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第一話

ずっと前から感じていたことがある。

どこか世界から取り残されているような奇妙な違和感。まるでこの世界から自分がずれてしまっているような感覚。

友人には浮世離れしていると言われるゆえんであるこの感覚は、物心ついたときには常にまとわりつていた。

だから、といったらいいのか。こんな事態に陥ってもある程度余裕を保てたのは。


「・・・は?」


目の前に迫る大型トラック、少し離れた歩道には自分がとっさに突き飛ばした子供が一人。

それだけならば自分は数秒後には物言わぬ姿になり果てるだろう、完全に眠り込んでる運転手が操るトラックはブレーキを掛ける気配すらない。

しかし、少年の目に写ったのはトラックと自分の間に浮かぶ小さな『error』の文字。そして時間が止まったように静止した周囲。


「なんだこれは?」


思わず漏れたと言わんばかりの小さな声で呟く。とっさに子供を助けに動いた自分に誇らしさと少しの後悔を覚えながらも死を覚悟した矢先の出来事に対して、それが今とれる精一杯のリアクションであった。

呆然と立ち尽くしていると、目の前にある『error 』の文字が、一瞬光ると変化する。


『聖典未掲載の魂を感知。異世界からの侵入と判断。グングニルによる排除を決行』


それと同時に浮かびあがった文字の背後に魔方陣のようなものが展開される。


「う、うわぁぁぁぁ」

 

氷ついた足をなんとか動かして逃げようとするも、あまりの恐怖に足が絡まり道路にたおれこむ。受け身もとらずに背中を強打し、目に涙がにじんだ。


「なんなんだよ、なんなんだよこれはーー」


最初はひとつだった魔方陣は、いつのまにか数えきれないほどに増殖しており、もはや視界前方は魔方陣によって埋まってしまっている。その一つ一つが激しく発光しており、それがなおいっそうの恐怖を誘った。


ー敵性魔力反応感知ー


「え?」


パニックに陥りかけた頭に突然声が飛び込んできた。耳できくというよりは頭に直接響くような声。


ー初回起動によりオートディフェンスを強制発動、スキル『神降ろし』を強制発動ー


『魔力充填完了、目標に魔力反応感知、すべての照準を目標にセット』


頭のなかに響くような声が次第に自分の思考を塗りつぶしていく。また浮かび上がる文字が変化しているようだがそれを読み取ろうとすることすらできない。


ー神格召喚、失敗、魔力不足。使用可能スキル検索、『暴飲暴食』発動ー


『魔力不足によりグングニル解除、魔力収奪スキルと判断、ガーディアンによる排除を決行』


目の前に展開した魔方陣から光が抜け出し、こちらへとむかってくる。もはや動くことのできない体に接触すると、そのまま体内へと吸い込まれていった。


ースキル神降ろし、発動、失敗、魔力不足と判断。使用可能スキル検索、スキル『英霊下ろし』発動。根元記憶より剣聖レオを習得ー


『ガーディアン全滅、排除は不可能と判断。転生術式による異世界への追放を決行』


ピクリとも動かなかったからだが自分の制御を離れて動きだす。それを認識したあと、なんとか保っていた意識も闇に沈んだ。


ーキャンセルに失敗、術式に強制介入。ステータスの保持に成功。ー









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