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王女の婿選び  作者: 羽月
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第15話

ホールの端まで来ると、エドモンドは手を離し私の方へと向きなおした。


「リリナ姫。失礼しました。お困りのようでしたので、お声を掛けさせて頂いたのですが・・・・・」


「え・・えぇ、ありがとうございました。助かりました」


その言葉に、エドモンドはにっこりと笑って頷いた。


「ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。先程も申し上げましたが、改めて。エドモンド・エインズワースと申します。父が病床に伏せってからは私が後を継ぐ為、騎士団より戻り父の元で勉強しておりましたが、つい先日、父より公爵を受け継ぎました」


「騎士団?」


思わず零れた疑問に、エドモンドは苦笑する。


「よくある話です。公爵家では子に恵まれなかった為、父が外で産ませた子を認知はしたものの、義母はそれを認めず騎士団に入団出来る12になるまで母と2人市井で暮らしていた所に、12になり突然公爵家の者が来て騎士団に放り込まれた。ですが、それを表沙汰にしたくない公爵家が病弱と偽り、社交の場には出さなかったと。そして、いよいよ父が危ないと言う事で、私が公爵を継ぐことになったのですよ」


淡々と語るエドモンドに思わず頭を下げた。


「そう・・・・だったのですか。つらい話をさせてごめんなさい」


謝る私にエドモンドは首を振って苦笑する。


「いいえ、とんでもない。私は辛いと思った事は一度もありませんよ。幼いころは振りまわされる事が嫌でしたが、騎士団は私の性に合っていたみたいで楽しい日々を過ごしておりました」


にっこりと笑うエドモンドの表情に、嘘を言っているわけではなさそうだと判断する。


「そう、それならばよかった・・・のかしら?」


それがいい事なのかどうか判断に迷ってしまった為、思わず首をかしげると、エドモンドはくすくすと笑った。


「話に聞いていた通りの方ですね」


その言葉に、再び首をかしげる。


「話・・・・?」


その時、後ろから聞き覚えのある声に呼ばれた。


「リーナ?大丈夫か?」


声をかけられた方を向くと、そこにはダニー兄様がいた。


「ダニー兄様!!」


すっかりその存在を忘れていたが、ダニー兄様の姿を見て一応安心した。


「ダニー。リリナ姫の傍を離れたらダメだろう?」


向かいにいたエドモンドがダニー兄様に話しかけた。


「あぁ、すまなかった。助かったよ、エド。リーナが絡まれてたのは見えていたが、ちょっと足止めされてな・・・・」


バツが悪そうにダニー兄様は頭をかいた。


「・・・2人はお知り合いなの?」


すっかり私の事を忘れて2人で話している姿は、そうとしか思えないが・・・。


「あぁ、さっき話してただろう?こいつの事だ」


ダニー兄様は、エドモンドの肩をたたきながらにやりとした。


「・・・何の話だ?」


不思議そうに首をかしげるエドモンド。

慌てて、私はダニー兄様を掴んだ。


「ダニー兄様!!ちょっと!!」


ダニー兄様を引っ張りエドモンドから距離をとる。


「ちょっと!!どういう事よ!!最初からダニー兄様が仕組んでいたの!?」


ぎろりと睨むとダニー兄様は両手を小さくあげ首を振る。


「まさか。本当に偶然だ。ブランドンに絡まれていたのは見えたが、助けに行こうと思う前にエドが現われたから少し見守っていたけど。まぁ、紹介する手間は省けたな」


楽しそうに、頷くダニー兄様の頭を叩いてやりたいと本気で思った。


「とにかく、俺が紹介しようと思っていた相手はエドだったんだ。リーナがどうしたいかはこれから考えればいいから。ほら、そろそろお前も王妃様の元へ戻らなきゃいけないだろう?」


ダニー兄様一人がべらべらと喋っていたかと思うと、急に後ろを振り向きエドモンドを呼んだ。


「ちょっ!!」


慌てて止めようとしたが、時すでに遅し。

エドモンドはダニー兄様に呼ばれこちらに歩いてきた。


「どうした?話はすんだのか?」


ダニー兄様には先程と違い砕けた話し方で話していた。


「あぁ、すまないがエド。リーナを席まで送ってやってくれないか?ほら、またからまれたらいけないだろ?」


「それは構わないが・・・」


ダニー兄様に言われた事に返事を返しながら、エドモンドは私の方を見る。


「そんな申し訳ないわ。せっかくのパーティーですもの、エドモンド様の貴重なお時間を頂くなんて」


「ははっ!!別にそんなに時間がかかるわけではないし、別にいいだろ?」


向けられた視線に慌てて取り繕い私はやんわりと断りを入れたのだが、空気が読めないのか、ダニー兄様は笑って言った。

本当に、もう殴ってもいいだろうか?


「えぇ、私の事はお気になさらず。姫がよろしければお伴致します」


にっこりとそう言われれば断るわけにもいかず。


「・・・え、えぇ。お願い致します」


するりと自然に手を取られ、エドモンドに先程まで座っていた場所に連れていかれた。


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