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エリシアは複雑に入り組んだ船内を駆け回っていた。足音が響く中、彼女の動きは速く、迷うことなく進んでいく。
ある部屋を通りかかると、ソルジャーたちが持ち場を守っていた。彼らの顔には緊張が走っている。
「状況はどうなってる!?」
一人のソルジャーが焦った声で尋ねる。
「わからん、だがここは離れられん!」
もう一人が答えた。彼らは敵の動向をつかめず、混乱していたが、その場を離れるわけにはいかない。
ソルジャーたちが話し合っていると、突然、上方のダクトの蓋がガタンと音を立てて落ちてきた。
何が起きたのかと一同が唖然と見上げる。
すると、逆さまのエリシアが上半身だけダクトからひょっこり顔を出してきた。
彼女の表情は無邪気でありながら、どこか不満げだ。
「ディレクターズカットって、なんか損ですわね!」
唐突なセリフに、ソルジャーたちは完全に沈黙した。誰も何が起きているのか理解できないまま、ただ呆然と彼女を見つめている。
エリシアは彼らの反応に一切構わず、ヌッと再びダクトの中に戻っていった。
返事の代わりに、銃弾が飛んできた。
弾丸がダクトに当たり、金属音が響く。
「やれやれですわね!」
エリシアは声を上げながら、素早くダクト内を駆け抜けた。銃声が後方で鳴り響くが、彼女は一切動じない。
しかし、次第にダクト内が複雑に入り組み、方向感覚が狂っていく。エリシアは徐々に焦りを感じ始めた。
どうやら勢い余って、予定外の変なダクトに迷い込んでしまったらしい。
「ちょっと……道がわかりませんわ!」
彼女は困惑しながらも、さらに奥へと進んでいった。
ヴァイはエリシアの唐突な単独行動に苛立ちを感じたが、即座に切り替えた。
今は彼女を追うよりも、自分の目標に集中するしかない。
「まったく、あの女……」
狡猾さと冷静さを武器に、ヴァイは静かに敵を排除していく。
足音を消し、背後から近づいてはナイフで一撃、時には隠れた位置からマシンガンを正確に撃ち込む。その動きは研ぎ澄まされ、無駄がなかった。
敵が倒れていく中、ヴァイは着実にEGS(非常用電源システム)へと近づいていった。彼の目には焦りの色は一切なく、むしろ状況を掌握しつつあることに自信すら感じていた。
「もう少しだ……」
彼はつぶやきながら、次のコーナーを曲がり、さらなる敵が現れる前に位置を確保した。
ヴァイは足を止め、壁に設置された案内表示を確認した。
光る矢印が示す先は、確かにEGSへの方向だ。目的地はもうすぐそこにある。
しかし、その瞬間、ヴァイの全身を冷たい思考が駆け巡った。
「ここでまっすぐ進むなんて、つまんねえな……」
ヴァイはつぶやき、心の中で新たな計画が浮かび上がる。
次の瞬間、彼はEGSとは関係のない方角に向かって歩き出した。その歩調は軽く、だが確実に何かを狙っている。
顔には、最も愉快で、最も凶暴な笑みが浮かんでいた。計画を変えることで何が待ち受けているのか、それを楽しんでいるかのように。
ダクトの中で、エリシアは完全に迷子になっていた。
狭い通路を行ったり来たりしながら、ため息をつく。
「これは、ちょっと面倒ですわね……」
しかし、ふと前方に目をやると、壁に小さな看板が貼られているのを見つけた。近づいてみると、それは排気系統図だった。
「ん……これは助かりますわね!」
エリシアは嬉しそうに看板を覗き込むと、系統図を指で辿りながら思い出す。
「確かEGS……でしたっけ?」
彼女は少し戸惑いながらも、目的地を思い出し、方向を定めた。
「さて、次はこっちですわね!」
エリシアは意気揚々と、ダクト内を再び進んでいった。




