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103 新居

■新居■




「和人、ちょっと来なさい」

「なんです、真紀社長」

和人は真紀の机の前に来た。


「あなた、今住んでるところ、どう?」

「どうって、どういうことでしょうか?」

「狭いとか、きれいじゃないとか、オンボロだとか・・・」

「それなら、真紀さんの言った通りで全部当たりですね」

「はっきり言うわね」


--- ^_^ わっはっは! ---


「真紀さんが、そう言うから・・・」

「まあいいわ。因みに、同じ独身の二宮は今は3年経っているけど当時新築のマンション1DKよねぇ・・・」

「はぁ・・・」


「これでは、あなたと差があリ過ぎるわねぇ。そう思わない?」

にこ。

真紀は意味ありげに微笑んだ。


「考えたことないですが・・・」

「今のところ大丈夫そうに見えるけど、いつ取り壊しを大家さんが言い出してもおかしくないわよねぇ」

「取り壊しのうわさでも出てるんですか?」

「いいえ。まだ出てないなら、そうしてもいいけど」


--- ^_^ わっはっは! ---


「え・・・?」

和人のびっくりした顔をよそに、真紀は自分の話しを前に進めた。


「それでさぁ。俊介と話したんだけど、和人ももうちょっと新しくてまともなところに引越しさせてあげようって」

「そうなんですか?」

「和人、まるで他人ごとみたいだわね」


--- ^_^ わっはっは! ---


「だって、いきなりそう言われても、実感ってもんが・・・」

和人は当惑した。


「じぁ、結論を言うわ。今週中に引越ししなさい。今のアパートは今週までで解約済みよ。新居への入室は今日から即日可。4LDKの1軒屋。しかもよ、今のアパートにほど近いから引越しも楽だわ。いいわね、これは社長通達。わっかた?」

真紀は有無を言わせず一気に話した。


「どえーっ。4LDKですかぁ?」

「家賃は1万。後は会社持ち。文句ある?」

「な、ないですけど。なんで、オレが今頃・・・」

「あなたが会社にしてくれたお礼と思いなさい」

「でも、そんなに、オレ貢献してるんでしょうか?」

「素直じゃないわねぇー。社長のわたしが、そう言ってんのよ・・・」

「・・・」


「そっかぁ、貢献してないって言い張るなら、しょうがないわよね。気が変わったわ。お風呂なしの1K、築50年のアパート、家賃負担6万円に入ってもらうわ。会社のすぐ裏にあるわよぉ。これなら24時間365日仕事には差し支えないわね」


にこっ。


--- ^_^ わっはっは! ---


「わぁ、そ、そんなぁ。今の方が、断然いいじゃないですか!」

「さぁ、どっちにするの?ほらほら・・・」

「一回も見てないけど、4LDKにしてください!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「リーエス!」


どきっ。

「あっ、真紀社長、それ!」


「うふふ・・・」

「あー、それは、ユティスのマネ!びっくりしたぁ!」

真紀の声はどういうわけか、ユティスにそっくりだった。

「エルフィア語、ひとつ覚えたーっと!」




首相官邸では、また極秘会議が行われていた。


「しかし、大田原さん。いくら超高文明か知らないが、3名を一瞬にして何千万光年という距離をものともせずに送り込むなんて、本当にできるのでしょうか?」

大田原以外はだれも想像することすらできなかった。


「カテゴリー2的な考えで、カテゴリー4の文明を想像することは、極めて困難です。しかも、えらく自尊心を傷つけられる・・・。そうですな?」


「いかにも・・・。こちらも、一応、文明人たる自負がありますから・・・」

「けっこう。それをご自分に包み隠さず自覚されたということは、大変な勇気がいることです。それに、すばらしく科学的な態度です。カテゴリー3に進むためには欠くことができないものです」

大田原は彼を励ました。


「みなさん。どうか、このことでイソップ童話のキツネにならないでいただきたい。目の前のブドウは存在します。手が届かないから、そんなものはないとか、それは不味いからとか、自分の能力向上や手立てを考えることを、決してやめないでいただきたい。エルフィアは見ています。われわれが、キツネなのか、そうでないのかを・・・」


「・・・」

「・・・」

大田原の話しに一同は黙りこくった。




国分寺師弟が幼い頃の話だった。


「一旦、次元を超えて座標を移動するのであれば、どこであろうと距離は、あんまり大差はないもんだよ。わたしもそうやって来たんだ」

大田原は小さな国分寺の双生児たちに聞かせていた。


「わたしは、宇宙船に乗ってきたんだがね。もっと文明が進んでくると、それすら必要なくなってくる。座標アンカーとシステムの精度、それに転送パワーが桁違いに上がってくるからなんだ。わたしが知っているので一番すごい世界は、エルフィアというところだ。そこは、たとえ数億年というとてつもなく遠い距離であろうが、宇宙船なしで一瞬にして人間を送り込んだり、引き上げたりできるんだ」


「すごいんだね」

「ふーん・・・」

姉弟は祖父の話しを聞き入っていた。


「わたしは、セレアムという、この地球から数千万光年先の世界から来たんだよ」

「アメリカとどっちが遠いのぉ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「はっはは、真紀。計る方向にもよるが、セレアムの方がずっと遠いよ」


「じゃ、宇宙にはずっと先はあるの?」

「ああ」

「変なの」

「ただ、とてつもなく大きいから、われわれが観測したって、真っ直ぐそのままどこまでも続いているように見えるのさ。何百億光年先にだって、まだ平坦に見えるほどなんだから。まったくその先がどうなっているのかわからないんだよ・・・」


「ふうん・・・」

大田原は幼い孫たちの頭を撫でた。


「じゃ、じいちゃん、宇宙にはいっぱい星があって、人間もいっぱいいるの?」

「ああ、そうだよ、俊介」

「姉ちゃんより可愛い女の子も?」


--- ^_^ わっはっは! ---


がばっ!


「俊介!」

真紀が俊介に飛び掛った。


ぽかり!

「うわぁ、暴力女!」


「わっはっは。そんなことをわたしの口から言わすのかぁ?真紀に殺さてしまうじゃないか。わはははは」




その頃、事務所では、和人の住まいで盛り上がっていた。


「和人さんが引越しするって本当ですか?」

石橋が二宮にきいた。


「ああ、4LDKの一軒家を借り切って会社の寮にしたんだとか。常務のやることは時として理解できん。オレは引越しの手伝いを言い渡された」

「仕事ってことですか?」

「そうなんだ。だから、もう行くな」


「は、はい。あのう・・・」

「なに?」

「わたしもお手伝いすることありますか?」

「いや、あいつはカローナ以外なにも持ってないから、オレひとりで大丈夫だ」


「いいわよ、石橋。お掃除とか。行ってあげなさいよ」

真紀が二人のところに来た。


「えっ。真紀さん・・・」

「男二人じゃ、掃除まで気が利かないでしょ?」

「はい」

「じゃあ、決まりね?」

二宮と石橋は、一緒に和人の引越しの手伝いをすることになった。




「おーーーい、和人ぉ!」

「はい、今行きます」


たったった・・・。

和人は荷物を運んできた二宮たちのところに駆けつけた。


「さて、荷物はこれだだよな?」

「はい。あとは自分の車に積んできましたから」

「冷蔵庫と洗濯機とテレビだけだったぞ、アパートに置いてあったの」

「はい、それで全部です」


「本当にないんですね・・・」

石橋は軽トラに積んだ荷物に目をやって感心した。


--- ^_^ わっはっは! ---


「あまり買わないようにしてるんです。オレ、愛着あるのはギターくらいで十分です?」


「忘れものはないか?」

「ありません」

「掃除道具も積みました」

石橋も答えた。


「よし、軽トラは、オレが運転するから、和人は、石橋を乗せてけよ」

「わたしが、和人さんと一緒にですか・・・?」


かぁーーー。

たちまち、石橋は紅潮してきた。


「いやなら、オレと軽トラでもいいんだけど」

「結構です。和人さんとご一緒させてください!」


きっぱり。


--- ^_^ わっはっは! ---


「だろうな」


(ひょえーーー。はっきり言ってくれるじゃないの、石橋)


--- ^_^ わっはっは! ---


「じゃ、行こう」

「はい。先輩」


ぶろろろろ・・・。




3人は10分足らずで新居についた。


「お、ここだな」

「築10年?これでぇ?」

「まるっきり新築と変わらないじゃないですか・・・」

石橋は驚いた。


「和人、こんなに広いところで、おまえ一人で住んでどうするんだ?」

「そう言われても・・・」

「確かに大きいです」

石橋も言った。


「会社にも近いし、なんなら、石橋、一緒に暮らしてみれば?」

「え、そ、そんなぁ!」


--- ^_^ わっはっは! ---


かぁーーー。

石橋は一瞬で真っ赤になった。


「ご、冗談を!」

「あ、悪い、悪い!」

「知りません!」


「先輩、石橋さんにそんな冗談いっちゃだめです・・・」

和人は石橋の前なので、あんまり感情的に言わない方がいいと思った。


「荷物は、全部2階の洋間にとりあえず置いといてください」


「よし・・・」



和人がドアを開け、3人は中に入った。


「しかし、中もずいぶんと大きいんですね」

石橋が図面を見ながらきいた。


「4LDKだぜ」

「家賃は?」

「1万です。えへへへ・・・」

和人が頭をかきながら答えた。


「1万?安い。いわくつきとか、なんかの冗談ですか?」

石橋が和人に探りを入れた。


「自殺者が出たとか?」

二宮が石橋の方を向いて言った。


「きゃあ!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「止めてください、二宮さん!」


「会社借り上げの寮って扱いだからと思います」

和人が一応石橋が納得できそうな答えをした。


「普通、4LDKっていくらくらいするんですか?」

石橋が部屋を見渡しながらきいた。


「この辺で、築10年の一軒屋で4LDKなら、月14万は下らないぜ。そうだろ、和人?」

「ええ。まぁ、そんくらいはするんじゃないかと・・・」

「そんなにするんですか?」


「ああ。でも、和人。なんだって、おまえがオレよりでかいとこに入れるんだよぉ?そう思うだろ、石橋?」

「知りません。真紀さんの命令ですから真紀さんに聞いてください」

和人は両手を広げた。


「しっかし、4LDKっていや、二人子持ちの40代のビジネスマンじゃないか。お、ひょっとして、和人、隠し妻に双子の隠し子がいるとか?」


--- ^_^ わっはっは! ---


二宮がにやりとした。


「ほ・・・、本当なんですか?」

石橋が驚いた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「バカなこと言うなよ。冗談に決まってるだろ。和人のヤツ、それどころかキッスだってしたことな・・・」


それを石橋が制した。

「和人さん、キッスなら経験済みだと思います」


「え?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「なんで、そう思うんだ?相手は生身じゃない・・・」

「な、なんとなくです・・・」


ぼそぼそ・・・。

石橋は尻すぼみになり、つぶやくだけになった。


--- ^_^ わっはっは! ---


「そっかぁ?」

ほっ。


(よかった。バレなかったみたい・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


とりあえず、石橋は安堵した。


「引越しソバ頼んだか?」

「これからです」

「よおし、1時間で片付けるぞ」

「はい」

「じゃ、わたし、上でお掃除します」


たっ、たっ、た・・・。

とんとんとん・・・。

石橋は掃除機を持って2階に上がった。


がぁー、がぁー。

さっそく掃除機が唸り始めた。


「お掃除が終わるまで、2階にはものを上げないでくださいね!」

石橋の声は掃除機に負けないような大きさだった。




(ふふふ・・・)


石橋は、二宮がいたがとにかく和人と一緒にいれて、和人の身辺を手伝えることが無性に嬉しかった。和人は1階に二宮といたのだが、それでも十分楽しかった。かえって2階にいる方が和人と直接顔を合わせずにいれたし、二宮がいることも、会話をとぎらせずにいれるので、気が楽だった。


にこーーー。

石橋の顔には自然に笑みが広がっていった。


「真紀社長、ありがとうございます!」

「ん?おーーーい、なんか言ったか、石橋?」

「いいえ。なぁーーーんにも!」


(いけない。独り言が、聞こえちゃった・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


「上、終わったら、言えよ!」

「はぁーーーい!」


石橋は掃除機をかけながら、真紀に感謝の言葉を口にした。なにより、和人の家に、気兼ねなく入れたのだ。石橋は、和人のプライベートな一面に触れることができたような気がして、十分に幸せだった。


ぴたっ。

突然掃除機の音が止んだ。


「2階、お掃除終わりました」

石橋が明るい声で言った。


「石橋のやつ、はりきってるじゃないか。いい嫁さんになるぞ」


--- ^_^ わっはっは! ---


二宮は、和人を見ながら言った。


「な、なに言ってんですか?」

「よし、荷物を運ぶ」

二宮と和人は荷物を掴むと2階に上っていった。


「先輩、それ、洋間においてください」

「あの、ここ、全部洋間ですけど・・・」

石橋が言った。


--- ^_^ わっはっは! ---


「全部洋間だってぇ?」

「はい。今、上で確かめました」


「和人、布団どうすんだよ?」

二宮が布団を肩に担いだまま和人を見つめた。


「床に置いてください」

「それは、ちょっと・・・」

石橋が言いかけた。


「大丈夫。石橋さんがキレイにしてくれたんだから」


にこっ。

和人は、石橋に微笑むと、マットレスを床の上に置いた。


「じゃ、こいつもな」


どさっ。

二宮も布団を置いた。


「わたし、1階やります!」

和人と目が合った石橋はあわてて1階に下りていった。


たったった・・・。

ずだだだだーーーん。


「痛ぁい!」

階段で派手な音がして石橋の叫び声がした。


「大丈夫?」

和人は急いで階段を駆け下りた。


とんとんとん・・・。

1階の床に、石橋がへたり込んで、腰をさすっていた。


「あー、石橋、おまえ、お尻打ったな。あわてて階段下りるからだよ」


二宮が掃除機を脇に置いた。


「石橋さん、大丈夫?」

和人は、相当痛そうにしている石橋に、恐る恐るたずねた。


「お、お尻を打っちゃったみたいです」

「そりゃ、大変だ。どれ、見せてごらん?」

二宮が石橋のそばにかがんだ。


--- ^_^ わっはっは! ---


「エッチ!」

ぽかり。


「ち、ちょっと、二宮さん、なにするんですか!」

「いってーなぁ・・・!」


ぽかり、ぽかり。

「わ、わたしのお尻に触ろうとしたからです!」


--- ^_^ わっはっは! ---


あわてて、石橋は二宮に向き直った。


「先輩、なにやってんですか!」

和人も二宮を制した。


「和人、じゃぁ、おまえが診てやれよ」

「え?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「いやぁ!」

「冗談言わないでください」

かぁ・・・。

石橋はスカートをしっかり押さえて真っ赤になった。


「石橋さん、痛いんでしょ?」

和人は本気で心配していた。


「うん・・・」

「病院で診てもらった方がいいぞ」

二宮が言った。


「オレ、電話します」

「け、けっこうですから」

石橋はそう言って立ち上がろうとしてその場に崩れた。


どさっ。

「あ痛・・・!」


「ほれ、言わんこっちゃない。和人、電話、電話」

「はい」


「オレは、社長に連絡入れるぜ」

「歩ける?」

「ええ、なんとか」

「無理させちゃいましたね」


「ご、ごめんなさい。お手伝いどころか、余計な面倒を起こしちゃって」


石橋は申し訳ないという気持ちでいっぱいだった。和人は、自分のせいで石橋がこういうことになったと思っていた。


「病院、すぐそこだった」

二宮が言った。


「あの。ごめんなさい」

石橋は目を伏せた。




「病院すぐ近くでよかったね」

「ええ」

「石橋さん?」

看護婦が石橋の順を告げた。


「ご主人も、どうぞ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「えっ。オレ、旦那じゃないです」

「そうですか?」




「どうだった?」

「骨には異常ないですって」

和人に石橋が答えた。


「よかった」

「でも、打撲で内出血してるって」


「大丈夫かい」

「1週間は、かかりそうです」

「そっかぁ・・・」


「あ、いた。いた」

二宮と真紀が石橋と和人を見つけた。


「お尻、大丈夫、石橋?」

真紀が心配そうにきいた。


「ええ」

「湿布は?」

「看護婦さんにしていただきました」

「二宮、和人。あなたたち、石橋に変なことしなかったでしょうね?」


「と、とんでもない」

「大丈夫です、真紀さん」

石橋が言った。


「今日のところは、石橋はリタイヤね。わたしが家まで送っていくわ。座れるようになるまで、会社来なくていいわよ」

「は、はい」


「ほれ、あなたたちは、まだやることあるんでしょ。行った。行った」

「へーい」

「ちょっと、和人?」

「はい」


「石橋を車に入れるの手伝って」

「はい」

和人は石橋を両手で抱きかかえた。


「あ!」


石橋は和人に軽々と抱きかかえられ胸が高鳴った。石橋は腰の痛みも忘れて、和人の腕の中を堪能していた。


「ほら、後ろの座席に横たえて」

「はい」

和人は石橋を座席に横に寝かせた。ドアを閉めると真紀は車のエンジンをかけた。


ぶるるるん・・・。


「あなたたちは、明日は休みじゃないからね」

「了解」




「これで最後だ。一服すっか?」

「はい」


ぷしゅぅ・・・。

二宮と和人は、コーラ缶を開けた。


「やれやれ、石橋のヤツ、なにしに来たんだよ、まったく」

「先輩、そりゃないでしょ」

「おーお、やけにかばいますね。和人くんは、いいよなぁ。可愛い女の子に部屋を掃除してもらって」

「先輩、石橋さんのこと、ちっとも心配してないんでしょ?」

「そんなことないさ。オレだって、真剣にあいつのこと心配してんだから」

「そうですか?」


「ああ、で、ソバは?」

「側はって?」

「引越しソバだよ。頼んだのか?」

「いっけない、忘れてた」

「さっさと頼めよ。肉体労働して腹へってんだから」

「わかりましたよ」


「驕りな」

「え?」

「当然だろ」

「領収書もらっとこ」

「おっ、ちっとは賢くなったみたいだな」

「なに言ってんですか」




「ヘーイ、まいど。大山そば、です。二人前ね、1400円です」

「はい」

「どうも、毎度ありい」


(しかし、なんだって、常務はこの4LDKをオレ用にしたんだろ?)

和人は4LDKにいきなり移されたことをいぶかった。


(先輩の言うように、所帯持ちじゃなきゃ意味ないよな。だだっ広くて、掃除することを考えると、ため息がでそうだよ・・・)


「やたら広いのも考えモンだなぁ、和人」

「そうですね。掃除が大変です」

「1DKでも大変なのに、4LDKなんて、冗談じゃない・・・」


二宮は部屋の掃除が大の苦手であった。


--- ^_^ わっはっは! ---


「オレは2DKで十分だ」

「オレ、使うの1部屋だけですけど、あと、どうすればいいのかな?」


「そうだ!女子大生にサブリースするってのは、どうだ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「先輩、そりゃ、まずいんじゃないですか?」

「なにを言ってる。女子大生3人と一緒のうえ、大家稼業で3部屋分の収入があれば・・・。くっくっく・・・」

「バレますよ。そんなことしたら」


「えーと。1部屋、月4万円として、3部屋だから・・・。お、月12万円、年144万円になるじゃないか!和人、これは、常務が、不動産ビジネスをしろってチャンスをくれたに違いない!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「そんな訳ないじゃないですか。真紀社長に、ぶっ殺されます」

「じゃ、ほかに、どんな理由があるんだ?」

「わかりません・・・」


「ユティスと暮らすとしても、大きすぎるよなぁ・・・」

「ちょっと、先輩。ユティスと暮らすって、それ、同棲じゃないですか?」

「んで、1年後、おまえたちに双子が生まれてだな、4LDKが必要になるというわけだ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「違います!絶対に違う!」

「オレも、イザベルちゃんと暮らしたいよう・・・」

「先輩は、4LDKもらえないんですか?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ふふふ。オレは、2DKでいいんだよ。狭ければ、狭いなりに、それなりの楽しみというのもあるってもんさ」


--- ^_^ わっはっは! ---


二宮は倒されてもタダでは起きなかった。

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