第17話
お母様からの痛いお言葉を頂いた後は、黙々と朝食を食べ部屋へと戻った。
「・・・・・はぁ。拷問だったわ」
部屋に戻り、ソファに腰掛けながらため息が思わず零れる。
「姫様、本日は孤児院への訪問予定となっておりますが、いかがなさいますか?」
私の疲れていた様子を見て、レイナがそう問いかけてくる。
「もちろん、行くわ」
「かしこまりました。では、その様に手配して参りますね」
そう言うと、レイナは部屋を出て行った。
お母様にあれだけ小言を言われた後に、城でゆっくりなどしていたくなかった。
少しでも、外に出て気分転換でもしなければやっていられない。
だが・・・・
「・・・・・孤児院ね」
これからの予定を考えて、私は眉を寄せる。
3年前に急激に増えてしまった孤児院。
王族の傲慢な争いごとに巻き込まれてしまったが為に増えてしまったそこに行くのは正直辛い。
だが、迎えてくれる子供たちは、私達王族を睨みつけるでもなく笑顔で迎えてくれる。
中にはもちろん恨みを込めた目を持っている子もいるが、それを表には出さない。
そんな姿をみていると、どうしても胸が痛くなる。
「・・・でも、それは私達が背負わなければいけない事なのよ・・・」
自分に言い聞かせるようにぽつりとつぶやく。
あんな事がなければ、孤児にならなくて良かった子も大勢いたはずだ。
そんな子供達に、出来る事はやってあげたい。
だが、私たちが出来ることなど、限られている。
だからこそ、せめて子供たちの生活に不備はないかこの目で確かめなければ気が済まない。
「姫様、失礼致します」
扉の外から、声がかかりレイナが戻ってきた事を知らせる。
返事を待たずとも、こちらが入るなと言わない限りは入っていいと言っているので、レイナも一呼吸置くと扉を開き部屋へとはいってきた。
「・・・・また、何かお考えになっていましたね?」
私の顔を見るなり、眉を寄せて渋い顔でそう言う。
私は、思わず苦笑してしまう。
「しょうがないのよ」
そのひと言で、レイナは溜息をつく。
分かっているのだ。レイナとは散々話をしているのだから。
「・・・・何度も申し上げますが、あれは姫様の所為ではございません。あまり、思い詰めすぎるのはよくないですよ」
そう言うと、何事もなかったように、レイナは私のドレスを脱がせ始めた。
「姫様、あまり時間がございませんから、急ぎお支度致しますよ!!」