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第240話 常任理事国

 血闘杯が終わって、二週間が経過。


 血統国家の中でホーラスの優勝が広まり、『四年後までは、血統国家が最強と認める存在』が誰なのか、知らしめることとなった。


 無論、もしかしたら、ひょっとしたら、ホーラスよりも強い人は、この世界にいるかもしれない。


 実際、今回の血闘杯の裏で、めちゃくちゃにするためにドラゴンを用意していた『ビスマス連邦』は、そういって避難していた。


 だが、『かもしれない』は通らない。

 明確な証拠をもって、証明しなければ、通らない。

 神の言葉。などと言って全てを押し通す宗教とは違うのだから。


 さて、そんな『世界最強』となったホーラスだが……。


「……」


 勇者屋敷の一階ロビーで、枯れ枝のようになっていた。


 で、ロビーの掃除をしているメイドたち……もちろん、彼の弟子たちなわけだが、その肌はツヤッツヤのテュルンテュルンである。


「……お兄ちゃん。世界最強になっても、それは石の闘技場の話で、ベッドの上だとめっちゃ弱いね」

「そ……そうですね……」


 ノースとランジェアが、少し離れた丸テーブルでお菓子を食べながら話している。


「というより、屋敷に戻ってから毎日なのだ~。ティアリスたちは一体どうなってるのだ~?」

「性欲が強い人ばかりがメイドになっているとか?」

「節操というものはなかったよね。旅してた時から」


 魔法使いウルリカ、商人エリー、治療師シンディが話しているが、一応、『理屈』はわかっている。


 魔力は体に流せば、身体能力が向上する。

 これは多くの人間が知っていることで、冒険者はこれがあるから単騎でドラゴンを倒すことすら可能とするわけだが、これを言い換えると、『体の質を高める』ことと同じである。


 ラスター・レポートメンバーはホーラスから高度な身体強化を叩き込まれたため、全員が圧倒的な戦闘力を有しているわけだ。


 ただ、弊害もある。

 体の質が高まった結果、体内で発生する様々なことが通常よりも強くなる。

 そこに『性欲』も含まれるのだ。


「そういえば、師匠は……っていうか、自分の方法とペースで身体能力を強化する場合は、そのあたりの欲求も通常通りに収まることが多いけど、人に指導する場合は制御に気を付けないと欲求が強まるって話だよな」

「そうですね。そしてその欲求が強くなった。の中にはラーメルも入りますからね?」

「まぁ、別に否定はしないけど」

「ていうか、お兄ちゃんとヤったよね」

「そうだな」


 工房長として普段は工房にいるラーメルだが、彼女もまた、そのあたりの欲求は強いほうだ。


「そろそろ制御する方法を考えないと、お兄ちゃんがカラカラになっちゃうね」

「もうほとんどなってるのだ~」


 もう好き勝手に言い放題である。

 調整をミスしたのがホーラスだからと言って、本当に、好き放題である。


「大変ですうううっ!」

「ん?」


 ロビーで好き勝手言っていると、リュシアが屋敷に入ってきた。


「どうしたんですか?」

「『常任理事国』になれるかどうかの議論が保留になっちゃったんですよ!」


 リュシアは『ちくしょおおっ!』といった雰囲気だが、ランジェアたちとしては……。


「どういうことですか?」


 よくわからない。


「えーとですね。まず、この国はホーラスさんやラスター・レポート。そしてSSランクギルドの『全世風靡』の本拠点があるので、財政的にも経済的にもすごいんですよ」

「まあそれはそうですね」

「『オブシディア魔法公国』が理事国から外れたので、その穴埋めはどうするのかで、この国が選ばれたというわけです」

「まぁ、わからなくもないのだ~」

「ただ、新興国家である『ドラブレム王国』が、かなりの技術力を持っているとして、議題に上がってるんですよ」

「ドラブレム王国?」

「人の姿になれる竜が国の頂点に立つ国家ですよ。どうやら魔王が討伐されて少しして、建国されたそうです」

「ふむぅ……」


 少なくとも建国から一年もたっていない。

 その上で、『世界会議常任理事国』に認められるほどの国力を持っていると判断されるのは、確かにすさまじい。


「ドラブレム王国……債務者リストには居ませんね」

「オレも聞いたことねえな。特産品が全く思いつかねえ」

「かなり情報が閉じている国家らしいです! 血闘杯の終了と同時に、大きく出てきたんです」

「……そういえば、バルゼイル陛下が推してたと思うけど、これ以上発言力を高められると困るから、他の国家が頑張って候補を出して通そうとしてるって感じに見えるけどね」


 ノースがまとめに入ったが、それを聞く限りは、ランジェアたちも納得である。


「あと……ドラブレム王国の騎士団の中で、新人が、ガルボロスさんに勝ったという話があるそうです」

「ガルボロスが?」


 ホーラスがここで反応した。


 ガルボロス。

 海洋国アビスタルという国にある特殊海域でのみ活動する『イツツボシ海賊団』の船長であり、巨大な包丁を武器とする巨漢だ。

 直近の血闘杯の出場者もあり、その実力は確かなはず。


「情報は間違いないです」

「騎士団の新人がねぇ。となると、騎士団全体のレベルはすさまじいものになるな」

「アレを新人が……ところで、竜が国王になっているそうですが、どんなドラゴンなのですか?」

「ええと……『星鎧竜ピム・フクタム』らしいですね」

「ピム・フクタム……聞いたことがありませんね。師匠は?」

「俺も聞いたことがないぞ」

「かなり謎が多いですが……カオストン竜石国とドラブレム王国のどっちが『常任理事国』の椅子に座るのか。それを上がすっごく議論してるみたいですね」

「ちなみにリュシアは常任理事国に興味はあるのか?」

「物理的に維持できませんよ! 文官の数が足りないんですから!」

「なるほど」

「まぁ、バルゼイル陛下が推薦してるってことは、何か考えはあると思うのだ~」


 ……とまぁ。


 どうやら、『ドラブレム王国』と『星鎧竜ピム・フクタム』が、台頭してきたらしい。

Well... let's just say, *beware of "match pomp."

(まぁ、マッチポンプには気を付けておけ。ってことで)

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