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第3話【エルフの女性】

アレンを助けた謎の女性が誰なのか。レイラとも関わりがあります。


「……ん」


 謎の女性に助けられたアレンは目を覚ますと見知らぬ家のソファーに寝かされていた。


「ここ、は……?」


「私の家だ。」


「ッ!?」


 状況を確認しようとしたアレンに対面に座ってコーヒーを飲んでいたエルフ族の女性が声を掛ける。 アレンは咄嗟の事で身構える。


「やれやれ、命の恩人にその態度か。 本当によく似てるよ」


 エルフは呆れたように溜息を吐き、手に持っていたカップをテーブルに置き立ち上がる。 そしてアレンに歩み寄り、腰を落とした。


「お、お姉さん……誰?」


「ほぅ? レイラに比べてお前は口が上手いな? 気に入ったぞ」


 エルフは微笑みながらアレンの頭を撫でる。 その手は優しさがあり、アレンはふと母に撫でられてるような感覚に陥る。


「お母さんを知ってるの?」


「ん? レイラから聞いていないのか? なら知らなくても仕方ないな。 私は――」


「アレンを攫った大馬鹿は此処かぁぁぁ!!」


 エルフがアレンに自己紹介しようとした瞬間、レイラが玄関の扉を蹴飛ばし突入してきた。


「お、お母さん!?」


「やれやれ、猪突猛進ぶりは健在か」


 ド派手なレイラの登場にアレンは驚き、エルフは呆れ果てる。


「アレン! 怪我はない!?」


「う、うん……」


 レイラはアレンの無事を確認した後、エルフを睨む。


「貴女が人攫いね? 私の息子に手を出して無事に済む……と?」


 しかしエルフの顔を見たレイラは顔面蒼白になり、冷や汗をダラダラと流す。


「お前の息子を救ってやった恩人、さらにはお前の親同然の私に随分な口の利き方だなぁ? ええ?」


「……先生?」


 エルフはニッコリと微笑んでレイラに歩み寄る。 指をバキボキ鳴らしながら……


「これは再び指導が必要か?」


「あ、あの……なんでアレンが先生と? 私はここに人攫いがいるという情報で……」


 レイラは後退りしながら弁明をする。 しかし壁に阻まれエルフに頭を掴まれた。


「問答無用だ♪」


「ピィっ!?」

 

 エルフはそう言うとレイラの頭を掴んだ左手に力を入れた。


「ノオォォォォォ!? ごめんなさい!! 許してください先生ぇ!!」


 アレンはその状況に驚愕する。 何故なら魔王を倒した母親が頭を握られ、涙目で謝っているのだから……。


「先生!? 息子の前で頭握り潰さないでくれます!?」


「潰してない。 少し凹まして頭の出来を良くしてやろうという師匠の思いやりだ。 有り難く思え」


「そんな思いやりいらな――ッ、あ……、ヤバイ、ヤバイです先生ぇ! なんかゴキッていった! 頭から鳴っちゃいけない音出ましたぁぁ!!」


「ハッハッハ! 月の勇者がそんな柔なわけないだろう? きっと勘違いだ。 うん!」


 レイラは常人成らざる力を持っている。 そのレイラが抵抗しても抜け出せないエルフの握力にアレンは困惑していた。


「そんなわけあるかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 そんなレイラの叫びが木霊した……。


 数分後……


 エルフに解放されたレイラは泣きながらアレンに抱き付いていた。


「アレ〜〜ン! 妖怪ババアが、妖怪ババアが虐めるヨォ」


「よ、妖怪……?」


「今度は親子揃ってやってやろうか?」


 エルフの言葉にアレンとレイラはピシッと固まる。 エルフは溜息を吐きアレンを見た。


「アレンと言ったな? 私の名はセルカ。 セルカ=ウィルベール。 お前の母、レイラを幼い頃に拾い育てた。 言うなれば祖母と言った所だ」


「お姉さんじゃなくておばあちゃんなの?」


 アレンはセルカの外見と肩書きの違いに困惑する。


「私はエルフだ。 人族より体の成長や衰えが遅い。 しかし驚いたぞ? まさかあのレイラに魔法を教える才能があったとはな?」


「え? 魔法?」


 セルカの言葉にレイラはキョトンとする。 そしてアレンはビクッと肩を震わせた。


 その様子にセルカは怪訝な顔をする。


「お前が教えたんじゃないのか? “アースウォール”に“フレイム”、初級魔法だが詠唱無しの魔法名だけで発動していたが……」


「え? アレンが魔法? 私まだ教えてませんよ? 10歳からだと思ってたので……」


 2人の視線は自然とアレンへ向く。 アレンは目にも止まらぬ速さで顔を背けた。


「坊や? あの魔法はどこで覚えた?」


「……ナ、ナンノコト?」


 セルカの問いにアレンは冷や汗を流しながら答える。 明らかに何かを隠してる顔だった。


「アレン? まさかとは思うけど、()()()()、入ってないわよね?」


「ギクッ!?」


 アレンは肩を震わせる。 その様子にレイラの目はジト目になる。 アレンはレイラからある部屋への立ち入りを禁止されていたのだ。


「は、入って……ないよ?」


「アレン? 私の目を見て言いなさい?」


 青褪めた顔で答えるアレンにレイラは目が笑っていない笑顔で詰め寄った。


 圧力に負けたアレンは白状し、その後レイラに雷を落とされたのは言うまでもない。

レイラの師匠、セルカの登場です。

アレンはレイラの書斎で勝手に魔法を覚えた事がバレてしましました。


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