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大好きといえたなら・・・

作者: 春暉

ついに出来ました!

『大好きと言えなくて』続編ですので、先にそちらの方を読んで頂ければ幸いです♪


ではでは、どうぞご覧ください!

僕は、君への想いを伝えた


3年間分の想いが、3年越しに、君へと届いた


だけど、人間は欲張りなんだね


分かりきっていたのに・・・、覚悟していたのに・・・




***




「・・・大好きだよ・・・」


「・・・私も・・・」


 僕は、強く強く君を抱きしめた。

 三年間、ずっと遠くから見ていた。

 これから先、離れ離れにならないように・・・。


 そう、これで終わるはずだったんだ。

 だけど・・・。


「・・・あのね。私、君に言わなきゃいけないことがあるの・・・」


 君は、涙で赤くなった目を向けてきた。

 出来れば、この先は聞きたくない。

 だけど・・・。

 僕は、君が言いたい事を、口に出した。


「・・・引っ越すんでしょ?」


 それは、1年前まで遡る・・・。




***




「・・・えっ?」


 初め、僕は自分の耳を疑った。


「いや、だから、引っ越すってさ。多分県外に」


 僕は、数少ない友達の一人に聞いた。

 君が、この街から引っ越すことを。


「あんまり知られたくないみたいだから、言いふらすなよ?」


 そう言って、彼は校庭へサッカーをしに行った。


 ――胸の中が苦しい――


 ――色んな感情が渦巻いて、ぐちゃぐちゃになりそうだ・・・――


「・・・引っ越す、なんて・・・」


 僕は、いつの間には目に涙を溜めていた。

 

 ――・・・このまま終わったら駄目だ――


 僕は、一つの決心をし、行動に出た。




「・・・髪飾り?」


「うん・・・ある人にプレゼントしたくて・・・」


 僕は放課後、とある人物を尋ねた。

 一番僕のことを知っていて、一番長く同じ時間を共有した人物。


「それで、一緒に選んでほしいのね?」


「・・・お願いできるかな?ハルカ」


 彼女は、ふっと笑って、こう言ってきた。


「任せなさい。あんたの大好きな人へのプレゼントだからね」




 数日後、僕はハルカと一緒に選んで買ったチョウチョの髪飾りが入っている袋を手に、君のいるクラスへと行った。


 ――心臓が高鳴る――


 いつ引っ越すか、聞いていない。


 ――この想いだけは届けたい――


 もう逢えなくなるかもしれない。


 ――大好きな、君だから・・・――


 僕は、扉の前に立った。

 そして、扉を開けようとした・・・。


「あははは♪それでねー」

「ホントに!?きゃははは♪」

「マジ話かよ、それって!」


 教室の中から、楽しげな声がした。

 沢山の人の声。

 その中に、君の声も聞こえた。


 急に、怖くなった・・・。

 みんなの声を聞いて、君の声を聞いて。

 楽しそうな、みんなの声を聞いて、僕は、教室へ入ることが出来なかった。


 ――僕みたいなヤツが入ってもいいの?――


 ・・・バカみたいだ・・・。


 ――なんの接点もない僕が、あの輪の中に入れるの?――


 こんなの、ただの独りよがりじゃないのか・・・?

 途端に、僕は堪らなく悔しくなった。

 自分の惨めさ、みんなへの嫉妬。

 僕は、手の中にある袋を地面に投げつけようとした。


 ――・・・こんなもの・・・!!――


 ・・・だけど、いくら頑張ってもそれは地面に落ちない。

 たった、投げるだけ。

 それさえも、僕には出来ない。


 ――・・・できないよ・・・――


 だって、僕は・・・。


 ――・・・君のことが、好きだから・・・――


 僕は、君へのプレゼントを持ったまま、自分の教室へ帰っていった・・・。




***




「・・・知ってたの?」


 君は、驚いた目で見てきた。


 ――1年前から知ってたよ?――


 そんなことは言えずに、僕はクスリと笑った。


「うん、知ってた。だから、これを・・・」


 僕は、そう言ってポケットに手をつっこんだ。


「・・・これは?」


 ポケットから出てきたもの。

 それは、紛れもなく、1年前に君へ送ろうとした、チョウチョの髪飾り。


 ――ずっと大切に持っていた――


「髪飾り。君にあげたくて・・・」


 君は、僕の手の中のそれを取った。


「・・・私に?」


「そう、君に」


 そうして、君はまた泣き始めた。

 僕は、君の頭を撫でた。早く泣き止むように・・・。


「ごめん・・ごめんね・・・。せっかく、告白してくれたのに・・・」


 ――大丈夫だよ・・?――


「大丈夫だよ?」


 僕は、出来るだけ優しく言った。君につられて、泣きながら。

 君は、涙でくしゃくしゃになった顔を上げてきた。


 ――・・どこに行っても、どんなに離れても・・・――


「どこに行っても、どんなに離れても・・・」


 僕は、君を強く強く抱きしめた。

 涙なんて見られたくない。それに・・・


 ――たとえ、もう逢えなくても・・・――


「僕は君のことが・・・、ユキのことが・・・」


 ――大好きだから――


 僕は、それ以上、言えなかった。

 胸の中が熱い。

 きっとこれが、恋なんだろう・・・。


「私も・・・コウイチのことが・・・」




***




翌朝、君はこの街を出て行った


ホントは、もっと一緒に居たかった


だけど、その気持ちだけでも大切に・・・


別れ際に、君は笑顔で言ってくれたんだ


『・・・またね・・・』


とても、とても、キレイな笑顔で


それが、堪らなく嬉しくて


だから僕も笑顔で、こう伝えた


『大好きだよ』



皆さんお久しぶりです♪

初めての方はハジメマシテ♪

作者の春暉です


『大好きと言えたなら』については活動報告の方で書き込んでいますので、そちらも是非読んでください♪

最後に、ここまで読んで下さりありがとう御座いました!


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― 新着の感想 ―
[良い点] ほとんどが一行ずつ開いていて、読み易かったです。 [一言] 始めまして春輝さん。この小説を読んで泣きそうになったARISAです。 前回『大好きと言えなくて』を読んで、続編とか出ないかな~…
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