締める陰キャ(一学期終了)
「終わりよければすべてよしなのよ!」
ある作品の、ある少女が無い胸を張って言っていた。
ああ、たしかにその通りだ。過程でどんなに酷いことが起ころうとも終わりに満足をしているのならそれでいい。
しかし「終わりよければ」と言う通り良くなかったらダメなときが多い。結果だけでなく過程も大事にしろとは言うが第一優先は基本的に結果なはずだ。つまりどのような過程であったにせよ終わりに「良い」と思えるようにしなければいけない。
個人的には終わりがよくなくてもいいじゃないかと思っているが、そういう考えができる時点で終わりも「良い」の部類に入るのだろう。
ちなみに実際に今一学期が終わろうとしていたが……良いともなんとも言えない。
「竜田って鴨川と仲良かったんだ。意外」
「千葉さんこそびっくりだよ。まさか鴨川くんにJKの友達がいたとは……」
とてつもなく失礼なことを言われている気がする。
終業式当日。式が終わり5分休憩に入ると竜田と千葉さん(未だに下の名前はわからない)が話しかけてきたのだ。
昨日も思ったがやっぱりもう陰キャじゃないのでは……?
「私は鴨川をクラスラインに誘おうと思って」
「僕もクラスラインに誘おうと思ってた」
……最近の陰キャはクラスラインに誘われていないのだろうか。軽いいじめじゃないか?
「あ、ありがとう」
「「んふー」」
何故か満足気だ。
さて、ここで問題が1つ。どちらの招待を受けるか、だ。まあ千葉さんは友達と言えるかどうかのラインだから消去法で竜田を選ぶわけだが。
「ん、ちゃんと入れたね」
「ありがとう」
スマホには2年4組の文字が出ていた。人数は僕も合わせて41人
うちのクラスは自分も含めて42人……内今年度に一度も見かけていないのが1人。不登校気味なのが3人といったところだ。
そしてメンバーを見てみると予想通り今年度に一度も見かけていない人だけ入っていなかった。招待は送られているっぽいが……まあ今の時代そういう人も少なくないのだろう。どんな理由でも僕には関係ない……はずだ。
「でもごめんね。校外学習のとき……いや、それよりも前に誘えたのに今更になって」
「私からもごめんね」
「そんな謝らなくても……」
と、話しているとチャイムが鳴る。あとは先生からのちょっとした話を聞いたら帰るだけだ。
千葉と竜田は各々自分の席へと戻っていった。
先生の話も終わり、帰路につく。
そういえば、夏休みの間は1人で考え事が出来るこの時間がなくなるのか。
名残惜しいが、まあ別に問題はないだろう。
「クラスラインにすら入れてもらってなかったのか。ソウスケ君らしい。そういえば私の時代にはまだクラスラインというものは無かったな……いやまだ私も若いぞ。まだ24歳だぞ。
……にしても『終わりよければすべてよし』、か。私も死ぬ時に良かったと思えるようにしたいね。……あ、そこまで大袈裟な話ではなかったか。すまん」




