第1話
この世の中に私の好みに合う男性が必ずいるはず・・・・!!
「・・・夢です。姫様」
私の想いが、私付きの侍女により一刀両断された。
「・・・うぅ、痛い。心が痛いわ」
鋭い剣で私のハートは真っ二つだ。
「いい加減になさってください。もう18になられるのですよ!結婚できるギリギリのお年だと理解して下さい!!」
目の前には、冷徹な仮面をかぶり怒る私付き侍女の顔がある。
・・・・私付き侍女って、長いな。もう、レイナでいいか。
「そう、怒らないでよ~。わかってるから。でもぉ、やっぱり結婚するなら私好みの人と結婚したいなぁ~なんて・・・・」
あ、こめかみがぴくぴくし始めた。
これ以上は、身の危険を察知し、しぶしぶ私は傍にあったソファーに身を沈め、机の上に山になっている絵姿に目を通した。
「・・・・あー、あそこの国のボンクラ王子。これ、ありえないでしょ」
そう言って、一枚目をそのへんにぽいっと投げる。
「はっ!あの馬鹿第3王子?冗談は顔だけにしてよ」
2枚目も同じく投げ捨てた。
「・・・・ちょっと、この王子この前結婚したって言ってなかったっけ?もう別れた訳?一体何回目よ」
3枚目も投げ捨てる。
「あーこれ、うちの国の公爵家の息子ね。・・・女癖が悪いって評判よねー」
4枚目も投げ捨て・・・・・・・られなかった。
「投げないで下さい!!」
レイナが見事キャッチした。
その姿に心の中で拍手した。すごーい!!
「・・・・実際に行動していたら、心の中ではありませんから!!」
どうやら、実際に拍手していたらしい。
それにしても・・・・・心まで読める侍女ってすごいな。
「姫様。お願いです!!切実に心からお願い申し上げます!!そろそろ、どなたかお選びいただけなければ国がつぶれてしまいます~~!!」
とうとう、レイナは泣きだしてしまった。
うっかり、レイナで遊びすぎたと反省。
「・・・・わかったわよ。選べばいいんでしょ。選べば。でも、そんなすぐすぐこの人って決められるわけないでしょう。それくらい、貴女だってわかっているでしょ」
真面目に返せば、レイナは先程まで泣いていたのが嘘のようにケロリと返事を返してきた。
「えぇ!もちろんですとも!!しかし、姫様がさっぱり選ぶ気もございませんでしたから、私、その気になって頂けただけでもうれしゅうございますわ!!」
やられた!!
そう思った時には時既に遅し。
レイナは両手を叩くと、侍女が2人重そうな書類を抱え机の山の両側に新たに山を建設して行った。
「とりあえず、現在の候補者様方でございます。すべてに目を通して下さいませ!」
にこにこと、私の横に控えるレイナに私はがっくりと頭を垂れた。
「こ、これ全部・・・・・?」
「はい!!」
にっこりと返ってきた返事に、笑顔が引きつったのは仕方がないよね?