第3話
「レイナ!もう無理!!目が痛い!!」
ひとつの山をやっと崩し終え、私は降参した。
「わかりました。少し休憩致しましょう。お茶を持って来させますので、その間ゆっくりなさってください」
そういうと、レイナは部屋を後にした。
やっと解放され、思わずソファーに身を投げ出した。
「ぶふっ!!」
姫としてありえない声がでたが、今は誰もいないしよしとしよう。
「・・・っはぁ。目に留まる様な男はいないなぁ~」
綺麗な絵の書かれた天井に向かって、そう呟けば、思わず深いため息が零れた。
「そもそも、なぜ結婚をしなければ即位出来ないのか、わけがわかんないわ」
私は一人でも、十分女王としてやっていけると思っている。
それなのに、それが即位の条件だと言われ、仕方なく慌てて婿になってくれそうな男を探す。
「そもそも、出来そうな男は大体第1王子だったりするしぃ」
やはり、世の中良く出来たもので、あーいう人がいいな、と思えば第1王子で婿に来れなかったり、第2王子でも、第1王子が継承権を放棄していたり、亡くなられていたりとやはり婿には来れない状態だったり。
「いいなと思えば、すでに奥さんいたりねー」
「さっさと、決めておかないからそういう事になるんです」
まさか、返事が返ってくるとは思っておらず、慌てて、身体を起してみれば、カートを引いたレイナが部屋に入ってくるところだった。
「・・・・だってぇ~、まだ18だよ?」
甘えたようにそういうと、レイナはキッとこちらに視線を投げかけてくる。
「もう18です!!この国の結婚適齢期は14~17ですよ?姫様は完全に行き遅れの部類に入ります!」
「えー、そんな事言ったら、レイナだってそうでしょー」
そう言った瞬間、今までで、一番冷たい視線が投げかけられた。
「・・・すみません」
慌てて謝った。
「そもそも、私にはちゃんと婚約者がおります!姫様の結婚を見届けるまで結婚などできません!!」
「えぇ!!そんなのすごく責任感じちゃうじゃない!!今すぐ結婚しなよ!!」
そもそも、それを私のせいにされたらますます結婚をしなければいけないという、プレッシャーを抱えてしまうじゃないか!!
「ならば、さっさと婿様をお取りください!!」
くすん。それができたらとっくにやってるって・・・・。
なんて、言葉にはしないが、心の中で愚痴っておく。
「さぁ、姫様。お茶が入りました。これを飲んで頑張りましょう!」
やる気満々のレイナの言葉に、思わず口にしたお茶が喉に詰まった。
「ぐぇほぉっ!!」
「まぁ!姫様!!姫様ともあろう御方がなんとはしたない!!」
ごほごほと、器官に入りむせてしまった咳きを落ち着かせる。
「まだ見なければダメなの・・・・?」
答えは決まっているだろうに、思わず確認してしまう。
「もちろんですとも!!」
・・・・・・ですよね。