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忠犬ポチは、異世界でもお手伝いを頑張ります!  作者: 藤なごみ


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ポチの33話 二人の転生者

「リリーナ、ポチちゃん。とりあえず中に入りましょう」

「そうだね。私達も何が起きているか分からなくて戸惑っているから、ここは一旦落ち着こう」


 おっと、ポチとりっちゃんが抱き合っていたら、領主様と奥様が声をかけてきた。

 そっか、ポチとりっちゃんの関係は二人にしか分からないよね。


「あ、ポチの涙でりっちゃんのドレスが汚れちゃった……」

「この位は大丈夫よ。ポチのお洋服も、私の涙で汚れちゃったね」


 りっちゃんから離れると、お互いの服がお互いの涙で汚れちゃったよ。

 でも、りっちゃんと少し笑いながらニコリってしたんだ。

 

 さて、場所を屋敷の応接室に移します。

 ポチとミッケちゃんとリルムちゃんが同じソファーに座って、反対側には領主様と奥様とりっちゃんが座ります。


「では、改めて紹介します。私はリリーナと言います。そして、前世ではポチの主人をしていました」

「前世、前世って事は、リリーナも転生者なのか?」

「お父様、恐らく私は転生者だと思われます。ただ、ポチに会うまでは前世の記憶は蘇りませんでした」

「そうか。まさか転生者が二人もいて、お互いに前世でも繋がりがあったとは」


 りっちゃんの発言に、領主様はとても驚いていたよ。

 奥様もミッケちゃんもリルムちゃんも、とっても驚いていたの。

 でもポチが転生者って知った時は、皆はあまり驚かなかったのになあ。


「前世の私は不治の病に冒されていて、ポチが黒い大きな犬に襲われた後直ぐに亡くなりました。そして、リリーナとして新たに命を授かりました」

「えー、そうなんだ。りっちゃん、あの後直ぐに死んじゃったんだ」

「元々長く生きられないのは分かっていたんだけどね。でも、この世界には魔法があって私の病気も少しずつ良くなってきたんだ」

「それは良かったよ!」


 りっちゃんは、両手にキラキラ光る魔法の球を作ったの。

 金色に輝いていて、とっても綺麗だったよ。

 この世界のりっちゃんが元気になれるのは、ポチとても嬉しいなあ。


「転生者だから、リリーナは無意識の内に公衆衛生に詳しいのね。ポチちゃんも、エプロンやマスクを提案しているのよ」

「綺麗にするのは基本なんだよ。汚いと病気になりやすいの!」

「綺麗にするというその考えは、特に農村部では薄かった。今では、各地の病院でも清潔にするのを推奨しているよ」


 領主様と奥様は、何だか納得したような表情になっているよ。

 ポチは前世ではりっちゃんが病気だったから、特に綺麗にするって色々な人が言っていたんだよ。

 ポチも体をよく洗っていたんだ。

 すると、領主様は少し考えて皆に話をしてきたよ。


「とは言え、リリーナはまだリハビリ中だしポチちゃんは幼い。暫くはリリーナは体を良くする事に専念をし、ポチちゃんは体を大きくする事に専念してもらおう」

「そうですわね。もう二人はいつでも会えるのだし、お互いに目標を持って行動しないとね」

「はい、私もその意見に賛成です。先ずは体を治す事に専念します」

「ポチ、もっと大きくなってもっともっとお手伝いが出来る様になるよ!」


 領主様の提案にポチも賛成だよ。

 りっちゃんはまだちゃんと歩けないし、リハビリが必要だもんね。

 ポチも頑張って大きくならないと。


「あと、ミッケちゃんとリルムちゃんも今日の事は内緒ね。ああ、司祭様とシスターには話しても大丈夫だよ」

「はい、分かりました」

「司祭様とシスターに伝えておきます」


 ミッケちゃんとリルムちゃんは頭も良いし、ポチとりっちゃんの事を納得してくれたよ。

 ちょっとびっくりしているけど、ポチはいつも通りだよ。


「そうだわ。今度ポチちゃんがお手伝いをしている風景を見に行きましょう。どの道、リリーナがこの領地に来たと冒険者ギルドと商工ギルドにも挨拶しないといけないわね」

「わあ、ポチが働いている所は、私もとっても興味があるなあ」

「ふふふ、りっちゃんはポチの働いている所を見てびっくりするのだ」


 奥様の提案に、りっちゃんも興味津々だよ。

 りっちゃんが見にくるのなら、ポチは全力でお手伝いをするのだ。


「じゃあ、またね。いつでも遊びにきてね」

「バイバーイ、りっちゃんまたね!」


 りっちゃんは部屋の準備とかもあるから、今日はここでお話しは終了。

 領主様の屋敷にはお手伝いでも行くし、今度からはいつでもりっちゃんに会えるのだ。

 ポチは何だかウキウキが止まらないぞ。


「あー、何だか納得したな」

「ミッケちゃん、何を納得したの?」

「ポチちゃんと初めて会った時に、女神様に会ったとか言っていた事だよ」

「小さい豆柴って言っていたよ」

「あっ、確かに言っていたね」


 孤児院への帰り道、ミッケちゃんとリルムちゃんがポチがこの世界に来た時の事を話していたよ。

 確かに、そんな事を言っていたよね。


「ふふふ」

「ふふ」

「なあに? ミッケちゃん、リルムちゃん」

「「何でもないよ」」

「えー! 絶対に何かあるよ」


 ミッケちゃんとリルムちゃんがポチの顔を見て笑い出したから、いつの間にか追いかけっこになっちゃった。

 ポチも、ミッケちゃんとリルムちゃんともっと仲良くなれそうだと思ったよ!

「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします

ポチちゃんを、ぜひよろしくお願いします

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