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今更父親なんて呼べない

精一杯書かせて頂きます。

「だから、再婚したいならすればいいじゃん!俺は別に否定してないでしょ?」


「じゃああの人を新しいお父さんってちゃんと思ってくれる?口だけじゃなくて心から。もちろん最初からそう接しろなんて言わないから…」


「それとこれとは話が別。あのさぁ、俺今年でもう18歳だよ?1週間後から高校3年生。流石にもうお父さんとは見れないよ。それにどうせ……いや、とにかく再婚するなら勝手にしてくれって!」



 俺、笹原 龍樹(ささはら たつき)は今、実の母親と喧嘩?いや違う。話し合いをしていた。というのも、実は母親には今付き合っている男性がいる。俺は会ったことも話したこともないし、それどころか出会ってから再婚を決めるまでの経緯もたった今全て聞かされたのだ。もちろん初耳だった。


俺の母親、笹原 美代子(ささはら みよこ)は今年で48歳になる。大手保険会社で働き、勤続年数は20歳から始めてもう28年目と大ベテランだ。そこまでいくと当然というべきか、役職に就いていて部下も何人か持っている。使えない部下や優秀な部下、無能な上司に非常に融通が利く上司など、夕食を食べた後にお互いスマホを弄りながら、しかしてペラペラと母親ばかりが愚痴ってくるお陰で俺が一方的に知っている人がもう20人を超えた。


まあそれはいい。別に愚痴を聞くのが嫌な訳じゃない、寧ろ自称聞き上手、というか単に母親の愚痴を聞くのは好きだ。何に対して怒っているかが分かりやすいのもあるし、社会人の、それも30年選手の愚痴だ。営業回りでお客さんと話したり資料を作ったり部下にどう接しどう仕事を教えているかなど、聞いていて凄くタメになるのだ。愚痴ではあるのだけど。


そんな母親は30で俺を産み、俺が5歳になるところで1回目の離婚をし、12歳の時に再婚、そして14歳の時に再び離婚している。理由はどちらも男の浮気だった。


あくまで子供目線ではあるが、俺の母親は相手に良く尽くしていたと思う。掃除も洗濯も料理も全部母親が担当していたし、夕ご飯を作っている最中に「今日は飲み会があるから帰宅は遅くなる、ご飯はいらないから」と電話が来ても嫌な顔一つせずに分かった、と納得し。趣味が競馬とゲームという母親からしたら全く興味がないであろうコンテンツでも、好きな人の趣味を自分も好きになりたいという理由で俺を連れて競馬場に行ったりゲームも教えてもらいながらやっていた。自分も働いているのにだ。


 しかし離婚した。5歳の頃の俺はあまり父親に愛された覚えも記憶もないし、もう会えないと言われてもそこまでショックではなかったように思う。


再婚した次の男も、仕事で腰を痛め椎間板ヘルニアになってからというもの休職という名のニート生活をし始めてから、ネットゲームで出会ったと思われる女性と浮気、そして離婚。この時は凄くショックを受けたのを今でも覚えている。



というのも、腰を痛めるまでは、或いは痛めてしばらくは凄く良いお父さんだった。当時小学校6年生の俺は、自分にお父さんが居ないということが少し嫌だったのかもしれない。母親に何か言うわけでは無かったが、周囲の友達には両親がいて当たり前であったし、よくお父さんが◯◯へ連れて行ってくれた!などと自慢していて、母親が俺に深く愛情を注いでくれていたので寂しいという気持ちはなかった。しかし羨ましかったのだろう。新しいお父さんだと紹介された時はそれはそれは凄く喜んだ。


俺に対しても基本は凄く優しく、時には厳しく叱ってくれた。頭も良く勉強も教えてもらっていたし、俺もその男もテレビゲームが大好きでよくゲームを取り合っていたり、とどんどん好きになっていった。


お父さんと呼ぶのは何となく恥ずかしく、男の名前が秀樹だったので"ヒデ"と呼んでいたが、それも俺が懐くのに時間が掛からなかった要因の一つだった。


今思えばあれこそが家族円満という、俺が望んでいた形だったんだと思う。本当に幸せだった。


いやー読んでる時は1500文字なんてあっという間に終わっちゃうな〜1ページ6000文字は無いと読み応えないなぁなんて思ってたんですが、書いてみると分かりますねこれ、6000文字はやばい。

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