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怪談する陰キャ(怪談はしていない)

「本当に恐ろしいのは幽霊などではなく、人間だ」


 たしか、小学生の頃に出会った近所のお姉さんの言葉だ。今頃どうしているのだろうか。


 僕は幽霊とかを信じてたりはする。見えたりはしないが、神というのが崇められるような世の中に存在しないほうがおかしいのではないか、と思ってたりする。もちろん、個人的な意見なので他人には強要したりはしない(そもそも強要する相手がいない)。


 そして、実際に心霊現象にあったことがないので、この言葉には同意している。いや、心霊現象にあってももしかしたらこの言葉に同意するかもしれない。


 まず、怖さのベクトルが違うと思う。幽霊や怪物は怨念や憎悪といった恨みのイメージが強い。だから、


「襲われるのではないか」


「なにか起こったらひとたまりもない」


 と思ってしまうのだろう。もちろん、僕もそう思っている。しかし、これは得体の知れないものだからこうなっているだけで、幽霊の不在証明ができれば怖くはない。いたとしたら、それはこのあと考えよう。


 その前に、人間に対しての恐怖をどうすればいいかという問題なのだが……。人間は感情や思考を通して動く生き物だ。嫌われ過ぎれば殺されることだってあるし、逆に好かれ過ぎてもストーカー被害なんてものもある。


 機械的に動くものだったら対処法はいくらでもある。だが、人間は機械的な部分はあるものの、生き物だ。感情的になることも少なくない。それが、怖いところだ。


 さて、幽霊がいた場合の話だが……。幽霊は元々人間。つまり、同じように感情的に動く者だ。しかも、死んでいるから生きた人間に気を遣わなくてもいい。だから、生きた人間よりも感情的になる。


 なのにも関わらず人間の方が恐ろしいと思う理由は、ちゃんとある。それは「相手をこちらが認識できる」というものだ。


 得体の知れないものだから幽霊が怖いのでは、と思うかもしれないが、少し違う。得体の知れないものには簡単に恐怖することはできる。恐ろしいと思うこともできる。


 それに比べて人間は得体が知れている。五感を使い認識できる。だからこそ、恐ろしく思う。


 得体が知れないものはあくまで「かもしれない」で終わりだ。しかし、人間は自分で認識できている。相手が自分に危害を加えるということをより鮮明に思い浮かべることができる。


 恐怖に確実性も加わり、それにより心配というものが生まれ、恐れになる。単純な恐怖なら幽霊や怪物が勝つかもしれないが、恐ろしいのは、人間だろう。


「人間、恐ろしいよな。これまで生きてきた中で人間に恐れた回数なんて数え切れないぞ。


 というか、恐怖と恐れは違うのか?……ほう、つまり恐怖は単純な怖いという感情で、そこに心配や懸念が加わり怖さが減ったのが恐れ……ということか。なるほど、得体の知れないものの方が怖さだと上なのも頷ける。


 ん?私が言葉の意味を知らなかったのに驚いているのか。確かに賢いかもしれないがなんでも知っているわけでもない。私にだって得体の知れないものはあるさ」

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