第4話
やっと2山を崩し終えた所で、私はギブアップした。
「今日はもう駄目。これ以上見ても相手の情報が入ってこないわ!!」
そういうと、レイナは頷きながらもう一つの山を片付け始めた。
「えぇ、お疲れ様です。本日は実によく目を通されたと思います。ゆっくりお休みになられて下さい」
そういうと、レイナは楽々と山を抱え部屋を後にした。
「・・・・はぁ。よくあれをあんなにも軽々と持てるものね。・・・・というか、燃やしてくれないかしら」
思わず本音がぽろりと零れてしまった。
「っはぁ!!!!つっかれたっ!!」
あれだけの絵姿に目を通すのも一苦労だ。
しかも、全くイイ男はいない。
「本当に時間の無駄ね!これならまだ、政務の仕事をしていた方が何倍もマシよ」
そもそも、あと2年も時間があるのに、急がせすぎなのだ。
まだゆっくり探しても間に会うだろうに・・・。
「・・・まぁ、今はそんなことも言っていられないか」
ふぅと溜息をつくと、よっこらせとソファーから身体を起し、窓の傍まで歩く。
シャッとレースのカーテンを開け窓を開ける。
そこには、城下を見渡せるバルコニーがある。
「・・・・今日も、町は平和の様ね」
遠くに見える町がどうなっているかは分からないが、どこからも煙らしきものが上がっていない。
その事にほっと胸をなでおろす。
「姫様。お身体が冷えますよ」
後ろを振り返れば、レイナが部屋に戻って来ていた。
「・・・・大丈夫よ。こんなにいい天気なんだから」
そういうと、レイナはそっと目を伏せた。
「・・・・そう、こんなにいい天気で町も明るいの。これがいつまでも続けばいいわ」
ぽつりとつぶやいた声がレイナに聞こえたかどうかは分からない。
だけど、それは誰しもが願う願いだと皆が知っている。
3年前に起ったあの出来事を知る誰もが・・・・・。
「さぁ、夕食にしましょう!!もう、目が痛くて肩もこって仕方がないわ!デザートはブルーベリーを使ったタルトがいいわね!!」
くるりと後ろを向いて部屋に戻ると、レイナもいつもと同じ様に返してくる。
「姫様。今更夕食のメニューの変更など、料理長を困らせるおつもりですか!本日のデザートは、イチゴのミルフィーユでございますよ」
「あら、それも美味しそうね。あぁ、お腹がすいてきたわ。早く行きましょう」
私達は、部屋を後にし、食堂へと向かった。