Episode8 よし。第一印象は大事だ。……あ、オワタ/(^o^)\
第8話です。
タイトルはちゃんと回収しますので、ご安心ください。
悟さんが部屋を出て行って、なんか暇になってしまった。
「…………」
うん、暇。何にも起こらない。どうしたものか。
ぼーっとしていると、ピロンッ!と俺が今いる部屋の呼び鈴が鳴る。
「…?」
俺はドアの横にあるモニターに近寄る。このモニターは外に立っている人が誰なのか映し出してくれる。いわゆるインターフォン、というやつだ。
「エリーナ…?」
エリーナが立っている。…立たせたまま、というのもなんか悪いな。部屋に入れるか。
「エリーナ、大丈夫だ。入ってきてくれ」
俺は彼女を部屋に招き入れる。どうして俺の部屋を訪ねてきてくれたのか、わからないが、なんだか神妙そうな顔をしてるな。
「し、失礼いたしますわ…」
少し疲れたような様子だった。無理もないだろう。あんなことがあったのだから。
「大丈夫か…?」
「心配は無用ですわ。皆さんにも迷惑をかけてしまいましたが……」
…だめだ。これはだいぶ参ってると見た。どうしたものか。
「ここに来たのは、あなたの無事をこの目で確認したかったからですわ。わたくしのミスであなたにもしも何か怪我でもしていたらと思うと……」
うん、そろそろ止めないとな。
「あのな、エリーナ。俺のことを心配してくれるのはうれしいんだけど、お前にそこまで心配されると、こちらとしてはすごく気にしてしまう。確かに俺もあの時はびっくりしたけど、俺はこうして生きている。心配するな、とは言えないけど、せめてそのことで自分を責めるのだけはやめてくれ」
俺がそう言うと、彼女はふっと柔らかく微笑んだ。
「不思議ですわね…。あなたにそう言われると、そうするしかないような気がしてきますわ…」
「あ、ああ…!いや、良かった。笑ってくれるだけでも気が楽になるよ」
あ、危ねえ…。エリーナの笑顔、破壊力ありすぎ。めっちゃドキッとした。
「…そうですわね。ごめんなさい。あ…ふふふ。また謝ってしまいました」
ぺろりと舌を出すエリーナ。…うん、かわいい。
「そうそう。やっぱ笑顔がいいよ、女の子は」
そうだ。女の子は笑っている方が可愛い。エリーナの悲しそうな顔は見たくない。
「……」
俺は彼女の笑顔に見とれていた。
「あ、あの…。そんなに見ないでくださいまし…」
「あ、いや、すまん…!」
中学生か、俺は。
「夫婦漫才は終わりましたかにゃー?」
「…!な、なんだ。リル先輩ですか」
入ってきたのは、招き猫のポーズをしたリル先輩だった。
「ふふふ、ごめんね。二人があまりにも仲良くしていたものだから」
にこにこ顔で入ってきた先輩だが、どうも今まで見ていたどのときよりも機嫌がよさそうだ。もしかしたら、俺たちが仲良くなっているのがうれしいのかもしれない。
「…そうだ。ずっとスルーしてたけど、エリーナは大丈夫なのか?どこか怪我とかしてないか?」
「えっ?わたくし?あ、はい。わたくしは特にけがなどは何も。やっぱり、お優しいですのね。徹様の方が身体的にはおつらいでしょうに……」
「いやいや。もうこの通り、ぴんぴんしてるし、大丈夫だよ」
「あら?ぶっ倒れたあなたを運ぶように頼んだのは、私なんですけど?」
そこに、詩乃が現れた。
「あ、いや、し、詩乃か。わかってるぜ、ありがとうな」
「とってつけた感がしなくもないけど……ま、いいわ。エリーナを守ってくれたものね」
詩乃も安堵の笑顔を浮かべる。…よかった。みんな無事だったようだ。
「とにかく、徹、あなたは休んでいなさい。いくら能力を発揮したとはいえ、最初の覚醒は体に負担がかからないとも言えないわ。念のため、休息をとりなさい。これは作戦部として命令するわ。あなたはこれから私たちのメンバーなんだから」
「…おや?詩乃ちゃん、それは…」
「ええ。そういうことです」
詩乃が疑問を呈した先輩にうなずく。先輩は嬉しそうに笑って、
「おー!これで徹君も一緒に戦えるということなんだね?」
「は、はい。どうもそう言うことらしいですね。さっき悟さんがこの部屋に来て、俺をチームに誘ってくれましたから」
そう言えば、さっき悟さんが議会に怒った詩乃について何か言ってたけど…。
「安心して頂戴。私のことならご心配なく。言いたいこと言って、お父さんにシメてもらったし」
こ、怖ぇえ…。悟さん、あんた何したんだ…!
翌日。
「ほら。起きなさい!朝よ」
誰かの声。聞いたことのある声だ。…そうだ、なんか今日はすごく大事な日だった気がする。
「全く…。いつまで寝てるの?今日はあなたの初登校の日でしょうが」
「…………あ」
そうだった!!
「え、えー…。ごほん。少し、遅れる形になってしまいましたが、転校生を紹介しますね?」
まさか、お世話になる先生に寝坊で迷惑をかけてしまうとは…。俺、この学校卒業しても、社会人としてやっていけるのだろうか…。
「じゃあ、挨拶をよろしくお願いします」
「あ、はい」
俺は教壇に上がる。黒板にチョークで自分の名前を書き。
「篠宮徹です。実は、自分、歳が18歳でして。ちょっと特殊な事情があって、こちらの学院に編入させていただくことになりました」
ま、まあ…。卒業していることを考えると、「編入」というよりは、「入学」のほうが近いような気がするが。
「皆さんとともに、学園生活を送れることが、今からとても楽しみです。この島のこと、この学院のこと、全然知らなくて完全に素人なんですが、自分が困っているときには助けてもらえるとありがたいです。これからよろしくお願いします」
…うん。こんな感じかな。
パチパチと拍手が広がる…と。
「はいはーい!質問!」
一人の女子生徒がビシッと手を上げる。
「はい、天童さん。何でしょうか」
…………うん。何か嫌な予感がするのは俺だけでしょうか。なんかあの子、すごくノリがよさそうな子だし。何を言い出すか、わからないぞ…!
「転校生君に質問なんですけど!いいですか?」
「はい、構いませんよ。…ですが、篠宮君はまだ私たちの生活観やこちらの文化に慣れていません。そのあたり、結構デリケートだと思いますので、質問する内容はよく考えるようにお願いしますね?」
「わかってますよー!でも、今聞いとかないと気になったままじゃなんか気持ち悪いと思いましたので」
ニコニコしながらそう言う彼女の瞳にはどこか怪しそうな光が宿っている。
待て待て!考え直せ!あれは絶対によくないことを聞いてくる顔だ!先生も先生だ!なんとなくわかるでしょう!?いつもの様子で分かると…。
「(ま、やりたいようにさせましょう。どうせ、止めても無駄でしょうから。天童さんが何を考えているのか、少々気にはなりますが、いつものことですし)」
うん!あれは絶対めんどくさがっている!「どうせ、いつものことだもん」みたいな顔してるよ!あれ!
「じゃあじゃあ!早速質問なんですけど。実は、転校生君のうわさについての話でぇ」
な、なんだって!?俺、さっそく何かしたのだろうか?噂になるようなこと………うん、してるわ。めっちゃ心当たりあるわ。
…つーか、つい先日騒ぎを起こしたばかりだわ。思いっきり雷撃放ったわ。
「ちょっとホントのところ、教えてほしいんですよねぇー?」
ぐっ…!この子、引っ張るな。聞くなら聞くで、さっさと聞いてほしいんだが。
「この学院のアイドルと言われている5人!エリーナさんに、宮島さん。二葉さんに、神代さん。さらに、リルさん!もちろんここにいるみんなは知っていると思いますけど、その5人と一緒に住んでいるというのはほんとですか!?」
教室内がしん…と静かになった。
教室内のあらゆるものが時を止めた。
「え、えっと……」
あ、アイドルだって…?
みんなって学院ではそう言う立ち位置だったの…?
というより、噂ってそっちなの?俺が起こした騒ぎのことじゃなくて…?
「ど、どうなんですか…?」
天童さんが追い打ちをかけてくる。
退路を確認。右、先生がいる。左、生徒の目がある。前、みんなが俺に注目している。後ろ、黒板があって進めない。
…………オワタ。
これ、リアルで起こるとヤバいですよね。
次回もよろしくお願いします。