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第8話【新居とくだらない戦い】

申し訳ありません。

予約投稿したつもりが出来ていませんでした。


 ディアスがアレンの父親として迎えられた事によって、リュミエール家の生活は一変した。


 まずは家。 今まではレイラとアレンだけでは少しだけ広いといった印象だったのだが、ディアスも一緒に住み、アレンが成長する事を考えると手狭になる為、新しい家を調達した。


 貴族の豪邸とは言わないまでも、部屋数も多く、広い庭がある。 ディアスは広過ぎるとも思ったが、この屋敷を選んだのはレイラだった。


「本当に私まで良かったのか?」


 リュミエール親子の背後にはセルカがいた。 彼女は何故か申し訳なさそうにしていた。


「いいんですよ。 これからもお世話になりますし、アレンだっておばあちゃんと一緒の方がいいわよね?」


「うん!!」


 そう、レイラはセルカも一緒に住む為にこの屋敷を購入したのだ。 きっかけは勿論アレンの一言だった。


 引っ越しをする事を伝えられたアレンはレイラに一言、『おばあちゃんは一緒じゃないの?』と落ち込んだのだ。


 ここでレイラの親馬鹿が発動して、ディアスとセルカを説得。 半ば強引にセルカも住まわす事を決めた。


「と言っても、ディアスがOKしてくれたからだけど……」


「気にするな。 俺もお前もまだ勇者の使命がある。 同時に家を空ける事になった時の為にもセルカ殿が居てくれれば心強い」


「そう私に気を使うなディアス。 レイラの夫となるのだからお前も私の息子だ」


 なお、この屋敷を購入する際、ディアスが全額出した。 レイラは自分が選んだのだから自分が出すと主張し、セルカも世話になる以上出すと主張。


 ディアスも譲らず、全員が意固地になっていった所を解決したのはまたもやアレンの一言。 『喧嘩するならじゃんけんで!!』だ。


 このままでは平行線だと思った3人はアレンの提案を了承。 しかしそのジャンケンへの気迫がおかしかった。


 3人が睨み合う中、アレンの掛け声で動き出す。 最初に動いたのはレイラ、2人の初動からパーを出すと予測し、反応させない為に最速の動きでチョキを出す。 普通の人間なら高速で繰り出された手を見て反応出来なかっただろう。


 しかし相手が悪かった。 セルカはレイラの思考を読み、チョキへ誘導する為にわざと初動をパーにしたのだ。 そしてディアスは魔眼を使ってレイラの手の動きを読んだ。


 これによりレイラは敗北。 彼女はその場に崩れ落ちた。 そして勝ち残った2人はお互いに冷や汗をかく。


 レイラは敵ではないと2人は思っていた。 何故ならレイラは昔から駆け引きが苦手なのだ。 だがこの2人は違う。 セルカもディアスも駆け引きは十八番である。


 そして次に動くのはセルカ、彼女は左目でウィンクして見せる。 その行動の意味は……


(私はレイラ程阿呆ではないぞ? 黙ってやるんだ。 当然……)


「分かってるよな?」


 と、笑顔で言うセルカにディアスは……


「勿論だ。 正々堂々と行こう」


(流石にセルカ殿にはバレてたか……、まぁ、レイラ程のアホはそうそういないか……)


 ディアスも流石にこれ以上は使えないと判断し、魔眼を使うのをやめる。 これで2人は五分の状態になった。


 そしてレイラをディスった2人の頭の中では相手の思考を読み、如何にして勝つか、シュミレーションが行われていた。


 そしてアレンの掛け声で試合再開、最初はお互いにパー、次にグー、その後もあいこが続く。


 11回目のあいこの後、セルカが動く。


(クッ、やはり魔眼が無くとも手強い! こうなれば最後の手を使うしかあるまい!)


 セルカは今まで右手で出していた手札を左で出した。 ディアスの右手はグー、セルカの左手はパー、セルカは勝利を確信してニヤける。


(勝ったな。 多少卑怯な気もするが、可愛い孫にいい所を見せるチャンス! ここは譲れんのだよ小僧)


 しかしディアスはそれを待っていたと言わんばかりに微笑んだ。


(待っていたぞ……この瞬間を!!)


ディアスも左手を使ったのだ。 左手はチョキ、セルカは慌てて右手に切り替えようとするが遅かった。 既に左手は出す直前、今から切り替えても後出しになってしまう。 


 その流れに逆らえず、セルカはそのまま左手を出してしまった。


 結果はディアスの勝利。 アレンが勝者であるディアスを宣言した事でセルカは崩れ落ちた。


 ただアレンにいい所を見せようとした勇者2人と大賢者の壮絶な戦いはディアスの勝利で幕を閉じたのだった。


 そして現在に戻る。 現在、勝者の特権でアレンを肩車しているディアス、レイラとセルカは恨めしそうにディアスを見ていた。


「うぅ……じゃんけんになった時点で勝ち目はなかったけど……」


「まさかこの私が読み合いで負けるとは……」


 そんな不満顔にディアスは苦笑いし、アレンは首を傾げていた。


 そして屋敷に到着した4人はそれぞれ荷物の整理を始めた。


 くだらない戦いはあったものの、4人は家族として、新しい生活を始めるのだった。

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