第13話
意識が戻り、その後の話を聞かされたのは、全てが終わっていた後だった。
結局、あの反乱を起こしたのは先代陛下の弟であり、国を乗っ取る為、城下の町でも貧困街であった場所を焼き払い、それを王国の所為だと吹き込み洗脳し、城を襲わせたと言う事だった。
が、実際には反乱の様に見せかけるため、町の人々の格好をしていたが、襲ってきたもののほとんどが先代陛下弟の手の者であり、城の中にもその手の者は潜んでいた。
陛下を始め、王妃様も城の中で絶命し、クリス兄様に至っては城下に下りた所を刺され、街と一緒に焼かれたと報告されており、クリス兄様の身体が城に戻ってくる事はなかった。
先代陛下弟においては、いつの間にか城の傍で絶命しており、その理由を知る者はいなかった。
「リリナ様!この様な所にいらしたのですか!」
ふと、私の思考を遮る様に声をかけてきたのは、ブランドンだった。
「あら、ブランドン様」
厄介な奴に捕まった。
思わず、眉間に皺が寄りそうなのを我慢して、にっこりとほほ笑むと、それに気分を良くしたのか、また勝手に私の手を取ってきた。
「リリナ様。先程は断られてしまいましたが、こちらに下りてきたという事はダンスにお誘いしてもよろしいですね?」
喋り終わるなり、再び手の甲に唇を落としてくるブランドンに思わず手を振り払ってしまいたくなる。
「・・・・私、踊ったばかりで疲れておりますの。少し休憩をしますから、どうぞブランドン様は他の方と楽しんで下さいませ?」
遠回しに断ってもまためんどくさい事になりそうだったので、直球に断ってみる。
「なんと!リリナ様を疲れさせるようなお相手だったのですか?それは、いけませんね。そんな下手な奴のお相手などよりこの私めに任せて頂ければ、リリナ様を疲れさせることなどさせません」
・・・・・・・直球にお断りした筈なのだが、この人には言葉が通じないのだろうか?
「いいえ、そんな事はありませんわ。それに、その方は今、私の飲み物を持ってきて下さるの。待っていなくては彼が困ってしまうわ」
だから、さっさとどこかに行きなさいよ~?
と心の中で言ってみる。
「あぁ!これは気付かなくて申し訳ありません!!」
その言葉に、おっ?やっと言葉が通じたか!?と思ったのも束の間、続く言葉に思わず眉をよせてしまう。
「あちらに、我が領地で取れた最高級のブドウで造らせた最高級のワインがあるのです。ちょうどいい。ぜひ、リリナ様にもご賞味頂きたい!!」
そう言って、ブランドンは私の手を引き、そこへと連れて行こうとする。
「ちょっ、ちょっと、ブランドン様!!」
思わず引かれる手を振り払おうとした時、
「リリナ姫。お待たせしました」
聞きなれない声で私の名を呼ぶ人がグラスを持って立っていた。