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差し伸べる陰キャ(陰キャにそんな度胸があるとは)

「千葉さんってマジないよね」


 ……(おそらく)クラスメイトの女子の何気ない会話を聞いてしまった。廊下で、すれ違うときに。


 陰キャなんかが女子の眼中に入るわけが無かったのかすれ違うタイミングでも普通に大きな声で話している。


 こういうところがあったりするので女子……いや、人間自体が怖い。すごく。


 昼休みに調子に乗って教室の外に出歩くんじゃなかったと後悔しながら角を曲がると……。


「「……あ」」


 千葉さんがいた。女子とすれ違ってすぐそこの角の壁に、もたれかかって立っていた。


「……」


 触らぬ神に祟りなし。僕は無視して教室に戻ろうと……。


「待って、えっと……なんだっけ名前」


「……鴨川です」


 どうやら本当に女子の視界には入ってなかったようだ。





「〜でさぁ、ホントにありえないんだけど!」


「はぁ……そうっすね」


 図書室で愚痴を聞くはめになった。千葉さんは図書委員なのでカウンターに座っている。ちなみに僕たち以外に人はいない。


「いや、私もわかってるよ。そりゃあみんなはやりたくない事だってあるし、それを命令するのは先生なんだから、嫌に思うこともあると思うよ?


 でもさ、先生自身を嫌うことって無くない?」


「まぁ……はい」


 愚痴の内容が真面目なことに違和感を覚える。


 どうやら、先生の悪口を言っていた女子を叱った結果こうなってしまったらしい。


 つくづく真面目なやつだ、と思う。だが、人間である以上嫌いな相手だなんて星の数ほど出てくるだろう。


 先生を嫌いになり愚痴を言うのに怒っていては、千葉さんはそのうち全人類を嫌うのではないだろうか。


「でもさ、鴨川はそーいうの言わないよね。なんで?」


「え?あ、知らないところで言ってるかも……」


「それはないって」


 大真面目な顔で否定された。実際言った覚えが無いのだが。


「ほら、前に校外学習行ったときさ、鴨川はお肉焼くの率先してやってくれたじゃん?」


「……それだけの理由、ですか」


「え?違うよ?それ以外もあるけど、説明するのは面倒だなーって思ったからさ。これだけ言ってみたの」


「……」


 予鈴が鳴る。それと同時に千葉さんは席を立ち、図書室から出ようとする。僕もそれについて行く。


「あ、そうそう。ここで言ったことは内緒にしててね」


「そんなこと言わなくても、誰にも……」


 葵さんが脳裏を過ぎった。やばい、今回のコレが特大イベント過ぎる。隠そうとしても無理だ。絶対バレる。


「鴨川?おーい。もしかして言うつもりなの?」


「あ、えと、その……ちょっと嘘をつけない、相手がいるので」


「……あはは、何それ。嘘をつけない相手とか考えてることを透視でもしてんのかな?」


 腹を抱えて笑う千葉さん。年相応……いや、それよりも子供っぽく、先程の面影もない。


「はは……はぁ……いいよ、わかった。その人にだけは言っていいよ」


「ありがとうございます」


「それと!敬語は使わないでね。クラスメイトなんだし」


「あ、えと、わか……りました」


「……ま、ゆっくりでいいよ」


 呆れたような笑い顔を見せる千葉さん。まさか、この僕が女子との関わりを持つとは思わなかった。




「ふむ、真面目なやつだな。前に聞いた委員長の友達ってやつだったか、そいつのほうが委員長向いてるんじゃないか?


 というか、言わないで欲しいと言われたら何が何でも隠し通すのが礼儀というものだぞ。ソウスケ君が全力で隠そうとしたら私も流石に引き下がる。覚えておいて損はないだろう?もし今後言えないような事があれば隠すんだぞ。」

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