらずキレイな女性をお連れになって・・・」
「姉貴とは、いつも来てるじゃないか?いい加減、覚えてくれよ」
「ふふふ。わかってますわ。髪型をお変えになってらっしゃるんで、はじめは気づきませんでしたわ」
女性店員はカウンターに消えていき、真紀はそんな二人を無視した。
「11時を回ったわね・・・」
「ああ。11時5分。時間だな・・・」
「ええ・・・」
「ユティス、ちゃんと現われてるかしら?」
「予定通りならな・・・」
「おじいさまから、なにか来た?」
「いいや。護衛はちゃんと付けてるそうだ」
「Z国の動きが気になるわ・・・」
「ああ。今は待つしかない」
ちらちら・・・。
真紀はあたりを見回した。
「どうかしたか?」
「黒磯さん、今日はいないのね?」
「残念か、姉貴?」
「もう、そんなんじゃないったら!」
ぴっぴっぴ・・・。
「こら、どこに電話しようっての?」
「友達さ」
「しっし。外でやってよ。雰囲気壊すようなあなたの野太い声、聞いてられないわ」
「へいへい」
「ベネル・ナディア(こんばんわ)!」
しゅうんっ。
アンニフィルドは、たちまち精神体となって、リビングに現れた。
「和人、どこにいるの?」
「上。2階の寝室」
「リーエス。今、行くわ」
ぽわぁーーーん。
アンニフィルドが寝室に現れた。
「ベネル・ナディア(こんばんわ)、和人」
(ちぇ。せっかくいいところだったのにぃ・・・)
--- ^_^ わっはっは! ---
「ベネル・ナディア(こんばんわ)。アンニフィルド」
「ハイパーラインをあなたと引いといてよかったわ。こうして、ちゃんと会えるんだもの」
(うん。そうだね。もう少し後でもよかったんだけど・・・)
ぶちぶち、ぶつぶつ・・・。
--- ^_^ わっはっは! ---
「あ、そういうことぉ?悪うござんしたわね。ちゃんと聞こえてくるんだからね、あなたの考え・・・。こっちだって、アンデフロル・デュメーラも含めて、気を遣ってあげてるんだからね」
アンニフィルドは気分を害したように言った。
「え?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「で、ユティス、着いたんでしょ、そっちに?」
「リーエス」
「どう、無事?」
「リーエス。無事だよ。きみが来てくれたおかげで助かったよ」
「当然ね」
--- ^_^ わっはっは! ---
「あら。おかしいわ・・・」
「どうしたの?」
「ユティス?」
「・・・」
ユティスは眠っていたので、アンニフィルドの呼びかけに応じてこないのは当たり前だった。
「ほら。呼んでも、いっこうに返事がないのよ」
アンニフィルドは心配そうに言った。
「エルフィア語、忘れちゃったのかしら?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「なわけないだろ?」
「あは。冗談わかるだけ進化したんだ。良かったわねぇ、和人」
「はい、はい。ユティスだったら眠ってるよ」
「眠ってるって、一人で?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「そうに決まってるだろ」
「夫婦のくせして冷たいわねぇ」
--- ^_^ わっはっは! ---
アンニフィルドは目を細めてからかうように和人を見た。
「初夜でしょぉ・・・?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「なにが夫婦、なにが初夜だよぉ。ユティスならベッドの上。ほら」
和人はベッドの中で幸せそうに眠っているユティスを指差した。
「ちょっと、失礼」
「ちゃんと眠ってるだろ?」
すぅ・・・。
すぅ・・・。
「そうね・・・」
ひらり。
アンニフィルドは掛け布団をめくった。
「あら、まだ服を着てるじゃないの?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「あ、当たり前だよ。なにを考えてんだ、きみは?」
「ユティスの幸せよぉ・・・。おバカね、なに言わせるの?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「お互い肌で温もりを感じ合うってことは、大切なのよぉ」
「だから、夫婦じゃないって・・・。まだ・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「それにしても、キングサイズのダブルベッドって、一人で寝るには随分広いじゃない?」
「そうかなぁ・・・」
「なんでダブルベッド買ったの?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「オレが買ったんじゃない!会社の支給品なの!」
「はぁーん。真紀とかいう、あの女社長ね?」
「リーエス」
「気が利くじゃない」
--- ^_^ わっはっは! ---
「とにかく、ユティスは緊張の糸が切れて、とっても疲れて体力的に限界なの。スーパーノバの件もあったし。今はそっとしておこうよ」
「リーエス。でも、こうして眠ってることの理由は、わたしはそう思ってないわよ」
アンニフィルドはベットの方に目を向けた。
「だって、相当な長旅だったし・・・」
「長旅ったってねぇ。一瞬よ。5400万光年だけど」
--- ^_^ わっはっは! ---
「十分、長旅じゃないか」
「それは、地球人のあなたにとっての尺度でしょ?」
「うん・・・」
「ユティスは、あなただから、一生懸命なのよ」
「ホント、一生懸命働いてくれたもんなぁ・・・」
「働く?あのねぇ。ブ、ブー、ブーーーッ。大いにハズレ!」
「大ハズレ?」
「恋よ。恋!」
「恋?」
「リーエス。あなたのところに来れて、幸福感に包まれてすっかり安心しちゃったのよ。仮にもエルフィアの超A級エージェントが、ミッションくらいでまいるもんですか」
「ユティスって超A級エージェントなの?」
「リーエス。エルフィアではね、資格は美貌と可愛さと性格で決まるのよ」
--- ^_^ わっはっは! ---
「なるほど・・・」
(確かに、ユティスはえらく可愛いもんな・・・)
「納得した?」
「リーエス」
「それで、わたしもなんだけどぉ・・・、超A級SSってわけ」
「そうなんだ?」
--- ^_^ わっはっは! ---
び、びーーーっ。
アンデフロル・デュメーラの無表情な声が寝室に響いた。
「SS・アンニフィルド。資格の定義をお間違えです」
--- ^_^ わっはっは! ---
「うるさいわね、アンデフロル・デュメーラ。わかってるわよ。冗談。冗談。それくらい、こっちに合わせてよ。ホント、あなたって堅物なんだから」
「リーエス。わたしの身体の主成分の一つは超硬セラミックスですが、なにかご不満でも?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「ナナン。ない、ない。ないわよ。もう、いいから、静かにしといてよ」
「リーエス。SS・アンニフィルド」
「アンデ・・・ナントカ・カントカって・・・。今のだれだい?」
「あは。なんでもない。なんでもない」
「確かに、だれかの女性の声がしたぞ・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「いいから。あとで紹介してあげるわ。すっごい美人なんだから、鋼鉄製だけど・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「へ・・・?で、他にも、だれか地球に来てるってことなの?」
「リーエス。来てるわよ。あなたの頭のちょっと上にね」
--- ^_^ わっはっは! ---
「オレの頭のちょっと上?」
「リーエス」
「屋根裏しかないよ・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「だから、ちょっと上って言ったでしょ?」
「SS・アンニフィルド。コンタクティー・カズトの場合、32000キロ上空はちょっととは言えませんけど・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「ほら、また・・・。いったい、だれだい?」
和人は天井を見上げた。
「アンデフロル・デュメーラ。後にしてよ。今は、和人と話をしたいんだから」
「リーエス。SS・アンニフィルド」
「ふぅ。和人も余計な質問しないでよね。どんどん、話が逸れちゃうじゃない」
「リーエス」
「エージェントとSSのことだけど、カテゴリー2の危ない世界にはA級以下は担当できないの」
「危ない世界って、思いっきり、誤解されそう・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「もう、一々難癖付けないでよぉ。生命の安全保証が不完全な世界!これでいい?」
「わかったよ。どうせ地球は危険な世界ですよ」
「しょうがないじゃない。別に、あなたのせいだとは言ってないんだからね。で、なんで、ユティスが眠っちゃったかって話だけどさぁ」
「うん」
「ユティスはね、あなたのこと本気で好きだから、あなたに会えて安心しきっちゃったのよ」
「そんなこと言ったって・・・」
「んで、ベッドはともかく、ちゃんとキッスしたぁ?」
にたぁ・・・。
--- ^_^ わっはっは! ---
アンニフィルドは興味津々の笑顔になった。
「キッスだってぇ?」
和人は一瞬で真っ赤になった。
「アンデフロル・デュメーラが特別に通信を切ったのよぉ。期待するじゃない?」
「え・・・?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「まぁ、そっちは・・・」
アンニフィルドは探るようにして和人を覗き込んだ。
どきっ。
どくん、どくん・・・。
「な、なんだよぉ・・・?」
かぁ・・・。
「あーーーっ、その顔。ついにキッスしたわね!わかるんだから。ユティスのリップクリームの香りがするわよ!」
(ば、ばれた!)
--- ^_^ わっはっは! ---
「このスケベ。和人もすみに置けないわねぇ」
アンニフィルドは眼を細め、横目で和人を見つめた。
「待ってよ!」
「いい。いい。いいのよ、否定しなくて。別に悪いことじゃないし、責めてるわけでもないし、ちょっと、からかいたかっただけ」
「アンニフィルド・・・」
「なに?」
がちゃ。
ばたん。
石橋可憐は残業を終えてやっと家に戻った。
「可憐?」
「あ、お母さん・・・。ただいま」
「お帰り。とっくに11時過ぎてるわよ。どうしたの、こんなに遅くなって?」
「ごめんなさい。今日はとっても忙しかったの」
「和人さんとお食事でもしてきたの?」
「どうして、そうなるのよぉ?」
「じゃあ、お仕事ね。残業はお肌に良くないわよ」
--- ^_^ わっはっは! ---
「そんな歳じゃ、ありません」
「だめよ。油断しちゃ。二十歳になったら気をつけなきゃ。お向かいの娘さん、残業ばかりで十分睡眠とれなくて、シミがすごいんですって」
「それ、曾祖母さんのことじゃない?」
「そうだったかしら・・・。おほほ」
--- ^_^ わっはっは! ---
「会社、なにか大変なの?」
「真紀社長から、和人さんのお手伝いをして欲しいと・・・」
「まぁ、そうだったの。やっぱり、和人さんと一緒だったのね?」
にこっ。
母親は期待するように微笑んだ。
しゅん・・・。
「ううん。それが、今日はどうしてもって、真紀社長が和人さんを早々に帰したの・・・」
「あら、一緒じゃなかったのぉ?」
母親は残念そうに言った。
「うん。和人さん、6時には・・・」
にこっ。
「それなら、夜遅くまで事務所にいる意味がないじゃない?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「お母さん。わたし、お婿さん探しで会社に行ってる訳じゃないのよ」
「はいはい。そう言ってられるのも、今のうちよぉ」
「もう・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「お抹茶でも飲む?」
「うん。ありがとう。コニャックは絶対に入れないでよ」
--- ^_^ わっはっは! ---
「でも、必要なんじゃない、今晩は・・・?」