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管制室が轟音と共に爆発し、炎と煙が格納庫を包み込んだ瞬間、スペースシップが急発進!
ヴァイは操縦桿を前に押し込み、エンジンを限界まで回転させた。メーターは警告を無視して100%負荷を示し、機体は滑走路を駆け抜ける。
背後では巨大な爆発音が連続し、サイトの建物が次々と崩壊し始める。
大気が歪み、あらゆるものがサイトの外壁に空いた巨大な穴へと吸い込まれていく。瓦礫や残骸が凄まじい勢いで引き寄せられる中、スペースシップはその爆風に追われながら滑走を続けた。
「ヴァイ!こんなの無理ですわよ!」
「黙ってろ!」
彼は操縦桿を握りしめ、振り返ることなく前方だけを見据えていた。爆発の波がすぐ背後に迫る。寸分の遅れがあれば、全てが宇宙の彼方へと吸い込まれる運命だ。
一方で、サイトグループの管理者たちが見守るモニターに映るサイト-14の映像は突然途絶え、「No signal」の文字が無機質に浮かび上がった。
「……終わったか?」
誰かが呟いた。
どのスペースシップよりも早く、ヴァイの操縦する船が虚空を駆け抜ける。
背後ではサイト-14のコロニーが完全に崩壊し、真っ二つに折れた。
圧倒的な爆風が残骸を吹き飛ばし、その一部が他のスペースシップに衝突し始めた。火の玉となった破片が、無数の小型船を宇宙の彼方に追いやっていく。
——Warning: High load
モニターに赤い警告が点滅する。エンジンは限界を超えて負荷を抱え、今にも壊れそうだ。
ヴァイは目を細め、操縦桿を真ん中に戻した。船体は激しい振動から徐々に安定し始め、静かに宇宙の静寂に包まれていく。
「死ぬかと思ったゼェ〜!」
ヴァイは荒い息を吐き、目の前のモニターを睨みつけた。その隣でエリシアが冷ややかに呟いた。
「……まあ、死ななければ良しですわね」
彼女は未だ余裕を保ちながらも、先ほどの混乱を思い出すように少しだけ眉を顰めた。
サイト-14の崩壊によって、一つの時代が終わりを告げた。だが、まだ生き残っている者たちにとっては、次の段階が始まったにすぎない。
エリシアは船内の椅子に優雅に腰掛け、手の中でアノマリーを弄んでいた。青白く光る不規則な形をしたそれは、まるで彼女の意志に呼応するかのように微かに脈動している。
「さて、これ……どうしましょうかね〜」
彼女は含み笑いを浮かべながら、アノマリーを手の上で転がすように見つめた。すべてを終えた勝者の余裕が滲み出ている。
ヴァイは目を逸らしながらも冷静に答える。
「今はその話をする時じゃねえな。こんな状況じゃ、ビジネスなんて成立しねえ」
船内は静まり返り、遠くで聞こえるエンジンの音だけが響いている。ヴァイは操縦桿を握りしめたまま、焦燥を隠しつつも、淡々と事実を述べる。
「ほとぼりが覚めるまで待つんだ。サイト-14の関係者を探し出すしかねえよ。その時になったら話をまとめる。それまで……少しの辛抱だ」
エリシアはヴァイの言葉を聞き流すようにしながら、またアノマリーを見つめた。光は微妙に変化し、まるで何かを語りかけているかのように見える。彼女の笑みは消え、静かに思案する表情に変わった。
「……ええ、まあ。今はそれが賢明ですわね」
アノマリーが示す「次の動き」に、二人の未来が委ねられていることを知りながら。




