第6話
両親の衝撃的発言から10日。
あっという間に過ぎ去っていった。
「・・・・あれ?私の10日間はどこ行ったの!?」
ふと、気づいた私は現在、レイナによってコルセットを付けられている。
「何をおっしゃってるんですか?姫様。あれだけ、グチグチとパーティーは嫌だと駄々をこねられていたではありあませんか!」
言葉と共にコルセットを締める力が強くなったのは気のせいだろうか?
「うっ・・・・。そ、そうよね。ごめんなさい」
思わず誤ってしまったのは、コルセットが苦しくなったからでは断じて・・・・ない・・・・。
ともかく、いつの間にか過ぎ去っていた10日間を嘆きながら、とうとうパーティーへと足を運ばなければならなくなってしまった。
「姫様、分かっていらっしゃるでしょうが、くれぐれも・・・。くれぐれも、粗相のないようお願い致します!!」
レイナが、これでもかとばかりにそう口にするので、私は苦笑いを返しながら返事をする。
「大丈夫よ。これも国交の一つだと思えばいいのでしょう?ちゃんと出来るわ」
そういう私にレイナもしぶしぶではあるが、頷き返した。
「さぁ、そろそろ、私もパーティーに顔を出さなければいけないでしょう?」
遠く聞こえる音楽の音は、華やかなパーティーを始める曲だ。
主役が登場するまでの時間は、それぞれが挨拶やちょっとした話に花をさかせているのだろう。
賑やかな声がここまで聞こえる。
「そうですね。そろそろ参りましょうか」
そういうと、レイナは部屋の扉を開けた。
さぁて、今日のごちそうは何かな?
「・・・・姫様。本当に大丈夫なんでしょうね?」
抑えている扉を前に、じろりと視線を私に向けてくるレイナは、何を気づいているやら。
「もちろんよ!!」
決して、私の心は既にパーティーの料理にあるなどとは悟られないよう力を込めて返事をした。
深い深いため息が聞こえてきたのは気のせいだろう。
「しっかりと、お相手を見極めて下さいね」
レイナと廊下を歩き、パーティーの会場となっている扉の前に立つ。
扉の向こうから聞こえる音楽は、私の登場に合わせて変わっている。
「えぇ。まかせて頂戴。・・・・・行ってくるわね」
そう言って扉を目の前に背筋を伸ばす。
遊びはここまでだ。
「行ってらっしゃいませ」
丁寧に腰を折り、私に頭を下げるレイナに頷き、私はその扉が開くのを待った。