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Extra 知られざる同居人(かくして実家に帰る)

「大丈夫か、姉さん」


 病室の扉を叩き入室すると、左足を包帯で隠した女性がいた。私の姉だ。


「別に来なくても良かったのに。でもありがとう」


「家族が事故を起こしたと聞いて、帰らないわけには行かないだろう?大まかな流れは母さんから聞いてる。相手が良い人で良かったね」


「運が良かったよ。運ちゃんだけに。あ、見舞いのお土産はあれがいい、えっと……あー、あれだ、ひきわり納豆」


「相手は一般車と聞いたのは置いとくとして、その身体で食べれるのか?」


「え、飾る用だけど」


「……食品サンプルを持ってこいと?」


「そゆこと」


「何も要らないんだな、了解。またお見舞いくるよ」


「うん、待ってる。ありがとう」


 ホントにこの人は……と思いながらも、ダメ元で食品サンプルを探したりしながら実家に帰った。もちろん見つかるわけもなかった。



「ただいま」


「おかえり!ごめんね、嫩があんな調子で家が散らかる一方で……」


「しょうがないさ。まだ二人とも仕事辞めてないんだろう?父さんの収入だけでやっていけそうだと思うんだが」


「稼げる内に稼いでおきたいでしょ?まぁその結果有事の際に動けなかったら元も子もないわね……」


「そこはまた今度、父さんと話し合ってくれ。とりあえず、あとの家事はやっておくよ」


「ありがとね、じゃあ私は行ってくるわ」


「行ってらっしゃい」


 午後から仕事へ向かう母を見送り、「さて」とキッチンへ足を運ぶ。


「思ったよりもは片付いている……が、角に寄せてるだけか」


 少しずつでも溜まっていくということはつまり、この調子が続けばどんどん溜まっていくということだ。早期発見早期改善は何事においても大事なのがよくわかる。


 もちろんここだけ見れば私を呼び戻す程ではないだろうが、三人のローテーションという前提の生活をしているのだから、穴埋めの私が来る他無いだろう。うちの職場も快く休みをくれたし。ホワイトに感謝だな。


「よし、綺麗にしようではないか!」


 私はテンションを上げつつ仕事に取り掛かった。


 常々、口酸っぱくソウスケ君に会話を強要している私だが、こういう状況……一人きりの時にまで言葉を呟き続ける訳では無い。無論、私が静かになるのは食事と睡眠と一人の時のみと言っても過言ではないのだが。


 それにしても、あちらは大丈夫だろうか。職場は……あの人たちなら平気か、化け物揃いだし。ソウスケ君は……いや、普通に過ごしてそうだな。あれ、大丈夫じゃないか。



「……元気にしてるかなぁ」




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