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王女の婿選び  作者: 羽月
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第9話

「おつかれさん」


曲が終わり、ホールの端へと逃げる。


「少しは、上達したじゃないか」


にやにやと彼は私を見ながら言う。


「本当に、意地悪ね!あんな難しいステップを入れなくてもいいのに!!」


「まぁまぁ、そう怒るなよ。ダンスの相手を努めただけでも誉めて欲しいものだ」


あっさりと私の不満を流し、私の頭にポンと手を置く。


「もうっ!いつまでも子供扱いするんだから!!」


「そう言うなって。リーナはいつまでたっても可愛い妹だよ」


にっこりと笑うその顔には、昔を懐かしむような瞳だった。


「・・・・もう3年よ。ダニー兄様」


そっとそう言うと、彼は少し笑っただけで何も言わなかった。

きっと、彼の中ではまだ消化出来てない事なんだと、私もそれ以上何も云わなかった。


「・・・それで、リーナはいい奴は見つけたのか」


不意に、ダニー兄様に問いかけられたその言葉に私は首を横に振った。


「いるわけないわ。どいつもこいつも王女の私が欲しいだけよ」


「ははっ!リーナのお眼鏡にかなう奴はまだいないってことか。・・・なら、俺の友人を紹介してやろうか?」


いきなりのダニー兄様の言葉に私は思わず隣りにいた彼に振り返った。


「はっ?ダニー兄様まで、私に結婚しろと言うの!?」


「当たり前だろ?この国を治めて行くのはお前しかいないだろう」


さも当然とばかりに彼は頷く。


「それは、そうだけど・・・。でも、そんな適当に結婚相手なんて決めたくないわ!!」


「まぁ、そう言うな。俺にとっては、あいつと同じくらい信用しているやつなんだ」


そう言われ、私は何も言葉が出なかった。

そんな私を見て、ダニー兄様は苦笑した。


「・・・・俺はお前に幸せになって欲しいんだよ」


そう言うと再び私の頭にぽんぽんと手を置いた。


「・・・・わかったわ。結婚相手として見るかはわからないけれど、その方に会うだけ会ってみるわ」


その言葉に、彼はニッコリと笑った。


「まぁ、会うだけ会って、お前が気に入ればの話だ。そんなに深く考えなくてもいい。さて、喉が渇いただろう?お姫様に飲み物を取って来てやるから、大人しくしておけよ」


その言葉にコクリと頷くと、頭におかれた手が離れて行く。

そして、ダニー兄様が離れて行く姿を見て、ズキッと胸が痛む。

あの頃の無力な自分を思い出した・・・・・。



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