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第237話 実は存在する。歴史の重さ。

 ホーラスとスメラギの戦いが始まった。


 魔剣ドランを握るホーラスと、斬鉄剣・神打ちを握るスメラギによる剣技で開始したそれだが、世界レベルの強者から見ても、その実力は確かだと認められるほどだ。


 もっとも、ある意味で当然ではある。


 魔剣ドランは、味方の武器を自身の強化アイテムに変換したり、取り出したりすることができる。

 そしてその際、持ち主の戦い方を魔剣ドランは記録しており、それを魔剣の使用者は自由自在に扱い、しかも組み合わせることが可能。


 魔剣ドランが初めて誰かの剣技を手にしたときから、脈々と受け継がれている。


 竜封院の歴史そのものと言っても過言ではないが、破壊不可能な剣のため、それよりも長く使われている可能性は十分にある。


 ……とはいえ、ホーラスは自分が受け継ぐのは竜封院の歴史だと認識しているため、魔剣の方でいろいろ制限をかけている可能性はあるが。


 いずれにせよ、彼の剣は、それほど長く、使い込まれて、多くのことを知っているのだ。


 対して、スメラギ。


 彼の刀は、とある鉄の惑星に存在する魔力を中心に集め、刀の形に凝縮した瞬間にそれ以外を斬鉄神の力で取り除くという、『めちゃくちゃな削りだし』によって製作されている。


 それを握るスメラギが五大神の一角であり、その刀の歴史もまた二千年。


 魔力は安定を求める物質であり、名前を付けることは安定につながるという中で、『誰も神という言葉よりも強い言葉を作れない』という前提がある。


 そんな世界で『斬鉄神』の名を持ち、そんな彼が自身の強化のために作り上げた刀が、『斬鉄剣・神打ち』なのだ。


 下手をすれば今いる惑星すらも真っ二つにするほどの威力を秘めた絶大な刀であり、スメラギには、それに耐えうる存在としての格がある。


 もっとも、斬鉄の神ではあるが、剣術の神ではない。


 刀の振り方は、確かに二千年の中で洗練されているが、それでも、武器の扱いの歴史そのものともいえる魔剣ドランを握るホーラスが相手なら、甘い部分は見える。


 どちらも、二千年。


 その長さがどれほどの力を秘めているのか、それを解放したような戦いだ。


 どれくらい凄いかと言えば……この『血闘杯』において、『長い開催歴の中で、初めて自主退場した』のがアイヴァンとマサミツになるわけだが、『全盛風靡』も、『ムーンライトⅨ』も、二人の判断と行動に対して、今のところ一切の不満を漏らさないほどだ。


 血闘杯は、『一位を決める戦い』であり、そこで自主退場。

 潔いといえば聞こえはいいが、単なる逃げでしかない場合も多い上に、彼らを誘った側のメンツもある。


 今回ならディアマンテ王国になるだろうか。


 ただ、ホーラスとスメラギの剣技を見て、誰もが、そんな『どうでもいいこと』を忘れて、見入っている。


 ……二人が何かを話している気配はあるが、全く聞こえないから剣技に集中せざるを得ない。ということはあるだろう。


 魔王の出現によって長らく開かれていなかった血闘杯の、最終盤面。


 それにふさわしい戦いになっていると、よこしまな感情がないものは、心の中で断言している。

Well... up until now, it’s mostly been people who didn’t really have the motivation to fight.

(まぁ……ここまでは、戦うモチベーションがない人ばっかりだったもんねぇ。)

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