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第83話 ラスター・レポートVSテラ・ディザス

 ランジェアたちは、各々の武器を構えてテラ・ディザスに向かう。


「さて、どう倒しましょうか」

「とりあえず、ランジェアが暴れて、こっちでフォローするのだ~」

「いつも通りですね!」

「ランジェアの戦闘は『技』と『技名』がその場限りだから、アドリブになるのよね」

「そうですね。敵の予想外への嗅覚は優れていますが、六人全員で取り組むには向いていません」

「それでどうにかなるのも問題のような気はするけどな……というか魔王から突っ込まれたよな」


 ランジェアは『竜銀剣テル・アガータ』。

 ウルリカは本。

 シンディは杖。

 ティアリスは二丁拳銃。

 エリーは狙撃銃。

 ラーメルはハンマー。


 各々が持つスタイルに合わせた武器であり、淡く光っている靴で空中を跳ねるように駆けて向かっている。


 とりあえず、ランジェアとシンディはミニスカートなのでぴょんぴょん跳ねるなという言い分がどこかから飛んできそうではあるし、シンディの揺れるミニスカートにエリーはチラチラと視線が向かっているのは事実。


 それはともかくとして、テラ・ディザスに近づいているわけで、その雨の勢いも強くなる。


「とりあえず、ここまで降っていると邪魔ですね」


 シンディが杖を振る。


「『レインチェンジ』!」


 杖の先端から光が放たれて、雨雲に直撃する。

 すると、大雨が小雨程度に抑えられた。


「シンディの魔法でこれか。どんなスキルを持ってたらこうなるのか、想像もできねえぜ」

「確かに。というより、周囲の魔力が『災害』の影響を受けすぎて、私たちも動きにくいですね」

「……あの馬。よく考えるとすごいわね」


 ティアリスが視線を下げると、そこには必死になって馬を走らせるロバートがいる。


 そう、常にテラ・ディザスという災害の中心に追いかけられながらも、高速で走り続けている。というのは、個体として優れている証拠だ。


「む? でも、馬の魔力が安定していない気がしますよ?」

「おそらく、ロバートがあの五人にかけていた『契約』と同系統のものでしょう。無理やり従わせれば、魔力は安定しません」

「はぁ、なんていうか、救いようがねえよなぁ」

「『独占』……というわけですか。まったく、私が幼女の太ももを撫でること以外の独占は許されませんよ」

「「「何様のつもりだ」」」


 ランジェアとティアリスとラーメルの三人から突っ込まれたエリーだが、表情は一切変わらない。


 ……その時、ロバートが六人に気が付いた。


「お、おい! お前たち、俺を助けろ!」


 一発目が救助要請。

 もちろん、ランジェアたちは彼がどうなろうと知ったことではないが、宝都ラピスを守るためにどうにかするのは事実である。


 とはいえ、態度が悪い。必死になっていることを考慮しても態度が悪い。


「ランジェア。どうするの?」

「無視しましょう。彼では邪魔もできません」

「わかったわ」


 というわけで、素通りすることに。


「お、おおっ! やはり俺はついている。アイツらがテラ・ディザスを弱らせたら、俺があいつを封印してやる! あのゴーレムマスターもどきめ。絶対に復讐して――」


 そこまでいったとき、彼のすぐ横の地面が噴火した。


「うおああああああっ!」


 絶叫しているロバート。


「……どういうことですかね?」

「耳障りだと思ったんでしょうね。テラ・ディザスが」

「哀れね……」


 ガヤであることすら許さないとは、なんとも空しい。


「さて、とりあえず叩き切ります」


 ランジェアが剣を抜いた。

 その時点で、莫大な冷気を帯びている。


「『儀典氷竜刃ぎてんひょうりゅうじん寒蛇宴会(かんじゃえんかい)』」


 剣を横に一閃。

 それだけで、氷でできた蛇が何匹も出現し、テラ・ディザスに向かう。


 それに対し、テラ・ディザスは口からブレスを吐いて、全ての蛇をバラバラに粉砕する。


「ブレス一発で……なかなかですね」

「ただ、防いだってことは意味があるってことだ。効かないってわけじゃなさそうだぜ」

「なら、とりあえずどんどん入れていくのだ~」


 ウルリカがそう言いながら本を光らせて、頭上に岩でできた槍をいくつも出現する。


「『メテオランス』なのだ~!」


 超高速で降り注ぐ岩の槍。

 それは、雲から降り注いだ雷が粉々にする。


「『ハンドレッド・ストーム』!」

「『メタルライト』!」


 ティアリスの二丁拳銃からいくつもの弾丸が、エリーの狙撃銃から光を放つ弾丸が放たれる。


 突如、地面が噴火し、そのマグマが全ての弾丸を防いだ。

 そのまま、マグマが曲がって、六人に向かって進路を変える。


 その時には、ラーメルが前に出ていた。


「おりゃあああああああああああっ!」


 ハンマーを力任せに振り下ろして、マグマを破壊した。


「ラーメル。相変わらず技名とかないの?」

「ハンマーでどうしろっていうんだ?」

「それはそうね」


 ティアリスと絡んでいると、上から雷が六人に向けて降ってきた。


「『アクアベール』なのだ~」


 ウルリカが水の膜を張ると、雷がそこで止まった。


「災害のオンパレードですね……とはいえ、それくらいでないとやりがいがありません」

「脳筋もいいところね」


 全員呆れつつも、テラ・ディザスに近づいていく。


 相手が空を飛ぶドラゴンであるゆえに、全員が空中にいるという状態だ。


 しかし、人間の技術は基本的に、足腰を使うことが前提。


 空中に足場を作れる……言い換えれば、体を単に浮かせるのではなく、『足場』という概念を使うことが重要なのだ。


 要するに……彼女たちの攻撃は、ここからが本領を発揮する。

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