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質問攻めの魔導師街道  作者: サムライ・ビジョン
知己の魔法はなんだろう?
4/10

第4話 どうしたものか知己の魔法

「出た…守山さん! 俺いま…」

「疑問の具現化。要するにこういうことか…」

賢治は顎に手をそえ考えている。

「源くん、守山さんが結界張ったときに光ったじゃん? あれはなんで?」

「あー…なんで結界を張ったんだろって思ったんだ」

すると、またしてもペンダントは白く光った。

「あれは『幻覚魔法』をアレンジしたものです。あの結界を張れば、私たち人間は外にいる人から見えなくなります。主にプライバシー確保のためです」

それを聞いた知己は納得したらしく、ペンダントの光は徐々に消えていった。


「おそらくですが源さんの場合、疑問に感じた分だけ魔力が溜まるのではないでしょうか?」

「う〜ん…どうなんだろう…ちなみに他の属性だとどうやって魔力が溜まるんですか?」

ペンダントは再び光った。

「あたしも試してみてもいいですか?」

 アカネは見本も兼ねて(というより自分がやりたいだけだろうが)射撃魔法を試すことになり、知己はそのまま杖を譲った。


「いくよぉ…フレイムっ!!」

先ほどの知己のように杖を振り払うと炎の矢が放たれた。

「フレイムって何? 呪文が必要なの?」

「ううん。なんとなく」


「な、なんとなく…まぁ、形から入るのも確かに大事だね! うん」

結局その日は、子ども達が代わりばんこに射撃する運びになった。

「いやぁ、楽しかった!」

「風の矢…なかなかよかったな」

「次はつららを飛ばしてみたいな…」

「C級の割にはオレ結構強くなかった?」

知己の魔法が少しだけ理解できたところで、みんなの興味はすっかり自分の魔法へ向いた。


(もうちょっと杖使いたかったんだけどな…)

知己はペンダントだけ首に残して嘆く。

「みんなこの後どうする?」

 「俺」や「私」の魔法合戦が終わる頃、先ほどの部屋に戻ったところでアカネはみんなに呼びかけた。

「ブックオン行きたいな」

「私はもう帰るつもりだが」

「私はお婆ちゃんのお見舞いに…」

彼らはそれぞれ予定があったりなかったり…

「源くんは…」

「源さんには少しだけ研究所ここに残ってもらいたいのですが、構いませんか?」

 そのとき知己は、4人に問いかけた。

「みんな。どの高校に行きたいか、せーので言ってみてほしい」

4人は頷き、知己は「せーの」と声に出す。


 結果、5人ともが同じ答えを出した。

「…満場一致だね。連絡先交換しない?」

ソファに座る賢治は、その様子を微笑ましく思っていた。そのとき…




「青春だねぇ」

 この場の全員にとって聞き覚えのある声がした。

「兄ちゃん!? いつの間に…」

自称「守山診療所の守り神」が現れた。

「賢治。お前のことだから、どうせまた勝手に魔道具作ろうとしてンだろ?」

「…悪いかよ。僕はただ魔法をうまく操る手伝いを…」

「いや! 悪くない。むしろ今回は賛成してる」

兄弟喧嘩が始まるのではないかと5人はハラハラしていたが、兄は自らそれを回避した。


「え、賛成?」

賢治も想定外だったらしい。

「ああ…この研究所が設立されてまだ3日…」

「えっ…」

「こいつらが初めての来客者…」

「ええっ…」

「どうせなら稼ぎになることしようぜ! …と、俺は思ってンだ」

「えええ…」


 知己のペンダントは白く輝き続ける。

「源くんだっけ? あんたそれなんの光だ?」

部屋の冷蔵庫からコーラを取り出し、勝手に紙コップに注ぐ守山。

「疑問の具現化ってやつらしいです。疑問に思うと魔力が溜まるらしくて…」

「ぐふ…!? げほっげほ…ええ? マジで? マジで言ってンの?」

コーラが変なところに流れたようで、守山は涙目でむせている。

「はい、おそらくそうだろうってことで…」

 喉が落ち着いた守山は、やがて知己の元に近づき、このようなことを聞いてきた。


「なぁ、なんで俺が医者になったか分かるか?」

「え…いやぁ…稼げるから?」

知己のペンダントはさらに強い光を見せた。

「ははっ…」

その様子を見た守山は、目を細めていたずらっ子のように笑った。

「ご名答。自慢じゃないが俺は稼ぐことしか考えてねぇ」

疑問が晴れたからか、ペンダントの光は弱くなった。が、またすぐに強くなった。


「守山さんの診療所って、その…どれくらい患者さんが来るんですか?」

「稼ぐこと考えてる割には全然人気がねぇじゃねぇか…そう思ってンなぁ? このヤロー…まぁなんだ、ご贔屓してもらってる人は何人かいる。ぶっちゃけギリギリだよ」

すると今度は弱くなる…


「…おい残り物!」

 何かを思い立ったかのように、残りの4人に大きな声で吐き捨てる。

「今日のところは帰りなさい。源くんと連絡先交換したいンならする、しないならしない! やることやったらお引き取り! オーライ?」

残り物扱いされた挙句、突然追い払われそうになる4人は当然納得がいかない。

口々にブーイングが巻き起こる。

「そうだよ兄ちゃん。あまりにも失礼だ」

これには賢治も参戦する。


 ところが守山の意志はそれ以上に強かった。

「今日のところはマジで帰ってもらうぞ」

「だからなんでですか!」

アカネは4人を代表して抗議する。

すると守山は、知己の肩に腕をまわして不敵な笑みを浮かべた。


「こっから先は彼の問題だからでぇす」

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