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黄道を刻む二十四の時の詩

灰の空から降る流れ星 空へと還る鼓の音

作者: 日浦海里

空の厚い雲は

これから訪れる暑い日々を

少しでも長く耐え抜くための

優しい衣だから

厚い雲が流れてく

風に乗って流れてく


やがて穂先に黄金を実らせる

小さな小さな緑の草船たち


風に揺れて

灰色の空を映し出した

水面の上で踊ってる


波打つ水面と草船たちが

触れあうたびに模様を変えて

模様同士で手を繋ぎ合って

跳ねて飛んで

回って広げて

水面の舞台で踊ってる


そこにぽつんと一つの波紋


一つが二つ

二つが四つ


波紋はやがて数え切れない

無数の波と音を連れて


見上げれば

地上に降り注ぐ幾千の真昼の流れ星


小さな太鼓を激しく叩く音がする

どこかで遠くでは大きな太鼓の響く音


嵐の祭りがやってくる

命が踊り、立ち上がる時が

今日は芒種


稲や麦の穂先にある針のような突起を、のぎと言って

こうした芒の出来る植物の種を植えるのに適した時期にあたるため

芒種、といいます。

雨空が増えていく季節でもあります。


○夏姫

 空から照りつける光を熱と命に代える力を持ちます。

 陽射しの君や冬姫同様、

 自らに与えられた力を制御することは出来ません。

 その力は多くの命を育てることができますが

 時にその力が過剰となって、命を奪うこともあります。

 どうにかしたいと願ってもどうしようもない現状ならば

 少しでも今を受け入れていきたいと

 その一瞬一瞬を楽しもうとしているのが彼女です。

 誰かのためではないけれど

 みんなのために、と願いながら、

 彼女は今も踊り続けています。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  情景が鮮やかに浮かびました。  湿り気のある空気、土や風、水の匂い。  それらを肌で感じるようです。  >嵐の祭りがやってくる   命が踊り、立ち上がる時が  ここがとても素敵です…
[良い点] 雲が生命を守る衣というのは、やさしい理解ですね。 そこが田畑なのか海なのかわかりませんが、雨が少しずつじょじょに降りだしてつよい雨となる情景がありありと浮かびました。 世間ではこれから…
[良い点]  陽射しがなければ天も地も鈍色で。その中にまだ頼りない、植えられたばかりの一面の苗。  いずれはたくさんの実りを乗せる、まさに命の船ですね。  どこか懐かしい風景を思い出しながら読ませて…
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