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読書する陰キャ(12月、つまり読書の冬)

「昔むかしあるところに、おじいさんとおばあさんがいました」


 日本に生まれたなら何十回も聞いたことがある、日本一有名かもしれない導入。道行く人に続く文を尋ねれば、多少の差異はあれど大筋は変わらないものが返ってくるはずだ。実際に試す度胸はない。


 まぁつまり、日本で最も有名な昔話といえば?と聞かれた場合は『桃太郎』と答えるほか無いと言いたい。


 もちろん浦島太郎や金太郎、かぐや姫に花咲かじいさんのように有名な作品は無数にある。しかし、代表と言われればやはり桃太郎と思う人が多いはずだ。


 じゃあなんで桃太郎なんだ?年月が理由ならかぐや姫……竹取物語のほうが先輩だ。つまり理由にはなり得ない。太郎という名前が理由なら、浦島太郎も金太郎も同じ太郎だ。あまり詳しくは無いが力太郎なんてのも耳にしたことがある。


 今手元に調べる手段がないから答えは不明。いつも通り考えてみれば、案外結論にたどり着くかもしれないな。


 というわけで僕の中の結論は『ストーリー』だ。


 昨今の日本では昔話は子供が楽しむものとされている。つまり、子どもウケする作品が幅を利かせるのが道理だ。


 これまで上げてきた例たちは確かに幼少期の頃から知っているが、しかし桃太郎ほどシンプルかと聞かれると答えづらい。


 浦島太郎は『亀を助けたお礼に竜宮城に行き、長時間滞在。お土産として玉手箱を貰い、思わず開けると老人に』。


 竹取物語は『竹から出てきた幼女がすくすくと美女へと育ち、お偉いさんと恋に落ちる。しかし月からの迎えがきて離れ離れに』。


 金太郎に関しては僕は詳しい内容はあまり覚えていないが、まさかりを担いでたりクマと相撲をしたりというのは断片的に知っている。


 肝心の桃太郎は『桃から生まれた少年が、鬼退治へ向かう。道中きびだんごで仲間を増やし、見事撃破』。


 要訳しようとすると別に文字数は大して変わらない。それはまぁ僕の要訳の力による問題なので気にしないで欲しい。


 じゃあ子供にとってはどう見えるのか、という話になる。


 浦島太郎も竹取物語も最後だけ切り取ればバッドエンドだろう。これは推測に次ぐ推測だが、最後の切り取られた部分が印象強く子供の頭に残る、と考えている。だから、子どもウケは良くないと思う。


 そもそも竹取物語に関しては恋愛ストーリーだし別に子供向けという訳でもない気がする。まぁ浦島太郎も竹取物語も悪いわけではない。というかむしろ、僕は浦島太郎が好きだ。


 助けたお礼に竜宮城に招待してくれる亀も、一人は淋しいかもしれないと玉手箱を渡す乙姫も、何十年も楽しんだツケをしっかりと払う浦島太郎も。


 浦島太郎は老いるその瞬間に後悔したかもしれない。だが、もっと早くにそう思っていない時点でそれは罪だ、と僕は思う。後悔は先に立たないし、今は今しかない。目先の欲に吊られて日常を手放したのは浦島自身。


 まぁ要するによく出来た話なので、僕は好きだというわけだ。


 閑話休題。本題の桃太郎のストーリーについてだが、勧善懲悪……つまり日曜の朝に放送されている特撮的なアレな作品だ。


 単純明快でわかりやすく、中盤の仲間を増やす展開も『きびだんごを渡す』という動作で統一して脳に入る情報は減り、犬猿雉という仲間の特徴に焦点を向けることが出来る。よく出来た作品だ。まぁ浦島太郎の方が好きだけど。


 あとは……そうだな、岡山県が桃太郎を推したから、なんてのも影響しているかもしれない。


 というか、金太郎はたしか坂田金時がモデルで、桃太郎も何かしらのモデルがいた気がするけど……なんだっけ、まぁいいか。




 ああそうだ、なぜ急にそんな絵本の事を思い出していたのか、についてだが……最近、僕は本を読んだりしている。


 もちろんこれまでも教科書や僕のバイブルとも言えるライトノベルは休み時間に読んでいた。しかしそればっかりだったので、最近他の本も読み始めたわけだ。


 基本的にライトノベルやファンタジー小説ばかりだったので久々に純文学作品を読んだのだが、面白い。


 確かにライトノベルよりも文章は硬いが、そのおかげか情景を想像しやすい。というか、硬い文章自体が好きなので気にならないだけかもしれないけど。


 さて、次は何を読むかな……と。




「なるほど、確かに桃太郎が一番有名という意見に反対はしない。子どもウケだけでなく、大人からも評価は高いだろうね。


 そういえば私も最近本を読めてないな……家にいる時は、いつもソウスケ君と会話してるし。いや、一方的に語りかけている訳じゃないよ?ちゃんと会話だよ?え、会話だよな?ちょ、おーい?」

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