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Kaleidscope-カレイドスコープ- ~俺、亜人間になります~  作者: AKIRA
-壱章- 学院編:二葉あかね
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Episode77 Death or .....Death?

77話です。

暑くなってきました。

皆様、体調にはお気を付けください。

「もうよい、やめい」


 その一言がその場を静まり返らせていた。

 誰も、何もしないし動かない。そんな中、当主たる治さんが俺の数十メートル前までやってくる。


「…小僧。一つ聞きたいことがある」

「…なんだよ?」

「そうまでして、どうしてわが娘をあの箱ものに閉じ込めようとするのだ」

「そっくりそのままお返しするよ。なんであんたは彼女を二葉家に閉じ込めようとするんだ」


 そうしてしばらく膠着状態が続く。

 …時が止まったかのような錯覚を覚える一方で、静かに目を閉じる治さん。


「…これは。仕方がないこと…なのだ」

「あんた、さっきからそればっかりだな」

「すべては、二葉の繁栄とわれらが子孫を守るために……必要な…」


 そこまで言って。

 俺は今まで感じたこと・・・・・・・・のない殺気・・・・・を覚えた。


「っあっ…!」


 声にならない声。

 切羽詰まった自分の声が、まるで他人の物のように感じた。

 だが、そんな悠長なことを考えている時でも、俺は何とかして手を伸ばそうとする。刹那、ラナが俺に向かって何かを叫んだ。

 そうして、俺は大声を上げる。


 ----絶対重装障壁ファランクスッ!!


 ガツン!!と。

 まるで金属同士がとてつもない勢いでぶつかったかのような音が響いた。

 何かをはじいた。それは分かった。…しかし。


「く…!」


 あまりの衝撃に片膝を地面についてしまう。

 戦車オペロンの異能、絶対重装障壁ファランクス。それは、どんな攻撃であろうと、魔力を伴った特殊な攻撃でない限り、一切の物理的攻撃手段を無効にしてしまう。

 とっさに叫んだのはほとんど反射のようなものだった。

 何かが治さんを狙っている、とあの一瞬で気づけた自分を褒めてやりたい。


 だが、膝をついてしまったことはよくなかったかもしれない。

 どこの誰かは知らないが、このままではスキを突かれて……


「あー、残念。さすがに大鎌じゃあバレるか。…避けるかと思ったら、まさか防がれるなんてね。正直想定外だわ?」

「お…お前…」


 俺は片膝をついた状態で顔を上げた。

 そこには豪奢な風貌の女がいた。


「…さて?私の大鎌デスサイズを完璧に防いでくれたあなた」

「…?」

「今ならあなたの味方をしてあげて良くてよ?」

「なんだと…?」


 女はそう言って、鎌の刀身の腹に口づけをすると。


「……鈍いわね。その男、目の前から消してあげるって言ってんの!」


 大鎌が治さんのほうへと向けられた。






「何を言ってる…?」


 目の前の大きな鎌を持った女は、その鎌を肩に担いでニヤニヤした面でこちらを見る。


「あら…?伝わらなかったかしら。加勢してあげるって言ってんの」

「いや違う。お前は今、治さんを殺すって言ったぞ」

「同じことでしょ?…それとも何?殺す気もない相手と戦ってるってこと?…何それ、ウケるんですけど」


 女は見たこともない珍獣を見るかのような目を向けてきた。

 正直、不愉快極まりない。


「あんたが何を考えているのかは知らないけど、治さんを不用意に傷つけようってハラなら、悪いが遠慮するよ」

「面白いわね、あなた。さっきまでそこの老人にずいぶんと憎しみのこもった眼を向けていたくせに、今は逆にかばおうとするなんて」

「あんたにはわからんだろうさ。…それよりも、お前は何者だ」

「あたし?……そおねぇ…………教えてあげてもいいけど、条件があるわ」

「…なんだって?」

「コレ。どうにかしてくんない?捨てるにしても、捨て方に困ってるのよねー」

「うぐっ…」


 どさっと。

 まるでボロ雑巾のように放り投げられる男。


「慶介さんッ!!」


 全身を鋭利な刃物のようなもので切り裂かれたかのような切り傷。

 アキレス腱を損傷したのか、その足で立つことはなく、腕の力で上体を起こしながらこちらを見る。


「に、逃げろ…!こいつはバケモンだ…!」

「…っ」


 二葉慶介。

 あかねちゃんのお兄さんで、二葉家の次期当主候補だ。相当な手練れだと聞いている。

 そんな人が、こうも簡単に……。


「く…」


 だが、ここで慶介さんを放置はできない。何かの間違いでお兄さんがお亡くなりになりました、なんてあかねちゃんに対して申し訳が立たないうえに、何より。


「(ここでこいつの情報を一切得ることなく引き下がるのは、一番まずい)」


 何としてでも少しでもこいつの情報を抜き取れ!


「……ずいぶんと派手にやってくれたじゃないか」


 そう言って、俺は慶介さんに肩を貸す。


「し、篠宮君…!」

「あら?助けるの?…ま、いいわ。あたしもこいつには襲撃されただけだし。戦えないのに死体打ちって言うのも…ね?」

「襲撃?」

「ええ、そうよ。あたしはただ、そっちのおじいさんに用があっただけなのに、急に襲い掛かられたものだから、危うくやってしまうところだったわ?」

「……」


 状況から考えて、慶介さんが理由もなく女の人を襲うはずがない。

 かといってこの状況ではあの女の言っていることは嘘ではなさそうだ。……つまり。


「…お前、二葉家に用事でもあるのか?」

「あら。その質問はルール違反よ。私が答えると約束したことは、“私が何者なのか”ということだけ。…そのことについては答えてあげる。…私は、そうね……とりあえずラン、とでも名乗っておきましょうか」

「ラン……」

「そ!とりあえずは。本名を教えてもいいけど、うかつに教えたらあたしの上司に怒られちゃうからゴメンナサイ?…で、一応本島側の人間よ」

「…!!」


 本島側…つまり。


「あんた、まさか」

「はい、とりあえず教えるのはここまで。…というわけで」


 スッとその一見華奢に見える肩に乗せていた鎌を構えると、


「死ぬ?それとも…死ぬ?」


 理不尽な選択肢を突き付けてきた。

次回、78話。

七転び八…あ、いや、八転びするかも……(涙)

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