鴉の夢。
俺は、何をしたいんだろう?
俺は、何をするべきなんだろう?
夕闇迫る空。ああ、飲み込まれそうだ。
仲間は皆、夢を語ってた。でも、俺には語る“夢”は無い。
寂しいなあ……。
あ、でもね。死にたくはないんだ。生きたいよ。
死ぬほど、生きたい。
生ききった!
そう思って死にたい。
今の世の中、空っぽすぎるよ。
「みーんな、空っぽ。“昔”はもっと楽しかった。ギッシリ詰まってた。」
“昔”は“無い”わりに、満たされてたよ。もっとさ。
ついでに言えば、空もカラッポだ。星が無い。真っ暗。
「俺は、いつになれば、“死ねる”のかな?グッスリ、寝れるかな?」
俺は立ち上がって、空を仰いだ。
夜が、来る。
俺たちの時間。
「かれこれ、ザッと500年近くか」
俺は翼を広げた。
漆黒の、夜のような翼を。唯一の、俺の宝物。
最強の“鴉天狗”の証。
皆の…仲間たちの“夢”。
叶えちゃったから、俺には“夢”は無い。
俺と約束した“神様”は、約束を果たしてくれるだろうか?
「人間の“最期”を見届けたら、殺してくれる約束。守ってよ?カミサマ」
“鴉天狗”の王に与えられる、“祝福”という名の“呪い”――【不老不死】。
「さて、行こうか。皆。人間ウォッチングだ」
背後にたくさんの“鴉”たちを背負って、俺は飛んだ。
人の欲が渦巻く都市、【東京】の空へ――。
突発短編です。
いかがでしたか?
下校中に、聞いた烏の鳴き声が、あまりに寂しそうだったので、思わず…。
あはは…。